ブラック社長から今の身体に合ったバイクを貰った。
わーい。
移動手段がなければ困るだろう?ってプレゼントしてきた。
バイクよりも辞職させてくれればこの上なく嬉しいんですけどね。
会社に泊まり込みするのはどうだろうか、って言われた時は本気で断った。
ふざけんな、俺は働きたくないでござる。
いつも通り週一出勤制だけはどうしても譲る気はない。
社長も俺の剣幕に諦めてくれた。
俺ってばやればできる子。
だがしかし、俺の最終目標は脱ブラック会社かつニートだ。
仕事も指揮官になってから誰かと接する時間が増えて死にそう。
仕事で……えーと…モブB、モブBが資料片手に近寄って来た。
「スカルさん、このチームの配置はどうしましょう…」
「……」
こ、このチームAって何。
まずどれくらいチームがあるのかが分からないんですが。
ねぇ、あとこの地図読めない。
これ絶対にイタリアじゃねーじゃん!
え、この会社全国じゃ飽き足らず国外進出しちゃった感じ?
マジかよ、俺イタリアの周りと日本しか分かんないんだけど。
取り合えずこの国はどこだろう。
聞いてみようとモブBの方に視線を移す。
「なるほど、了解しました!」
は?え、ちょ……俺何も言ってないんだけど!?
俺要らないってか!?
俺飾りってか!?マスコットってか!?
いや働きたくないからそれでいいんだけど!いいんだけど!
「あのスカルさん……これに目を通してもらえますか?」
また声を掛けられた。
コイツは確か……モブC、モブCだ。
資料渡された。
えーと……ボ、ボンゴレへのスパイ計画…?
ボンゴレって何だっけ、アサリ?
どっかで聞いたような………あ、競い合ってる企業の名前か。
そういえば社長がずっと前にそんなこと漏らしてたわ。
相手企業にスパイ潜り込ませて、企画とか全部盗んでいこうぜ!て感じか。
社長も悪よのぉ。
まぁ別にこれくらい大きな会社になるとそういうの普通にありそうだからなぁ。
あとでボンゴレに関して調べてみよう。
流石に相手企業のこと分からなきゃやってられないよな。
あー働きたくないでござる。
ボンゴレについて調べるからこれちょっと保留ってことで。
モブCに資料を返した。
「あ、あの!すみません!もう一度作り直します!」
え?
ちょっと待って、作り直すって…え?
どこか印刷ミスでもあったの?
あ……引き留める前にいってしまった。
最近俺が声を掛ける前に皆が凄い勢いで離れてく。
なにこれイジメ?
泣きたい。
そういえば隣の一人暮らしのおばあちゃんがいなくなってた。
いつ引っ越したんだろう。
最近町がとても静かだ。
まぁ周りの視線を気にしなくていい点では良かったんだけど。
あれから数年経った。
俺はいつも通り辞職を考える日々を送っている。
職場ではいつもボッチ飯ですよハイ。
死にたい。
ニートになりたい。
働きたくないでござる。
そういえばポルポがついに5m超えてしまった。
でかい…でかいよ俺のペット。
どこまででかくなるんだポルポよ。
でも足を体の中に収納可能なようで、一見1~2m弱のタコなんだけどなぁ。
あ、そろそろポルポの散歩の時間だ。
ポルポは家にいることの方が多い。
っていうのも俺が仕事以外ずっと家に籠り切ってるのが原因でもあるんだが。
一応運動不足を心配してポルポの散歩を週一で心掛けている。
俺はバイクに乗り、それをポルポが追いかけまくるだけの散歩だ。
ポルポと危ない場所を避けながら散歩していると、いつの間にか後ろを追いかけてきていたポルポがいなくなっていた。
あるぇ?
さっきまで確かにいたハズなんだが。
どっかではぐれただろうか。
探すか。
ポルポとはぐれたであろう場所をぐるぐる回ってると、ポルポがいた。
「おい」
声を掛けて、ポルポ、と名前を呼ぼうとして止めた。
ポルポの隣に少年がいた。
この少年と遊んでいたのだろうか…
にしても古びた服……スラム街の子か。
っていうかここスラム街だ。
ポルポ探してるうちに入っちゃったか。
早く帰ろ、スラム怖い。
ポルポの頭を撫でて、バイクを帰りの方向に向けて走らせる。
ちゃんと後ろを見るとポルポがついてきていた。
今度ははぐれないように首輪でも付けようかな。
ん?ポルポに首あるのか?
ポルポの8本ある足の3本が火傷みたいに少し赤くなってた。
お前何かしたか?
