理想なんて持つだけ無駄だ。
俺が思うに理想になんてほんとうにただの戯言に過ぎない。
将来こんなことをする仕事に就きたい。幸せな家族を持ちたい。
料理人になりたい。
家業を継ぎたい。
とか
人には色んな理想がある。
けどその理想を手に入れられるのはほんのひと握りの人間のみ、その人間のことを『能力を持った人間』としよう。能力を持った人間がいるということは当然その逆、能力を持たない人間もいる訳である。そうだな,,,,そいつらの事は『無能』って言うと早いな。
というか、無能はどう足掻いても能力者より上にはいけない。
それが現実だ。
そして、その実態例が今のこの状況だ。
「おらッ!!早く立てよ!!無能」
そう言って能力を持った男子生徒が無能の腹に思いっきり蹴りを入れる。こいつは以降才能くんと名付けよう。
あぁ蹴られて可哀想に,,,,,,,,まぁ俺なんだけどね。
「立てって言ってんのが聞こえねぇのか!!無能!!」
一々最後に無能つけんじゃねぇよ。
まぁ確かにそろそろ地面とお友だちは嫌だしな
「,,,,,,,,」
「おぉやってんなぁーwww」
「うぉもうボロボロじゃんwww」
「よく生きてるよなぁwwwコイツ」
うわぁなんか増えたよ...地面とはいい友達になれそうだ
「おっ来たか.....コイツ好きにしていいぜ!!ほんとによく出来たサンドバッグだしな」
そりゃこっちには凄腕の医者(笑)がいるからな
「おっそうかそいつはありがてぇ前のヤツなんかかるーく『電撃』当てたらすぐ伸びたからな退屈してたんだよ。」
そう言った....才能くん2でいいや。
まぁそいつは指先からバチバチと文字通り電気を発生させて薄ら笑っていた
「んじゃ俺は『地形変化』でコイツ固定しとくわ。」
そう言った才能くん3は地面に手を触れコンクリートでできた地面を操り俺の体を固定し始めた。
「じゃあ俺は『身体強化』で拳強化して殴るわ。」
そう言った才能くん4は一瞬体が発光したかと思うとすぐに元に戻った...恐らく身体能力を底上げしたのだろう....あの能力欲しいな....
「おいおい、殺すんじゃねぇぞwww」
「それじゃあやりますか!!」
おぉ息ピッタリじゃないですか
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――あぁいいストレス発散になったぜぇ。
――――――――――――――――――こいつどうするよ?――――――――――――――――――ほっときゃいいだろwww―――――――――だなwww
「ん......ッ!!イッテェぇぇ.....」
あいつらはいないな....こりゃまた酷くやられたなぁ.....指先の感覚がねぇぞ
『いつまで自分が能力者だと言うことを隠しているおつもりで?』
声が聞こえたと同時に体が暖かい光に包まれ全身を覆う痛みや、麻痺で一時的に失っていた感覚が帰ってきた
「さぁな」
そう、俺は無能などではない。
れっきとした能力者である。
少しばかりわけアリだが。
『貴方の願いを叶えるために本当に必要なのですか?』
「さぁな、わかんね」
『相変わらず適当なのですね。あと、私は医者ではありませんよ。』
「わりぃわりぃ」
『貴方は自身が騎士だという自覚があるのですか?』
「わかってるわかってるって」
『はぁ辛くなったら迷わず私をお使い下さいねマスター』
そう言って気配がひとつ消える
「はぁ、お人好しにもほどがあんだろ....」
〜〜〜翌日〜〜〜
「おい、無能が来たぞ。」
「あっほんとだおはよう無能くんwww」
「wwwおいwww言ってやんなよwww」
1人めと2人目はまぁいいとしよう慣れてるし、だが3人めてめぇ覚えてろよ?
