IS学園で非日常   作:和希

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十三話 転校生の秘密

 「じゃ、これからよろしく」

「うん。よろしく、希」

食後の日本茶を飲みながらゆったりと挨拶をした。さて、ここで君女?というべきか。それともしばらく様子を見てみるか。うーん、ま、どんなときでもISは持ってるようにしよう。この機体はオモチャオモチャ言ってるけど、そんなことは思ってない。全くではないけど。これには多くの人が関わっているとても大切な物だ。そんな無用心をさらすのはいけない。

「紅茶とずいぶん違うんだね。不思議な感じ。でもおいしいよ」

「紅茶はカフェインが多め。ガンの予防になるとか言われてるね。他にも色々あるけど。緑茶はテアニンとかの物質で心を落ち着けやすい。一日を終わらすんなら落ち着いて終わらせたい」

「へぇ、色々知ってるんだね、希は。色々アドバイスもしているみたいだし」

「アドバイスってのはとってもいい事に思えるけど、楽な事だ。相手の現状を見て相手にこうしたら言いというだけ。どんなことでも言うは安く、行なうは難し」

「でも、立派だと思うよ。しっかり考えて思ってるんでしょ?」

ニコッと笑われる。っく、笑顔を見せてくる女性陣が非常に少ないから体性が無い。鈴は結構笑うけどあれは違う。ほんわかなるタイプ。見ていて和む。それもしても、これでシャルルが男だったら一日引きこもろうかな。

「ありがと。さて、それよりこれから共同生活になるわけだ。色々ルール作っておくべきだと思うけれど、どう?」

「賛成だよ。でもどんなの?」

「まずシャワーの順番か。シャルルが先でいいよ。俺の機体が機体だし、整備項目が結構あるんだ」

人の数倍以上の武装を持っているのでそれなりに整備に手間がかかる。とは言え基本的な所だけなのでそこまでのスキルは必要ない。武装が多いから手間がかかるだけ。

「え、でも汗をかいたらすぐ浴びたい日もあるよね?」

「それはお互いに言える」

「でも僕は汗をかかない方だから」

「俺もだよ。ま、固定するのはあまりよろしくないな。お互いの状況によって柔軟にって所か。ともかく、俺の武装はとにかく多いから。基本はシャルルが先でいい」

「……分かった。ありがとう」

うん、よくこんなに自然に笑うもんだ。楽しくはあるけれど完璧に落ち着けれる場所は今の俺にはそうはない。あー、癒されるわ。と言ってもスパイかもしれないのでそこまで落ち着くわけじゃない。

まー、千冬さんが見過ごしてるから問題ない人だろうけど。

「そういえば希は一夏たちと放課後ISの特訓をしているって聞いたけど、そうなの?」

「うん。模擬戦もやったりする。1位が鈴で2位がセシリア。3位俺で4位箒。ビリが一夏かな。搭乗時間がまだ少ないから仕方ない。さらに言えば武装が武装だししかたない」

剣だけとかマゾゲーレベルである。実戦なら後ろから刺されても文句言えないレベル。

「僕も加わっていいかな?」

「歓迎だろうね。もし、シャルルが女なら、歓迎されなかっただろうけど」

「あ、あはは、そ、そう」

笑いは少し引きつっていた。

 

 

 

 