どっかに擦っちゃったのかな…
軟膏塗ってあげるか。
いや、ポルポに軟膏って効くのか…?
町に戻るとふと気付いたことがある。
以前よりも町の人口が少なくなっている。
まぁ今は都市に出稼ぎで家を離れる若者が増えてるからなぁ…それのせいもあるんだろうか。
コミュ障の俺にとっちゃラッキーだが。
カルカッサファミリーモブside
私は親が元々カルカッサファミリーに所属していて、そのまま私も所属した。
子供のころから人殺しの親の下で育ち、倫理観なんて小指の爪先ほどもない私にとって、マフィアは天職だったと言えよう。
人を殺し、金を奪い、薬を売る。
弱者を葬ることが私の悦楽だった。
だがそれがチンケなことであったと突きつけられたのは、あの人と出会ったあの瞬間だ。
狂人の運び屋、スカル。
人の狂った成れの果て、死を超越した狂人、死神に嫌われた男、元々色んな噂があったのだ。
耳にはしていたが、目にするまでは興味もなく、ただ誰かの誇張だろうと高を括っていた。
だがその予想は大いに裏切られたのだ。
偶然、立ち会ってしまったのだ。
彼が数多の生命を一瞬で消したあの光景に。
ボンゴレ傘下のファミリーを一瞬で潰したこの事件は後にマフィア界で最大規模の大惨事として語り継がれることは誰の目から見ても明らかだった。
死肉が腐る匂いと焼き焦げる匂いに、咽そうになる自身を押さえつけその地獄を垣間見た。
美しかった。
これが彼の見ていた地獄か。
ああ、なんて、恐ろしいんだ。
胸の内からせり上がる言い難い感情に、私は目を輝かせた。
「ああ、ああ、これが……これがっ」
恋か。
その日、私はスカルさんに魅了され、崇拝した。
それから私は低能な犯罪をやめ、知識を付けることに専念した。
毒薬、爆薬、武器、あらゆる全ての殺傷能力を保有する兵器を生み出そうとした。
そしてスカルさんに献上したかったのだ。
私の造った兵器で数多の人間を、彼の手で葬って欲しかったのだ。
試作段階の殺害用スタンガンを彼にダメ元で渡してみれば、彼は受け取ってくれた。
なんと至高極まりないのだろうか。
私は彼の為にカルカッサに尽くそうと心の底から意気込んだのだ。
そんな彼が、ある日突然呪われた身体になった。
スカルさんの身体は幼児に変わり果てていた。
あまりの姿に目の前が暗くなる。
ああ、それでは…あなたの狂おしいあの光景が見れなくなる。
スカルさんがカルカッサを辞めるという噂さえ立った。
呪いを貰ったあの身体では碌に運びも出来ないであろうと誰もが分かっていたのだ。
だが、私は彼がカルカッサを離れることを断固として認めてはいなかった。
私が彼を元の身体に戻さなければ。
それだけを考え、スカルさんの呪われた体のデータを取り続けた。
だが何も分からなかった。
何度データを照合しても、何の変化も異変もなかった。
私は再び絶望する。
彼がここを去る姿を想像しては頭を掻きむしりたくなる衝動に駆られる。
デスクの上でデータの文字列を眺めながら拳を握りしめた。
「スカル…さん……」
「おい!聞いたか!?さっきボスが—————」
「え?」
スカルさんがカルカッサの軍師に任命された。
その事実に、私は嬉しさのあまりその日は潰れるまで同僚と飲み明かした。
同僚もスカルさんが好きだ。
いや、カルカッサファミリーは全体的にスカルさんを崇めている。
恐怖し、尊敬し、魅了されている。
スカルさんはカルカッサの軍師として、未だその身をカルカッサに置くらしいが、それはボスの説得もあってだろう。
またいつ彼の気が変わるか分からない。
だから私は、いち早く彼を元の身体に戻そうと決意した。
それからスカルさんが本部にいる間、彼を観察するようにした。
軍師としての特別な地位に、彼がつけあがることはなく、ただひたすらカルカッサの先を見据えていた。
ある日、誰かがスカルさんの下に資料を持って近づいていく。
「スカルさん、このチームの配置はどうしましょう…」
どうやら今度の暗殺に関しての相談と認可を彼に聞きに行っているようだ。
だがスカルさんは資料に目を通していると、頻りにある一点の国を指でトントンと叩いていた。
まるで何かを伝えているかのようで、資料を持ってきた者も、スカルさんの意図に気付いたらしい。
「なるほど、了解しました!」
そう言って、清々しい顔で指令室を出ていく。
私は彼を引き留め、何を話していたのか聞いてみた。
「ああ、結構上手く配置したと思ってたんですけど、この国の…■■ファミリーの所だけ手薄だったんです」
「へぇ…」
「ただあまり警戒していないファミリーだったので手薄にしてたんですけど、流石はスカルさんですね」
「どういうこと?」
