ある晴れた日、日本のどこかの町に一人の少女がいた。彼女の名はシャナ。世界の理を守るフレイムヘイズの一人だ。その彼女がこの町で何をしているかというと
「カリカリ、モフモフ」
メロンパンを食べていた。前の町でこの町のどこかに一日限定50個のメロンパンが発売されると聞いてすぐにやって来た。
「シャナよ。今日の宿泊はどこにするのか。」
彼女の契約者にして愛する父、″天壌の劫火″アラストールは尋ねた。
「このあたりにはキアラ・トスカナの宿泊場所がある。そこにする。」
「ふむ。″極光の射手″か。」
アラストールはそう呟くとまた沈黙した。
コンコン
「はーい」
キアラが編み物をしているとノックの音が聞こえた。
「誰かな?サーレさんは来ないはずだし……」
「きっとセールスかなんかじゃない?」
「それともキアラの美貌に見とれた人とか?」
彼女の契約者、″破暁の先駆″ウートレンニャヤと″夕暮の後塵″ウェチェルーニャナが姦しく話だした。開けてみると
「こんにちは。」
「あれ……炎髪灼眼……?」
「変わりはないか、″極光の射手″、それに″破暁の先駆″と″夕暮の後塵″よ」
「変わりないわよー、″天壌の劫火″。」
「あの……それでいったいなんのご用で……」
「宿を貸して欲しい。」
「え?」
「今宵の宿が無くてな。出来ればこの子に貸してもらいたいのだが」
「それは構いませんけど……ベッドは一つですよ?」
「いっしょに寝る。」
「ええと「いいじゃない、キアラ」「いいわよー炎髪灼眼」えっ?!」
「ありがとう」
「うむ。礼を言う。」
「ちょ、ちょっと待ってよぉ!!」
この日の夜はキアラは眠れない夜を過ごしたようだ……
翌朝、シャナが起きると
「あっ、おはようございます。ご飯はもう少し待ってくださいね。」
キアラが台所に立っていた。
「ん……ご飯……」
と呟いてテーブルに座った。
「ほらほら、そんなにぼーっとしてると彼に愛想尽かされるわよ」
「そーよ、キアラなんかサーレのために毎日毎日むぐっ」
「こらっ、そんな個人情報流さないっ!!」
キアラが怒って二つの鏃型の髪飾りを握りしめた。
「シャナよ。今日はどうする予定だ?」
「うん。今日はゾフィーのところまで行く。」
「へぇー、 “払の雷 剣” のとこに。」
「そう。ちょっと遠いけど頑張って行ってみる。」
「世話になったな、極光の射手、キアラ・トスカナよ。」
「 鬼功 の繰 り手にもよろしく伝えて欲しい。ヴィルヘルミナが世話になったと言っていたから。 」
「はい、伝えておきます。それはそうと、まずは朝ごはんを」
と持ってきた瞬間
「あっ!メロンパン!」
「はい、シャナさんの大好きなメロンパンです。」
「いただきまーっふ」
(こうしてみると、ごく普通の女の子だよね)
(あんたもそう見えてるわよ、私たちのキアラ)
満面の笑みを浮かべて食べる少女に優しい笑顔を向けている少女がそこにいた……