IS学園で非日常   作:和希

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十一話 転校生との交流

 さて、話している間に突破成功。

「よーし、到着」

この圧縮空気が抜ける音凄いいいよね。MSとかロボットが起動する瞬間のプシューって音が素晴らしいと思うのは俺だけ?いや、そんなはずはない。

「うわ!時間ヤバイな!すぐに着替えちまおうぜ」

あ、ほんとだ。さっさと着替えないと。うーん、授業だしスーツは展開で着たほうがいいかな。戦闘なら少しでもエネルギー消費を抑えるべきだけど、授業だから問題ないだろうし。一夏は几帳面だから着替えるけど……ちなみに女子はいつも着込んでいるのがいるが、正直キツすぎるので俺はやめてる。……いや、待てよ。ここはちょうどいい機会。

「わあっ!?」

突然シャルルが声を出す。一夏の裸を見て、かな。もうほぼ確定でいいんじゃないかな。

「荷物でも忘れたのか?って、なんで着替えないんだ?早く着替えないと遅れるぞ」

「う、うんっ?着替えるよ?でも、その、あっち向いてて……ね?」

うーん、助け舟出すべきだよね。俺はしょうがなくISスーツを量子展開で着込んだ。そのあと肩を回して

「ん?背中へんかな」

そうやって肩の部分を軽く出す。

「一夏、ちょっと見てくれないか?」

「分かった」

くるくる顔を回して

「変なところは見た感じないぞ?」

「ただの気のせいか……ありがと」

そしてシャルルをチラッと見る。……おお、早い。もう着替え終わってる。一応言って置くけど正当な名目の下に覗きをしたかったわけではない。多分。

「あれ?もう着替え終わったのか?じゃあ、早く行ったほうがいいぞ。希が案内してくれる」

「と言っても問題なさそうだけどね。ま、一応間に合いそうだから待つよ」

「ぼ、僕も……一夏はまだ着てないの?」

「引っかかって着づらいんだよ。分かるだろ?」

「そのネタ定番だな」

シャルルの顔はまっかっか♪さて、それより体格を見る。別に胸が女性らしく出ているわけじゃない。が、そんなのISスーツに手を加えれば問題は無い。もしくは彼女は伝説のAAAカップとか。とか思ってると自分も駆け出していた。

「そのスーツ着やすそうだな。どこのやつ?」

「あ、うん。デュノア社製のオリジナルだ__」

あれ?シャルル・デュノアだよね名前。

「父ががね、社長をしてるんだ。一応フランスで一番大きいIS関係の企業だと思う」

「へえ!道理で__」

……あそこって確か経営が危なかったな。第二世代はラファールで大成功してるけど、第三世代はイギリス・ドイツ・イタリアに遅れを取ってたはず。超憶測を述べるなら、彼?がスパイ前提なら俺たちのデータを取って来い、ってところだろうか。うーん、正直ないな。こんな女の子です!なんて言ってるのをスパイで寄越すなんて無い。もっとまともに男っぽい教育をさせるはずだ。あと前に授業でやってたがある程度整形をしてもIS適正は変わらない。豊胸手術、またその逆を行った人間だってIS適正は変わらなかったといってた。……ある境界を越えると乗れなくなるらしいけど。体の体積の20%ぐらいだっけ。

ともかく、スパイは無いな。でもどうして男と偽らせたのか。俺たちと接点が出来て情報を盗みやすいとしても、こんなの下手したら一日でばれるだろう。

「いいところ……ね」

一応会話も全て聞いてる。いいところって言葉に反応をしてる。複雑な表情だが、はて。大きい会社の社長なんだし、ドロドロした関係でもあるのかな。正直ラノベ風のさっぱりした感じが好きなんだけど。非実在少年保護法とかなんか出てたけど、昼ドラのがよっぽど悪影響だよね。

と、思考重ねてたらお互いに地雷を一発ずつ踏んでた。今時の地雷は空に飛び上がったり遠距離から攻撃するらしいよ。踏むだけだとは考えない事だ。

「……ゴホン。シャルル君、物理の問題です」

「なんでいきなり君付け……?」

「いいから。高速下での運動における物体αが受ける抵抗力は?」

「えっと、物体αの速度に二乗」

「そういうことだ」

「今の誤魔化し方は賢さよりお笑いだな」

「ひどいな、相変わらず」

隣でシャルルが爆笑する。走りながら爆笑できる体力。うーん、やっぱ俺はまだまだ走りこみ足りないな。隣の会話を聞きながらとうとう到着して__

「遅い!」

くだらない事を考えない。考えると叩かれる。生贄は一夏だけで十分。あ、馬鹿が二名増えた。

 

 

 