「この■■ファミリーって一見すると立地も良くないし、ハッキリ言ってカルカッサの傘下にするメリットないんですけど、周りから隠れるにはここが一番打ってつけじゃないですか…それにここはボンゴレ傘下の隣…まさか自分たちの最大の敵の支部が直ぐ隣だった…なんて誰も考えないと思いません?」
「なるほど、灯台下暗し…ていうわけね、でもこれ気付かれたら相当危ないんじゃ?」
「その為の目暗ましとしての■■ファミリーですよ、彼らはカルカッサの傘下にはしませんよ…表面上、ね」
「なるほど、彼らを全部まとめて暗殺して、分からないように全てを挿げ替えるってわけね」
「そうですね、本当にスカルさんはえげつないッスね」
「ふふふ、そんな彼に惚れ込んでるのは皆同じよ」
「じゃあ、僕はこれから一から配置し直しますんで」
「ええ、頑張って」
やはりスカルさんは怖いわ。
■■ファミリーはおよそ1000名…いわゆる中堅ファミリーであるにも関わらず、さも当たり前のように潰そうと踏み切るのだから。
まあ今の強大なカルカッサにとって、簡単に始末出来るファミリーではあるけれど、ね。
さて、大きな暗殺計画になるわ。
私の方も沢山化学兵器を作らなければ。
実験室に行けば、同僚が何やら話をしている。
「何の話をしているの?」
「ああ、●●がスカルさんにボンゴレへのスパイ案出したらしいんだけどバツ喰らって落ち込んでたんだよ」
「そもそもスカルさんが一発でオッケー出したことないでしょう」
「そうだよなぁ…怒鳴られるよりもなんかこう、静かに返却される方がダメージ大きいよな」
「ほんとそうだよなぁ…スカルさんは怒鳴りもしなければ喋りもしねーから、偶に何考えてるのか分かんねーし」
「でもそのお陰で私達は考える能力が上がったとは思わない?」
「それも見通してのことなら、ほんと恐ろしいなあの人は…」
「でも、それでいて…美しいわ…なんたって———」
「あーあー、始まったよ…コイツのスカルさん演説…」
「ちょっと聞いてる!?スカルさんはね、とっても—————」
今日も私はスカルさんに恋をしている。
???side
そこはローマのスラム街。
極貧層が居住する過密化した地区であり、イタリアで一番の無法地帯だ。
少年は今日も生きることに必死だった。
硬いパンと、薄くし過ぎた味のないスープを腹に入れる。
食べ盛りの子供の腹が、僅かばかりの食事で満たされるハズもなく、少年は空腹のまま路地を歩いている。
今日も、誰かを殴り倒して財布を盗もうかと考えていた。
幸い少年には、スラム街で生きていく為の力があった。
母親は毎日朝早く最低賃金以下の出稼ぎに行き、夜遅くに帰って来る。
その間、少年は自分が生き残る為に必死だ。
食べるものを探す為に家を出て、スラム街を歩き回る。
ああ、いた。
金を持っていそうな男がいた。
あいつを殴って、気絶させて、金を奪い取れば…今日も生きていける。
そう考えた少年は男が路地裏に入るのを待ちながら後をつける。
そして男が路地裏に入り、少年がその後に続き路地裏に入った時だった。
ゴキン…
鈍い、何かが潰される音が聞こえ、少年の頬に何かの液体が飛び散る。
少年は路地裏の暗さでそれが何か分からず、頬についている液体を拭っていると、路地裏の奥で先ほどの何かが潰れる音が断続して聞こえた。
ゴキャ…バキ……ゴキ…
少年は本能で危険を感じ取り、足を一歩引く。
すると路地裏に僅かな日差しが差し込んだ。
そこには
鮮やかな 赤が 飛び散っていた
ズルズルと何かが這い寄って来る音と共に、段々とソレが姿を現した。
少年は目を見開く。
ぎらつく牙と、蛇を思い出させる鋭い目、強大な触手、そして触手の表面の微細な鱗が光を反射する。
まさにそれはこの世のものではないバケモノ。
バケモノの牙に繊維のようなものが絡まっている。
繊維からは、鮮やかな赤が滴り落ちる。
それが人間の何かであることを少年は理解する。
否、してしまった。
そのバケモノの直ぐ横に人であったハズの肉片が転がっていたからだ。
「ぁ……あ"…」
少年は目の前の光景に開いた口が塞がらぬまま、恐怖でその場に尻もちをつく。
本能が逃げろと最大の警告を発しているにも関わらず、少年の身体は硬直し、動けないでいた。
バケモノは転がっていた肉片を跡形もなく綺麗に平らげると、赤く染まった地面を舐めとる。
そして、バケモノの瞳は少年を映すと、ズルズルと少年へ這い寄る。
少年の中にあるのは、今この時訪れる死、のみ。
「来るなっ……来る、な……」
虚勢を張ろうとするも虚しく、少年の脳内は恐怖で埋め尽くされていた。
自身よりも圧倒的に巨大な脅威に、為す術もなく死を迎えるであろう少年の目には恐怖で覆い尽くされる。
「いやだっ、来んじゃ………来んじゃねぇっ」
死ぬ 死ぬ こんなところで 俺は死ぬのか?
