機動戦士ガンダム 聖剣伝説 RED of MANA 作:翔田美琴
むかしむかし、まだ世界が平らかで人が魔法を知らなかった頃、なかつ海の真ん中に小さな島があった。
島の名はイルージャ。
その頃のファ・ディールには大きな国が5つあった。
砂の国・シャド。
水の国・トップル。
緑の国・ウェンデル。
火の国・イシュ。
そして、氷の国・ロリマー。
イルージャ島は、世界からは禁断の島として誰も近寄ろうとはしなかった。
島には大きな大樹があった。全ての生物の母とも呼ばれていた大樹だが、その樹は遥か昔にかけられた呪いに寄って石のようになり、もう何千年も沈黙を守ったままだった。
では、ここですべてのはじまりの物語を語るとしようか。
いかにして、三人の異邦人が聖なる剣を手に入れたか。
いかにして、マナの女神が生まれたか。
それは、我ら精霊と人と世界をつなぐ、長い長い絶望と希望の物語・・。
「まだ世界がたいらで人が魔法を知らないって、いつの時代の物語だ?おやじ?まるで自分で見てきたように語るんじゃねえよ?」
炎の精霊・サラマンダーが横槍を入れる。
「何だと!?この若造が!」
そこに土の精霊・ノームが短気になって怒り出す。
「おい。もめ事ならよそでやれ。時間がない」
闇の精霊・シェイドがそこで子供っぽい喧嘩を止めた。
「そうだよ。今夜は大事な精霊会議。この世界に現れたあの異邦人が残した足跡をたどるんだから」
風の精霊・ジンは空気に漂いながら、爽やかに言う。
「そうですよ。喧嘩は良くないですわ」
月の精霊・ルナも遠慮がちに喧嘩の仲裁をした。
「ええ。今夜は私達、八精霊が集まる大事な会議。彼らがこの地でどのように戦い、そしてどのように足跡を残したかを振り返る夜ですよ」
木の精霊・ドリアードはまとめに入る。
「ううむ。すまん。どうも年寄りは怒りっぽくなっていかんな」
「夜の時間は短い。早速、本題に入ろう」
「ええ。彼ら三人の赤い戦士たちの足跡をたどりましょう」
光の精霊・ウィスプがさりげなく先を促した。
「だから、あなたも途中で茶々を入れて話の腰を折らないこと。いいわね」
水の精霊・ウンディーネは、火の精霊に注意をした。
「ったくわかったよ。わかった!先の話をしてくれ。おやじ」
そこで、ノームによる、彼ら赤い三人の異邦人の話が始まった。
イルージャ島は、聖なる獣によって守られていると言われる平和な島だった。
そこにある村にとある少女が住んでいた。名をリチアという。
リチアという少女は大樹の巫女とも呼ばれていて、特別な力を持っていた。それはこの世界の者ではない、別の世界の人間を召喚する不思議な力だった。
大樹の巫女は夜、不思議な夢を見た。そして夢の中で誰かに命じられた。
『三人の力ある異邦人を導け。やがて、世界はこだまに支配される。深い闇を払う為に力ある魂を導け』
少女はその声が大事な予言と思い・・三人の異邦人をこの地に召喚した。
三人の異邦人は、ジオン公国と呼ばれる国の人間たちだった。
一人は、シャア・アズナブル。赤い彗星という異名を持つ、この物語の争点となる剣に選ばれし者だった。
一人は、ジョニー・ライデン。真紅の稲妻と呼ばれる、ジオンのトップエースの一人。彼もまた、とある剣に選ばれし者。
そして、最後の一人は、エリオット・レム。ジオン公国随一の天才技術士官。そして彼もまた、ある剣に選ばれる者だった。
だが、彼らが召喚されても、敵はおろか、平和そのものの日々があるだけだった。
三人は当然、自分達の世界へ戻りたがる。
一見、平和そのもの。ただ何も起こらない平和な日々。しかし、脅威はすぐそこまで迫ってきていた。
リチアが住む村は「樹の民」と呼ばれる人々の村だった。
そして、三人の異邦人は、一見平和そうな日々を送る。この見知らぬ土地で。
爽やかな風が吹く、木々の下、シャアとレムはそれぞれ、その木陰で穏やかな表情を浮かべ、見知らぬ世界を見守る。
シャアの顔にはサングラス。服も赤いジオンの軍服。あの特徴的なヘルメットは被っていない。