 「では、本日から格闘及び射撃を含む実戦訓練を開始する」

「はい!」

ちなみに、実弾をこの中で一番ぶっ放した事があるのは、間違いなく俺……いや、シャルルが分からんな。ラファールはレーザーより実弾が多く搭載されてるはず。乗り始めたのが俺よりずっと前なら、俺よりずっと撃ってるかもしれない。鈴とセシリアが理不尽に一夏を責めていると千冬さんからご指名をされたようだ。えーとかだるいーみたいなこと言ってるが……言ってるか?ともかく、渋々だったが

「アイツにいいところを見せられるぞ?」

一気にやる気を出す。ここまで一気にやる気出すとかすごいね。一夏じゃ無かったら自分に好意をもたれてるって気付かれてもおかしくないレベル。……一夏が一般人並の感性があればとっくに誰かと付き合ってるか。そうだな。

「ところで先生。俺はどうして?」

「お前は火力投射が大きすぎる」

どっかに被害を及ぼさないようにかね?あんなにフル投射することはあまり無いんだけど。展開する時間は煙幕とかで稼がないといけないし。初っ端ならいいけどそれ以降ある程度簡単に対策取れちゃうし。ロマンと使いやすさは反比例するよね。さて、相手は誰か。お互いに戦わせたら一夏バーストしてるし白熱しそうだ。

「対戦相手は__」

キィィィン……。いい音♪直後に間の抜けた声とドカーンとした音でかき消されたが。念のためISを展開して白盾(大)を皆の前に展開。二枚ほど。一応砂埃とかもカバーできたかな。一夏に人気取られっぱなしだけど、少しは活躍しないとね?ダイヤモンドの横に鼻くそ置けばダイヤモンドは光るって言うけど、鼻くそからみたらたまったものじゃない。せめて鉄ぐらいにはなりたいし。ま、ともかく

「一夏、相変わらずだね」

山田先生の胸に手を置いてもみもみしてるラッキースケベ野郎が。山田先生はなんか良く分からなくて危なげな事を口走ってる。口走るだけならマシだけど、女子三人がどう出るか。どうせ武力行使だけど。親友を殺されてはたまらないので一夏の前に盾を移動。直後にレーザーが走るが、角度をつけておいたので斜めに反れる。

「希さん!何をするんですか!」

「それは俺が言いたい」

どうせ一夏なら避けれただろうけどねぇ。あいつは絶対NTかなにかだ。こっちのクラスの面子に飛び火しないように……本当に万が一だよ?あいつらだってちゃんと代表候補生だし。むしろ俺が下心で人気取りやってるって感が強いな。あ、次は双天牙月を連結させた音。鈴がね。あの武器かっこいいよね。模造品は作ってもらったんだけどやっぱ模造品って感じ。本物は投擲してブーメラン出来るけど俺のはまだ出来ない。所属している会社の社員たちはロマンを体現する為に集められたエリート達(と書いて変態)なのですぐに作ってくれると思うけどな。もう一ヶ月は経ってるし。

ちなみに、アレを俺が落としてない理由は簡単。

ドンッドンッ!

山田先生が的確な射撃をしてくれた。うーん、やっぱ教師になる人は元代表候補生とかそんな感じなのかな?それなりに経験積んだ人だと思うけど。ちなみに五十一口径アサルトライフル『レッドバレット』。使いやすくて世界中で採用されているけど、俺のには入ってない。似たのが自社製であるし、高価だけどウチのが性能はいいし。

ちなみに、落ち着いたように見えるけどすっごく驚いている。あの山田先生が、出来る女に見えるなんて!

その後代表候補生と言う事が千冬さんから伝わる。そんでもって二対一で山田先生と戦えと命令をされる。安心しろ、今のお前たちならすぐ負ける、とか言われて二人はすっごいやる気。

「__デュノア。山田先生が使っているISの解説をしてみせろ」

「あっ、はい」

そこから述べられるスラスラした言葉。それを聞きながら待っていると二人が仲違いしながら間抜けにも落とされるのが見えた。ISのプライベートチャンネルでアドバイスしたほうが良かったかな。せめて一夏が見てるぐらい言っとけば。

その後、専用機ごとにグループに別れ実習をやる事になる。ちなみに一夏とシャルルに9割寄ってきた。集まった六名の女子(のほほんさんや如月がいる)にひとまず

「堅実だね。それにしても予想より多いな」

この半分を期待した。如月が

「向こうは人気殺到だからね。あとさっきさっと展開したのかっこよかったよ。それに、あの調子だと織斑先生がなんかしそうだよね」

ですよねー。あとそんな笑顔向けられると罪悪感で死にそう。その後、先生のお言葉により班は勝手に決められたのでこっちにやってきた堅実な女性たちはのほほんさんと如月だけで、他は残念そうになりながらも俺の前で失礼と思ったのか、それともさっきのが効いていたのかすぐに真顔になる。

「あー、正直ごめんとは思わない。運が悪かった、そう思ってもらいたい、が……中学時代の一夏こぼれ話、興味は?」

「「ある!!」」

人間は基本興味あることにしか耳を貸さない。俺はどんな話でも耳を傾けるようにしてるけどね。わーわーそれなりに楽しくしながら横目でボーデヴィッヒちゃ、さんの班を見る。とても空気が重苦しいです。うーん、一番の外れはこういっちゃんだけどあそこだな。

「ええと、いいですかーみなさん__」

山田先生が、先生をしてる!?いつもの五倍ぐらいはしっかりしてる!?これは明日は雪だな……冗談だって。さすがに教員を務めてるんだからいざと言うときは頼りになる人だと思ってたよ。うん、本当。多分。胸もね。ちなみに一夏が胸を凝視していたので足を踏まれてる。俺は一夏に眼を向けたので胸見てたのは二秒ぐらいだよ?