 シャルルが引っ越してきて五日後。土曜日なので午前中は理論学習で午後は自由時間。アリーナ全面開放なのでみんながこぞってやってくるけど。そんな中一夏は

「やっぱ理論的な先生が二人もついてると違うな」

うんうんうなずいていた。他の三人からの視線が厳しい物になる。

「射撃武器の特性とかは教えたけど、やっぱ射撃が上手いのがいると違うな」

俺自身もシャルルに色々教えてもらっている。いつもの三人がぶつくさ言ってるが無視。

「シャルルの攻撃をくぐるのは難しいな。やっぱ最終的には慣れしかないか」

「お前のワンオフアビリティーは火力最強だけど、接近戦しかないのが最悪だな」

燃費悪い、接近戦しかない、装甲薄目と玄人仕様を真正面から突き進む機体である。というか玄人使用と言うより失敗作ではなかろうか。

「希のは遠距離でも火力高いだろ」

「それにしても、よくあんなに多くの銃を扱えるね」

「何となくね。シャルルもラピッドスイッチがすごいね。あとその機体の四枚羽かっこいい、ほしい」

「嬉しいけど、あげるのは無理だね」

あははと笑いあう男たち三人。このごろ女子三人が男同士でつるむので荒みまくってる。そろそろカバー考えるべきか。でも夜は結構話してるしな。

シャルルの機体は結構な改造がされている。全体的に言えば防御を削って機動力・加速力を増加させ、武装を豊富にしているといった感じだ。収納領域が二十ぐらいあるらしいが、戦車の火力にしてせいぜい二台分いくか怪しい。一夏はまだ良く知らないので数十台百台と考えてそうだが。戦車の主砲は120mm主流だけど、ISのは最大口径で60mmあるかといったぐらいだ。正直120mm主砲を直撃したら、一瞬で全てのエネルギーを刈り取られるだろう。というか搭乗者死亡。当てるのは不可能だろうけど。

そんなときだ。ザワザワ……賭博するわけではないが、そんな雰囲気になる。見るとドイツの第三世代に乗ったボーデヴィッヒさん……ボーデヴィッヒがやってきた。

「あ、訓練参加する?」

努めて明るく振舞う。それでいながら武装を展開する準備をする。どう考えても、とち狂ってお友達になりにきたわけじゃないだろう。

「おい」

無視されました。

「……なんだよ」

「貴様も専用機持ちだそうだな。ならば話が早い。私と戦え」

「ボーデヴィッヒ、ドイツじゃ知らないけど、日本では戦うときに、デュエルしろよ、と言う。そうじゃないとまず受けない」

からかい目的で気を逸らそうとしただけなんだ。そうなんだ。

「なに?ならば話が早い。私とデュエルをしろ」

直後にアリーナ全体が静まった。皆がISとかで盗み聞いていたのだろう。正直、俺はいたたまれなくなった。

「希、笑えばいいのか?どうにかしてくれ」

今更嘘だとはいえない。というかこの子嘘を知らないのだろうか。なんでそんなすぐ信じる?どうしようかと悩んだとき、どうやらかまわずしゃべることにしたらしい。

「貴様がいなければ教官が大会二連覇の偉業をなしえただろうことは容易に想像できる。だから、私は貴様を、貴様の存在を認めない」

なるほど、一夏が誘拐されたときか。一度だけ聞いたな、あとニュースだけど。なるほどね、千冬さんにほれ込んでるわけか。だが

「それは理不尽だ」

「何だと?」

「あの時一夏は力がなかった。大人なら悪い、そういえるかもしれない。だけどあの時は力が無い子どもだったんだ。責めるのは間違っている。第一、そのことが無ければお前は千冬さんに会えなかった。違うか?」

一瞬ひるんだようだがすぐにキッと俺を睨みながら

「確かに子どもは力が無い。そのことが無ければ私は教官と会えなかった。だが、それでもこいつがいなければ教官は二連覇出来たのだ。だから、貴様の存在を認めない」

「また今度な」

「ふん。ならば、戦わざるを__」

「やめてよね、千冬さんは怒ると怖いんだ」

先に銃を展開した。ぺちゃくちゃしゃべってる間に展開するぐらいは出来る。

「邪魔をするなら、お前から行くか?」

「戦うのは興味あるけど、今は密集してるから。やめてほしいな。もっとすいてるアリーナでやる?」

「やめとけよ、希。そいつと戦わなくても」

「相手が退くなら退くさ。でもさ、今日はやめた方がいいよ。こんなところでドンパチやったら、教師が抑えにかかる。なに、これから三年間同じ場所で過ごすんだ。機会はいくらでもあるだろ?」

「……ふん、今日は引こう」

そう言ってアリーナゲートへ帰っていった。うーん、怖そうな子だけど、意外と聞き分けはいいようだ。デュエルしろという嘘も信じたし。意外と純心なのか?

