亜種特異点 神性狩猟区域 フォート・ジョルディ   作:仲美虚

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第六節『ANGEL BULLET』

「あれは……」

 

 

距離が遠く、数多の敵が視界を遮るためはっきりとは確認できないが、確かに立香はその目で見た。二人のクラウスが対峙する、その光景を。

 

セーラと新たに現れたクラウス。その二人が、たじろぐアヴェンジャー・クラウスを力強い眼差しで睨み付けている。

 

 

『光の発生源より新たなサーヴァント反応! 霊基パターンよりアーチャークラスのクラウス・スタージェスと断定! そして……そんな、まさか……!? ――セーラさんがサーヴァントになっています! クラスは同じくアーチャー。というより、これは……アンさんとメアリーさんのように、二人一組のサーヴァントのようです!』

 

「何だって!? ……クソ、向こうは一体どうなっているんだ……!」

 

 

アン・ボニーとメアリー・リード。カルデアにもその霊基が登録されている、二人一組の特異なサーヴァント。

二人目のクラウスが現れただけでも驚きだというのに、セーラがサーヴァントになり、その上アンとメアリーのように、クラウスと合わせて二人一組のサーヴァントとして現界しているという。文字通り驚きの連続である。

 

もっと近くに行って状況を確認したい。そう思う立香であったが、生身の人間である彼がこの敵陣を突っ切るのは無謀にも程がある。彼自身、マスターという立場に驕るわけではないが、それでもこの戦況に於いて、己の重要性は理解していた。

かといって巌窟王あたりに運んでもらおうにも、彼は今ビリーと共に二人の魔人と交戦している。アヴェンジャー・クラウスがセーラたちに気を取られている今、ようやく戦闘に集中できるようになったところだ。超人的身体能力と不死性を獲得している魔人を相手にするのは骨が折れるようで、中々に苦戦している様子。要であるメルトリリスを護るためにも、今貴重な戦力をこちらに割くべきではない。

 

結局、今下手に動くのは得策ではないと判断し、自らもまた歯痒い思いを抑え込み、サーヴァントたちの指揮と自衛に徹することにした。

 

 

「セーラ、どうか無事でいてくれ……!」

 

 

 

 

 

 

――――――――

 

 

 

 

 

 

「馬鹿な……!? ありえない!!」

 

 

明らかにサーヴァントの気配を放つセーラと、その傍らに立つもう一人の自分。アヴェンジャー・クラウスは目を疑った。

 

別クラスの自分。それならあり得なくもない。キャスターのクラスあたりならば弱小サーヴァントではあるが、現界する可能性もある。尤も、クラウス・スタージェスという人物の能力はセーラ・V・ウィンタースが味方として存在しなければ機能しないため、単体ではまるで意味を成さないが。

 

だが、目の前のセーラ。これだけはありえない。いくらサーヴァントが時間や世界線の枠を超えて現界しようともだ。

 

確かに彼女は自身を犠牲に西部を救った。しかし、彼女の偉業を知る者はフォート・ジョルディに集う仲間たちだけ。そもそもあの事件自体も揉み消され、関係者以外は知る由もないはず。ましてやアヴェンジャー・クラウスのように神を殺す程の、認知度を差し引いても世界的に類を見ないような大業を成したわけでもない。結局のところ、結果に基づいた事実のみを見れば、彼女のしたことは『父親との心中』に他ならない。つまり、事件の規模、実質的な功績、知名度。どれを取っても、座に登録されるには至るはずがないのだ。

 

 

(どういうことだ!? 英霊を英霊たらしめるのは信仰のはず。彼女を、彼女の功績を知る者などいるはずがない!! そう、語り継がれてなど――)

 

 

ふと、アヴェンジャー・クラウスは思い出す。自らが生前、見知らぬ世界で生計を立てるために作ったモノを。今こうして真名まで看破される原因となったモノを。

 

 

「まさか……! 俺が――俺が書いた(・・・・・)、セーラ・V・ウィンタースとクラウス・スタージェスか!! しかも、俺の固有結界が生み出したセーラの幻影を依代に……!?」

 

 