「……前から思ってたけど」

「……清水君って一夏のこと」

「君たち。野球をしようよ!俺がバッターで二人が球ね」

「「ごめんなさい」」

さて、どうしようか。IS訓練機は持ってきたし。午前中は動かすところまでやってくださいね、か。やり方は各自でやれと言う事だ。

「じゃ。ISの装着、機動、歩行までやって交代でいい?名簿順で。各人それぞれ相手のことを見て少しずつこうした方が乗りやすいとかも見た方がいいと思うよ」

「じゃあ私ね」

一夏たちは自己紹介とかその他で非常に時間を食ってるが俺たちの班はそんなこと無い。そりゃおしゃべりとかをしながらだが、とてもスムーズである。それにしても、ここは才女が集まる学園だよな?いい加減学習するべきだ。スパーンという快音が女子たちを正気に戻す合図だった。で、二人目が乗ろうとしたときだ。

「コックピット、届かないね」

如月が困ったように言う。あっ、イケね。専用機だから忘れてた。

「俺のミスだな」

一夏の班を見るとなんと同じミスをした一夏が女子をお姫様抱っこをしてた。おお、さておれも……やるかボケ。のほほんさんが

「私も後からお姫様抱っこ~」

「それはねえ」

バッサリと俺が切り捨てる。

「私はいいよ♪」

うっふんという感じで如月が乗った。他の女子が少し笑った。俺も少し笑ってISを展開する。

「武装が豊富でよかったよ」

盾を展開し、台座を作る。

「次は注意してね」

「もちろん」

歩行の感覚のアドバイスなどをしながらやってると

「ふん。やはり一番順調はお前の所か」

「もちろんです織斑先生。他の面子ほど騒がれたりしませんし、ましてやお姫様抱っこなんてしてませんし」

一瞬苦虫を潰したような顔になる。が

「そのまま順調に行え」

「了解です」

他の班、一夏の班に行くのを見てうちの班員を見る。

「どう?」

「問題ないかな」

「あいよ。どうせなら直進だけじゃなくてジグザグとかもいいかもね」

IS武器をまた展開。近接武器とかを取り出し、地面にブッ刺していく。

「これを交互に移動しながら触れないとかどう?タイマーもあるよ。一番最初の人ももう一度ね」

「そういうの、いいね」

他にもパワーの凄さを分かりやすくする為に金属ボールで二つでお手玉とかもやりながら理解を深めた。また、かなり慣れたら近接武器を振りまわすなどもやった。千冬さんはここら辺はルーズだ。しっかり盾で囲いを作ってやったし。

こうしてこの班員たちと交流を深めれました。丸。

 

 

 

 「では解散!」

うちらはかなり余裕で終わったけど他はギリギリが多かったようである。

「あー……。あんなに重いとは……」

訓練機はIS専用のカートで運ぶ。動力無しな上にISは重いのでとてつもなく疲れる。俺?さすがに重い物女子に持たすのアレだよね。一人で運んだわけじゃないけどそれなりに頑張った。シャルルにはそんなことさせられない!と体育会系女子がやってた。差別ひどい。今に始まった事じゃないが。

「それより着替えに行こうぜ。二人とも」

それよりさっさと着替えて戻りたい。さて、シャルルは多分あとから来るとか言うと思うけど。

「え、ええっと……僕はちょっと機体の微調整をしてからいくから、先に行って着替えててよ。時間がかかるかもしれないから、待ってなくていいからね」

うん、やっぱそう来るよね。

「ん?いや、別に待ってても平気だぞ?俺は__」

「そうじゃないよ、一夏。多分、シャルルは肌を見られるのを嫌がってる。確かフランスにはそういった風習の地方があったはずだから。そうでしょ?」

当然嘘八百である。だが一夏は俺の言った事なら9割信じる奴だ。

「えっ?そんなの……あっ、うん!そうなんだよ!!」

「だからさ、着替えはこれから別々でした方がいいな」

「まあ希が言うならそうか。分かった」

「だから、これから下手に理由を作らなくてもいいよ」

「う、その……ごめん」

本当に申し訳なさそうである。うーん、この子の目的は何なんだ。この子がスパイやったら罪悪感で胃が死ぬのが先だろう。それとも、演技が上手いのか。

「じゃあ先行ってるよ、またね」

「うん!」


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