金髪を風になびかせ、腕を組み木陰で、休んでいる。
レムもだ。彼もまたジオンの軍服姿で、特徴的な銀色の短髪を風になびかせ、どこか退屈そうに木陰で腕を組み、眩しい太陽の光に瞳を細めて、穏やかな表情を浮かべていた。
ライデンは、今はそのリチアと一緒に、リチアのペットである「プック」という生き物を追って、彼女と共に森の奥に行った。
ここでもライデンは持ち前の気さくな人柄を出して、そのリチアと一緒に森の中を散策していた。
「何の用だろうか?」
「全く、そうだな」
木陰で休む、赤い彗星と技術士官。二人は結構年齢は離れている。だが、お互いにそれぞれ尊敬はしあっていた。
「もうすぐ戦争が始まるというのに、何の用で呼び出されたのやら」
「さっさとサイド3に戻って、モビルスーツの開発をしたいな。さっきからアイデアが浮かんでいるのに」
「レム中佐は、根っからの技術士官ですな」
「まあね。元々、ジオニック社で働いていたから、いずれはこの軍服に袖を通すとは思っていたが」
「君も凄いよ。シャア君。元々の才能も凄いが、君の操縦テクニックは尊敬に値する」
「あなたもさすがですな。自分で開発したモビルスーツに乗って、データを収集する人物というのも凄い」
「彼はどう思うかな?」
「ライデンのことか。彼とは気が合いそうな気がする。モビルスーツの腕も悪くない」
そのライデンは、森の奥へ、リチアと一緒にモンスターを追っていたら、そこで、明らかに敵意を持った連中を目撃した。
「リチア。何なんだ、奴らは?」
「あれは・・ロリマー王国・・!何で彼らがここに?」
「あれはどう見ても、仲良くしましょうって感じじゃないな。二人の下へ戻ろう」
「ええ」
ライデンが見たのは、氷の国・ロリマーの軍団だった。
戦車には、その国の王・ストラウドが乗っている。その周りには無数の兵隊が。
ライデンは物々しい雰囲気の彼らを見て、悟る。そうか。要は俺達はこいつらと戦う為に呼び出されたのか、と。
森の奥から戻ったライデンは、シャアとレムに報告した。
「シャア。レムのおやじ。どうやら、敵が来たようだぜ?」
「敵?」
「明らかに、この村に攻め込もうとしている。どうやら、あいつらと戦う為に、俺達は呼び出されたようだ」
「どういう奴らだった?」
「俺も判らない。だが、明らかに友好的な客じゃない」
「確か、ここは聖なる獣が守る島だと聞いた。まさか、その聖なる獣とやらに用があるのではないか?」
「リチア。その聖なる獣とやらは、今はどこにいるのだ?」
「あの森の奥の遺跡です。でも、そこには、もっと別の力が眠っています」
「別の力・・?」
「遺跡には、三振りの剣があるのです。何でも世界のはじまりから存在する剣だとか」
「むしろ、彼らはその剣を求めているのでは?」
「そう思った方が適切だろうな」
彼らの推測は当たっていた。ロリマー帝国はその三振りの剣の内の一つ。マナの剣を求めていたのだ。
程なく、彼らはいきなりロリマー帝国によって、大きな家に半ば強制的に押し込められ、制圧されたのだ。
そこで、リチアと三人の異邦人は、先に遺跡に行き、その三振りの剣を確保することにした。
ロリマー帝国の目を盗み、遺跡に侵入した彼らは、リチアの案内で、その遺跡へと脚を踏み入れた。
だが、もうそこにはロリマー帝国の兵士たちが侵入していた。何かを調査しているらしい。
「何としても、剣を手に入れろ!」
壁際に隠れて盗み聞きしていた彼らは、やはり・・と思う。
「さて、どうする?」
「リチア。裏道とかはないかな」
「確か、こっちに。着いてきてください」
「まさか、生身でこういう遺跡の探索するとは思わなかったよ」
「リチア。無理はするなよ。俺達のペースに合わせてくれればいいぜ」
「だいぶ、古い遺跡のようだな」
そうして・・彼らは、遺跡の奥。大樹の力が眠る部屋に入った。
そこには、確かに、三本の剣が地面に刺さっていた。
そして、この三本の剣によって、彼らの長く苦しい苦難の旅が始まる・・。