まさに予想外。アヴェンジャー・クラウスとて、自分の描いたダイムノベルの売れ行きは理解していたし、映画化の際は少し贅沢なんかもした。しかし、虚構の存在が英霊の座に登録されるのは容易な事ではない。いや、完全に虚構とも言い切れない(・・・・・・・・・・・・・)。世間一般ではフィクションで通っているとはいえ、作中の人物と事件は別の世界で現実に起こった事。だからこそ、こうしてサーヴァントとして召喚されるに至ったのだろう。

 

 

「……いきますよ、セーラ」

 

 

アヴェンジャー・クラウスの眼前のアーチャー・クラウスが口を開く。アヴェンジャー・クラウスと同じ人物にも関わらず、似ても似つかない、落ち着いた声。しかし、その声に籠った決意の念からは勇ましさすら感じられる。

 

 

 

 

 

 

「……わたしの背中に隠れながら言うんじゃあ、かっこつかないわね」

 

 

台無しだった。

 

 

「だ、だって怖いじゃないですか! 僕、戦えないんですよ!? それにほら、銃持ってますよ銃!」

 

「あーもーうるさい! わかったから下がってろ! どうせあんたにはなにも期待してないっての!」

 

「そういうこと言っちゃいますか!? 流石に少し傷つきますよ!!」

 

 

目の前のコントじみたやり取りに、懐かしさと苛立ちが混ざった複雑な感情を覚えるアヴェンジャー・クラウス。突然ぶち壊される空気に、あっけに取られて固まる他なかった。

 

 

「……さて、いつまでもバカやってないで戦うわよ。――っと、その前に」

 

「ええ。皆さんを助けないと、ですね」

 

 

繋がれるセーラの左手とアーチャー・クラウスの右手。二人がすっと目を閉じる。直後、セーラの指輪から眩い光が放たれる。

 

 

「な、何だ……!?」

 

 

光を中心に始まる世界の塗り替え――いや、既存のテクスチャとの融合。

 

生み出される世界は、アヴェンジャー・クラウスが生み出したそれと同一にして異質なる存在。セーラ・V・ウィンタースとクラウス・スタージェス。二人にとってのその街(・・・)。仲間と共に駆け抜けた愛しい地。その名は――

 

 

「「――《夜空を駆けし我が盟友達(フォート・ジョルディ)》」」

 

 

後方、サーヴァントたちの戦いの渦中に新たに出現する数多の人影。

 

援護射撃を以てビリーと巌窟王に手を貸す者。

かつてジェシー・ジェームズと共にギャングを結成していた男、《コール・ヤンガー》。

そして、ライフルによる遠距離射撃を得意とする、超一流の女ガンマン、《スーザン・M・マクグラレン》。

 

メルトリリスとジャックの背中を護る者。

白いタキシードとシルクハットに身を包む、クイックドローを得意とするキザな男、《ノーザンベル》。

 

エレナと共に仲間を援護する者。

魔除けのアイテムを手に呪文を唱える、長い黒髪の美しい女性。別世界のエレナにあたるその人物、《ヘレナ・P・ブラヴァッキー》。

シャーマンの衣装を身に纏い、静かにゾンビの魂を鎮めるインディアンの少女、《飛び立つ鳥》。

 

そして、外観こそ異形ではあるが、知性を持つ誇り高き種族、リザードマンの大群。

 

かつてフォート・ジョルディを共に駆けた仲間が、今ここに集結した。

 

圧倒的であった数の差も今や同等になり、勝利の兆しが見え始めた。

 

皆が一丸となって戦うその光景に、立香や通信越しのマシュ、ダ・ヴィンチも心を打たれ、胸にこみ上げてくるものを感じた。

 

 

「何故だ……!? これは俺と同じ宝具。なのに何故幻影の質にこうも差が出る!? 何故ああも心を通わせ、共に協力して戦える!!」

 

「……それ、本気で言ってるんだとしたら……わたし、ちょっと悲しいな」

 

「何?」

 

「あそこで戦ってくれてる皆は、わたしたちの絆の結晶。そして、あんたが綴った記憶と想いそのものなんだよ? そんな大事なことも忘れちゃったわけ?」

 

「……!」

 

 

目を見開くアヴェンジャー・クラウス。

 

