ポルポお前…なんかいきなりでかくなったような……
最初は全長50cmもなかったポルポが今では1mを余裕で超えている。
こいつ一体どこまで成長するんだろうか。
いやまぁコイツ自分のご飯は自力で狩ってるから食費が苦しいわけではないんだが。
現在、家から数十㎞離れている町のホテルでポルポと一緒に宿泊している。
今日こそはと張り切っている俺だが、何を張り切っているのかといわれれば、身を隠すのが今の俺の最優先事項なのだ。
何故かって?
「スカル、時間だ…指定場所へ向かってくれ」
ホテルの客室の中にいつの間にか佇んでいた男が言い放った。
何度も遠くまで逃げてんのにあの仮面野郎が目の前に現れるからで……
ちょっと待って本気でストーカーじゃねぇか!
いや俺そっちの気ないんだけど。
また連れていかれた場所もやっぱり胡散臭いっていうか、危険そうっていうか…
切実に帰りたい。
その後も危険なことやらされるしもう嫌なんだけど。
俺の寿命が半分くらいに減ったんだけど。
ハッキリ言ってあいつらやべぇよ。
風とかいう中国人も優しそうな顔して平気で殴り倒しに行ってるからな。
「ッチ」
もぉおおおおお!
リボーンって人が毎度毎度俺を睨んでは舌打ちしてくるよぉおおおおお!
俺の!豆腐メンタルがもたないよ!
豆腐は豆腐でも絹ごしだからね!?
「おいリボーン、いい加減依頼に集中しろ」
ラル姉さんに怒られるリボーン、ざまぁ。
指差して笑いたいけどそれしたら一瞬であの世逝きだよな、うん。
にしてもいつまで俺のことを人違いしてるんだろうか。
あの仮面野郎もそうだけど、俺を危ない世界に強制連行するのやめてもらえないかな。
選ばれし最強の7人とかそんな厨二ごっこはこの人たちと勝手にやっててどうぞ。
って言えたらこんなとこにいないわけで。
ちくしょう…帰りたい。
「スカル」
ひゃい!?
ルーチェさんに話しかけられた。
この人だけ他の人達より怖くないからなんとなく一緒にいるならこの人がいいんだけど…
っていうか裏の仕事…?なのに何で妊婦が選ばれてんだ?
人選が謎すぎる。
あとルーチェさんって巨乳すぎて目のやり場に困る。
俺ってほら…まだ17歳だから、思春期だから、仕方ないよね、うん。
ヘルメットという最強の盾がある限り俺の目線は誰にも分からないってとこは有難いよなぁ。
じゃない、何の話をしてたんだっけ?この人たち。
「というわけですが、あなたには私の付き添いをお願いしたいのです」
で、どういうわけですか。
なんて聞けるわけないなじゃないですかヤダー。
ごめん、本当に何の話?
でも流石に妊婦さんを危険な死地には送り込まないだろうし。
ルーチェさんの隣って安全圏だよなぁ…
そんな考えもあって頷いたはいいけど不安だ。
「彼の了承も得ました、他の者も先ほどの配置で何か不満はある者はいませんか?」
ルーチェさんって小学校の先生みたいだな。
こんなに危ない奴等相手にまとめ上げてるわけだし。
いや俺は危なくないけど、無害だけど。
正直俺以外は皆問題児しかいない中、ルーチェ先生は本当にすごいと思う。
皆が椅子から立ち上がったけど、これ移動する感じか。
俺はルーチェ先生の後についていけばいいわけね?
「では行きましょうか、スカル」
ハーイ。
これでリボーンから離れることが出来るぜ!
「スカル、あなたのバイクで目的地へ行きたいのですが」
ん?俺のバイクで行くの?マジで?
大丈夫かなぁ…振り落とされないといいけど一応予備のヘルメット渡しとくか。
ルーチェ先生の指示通りの場所に向かう。
安全運転で走らせてる途中でふいに背中の柔らかい感触に気付いた。
これ…ルーチェ先生のおっ…
ヤバイ、また鼻血出しそう。
なんとか鼻血を堪えながら目的地へと到着する。
普通のビルだけど、ここで何するんだよ。
ビルの中にルーチェ先生が入っていくからついて行った。
あ、待ってそんな大きなカバン持ってどうするの。
っていうか妊婦が重いもの持っちゃダメでしょ。
そ、そんくらいの常識は俺にもあるから。
ルーチェ先生からボストンバックを奪い取り、肩に掛ける。
思ってたより重かったー!
やべぇ肩脱臼するって、コレ。
よく持てたなあの人!
早くバックを降ろしたくてルーチェ先生について行ったら、エレベーターに乗るらしい。
やった、エレベーターの中では下ろしておこうと思って乗ってたらいきなりエレベーターが揺れた。
!?