「希はすごいね、おさめちゃった」

シャルルが感心したような目で見てきた。

「というより、あのボーデヴィッヒって子、意外と純心で素直なのかもね。あんな嘘にも引っかかるし、聞き分けもある。ただ、千冬さんのことを大好きなだけで。まるで真っ直ぐで何も知らない子どもだ」

その背中を俺たちは見送った。その足取りはとてもしっかりしたものだった。

 

 

 

 

 明日は休みだ。なので、ちょうどいい時期だと思った。女だろ?と切り出してそれで大まかな推察を立てる。今は切り出し方を悩んでいる最中だ。

「希、緑茶飲む?」

シャルルは紅茶飲む?とかコーヒー飲む?とかは聞いてこない。五日間同棲生活をしてる。俺がコーヒーも紅茶も飲めない子供舌だとは知ってる。それで軽くからかわれたし。あっ、セシリアの紅茶はいける。あれは何か世界が違う。

「うん、あ、でも今日は俺が淹れるよ。ちょっとね」

「何か美味しい淹れ方でも調べたの?」

「さあってね」

水は値段高めの天然水。ただし、いつもと味はあまり変わらないように緑茶を。沸騰しない温度を見極める必要がある。そんなことを考えてるとのんびりとした声が。

「希、漫画って他にもおすすめある?」

家から持ってきたものや給料で買った漫画や小説が本棚に大量に積まれている。最初はQEDをおすすめし、魔人探偵もすすめた。武装連金その他色々あり、けっこうはまったようで夜ギリギリまで読んだりする事も少なくない。夜更かしはしないけど。この子健康的。

「そうだなー、言い忘れてたけど森羅博物館ってのがQEDの外伝的な立場。短編が多めだけどその分リズミカルに読めるよ」

言い忘れてた。意外と俺は物忘れが激しい事もある。三秒ぐらい前まで持ってたものを無くすとかもたまにやるぐらいには。

「ありがと。それにしても、本当にたくさんあるよね」

「昔からの趣味だし。シャルルは?」

「僕も本を読んだりするのは好きだけど、漫画はフランスにはあまりなかったから新鮮かな」

全く、ここまでふつうにおしゃべり出来るのに。肌見せたりしたらすぐテンパるのは演技か何かか。

「はい、お茶」

「ありがとうね」

テーブルに行儀よく正座で座るシャルル。面接官は相手と会話して数分でどんな人間か当てれるようだけど。さて、

「あっ、飲む前に良いか?」

「どうしたの?」

「シャルルって、女だろ」

一瞬シャルルは茫然とした後、いきなり慌て出して

「そっ、そんなわけないじゃないか!ほら、胸もぺったんこだし!それにちゃんと男として入って来てるし!希、何かの冗談だよね!?」

色々言い訳の言葉を並べるが、最後には悲痛そうな顔になった。その顔があまりにも痛々しいのですぐに

「まあまあ、少し落ち着けって。別にどうこう言う趣味はない。俺の持論だが、人には人に話せない事の一つや二つある。そんでもって、話してもらえるにはその人からの信頼が必要だと思う。だから、別に通報する気もない」

シャルルは困惑しているような、でもありがたがっているような表情を浮かべた。

「ほら、取り乱しただろ?俺のせいだけど。お茶を飲んで落ち着いてくれ。ただ、女って確認しておきたかっただけ」

「……いつから気付いてたの?」

「一目見た瞬間。千冬さんも気付いているだろうな、一夏と同棲出来ればこのぐらいの事で文句は言わないだろうが」

前言った通り、安心材料の一つ。千冬さんがシャルルの偽装入学を許してる、つまりまず良い人間だと思ってる。なんだかんだで生徒が被害及ぶなら一夏との同棲生活を投げ出してでもどうにかするだろうし。例え俺でも。だから深刻ではない。