復讐に囚われたクラウス・スタージェスは、かつての温厚な性格とは打って変わって、冷酷非道な人物となってしまった。しかしセーラへの愛を片時も忘れたことはなかった。だからこそ、復讐が終わり、別の世界へ飛ばされた後、ANGEL BULLETを執筆することができたのだ。

 

心が揺れ動く。しかし、今の彼はアヴェンジャー。復讐に燃えている当時の姿と精神で現界している。神に復讐し、再びセーラに会う。その目的を遂行するためならばなんだってする。何を言われようと、それを捻じ曲げることなど、そうそうできはしなかった。

 

 

「……お前を消せばあの軍勢も消える。ならばする事は決まっている」

 

「そう……。クラウス、下がってて」

 

 

アーチャー・クラウスを下がらせるセーラ。下がるというには相応しくない程の全力ダッシュで少し離れた岩陰に隠れるアーチャー・クラウス。

 

アヴェンジャー・クラウスとセーラの間を吹きすさぶ一陣の風。両者睨み合って、ホルスターの銃に手をかける。

 

後方の戦陣で鳴り響く、一際大きな爆発音。――誰かが宝具か何かを使用したのかもしれないし、本当に爆弾でも投げたのかもしれない。それを合図に、二人は銃を抜いた。

 

 

「「――ッ!!」」

 

 

重なる呼吸。最初の撃ち合いの時のように、寸分違わぬタイミングでの発砲。

両者とも武器はエーテルで形作られた、レマットとピースメーカーの二丁拳銃。弾切れを気にすることなく撃ち続ける。

 

先に動きに変化を付けたのはアヴェンジャー・クラウスの方だった。

 

 

「ふん!」

 

「ちょ――ッ!」

 

 

セーラに急接近し、重いレマットの銃身でセーラを殴りつけようとするアヴェンジャー・クラウス。しかし、すんでのところで同じくレマットの銃身で受け止め、お返しとばかりに蹴りを見舞う。

 

が、それも膝で受け止められてしまい、互いに有効打を与えられぬまま、再び距離を取る。

 

そこで、岩陰のアーチャー・クラウスから野次が飛んだ。

 

 

「セーラさん、相手は僕自身なんですよ! 蹴りなんか入れたら逆効果です!!」

 

「うっさいわね! あんなに人が変わってるし、もしかしたらもしかするじゃない!!」

 

 

野次に対し乱暴な口調で返すセーラ。その間も攻防は欠かさない。

 

とはいえ、そもそもセーラの蹴り程度ではどうにもならないのは変わりない。そして、打撃を防御した時に感じた衝撃。あの感覚からして、アヴェンジャー・クラウスはセーラの知るクラウス以上に体力や筋力が高いと判断できた。であれば、今岩陰に隠れているクラウスならともかく、アヴェンジャーのクラウス相手ではセーラの方が先に限界が来るだろう。

 

早期決着が望ましい。セーラがそう考えていたその時、アヴェンジャー・クラウスの放つ魔力が強くなるのを感じた。

 

 

「……やる気ってわけ。ならこっちも……!」

 

 

セーラもまた強い魔力を放出し、銃を構える。そして、アヴェンジャー・クラウスとセーラ。両者の四つの銃口が同時に轟いた。

 

 

「――《約束の指輪、誓いの拳銃(エンジェル・バレット)》」

 

「――《闇を切り開く陽光(エンジェル・バレット)》!」

 

 

魔を払い、あらゆる神秘を穿つその弾丸。アヴェンジャー・クラウスは約束と誓いを。セーラは希望という名の光をそれに託す。

 

弾丸同士がすれ違うその瞬間、一対の弾丸が僅かにぶつかる。そして発生する衝撃。物理的な現象ではなく、魔力の干渉によるもの。

その衝撃波は他の弾丸をも巻き込み、爆発を引き起こす。全ての弾丸は砕け散り、終ぞ相手に届くことはなかった。

 

撒きあがる土煙。その中を注視するセーラ。やみくもに撃っても自身の居場所を伝えることになるだけ。ただでさえ夜闇のせいで視界が悪いのだ。そう考え、辛抱強く待つ。

相手も同じ行動を選ぶだろう。そう思っていた。

 

 

「な――ッ!?」

 

 