な、何事!?
わばばばばば、結構揺れてる!
なに、何なの!?えええええ!?
「地震!?」
地震!?嘘だろオイ!
エレベーターの中でそれとか死亡フラグビンビンじゃねぇか!
一気にエレベーターが数m落ちるから、あ、コレ死んだわって悟ったね。
ポルポごめん、後は自力で生きろよ…
すっげー大きな衝撃の後、俺はビックリして頭を庇おうとして気が付いた。
ヘルメット被ってるから大丈夫じゃん、と。
その後体勢崩して盛大に腰を地面に打って激痛に悶えた。
数分後漸く揺れが収まった。
いやぁなんとかなるもんだな。
でもエレベーターだから、少しでも動くと落ちる気がしてならない。
と、取り合えずルーチェ先生に助けを求め……気絶してるー!
ど、どどどどどどうしよう。
え、これ死んで…ない、息してたよかった!
とにかく死亡フラグ万歳のエレベーターから出たい。
どうやって出ようか。
やっぱりエレベーターの扉どうにかしないといけないのかなぁ。
電気が通っていないせいか、直ぐに扉は開いたけれどあるのは壁のみ。
階と階の間か。
………下どうなってんだコレ。
確認したくてエレベーターの天井から上に出て、下を覗いてみた。
真っ暗で確認し辛いけど、多分あんまり高さないよな。
だって4階に行く途中だったから、3階付近だと思うし…さっきの揺れで数m落ちたから2階くらいの高さだと思うんだよ。
なら多分降りられる高さだと…思うけど……怖いなー
俺一人ならなんとか降りられるけど、これルーチェ先生も一緒に下りた方がいいよなぁ。
さっきから肩揺すってるけど起きる気配ないし、頭打ってたりしたら早めに処置しないといけないだろうし。
ここで妊婦放っておくとか、それこそあいつらに殺されかねない。
ふええぇぇ。
泣きたいけど怖くてそれどころじゃない。
取り合えず死亡フラグを折りたい俺は、ルーチェ先生に括りつけられる縄かワイヤーを探す為にエレベーターの上から周囲を見渡していると、余震でエレベーターが揺れ始めた。
ひょえええええ、ゆ、揺れてる!
あっぶねぇぇぇぇぇえええええ!
バランス取ろうとエレベーターに繋がっているワイヤーを握ると、また数m落ちた。
何度も寿命縮んでるんですけど。
泣きたいのは山々なんだけど、今ここで泣いたって視界がボヤけるだけだから泣けない。
でも今の落ちた距離考えると、扉の方から出られそう。
エレベーターの中に戻ると、扉の方が2階の扉と重なっていた。
よ、よっしゃあ!
2階の扉をなんとか抉じ開けると、外が見える。
おうふ、結構大きな地震だったのか。
ものが全部壊れてるし、窓も割れてらぁ。
取り合えずルーチェ先生外に出して、と。
重い。
妊婦重い。
ナメてたわ、女性って軽いイメージあったけどナメてた。
俺の方が軽いわ、コレ絶対。
ぐぬぬぬ、ファイトー!いっぱあああああつ!
の掛け声で漸くエレベーターからルーチェ先生を出すことが出来た。
肩で息してる俺はというと、怖さと安堵から腰が抜けて地べたに座り込む。
もう、無理、もう動けん。
体力全部出し切ったわ…主にルーチェ先生引き摺るのに。
ヘルメット被ってたから若干酸欠状態になってる。
あー…ヘルメット外さな……きゃ……
俺はあまりの疲労感にその場でブラックアウトした。
「スカル!」
んー…もう少し眠らせてぇ……
んう、眩しい。
目を若干開けると、目の前にルーチェ先生がいた。
思わず名前呼んじゃったぜ。
めっちゃピンピンしてそうなルーチェ先生。
無事だったのかー、よかった、これであいつらに殺されずに済んだ。
「どこか……痛い箇所はありますか……スカル…」
「…死んだと………思ったんだ………」
本当に、これ、本当に、そう思った。
あなたが死んだら俺って強制的に死亡ルートだから。
俺は死亡フラグを折った現実を噛み締めた。
「……生きてた……」
もう帰ったら思う存分ニートしたい…
「――――でいい―――――い———けない————ですか———」
「あな———――でよかった——————どこ——ない——————―スカル—」
何て言ってるの…
っていうかまだ眠いん、ぶふぉ
いきなり起こされた。
寝るなってか!?鬼畜だなおいいいいいい!