とまぁ学園の門くぐった途端コレなんだからよくもまぁ俺はこんな所に5ヶ月も居られるな。
うん、俺凄い。
説明してなかったが俺が通っているこの学園の正式名称は国立グラン・メイル学園、ちなみにこの学校の名前の由来は学園長の名前をそのまんま持ってきたらしい。
自己主張激しい人なこった....本当に。
んで、この学院が作られたきっかけだが、何十年か前に能力者がぽんぽん生まれ始めて世界的に能力者という人種が認められてきた時に起こったことなのだが、普通の学校に通っていたらそこにはもちろん無能もいる訳で、度々能力者と無能が問題起こしてこのままでは死者がでるー、なんて考えた政府が急遽用意した能力者専用の学校がここである。
今のところ能力者専用の学校はここしか存在しない。
さて、教室入ったはいいがやることがないな。
ちなみに何で無能(仮)の俺がここにいるかなのだが.....クソジジィもとい、学園長に無理やり入れられたからである。
「あー、あー、マイクテスー、マイクテスー、んー、OKじゃな。ん?勝手に使うな?いいじゃないかァ!ここはわしの庭じゃぞ!」
噂をすればなんとやら、ご本人の登場だ......校内放送で
「えぇい!貴様はさがっとれい!....織音!!聞こえておるか!聞こえておるなら今すぐわしのもとへ来い!!」
キィィィィィン
うるさ!?マジでうるせぇ!!マイクに向かって叫んでんじゃねぇよ!あっ、隣のヤツ気絶してるよ。
そういや忘れてたけど俺の名前は織音・メイルあのクソジジィの孫だ
「10秒待つ!それまでに来なければ、今月の小遣いは無しにする!!」
は?今なんつった?小遣い無し?ふざけんな!!そんな、そんな事したら!!プリン食えなくなるじゃねぇかァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!
「あんの!!クソジジィィィィィィィ!!!!」
俺は走った。
(生身で出せる)全力で。
それを見た生徒達はこう語った、
「無能が見えたかと思ったら残像だった」と。
「ゼェェ.....ゼェ....来たぞ…..クソジジィ....」
「うむ。10秒以内に来たな、良かろう小遣いはやろう。しかしなぁ、織音よ」
よっしゃ!これでプリン食える!!ィイヨッシャァァァァァ!!おっと、平常心平常心......
「何だよ」
「うん、急かしたのは悪いと思っとんじゃがのぉ......窓ぶち抜いて入ってくるのやめない?それと、一応ここ4階なんじゃが......よくそれで能力者だということがばれんのぉ.....」
「うるせぇ、ここの設計者であるアンタが悪い」
だって、俺の教室からこの学園長室まで4キロもあんだぞ?!中庭突っ切って来てギリギリ10秒だぞ?!いちいち階段なんて上がってられるか!!
「大体、広過ぎんだよ…どんだけ金あんだよ......で?なんで俺を呼んだ?これでただ反応が見てみたかったとかほざいたら…....」
「急ぎの用があっただけじゃ(良かった!!用事無かったら殺されてた!)」
「んで、その用事ってのは?」
「うむ。実は明日転校生が来るのじゃが....」
「断る」
「早っ!?まだわし何も言ってないじゃろ?!」
「大体わかってんだよ......ミエルか」
「どうして、あれだけで分かるんじゃよ…」
ミエルってのは、俺の幼馴染で本名はミエル・レアイスっていうんだが...あいつが来んのか…
「爺ちゃん....俺退学したい...」
「な?!あの、物心ついた頃からワシのことをクソジジィとしか言わなかった織音が?!ワシの事を爺ちゃんと呼んだだと?!一体、ミエルと何があったのじゃ?!」
マジで?あいつ来んの?もうダメだァ!
「コホン、爺ちゃんと呼んでくれたのは嬉しかったが、退学は許さぬ。これは絶対じゃ」
「.....ちっ」
「今おぬし舌打ちしおったか?!」
「チッ!!」
「今度はわざと聞こえるように舌打ちしおったな?!」
しゃあない、腹くくるかぁ
「はぁ。分かったよやりゃーいんだろやりゃ!!いいぜやってやろうじゃねえか!!」
「もう投げやりになっておるが…まぁ良い、そういう訳だから迎えに行って来てね☆」
「は?」
おいまさか、
「安心せい、変な所に『飛ばしたり』はせんよ。」
そう言ったクソジジィは右手を前に出し俺を見据える
「ふざけんな!!アイツと二人きりとか死ぬぞ?!」
「何を言っておる、おぬしは『最強の騎士』じゃろうが」
「ふっざけんな!!力がどうとかいう問題じゃねぇんだよ!!」
「えぇい!!ゴチャゴチャと!!男なら覚悟を決めい!!」
すると、クソジジィの手が青白く光り始める
「準備が終わったらわしの名前を呼ぶんじゃぞ」
「帰ってきたら覚えてろ!!ク.....」
俺は言葉を言い終わる前に学園から消えた。
レアイス家の前にて。
「来ちまった....」
ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙もう嫌だおうち帰りたい!!