突如、土煙の中から飛び出す弾丸。セーラはそれをとっさに躱す。サーヴァントの躯でなければできなかった芸当だ。しかし、その回避行動こそが命取りとなった。

 

 

「危ない、セーラ!!」

 

 

岩陰からアーチャー・クラウスの声。しかし、遅い。

回避に気を取られたその一瞬の隙を突いて、土煙を裂いてアヴェンジャー・クラウスが突進。そのまま跳び上がり、セーラの肩に蹴りを入れ、そのまま地面に踏み倒した。

 

 

「が……ッ!」

 

 

激痛に声にならない声をあげるセーラ。肩を踏みつける脚をどかして体勢を立て直そうとする。が……。

 

 

「――チェックメイトだ」

 

 

額にレマットの銃口を押し当てられ硬直するセーラ。しかし、すぐに状況を理解し、蹴り倒されても決して離さなかった銃を捨て、力を抜いた。

 

 

「……あはは。負けちゃった、か……」

 

「セーラ!!」

 

 

岩陰からアーチャー・クラウスが駆け寄る。しかし、アヴェンジャー・クラウスの持つ銃はセーラと同じく二丁。もう一丁の(ピースメーカー)を向けられ、それ以上動くことはできなかった。

 

ふと、セーラがサーヴァントたちの戦っている方向に目を向ける。どうやらもうすぐ立香たちの勝ちで決着がつきそうだ。ならば、後は彼らに任せても問題ないか。そんな事を思ったセーラがおもむろに口を開く。

 

 

「……強くなったんだね、クラウス」

 

「……ああ、コール・ヤンガーに鍛えられたからな」

 

「コールさんかあ、いいなあ。そりゃ、強くならなきゃ嘘だよ」

 

「……お前こそ、銃の練習と称して俺の頭にリンゴを乗せて、目隠しをしながら銃を撃っていた頃とは大違いだ」

 

「いつの話よ。というか、あんたはわたしの成長を最初から最後までずっと見てきたじゃない」

 

「それもそうか」

 

 

銃を突きつけられているにも拘らず、心底楽しそうに話すセーラに対し、アヴェンジャー・クラウスは無表情で返し続ける。しかし、その声色は徐々に優しさを帯びていっていた。

 

しばし流れる静寂。そして、セーラの表情が哀しげなものになる。

 

 

「……はあ。悔しいなあ。あんたは、わたしが止めてやりたかった」

 

「……だが、結果はお前の負けだ。受け入れろ」

 

「うん……そうだよね。――これ以上焦らされるのも怖いし、一思いにやっちゃって」

 

 

やめろ! アーチャー・クラウスが叫ぶが、無視して頷くアヴェンジャー・クラウス。引き金に掛かる指に力が籠る。その様子を見て、セーラがゆっくりと目を閉じる。そして――

 

 

 

 

 

 

「――できるわけ……ないじゃないですか……ッ!」

 

 

セーラの頬を涙が濡らす。アヴェンジャー・クラウスのものだ。

セーラを踏みつけていた脚をどかし、数歩下がって、その場に崩れ落ちる。重々しい音を立てて、彼の両手の銃が地面に落ちた。

 

 

丁度その時、立香たちの方でも戦闘が終わったようで、皆で揃って駆け寄ってきた。セーラが呼び出したフォート・ジョルディの仲間たちは役目を終えると同時に消滅したため、立香及びサーヴァント五騎の計六人。誰一人欠けていないようで、ほっとするセーラ。一方、立香たちは困惑していた。

 

 

「セーラ、これは一体……」

 

「ええと――」

 

 

セーラは立香たちに話した。アーチャーのサーヴァントとしての自分とクラウスについてのことを。戦闘を開始してからこの状況に至るまでの経緯を。

 

そして、いつもの調子で、今もなお泣き崩れるアヴェンジャー・クラウスにダ・ヴィンチが言い放った。

 

 

『大体わかった。簡潔に言うと、アヴェンジャー、クラウス・スタージェス君。キミは戦意を喪失したということでよろしいかな?』

 

「……ああ、そうさ。結局、俺は割り切れてなどいなかった。目の前でフォート・ジョルディの仲間との絆や思い出を真剣に語る彼女を、俺はセーラとは別人だと思えなかった。――いや」