くっそ、腕を頭に回されて固定されてて地味に痛い。
いだだだだだ、やめろや。
ルーチェ先生が相手だから少しだけ強く出てしまった俺氏、ルーチェ先生を引き剥がす。
首折る気か。
もういいよ、帰る。
帰って寝たい。
出口…あ、非常口あった。
っていうかヘルメット取れてるし、いつ取ったっけ。
「スカル!」
後ろからルーチェ先生に呼ばれた。
さっき生意気に引きはがしてすみません。
だから許して下さいお願いします。
「助けて下さってありがとうございます」
……?
お礼…だと!?
この人…やっぱり他の人達とは違う。
めっちゃ常識人じゃん。
いや、あんな危ない奴等と絡んでる時点で常識人ではないか。
にしてもまだ少し眠いなぁ。
うわ、ガラス踏んだ。
そのままバイクで元居た場所に戻って、ルーチェ先生だけ置いて俺は帰った。
翌日、テレビで昨日の地震が流されていた。
「あー…マグニチュード8…そりゃでかいわけだ」
テレビ見ながら飯食ってると、ポルポが机を這って来た。
「正直お前は一匹でも生きていけそうだよなー…」
はぁ…俺のニートライフは
ルーチェside
最初の依頼から二か月が経った。
数度に渡り私達は集められ、依頼を熟していた。
そして再びあの部屋へと皆が集められた。
チェッカーフェイスはいつものように私達に言葉を掛けては姿を消す。
皆が椅子に座り顔を見合わせると、リボーンの視線がスカルに向けられていた。
「ッチ」
舌打ちするリボーンの行為は毎度のことで、私がそれを咎めようとする前にラルが口を開いた。
「おいリボーン、いい加減依頼に集中しろ」
ラルの言葉にリボーンも眉を顰めながらもスカルから視線を逸らす。
今回の依頼は、いつもと大差ない内容だった。
ただ今回は隠密に行動しなければならない為、派手に戦うであろうスカルは除外される形となったのだ。
元々暗殺を本業をしていないあたり、今回の任務は不向きだった。
そういう理由もあり、彼には私と共にとある目的地まで同行することになり、彼もそれに承諾したのだ。
そこは私とスカル以外の者達が行くであろう場所とは真逆の位置にあり、今回のターゲットと密接に関係している場所だった。
ヴェルデから渡されたものをその場所に置いてくるだけという簡単な作業だったので、当初は一人で行こうとしたがスカルが同行する形で収まった。
各自が移動し始めると共に私はスカルの名を呼んだ。
「では行きましょうか、スカル」
スカルは相も変わらず何も言うことはなく、私の後ろを着いてきた。
そういえばいつもスカルはバイクに乗って
私はバイクに乗ったことがなかったので、少し気になりスカルに尋ねてみた。
「スカル、あなたのバイクで目的地へ行きたいのですが」
スカルは何も喋らず、バイクの座席下のトランクからヘルメットを取り出して、私の方に投げる。
一応乗せてくれるようなので私はスカルの後ろに乗った。
後ろの人はどこを掴めばいいのか分からず、スカルの腹部に腕を回してみたが、スカルは無言だったので多分当たっているのだろう。
「では目的地までお願いします」
私の言葉と同時にスカルがバイクを走らせた。
車とは違う感覚に目を丸くしている私は暫く辺りをキョロキョロと見渡していた。
そしてスカルにしがみ付いている体勢の今だからこそ気が付くことがあった。
彼の体型は思っていたよりも細かったのだ。
いつもライダースーツとヘルメット、そして威圧感などがあり大きく見えた彼だが本当は細身な男性だったのだ。
勿論それはバイクの速度を上げるために少しでも軽い方がいいだろうという理由だとは思ったが、少し…いや結構意外だった。
暫くすると目的地に着き、スカルと共にバイクから降りた。
目の前には高くそびえ立つビルがあり、そこの4階にあるであろうサーバー室の付近にヴェルデから貰った装置の入ったボストンバックを置けばそれで終わりだ。
爆発物ではなく、ただの電波妨害装置なだけなので危険はないと彼は言っていたが。
私とスカルは建物内に入り、エレベーターに乗り込む。
その時だった。
「!?」
地面が大きく揺れたのだ。
エレベーターの故障かとすら思ったが、揺れが尋常ではなかったのだ。
私達の計画がバレて……いや、これは爆発の類ではない。
「地震!?」
次の瞬間、一際大きく揺れたエレベーターがガクンと数m程下に落ちるような感覚に襲われ、私は体勢を崩し倒れる。
そんな中お腹の子だけはと両腕でお腹を抱きしめるように丸まった。
恐怖の中、大きな衝撃と共に私は意識を飛ばした。
「………ぅ…」
眩しさから目を覚ました。