「ん?いや待てここからでも、全力で走れば今日中に帰れるんじゃね?」
よしっ!!そうと決まれば走るぞぉ!!
「しーくん?」
背後からよく知っている女の子の声が聞こえた…
「(ヤバイヤバイヤバイ!!ヤヴァイ!!どれくらいやばいかっていうと、女絡みで修羅場に陥って丁度そこに家族が来るくらいやばい!!って何言ってんだ俺)」
「やっぱり、しーくんなのね!!」
振り返ると、そこには腰のあたりまで伸びた美しい金髪、さながらモデルのようなプロポーション。
白いワンピースからすらっと伸びた足は人形のように美しく誰もを魅了する事が出来るだろう。
「よ、よぉ久しぶりだな、ミエル」
そう言うとミエルは口を尖らせてこう言った
「むぅ....昔みたいにミーちゃんって呼んでよぉ」
「い、いや流石にこの年にもなってそれは」
すると、ミエルは
「私のこと嫌い?」
涙目からの上目遣いは反則だと思います!!しかも下から覗き込まれたら、youの立派なお山の間が強調されて俺の理性がゴリゴリ持っていかれるからやめて欲しい
「そういう事じゃねぇよ...分かったよリーちゃん」
そう言うとミエルはパァと明るい表情に変わった
「ただし、二人きりの時だけな」
「むっ」
また不機嫌になったな…
「分かったよぅ....二人きりの時には絶対だからね!!」
「はいはい」
「あっ!でも、私は普通にしーくんって呼ぶから♪」
「は?!いや、待て恥ずかしすぎるからやめてください死んでしまいます」
「やだ」
即答かよ…知ってたけど
「わかっわかったそれでいいから早く準備してこい。帰って寝たい」
「はーい♪」
そう言うとスキップしながら家に入って行った
「やぁ」
今度は『空から』声がした
「何でいつも普通に登場できないんですかね…ライズさん」
今俺の上に浮いている人は、ライズ・レアイス。
ミエルの父親だこの人はいつもまともな登場をした試しがない。
それで子供の頃何回泣かされたか…
「ミエルを頼んだよ、織音」
ライズさんの目付きが変わった。
こっちが本職の目である、この目になったライズさんとは絶対に腹を割って話さなければならない、そういう約束だ
「騎士の誓いにかけてミエルを護ります」
「よろしい!ところで、織音〜」
あっ元に戻った…嫌な予感
「まだミエルの事を好きでいてくれたんだね、僕嬉しいよ」
「い、今それを言いますか…」
そう、俺はミエルの事が好きなのだ。
大好きだ、愛してる。
....言えないけど
ちなみに俺がミエルが学園に来るって言われた時あぁなった理由は、嬉しさと恥ずかしさで頭が逝っていたからだ。
けして、けっして嫌だったわけじゃない
「うんうん、やっぱり織音の反応は面白いなぁ、頬赤くしてそっぽ向くとかw」
「殴りますよ?」
俺は拳を握り締めながら言う
「や、やめて欲しいなぁ...君に殴られたら跡形も残らないから」
「安心して下さい…死にはしませんから」
俺に出来る最大の笑顔(悪魔)で話しかける
「あらあらー、二人共ミエルの前で喧嘩はだめよー?」
扉の方から間延びした声が聞こえた
「フィーナさんお久しぶりです」
この人はフィーナ・レアイス
ミエルの母だ。
にしても、本当に一児の母なのだろうか?若すぎるんだけど
「うふふ〜褒めても何も出ないわよ〜」
「どうして考えてることがわかるんですか…」
「そういう『力』だもの〜」
フィーナさんは相手の顔の筋肉や目の動きで相手の考えていることがだいたいわかるのだ。
ちなみにこれは能力ではない、フィーナさんの能力は『直感』だ。
という事で、フィーナさんは物凄く勘がいい。
だから、フィーナさんに嘘は絶対に通用しない
「織音くん。」
フィーナさんは光る笑顔で
「はい」
「ミエルの事をよろしくね」
「任せてください」
フィーナさんはそれと、と付け足し
「あんまり、怒っちゃダメよ?」
と言ってきた。
何故なら俺をミエル関連で怒らせると街が消えるらしい......からだ。
