教育隊の過程の卒業前日に、主人公の 堺 修一 は奇妙な夢を見る。彼は、その夢の中で出てきた女性たちから「提督」やら「司令」やら呼ばれていた。
そして、卒業と同時に彼は「提督」に任命され、夢の少なくとも一部は正夢となってしまう。
「な……」
男ーー堺 修一は、目の前の光景に驚愕していた。
彼の隣には、彼に帯同して任地に赴くことになった艦娘にして、初めて彼の指揮下に入った艦娘である、特型駆逐艦「吹雪」がいる。その吹雪も、冷や汗を浮かべて苦笑していた。
一呼吸分のスペースを空けた後、堺は声を張り上げ、叫んだ。
「なんだよこれぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
何故彼が叫んでいるのか。
話は、1ヶ月ほど前に遡る。
………
海上護衛軍艦娘部隊への配属を命じられた堺は、同じように艦娘部隊への配属となった十数人の同期生と共に、呉から横須賀に送られた。そこで提督とは何たるか、専門教育だというのである。
十数人の同期生には、驚いたことに、ルームメートだった藤原もいた。適性ありと判断されたらしい。適性検査とは、つくづく良くわからないものだ。
因みに、彼らは横須賀鎮守府併設の艦娘部隊教育部に到着して早々、准佐の階級であることを確認された。どうやら堺の辞令だけ、印刷ミスを起こしていたらしい。道理で、階級がやたら高かったわけだ。護衛艦勤務になったりした連中は、小尉が限界だったというのに…
少佐だと思っていたのを、あっさり否定された堺が、少しへこんだのは言うまでもない。
3週間、提督としての基礎を徹底的に叩き込まれた後、その仕上げとして、各地の鎮守府や泊地に「提督研修生」の名目で派遣され、現場で学ぶことになった。所属先は上が決めるため、てんでんバラバラである。
藤原の奴は、近場である佐世保に決まったと喜んでいた。ちくしょう俺だって…と思っていた所へ呼び出される。さて何処に決まったか、呉かそれとも舞鶴か…と思っていたら、とんでもない命令を下されてしまった。
『堺 修一 本日ヲ以テ正式ニ少佐ニ昇進トシ、艦娘艦隊指揮官ニ任命ス。艦娘ヲ率イテ深海棲艦ヲ破リ、暁ノ水平線ニ勝利ヲ刻メ』
…うぉっ!?ちょー待ってってば!?
なんでいきなり提督任命なんだ!?
等と驚いている暇もなく、初期艦選択と称して指揮下に入る初めての艦娘を5人(吹雪、叢雲、漣、電、五月雨)の中から1人選べと言われ、少し迷った末に「吹雪」を選択。
突然の提督任命の理由を聞いてみると、俺の提督適性があまりにも高く、実戦配備してもやっていけると判断されたこと、そしてある司令部の提督が解任されてしまい、その穴を緊急に埋めなければいけなかったから、とのことだった。
そして、正式な配属命令を受け取った。
『堺 修一、並ビニ駆逐艦吹雪 両名ニ以下ノ地ヘノ配属ヲ命ズ
タウイタウイ泊地』
(…タウイタウイ?)
全く聞いたことのない地名であった。
聞き慣れぬ地名に頭をひねりながらも、慌ただしく着任の事務手続きをした。それが済んだ途端に一式陸攻に荷物と吹雪と一緒に押し込まれ、何時間かかけてミンダナオ島に着陸。そこから軍用車と船を乗り継いでの着任であった。
…そしてついに到着し、タウイタウイ泊地司令部の建物を見た感想が、冒頭の堺の叫びである。
なにしろ、周囲にはちょっとした規模の地元民の漁村がある他には熱帯の自然しかない所に、通信用の鉄塔と木造の見張り塔と、艦隊司令部という肩書きだけ立派なプレハブ小屋の他は、竪穴式住居がいくつか建っているだけだったのだ。
これでは、堺の叫びも仕方がない。
「聞いたことない地名だったから、どんなとこだろうと思ってたら、こりゃ完全に何もないド田舎じゃねぇか!今なら分かる、前任のやつは解任されたんじゃなくて、逃げたんだ!」
そう言うなり、堺はたまたま耳に挟んでいたボールペンを足元に叩き付け、雄叫びをあげた。
「ちくしょうめぇーー!!!!」
如何でしたでしょうか?
余談ですが、主人公≒うp主 のタグの通り、うp主はタウイ提督であります。また初期艦も、吹雪です。
読者の皆様は、初期艦は誰にされましたか?
更に余談。堺の台詞や考えについてですが…アレ使ってみたかったんだよ!バーカ!
元ネタはお察しの通り、総統閣下の空耳であります。
それでは、次回もよろしくお願いします!