眉を顰め、眩しさに顔を覆うところで地震を思い出した。
直ぐに起き上がろうとしたが、自身の現状に気付く。
エレベーター……ではない。
私は横になっている体勢ではなく、何故か壁に凭れ掛かっている体勢のまま気を失っていたのだ。
「どうなって……!」
直ぐとなりに視線を移すと、スカルが横たわっていたのだ。
「スカル!?」
私は直ぐにスカルの側に駆け寄り、首に手を当てる。
脈はある…死んではいない。
より詳しく彼の状態を確認する為に、スカルのヘルメットを外す。
「スカ—————」
そして私は驚愕した。
「…………う、そ………」
子供だった。
…紫色の乱雑な髪の毛をした子供だったのだ。
私は驚きに震える手でスカルの頬を触れば、肌にはハリが十分にあり、とても20を過ぎているとは思えなかった。
体温は暖かく、まさに子供のそれのようで。
どう見ても15~18の子供だった。
狂人と呼ばれていたのは、まだ年端も行かぬ、子供だった。
私はショックと困惑で言葉を失う。
正常に呼吸をしている彼はただ眠っている子供のようで。
ヘルメットの下の幼いその顔に私は二の句が言えず、何とも言い難い激情が込み上げて唇を噛み締めた。
細身の体格ではなく、未発達の身体であることに気付いた。
未だ出来上がっていない体で、今までの依頼を熟していたというのか。
あの奇行を、狂行を。
彼の名が広がったのは確か、一年程前だ。
幼いと言える歳で、既に狂ってしまったとでもいうのか。
耐えきれなかった涙が一粒落ちて、スカルの眉間を伝う。
すると、閉じられていた目が薄っすらと開いた。
まるでアメジストのような美しい瞳が私を捉える。
「………ルーチェ…」
掠れた声で呟いた私の名前に、言葉を絞り出す。
「どこか……痛い箇所はありますか……スカル…」
「…死んだと………思ったんだ………」
初めてとすら思えるスカルの声に私はただ聞き逃すまいと耳を澄ませた。
どうやら意識があやふやで、寝起きのようにうわ言を呟いている。
「でも…………生きてる……」
彼のアメジストの瞳から一筋の涙が零れた。
「……生きてた……」
『まるで死に急いでいるような狂った野郎さ』
バイパーの言葉が脳裏を
彼の言葉が怖ろしくなった私は横たわる彼を抱きしめた。
「……死んでいい人など…いるわけないじゃないですか……」
『彼は一体、何でああも死にたがっているんだろうね…僕には分からないよ』
「あなたも…死んでよかった理由などどこにもないのですよ……スカルっ…」
だからどうか生きて下さいと言うには彼は命を葬り過ぎたのだ。
いきなり体を引き離された。
目の前にはスカルの顔があり、目を丸くしている。
まるでどこにでもいる子供のようなあどけない表情に私は胸が強く痛んだ。
スカルは暫く無言で周りを見渡し、ヘルメットを手に取り被ると出口へと歩き出した。
「スカル!」
私はスカルの名前を呼んだ。
「助けて下さってありがとうございます」
彼がいなければ私とお腹の子は危なかったかもしれない。
スカルは命の恩人でもあるのだ。
スカルは何も言わず歩き出す。
私は彼の後をついて行く。
それから時間も掛けずに外に出ることが出来た。
外から建物を見ればどれ程の地震だったかが分かった。
音信不通になってしまったから、早く皆に無事であることを知らせねばと思い帰路を急いだ。
スカルがバイクを走らせている中、私はただ彼の背中を見つめていた。
子供だった。
子供である彼が何故この世界に来たのだろうか。
何故そこまで死に急ぐのか。
一体何があったのか。
考えればキリがない程彼は謎に満ちていた。
『……生きてた……』
落胆したような、くたびれたような掠れた声は、まるで…死を望んでいたかのようで…
死んでいい人などいない
死んでよかったと思う人間はいたとしても
死んでよかった命などないのだ
私はただ流れる風に揺らされながら、彼の体温に温かさを感じていた。
スカル:今回のMVP、お前にしては頑張った、自分>>ポルポ>>その他の優先順位、ルーチェ助けたのは普通に倫理観とリボーン達が怖かっただけ。
ルーチェ先生:スカルが子供だと知ってSAN値がががが、この事実は誰にも言うつもりはない。
その他:この後五体満足で無傷なルーチェを見て安堵する。
ポルポ:自力で近場にいる熊や鹿を狩って食べてる。
今回はルーチェに顔がバレるって内容だけです。
そろそろアルコバレーノ化ですねぇ。
一昔前のエレベーターって手動で扉開けられたらしいですね。
はぁ…最近疲労が溜まりまくって小説どころじゃなかったです。
ちょっと投稿速度緩めます。