嫌だ ふざけんな 嫌だ 怖い ふざけんな ふざけんな
死にたくない 死にたくない ふざけんな
その時、少年の中に新たな感情が芽生えた。
生への渇望でも、死への恐怖でもない
「ふ、ざけんな……」
それは
理不尽への憤怒
「来んじゃねぇよ!バケモノ‼」
突如として少年の身体の奥底から息を吹き返したかのように、何かが呼応した。
煮えたぎるソレに少年は身を任せ、体の奥底から濁流のように押し寄せるソレを解き放った。
眩い光と共に、自身を焦がすソレはまさに憤怒。
「ぁぁぁぁあああああああああああああっ」
少年は暴れ狂うソレに身を委ね、身体から力が零れていく感覚に歯を食いしばった。
炎のように揺らめきながら光を放つソレは、バケモノに降り掛かる。
バケモノが少年の耳を
数m程バケモノは少年から距離を取り、少年の様子を見ていた。
一方、
バケモノは一歩、また一歩と少年に這い寄ろうとしたその時だった。
「おい」
決して低くはない声だった。
だが、少年の心臓を鷲掴むほど重苦しい威圧を放っていた。
少年は咄嗟のことに息が出来ず、額には冷や汗が噴き出る。
地面に押し潰されそうなほどの重圧に、少年の体力は大幅に削られていく。
そんな時、少年に這い寄っていたバケモノは挙動を止め、声のする方へと視線を移した。
そしてバケモノはその声の主へと緩やかに近寄る。
体力を消耗しすぎて意識が朧げであった少年は、ぼやけた視界の中バケモノがその声の主の方に這い寄っていくのを眺めていた。
次にバイクのエンジン音が聞こえたと思ったらその音は遠ざかり、バケモノの這いずる音も同様に遠ざかっていく。
極度の緊張状態に陥っていた少年は、プツリと糸が切れたように気を失いその場に崩れ落ちた。
夜、少年を探し回っていた少年の母親に見つかるまで、少年は意識を失っていた。
少年はあの日のことを誰にも語ることはなかった。
「母さん」
「なぁに?どこか痛いところでもあるの?」
「違う……手から…炎が出るんだ」
「……え?」
「これはっ……そんな、まさか!いえ、きっとそうなんだわ!」
「母さん?」
「お前はきっとあの人の血を受け継いでいるのよ!」
「…あの人…?」
「ええ!だって手から炎が出るんだもの!ああ、今すぐあの人の下に行かなくては!」
「母さん…さっきから何言ってんだよ」
「お前はあの人の跡を継ぐんだよ!この炎がその証拠よ!」
「ああ、名前…名前はどうしましょう……今の名前じゃダメよ」
「なぁ母さん、あの人って誰だよ…」
「お前はきっと10代目になれる、いやなるんだよ!」
「10…代目?」
「ああ、そうだ!お前は今からXANXUSよ!」
「XANXUS………?」
「ええ、ええ!お前はきっと10代目になるんだ!その身にはブラッド・オブ・ボンゴレが流れているのだから!」
「ボン…ゴレ………」
そして少年は名を捨てられた。
スカル:通常運転、仕事内容が何も分かっていないが取り合えずマスコット扱いなんだろうなと思ってる、着々とカルカッサ内の崇拝度を上げている。
ポルポ:人間って美味しいよね、知能指数10歳レベル。
モブ子:スカルに恋()をしている乙女。
少年:皆が知ってる後の暴君、ポルポによって覚醒。
現在、原作の18年前くらいですね。