「そう、優しいんだね。希は」

はにかみながら、小さな声で言った。

「そうじゃないよ。この学園の奴なら皆理由は尋ねたりするかもだけど、通報しようって奴はいない。皆がすることをやるのは優しいとは言わない。そうじゃなくて、誰もが投げ出しそうな所でどうにかするのが優しいんだ。一夏がそうだったように」

慰めの言葉を並べるのは誰だって出来る。その先に行ける人が優しいんだと、俺は思う。その手前が俺を表すのに最適な言葉の『良い人』で、優しい人の先が『善い人』って所だろうか。

「それでも、優しいよ。僕が落ち着けるようにお茶を用意してくれたり、初日の時も一夏の視線を逸らしてくれたんだよね?着替えの事も。シャワーを先にどうぞって言ったのも」

「それは紳士の嗜みだ。一夏じゃあるまいし。レディファーストぐらいするさ。だから気にしないで今まで通りでいい。……というか、アレで気付かれないと思ってたの?」

軽口を混ぜて返す。

「もう、ひどいなあ!……ありがとね、希」

その笑顔が女か?と尋ねる前に戻ってきたようで、問題ないなと思った。と思ったら

「ねえ、ちょっと待ってて」

お茶を飲み干した後立ち上がってシャワールームに着替えを持って行った。シャワーの音などがきこえてしばらく経つと

「お待たせ」

髪はしばっていないで、水で濡れている。バレたからもういいと思ったのか、胸を締め付ける特別製の何かをつけていないのか、貧乳と思ってごめんなさい。大きいね、いつもと同じジャージなのに。すごく雰囲気が違う。こりゃ、下手したらこれからはシャワーの音を意識しちゃうかもな。からかいで

「貧乳じゃなかったんだね」

シャルルはちょっと顔を赤くしながら

「希のえっち……」

グッ、これは正直心に来る。ダメージがでかい。地面からシャルルに視線を戻すとクスッと笑ったようだった。でも表情を真顔にして

「ねえ、さっき言ったよね。信頼が無ければ話してもらえないって」

「言った」

「僕は、希の事を信頼してる。軽口を混ぜて気をまぎらわせたりしてくれる希のことを、信頼してる。だから、話すよ」

「……茶、まだいるか?」

「ありがと」

テーブルで正面から向き合う。でもね、すっごく俺は優しくないよ、シャルル。一番最初にこの話を切り出して、反応は二つだと思った。今まで通りか、話を切り出してくるか。今までで考えたのはスパイ・ハニートラップ・男を快く思わない連中の暗殺者とかそんなところだ。でも、千冬さんが通している以上無理やり命令されているとかと推測しているけど。それを、シャルルの良心が傷むような言い方をして反応を起こさせた。だから、優しいとは言えないんだ。すごく申し訳ない気持ちになった。さっき自分を良い人って言ったけど、良い人に見える悪い人だな、こりゃ。

「えっとね、男のふりをしてたのは、実家の方からそうしろって言われて……」

「自社の広告塔。男と接触しやすいだろうから男のデータを取ってこい、だろ。デュノア社は経営危機だったはずだ。第二世代は大勝利だけど、その分第三世代で後れを取ってるから。いいにくいだろうから言わせてもらった」

「……すごいね、そんなに分かるなんて。なら、僕の身の上話だけでいいかな。僕はね、愛人の子なんだ」

ッ、ある程度予想はしてた。社長の公然の実子がそんな男だと偽ってやって来れるわけがない。となると、最初からいない人間。そんでもってシャルルはデュノア社社長を父と言ってた。嘘をついていない前提でなら、ある程度の予想は立ててた。だけど、聞くとなると重みが違うな。

「まさか、それも予想してた?」

「悪い、してた」

よくある昼ドラ展開?の一つみたいなものとして。可能性の一つとして考えていた。

「悪くないよ。それにしても、本当に頭が回るんだね。……それでね、引き取られたのが二年前。ちょうどお母さんが亡くなった時にね、父の部下がやってきたの。それで色々検査をする過程でIS適応が高いことが分かって、非公式ではあったけれどデュノア社のテストパイロットをやることになってね」