いや、覚えてないんだよね…昔、ミエルに振られて自暴自棄になった輩が手を出そうとしてたところを見つけてぶん殴ったところまでは覚えてるんだけどなぁ…なんか、気付いたら廃墟だったところが跡形もなく消えてたし。
あ、そいつは死んでないよ。
ただ、俺が学園に行くまでずっと顔合わせる度に、気絶してただけです、はい。
「わかりました壊さない程度に怒ります」
よしっ完璧
「そういう事じゃないんだけどね〜」
何故か困った顔をするフィーナさん
「???」
何の話か分からないミエル
「さて、そろそろ行くか....ミエ....ミーちゃん」
あぶないあぶない、今一瞬ミエルの瞳からハイライトが消えたぞ…
「行ってらっしゃい」
「いってらっしゃ〜い」
ライズさんとフィーナさんが笑顔で送り出してくれる
「行ってきます!」
それにミエルは満面の笑みで答える
「3人とも耳栓は?」
「勿論」
「じゅんび」
「出来てるよ♪」
ライズさん、フィーナさん、ミエルの順に答える。
よしっ、近隣住民の皆さまごめんなさい。
「すゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ......」
息を吸ってーーーーーーー
「クゥゥソォォォジィィィジィィィィ!!!!!!!!!!」
吐く。
いやー、最近の建物が頑丈で助かった。
壊れるのはクソジジィの耳だけだな、うん。
あの野郎、どうせ空間繋いで聞いているだろうしな
「いやぁ、いきなり耳栓用意しろだなんて言うから何するのかなぁ?とか思ってたら」
「若いっていいわね〜」
「びっくりしたぁ」
しばらくすると、俺の周囲が青白く光り始めた。
「ミーちゃん」
俺は手を伸ばす。
「うん♪」
それを、ミエルは迷いなくとった。
そして、俺とミエルは故郷去った。
学園長室にて。
「織音!!おぬしというやつはァ!!危うく鼓膜が破れるところじゃったわ!!」
おぉぉ、激おこですなぁ…ざまぁw
「アンタが覗いてるのが悪い」
「お久しぶりです♪おじさま♪」
「うむ。久しいのぉ身長なんて前に会った時はわしの腰くらいだったのに成長したのぅ」
まだあんたの方がデケェよ
「なぁジジィ」
「しーくん?おじさまの事をそんな呼び方しちゃダメだよ?」
「そうじゃ!わしにもっと敬意を表してじゃな「あ?」.....な、な、何でもないぞぉ!」
たく、ミエルがいる所では強気なんだよなぁ
「んで、寮の部屋の事なんだが、どこだ?連れていく」
ここは無駄にでかいからな、迷子にでもなったら大変だ
「あぁ、その事ならば心配せんでも良い。織音もよく知っとる部屋じゃからな」
ん?俺のよく知ってる部屋?あぁ!朝名前控えたやつの部屋か!
「おじさま、私はしーくんと同じ部屋なんですよね?」
はい?
「そうじゃぞぉ暴力的で親不孝者だが、よくしてやっておくれ」
ん?ん?ん?
「はい♪任されました♪」
え?うそん。
寮の部屋にて。
はい。
そんな訳で部屋にやって参りましたー。
わーい、ミエルと同じ部屋だー。
.......ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!
え?!なんなの?!俺男、ミエル女、OK?なに?馬鹿なの?もう頭ぼけてきてんのあの老いぼれは?!しかも、あいつ俺がミエルのこと好きなの知っててやってやがるから尚更腹が立つ!!
「どうしたの?しーくん」
だから、下から覗き込まないで!!
山の魔が!!ん?漢字が違う?何言ってんだよあってるよ?うん。合ってる。
ヤヴァイ!!俺の理性がががが!
ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙
「あ、あぁ何でもない。何でもないぞぉ。大丈夫だ問題しかない」
「え?それって大丈夫なのぉ?!」
こうして、俺の波乱万丈な学園生活が始まったのである。