 

 

涙を拭き、立ち上がるアヴェンジャー・クラウス。相変わらずの仏頂面だが、先程までより柔らかい表情で、言葉をつづけた。

 

 

「彼女は間違いなくセーラなんだ。俺の中のセーラの記憶を受け継いでいるというのなら……彼女は、あの時(・・・)俺の中で生きていたセーラなんだ」

 

 

『あの時』――生前、クラウスが神と対峙し、追い詰められていた時。あの時、クラウスは確かに感じていた。自分は一人ではない。自分はセーラと共に戦っているのだと。その頃の気持ちを噛みしめる。

 

 

「――その彼女が、そちらの()と共にあるというのなら、既に俺の望みは果たされている……それだけで十分だ」

 

 

そう言いながらアヴェンジャー・クラウスが、自身の胸の中から光るモノを取り出す。聖杯。この特異点を作り出していた原因だ。

 

 

「持って行け、人間。それが目的だったんだろう」

 

「……ああ、ありがとう」

 

 

聖杯を受け取る立香。同時に、セーラ、二人のクラウス、フォート・ジョルディの街や魔城から光の粒子が舞う。

 

天へと昇っていく光の粒子を見上げながら、アヴェンジャー・クラウスが呟いた。

 

 

「ここまで、だな……。セーラ」

 

「ん?」

 

「サーヴァントは以前の召喚での記憶を引き継がないという。もし俺が――僕が、同じことを繰り返そうとしたら……今度こそ、キミが止めてくれますか?」

 

「……ぷっ! 何それ! 記憶を引き継がないんじゃあ、約束のしようが無いじゃない。――でも、まあ……約束する」

 

 

優しい表情で握手を交わすアヴェンジャー・クラウスとセーラ。そしてそれを複雑な表情で見守るアーチャー・クラウス。

 

握手を終えたアヴェンジャー・クラウスが、アーチャー・クラウスの方へ向き直る。

 

 

「おい、俺」

 

「は、はい!?」

 

「自分相手にびくびくするな……。――セーラの事を、よろしく頼む」

 

 

暫しあっけに取られていたアーチャー・クラウスだが、すぐに笑顔になり、手を差し出す。

 

 

「……ええ、もちろんです」

 

 

固い握手を交わす二人のクラウス。そしてそれを満面の笑みで見つめるセーラ。

 

セーラがくるりと身を翻し、立香たちの方を向く。そして一人一人に別れの挨拶をしていく。

 

 

「はーあ、これでお別れか……寂しくなるね。……ねえ、もしわたしたちがそっちで召喚されたらよろしくね、リツカ」

 

「ああ、歓迎するよ」

 

 

「ジャックちゃん。もしそっちに行けたら、一緒に遊んだり、美味しいもの食べたりしようね」

 

「うん! 約束だよ!」

 

 

「ブラヴァッキー――んんっ、ブラヴァツキーさん。今度はこっちのブラヴァッキーさんの話したげるね」

 

「ええ、楽しみに待ってるわ」

 

 

「ビリー……さん。早撃ち勝負、絶対しようね! 負けないんだから」

 

「ははは、呼び捨てでいいよ。――OK、いつでも受けて立つよ」

 

 

「メルトリリスさん。今回あんまりお話できなかったから、いっぱいおしゃべりしようね」

 

「ふん……まあ、いいけど」

 

 

「巌窟王さん。コーヒーありがとね。すっごく美味しかったから、また淹れてくれると嬉しいな」

 

「……気が向いたら、な」

 

 

「ダ・ヴィンチさん。今度発明品とか見せてね」

 

『ああ、いいとも。とっておきを用意して待ってるよ』

 

 

「マシュさん。リツカのサポート、これからも頑張ってね」

 

『はい。お任せください。レイシフト時だけでなく、生活面のサポートも完璧ですとも』

 

 

全員分の別れの挨拶を済ませたところで、限界が近付く。カルデアの方で既に準備は整っていたようで、すぐに帰還が始まった。

 

 

「みんな――またね」

 

 

帰還の直前、セーラは最後の別れの言葉を告げた。

 

 

 

 

 

 

――太陽の笑顔と共に。

 




もうちょっとだけ続きます。
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