「話したくないなら、いいんだぞ?」

表情が乾いたようになっていくのを見て、声をかける。見ていて気分が悪くなりそうだった。だけどシャルルは首を振った。

「父に会ったのは二回くらいでね。会話は数回くらいだと思う。普段は別邸で生活をしているんだけど、一度だけ本邸に呼ばれてね。あのときはひどかったなぁ。本妻の人に殴られたよ。『泥棒猫の娘が!』ってね。参るよね。母さんもちょっとくらい教えてくれたら、あんなに戸惑わなかったのにね」

へー、ふーん、なるほどねー。……

「それで、何かどうかするつもりはあるか?」

「えっ?」

「どうもこうもない。その気になればシャルルはデュノア社は性別を偽らせてIS学園に入学させる奴だってばらしてもいい。IS学園にいる間は国家からいかなる干渉も受け付けない。自分を神か何かと思ってふんぞり返ってる親に少しは思い知らせてやれる」

「の、希?」

「もちろんアフターケアは俺が出来る限りする。シャルルは優秀だからウチの会社でもやっていける。シャルルが望むなら、力を貸そう。どうする?」

「……いや、いいや。今はこの学園生活を楽しみたいかな。それより、希って怒るんだね。いつも冷静沈着なのに」

「俺だって人間だ。って言うか、小学生時代は一夏みたいな直情的な性格だった。中学になって上がるにつれて冷静になっていっただけで」

アニメとかに影響されてね!俺は悪い人かもしれないが、悪い人でも怒る権利はある。

「とにかく、僕の身の上話はこれでおしまい」

なるほど、ただいくつか気になった事がある。

「なあ、突然だけど、日本語ってどれくらいで覚えれた?」

「本当に突然だね。確か、二年ぐらい前からかな」

「最初は女言葉だった?」

「最初から僕だったね。今考えるとおかしいな」

「体の手術を受けた事は?」

「検査だけだと思うけど」

「ありがと。そうか……」

「どうしたの?希」

いくつかの気になる点。一瞬糞親だと思ったが、色々おかしい点があったからだ。もしどうでもいいなら部下を迎えに来させないし、手術をしてもう少し男らしく見せる方法もあるだろう。ある程度の手術は問題ないのだから。二年前から日本語を教えるってことは、IS学園へもぐりこませる予定だった?いや、当時はIS開発は切羽詰まってない。急いで送り込まないでいいし。……でも、話を総合すると……いや、まさかね。

ただ、僕って教え込ませられたのは疑問に思おうよシャルル。あー、そうか。それだけ精神的に危険だったのか。母親が死んで、母が好きになった父親だと思ったらひどい親に見えて、一人孤立。そりゃ精神状態はキツいわな。

「いや、大丈夫。それより、辛い身の上話をありがとう。どうする?一夏にも事情を話した方がいいんじゃないか?」

「ううん、これは僕たちだけの秘密」

指を唇にあてる動作はとてもかわいらしくて、似合っていた。顔の表情は変化してないだろうけど、赤くなるをの抑えるのはさすがに無理だ。赤くなっていないだろうか、分からん。っと、そうだ。言い忘れてた。

「ともかく、俺はシャルルと一緒にいて楽しいし癒されるし。ここにいればいいよ」

そう言うと、シャルルの瞳は一瞬潤んだようだった。気のせい、かもしれないが。

「ありがとう、本当に。……あっ、最後に、僕の名前は、お母さんがくれた本当の名前はシャルロットって言うんだ。二人きりの時は、シャルロットって呼んでね」

微笑みとともに向けられ、多分赤面したんじゃないかなと思った。どうにか、気が向いたらなって返すのがやっとだった。




一応、希が良い人だけれども、普通の男であるためにここでシャルロットとお話します。
上記の意味が分からないと思いますが、後々(福音)あたりでやります

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