IS学園で非日常   作:和希

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十三.五話 小話

 金曜日。

『有名人のAさんが不倫をしていた件について。夫のBさんは『憎くて仕方ない』とコメントしています』

学園のテレビでそうした放送が流れた。うーん、家族でこういったニュースが流れると気まずいけど、この俺と一夏とシャルル(はどうだろう)以外全員女子の場所で流れるのも気まずいな。そう思ってると隣の女子が

「ねえねえ、三人とも、不倫についてどう思う?どっちが悪いと思う?」

「やっぱり三人とも女が悪いって思う?」

意地悪な質問だな。ちなみに、俺の前に一夏、その隣に箒と鈴、鈴の隣にセシリア。こっちの左にシャルルで右に今質問してきた子。一夏は

「不倫する方が悪い。人を裏切るなんて、不誠実だ」

こいつ不誠実なんだぜ。他のヒロインズもそれに賛成してた。

「Aは女の風上に置けん」

「嫌な事件もありますわね」

「本当に、全く」

鈴は不倫がかは知らないけど、両親が離婚してるのでなんとも嫌そうに言った。

「やっぱり普通はそうか」

「えっ?皆そう思ってるの?」

『ん?』

皆が一斉に俺とシャルルを見た。

「え?あんたたちは違うの?」

「あー、違うな、俺は」

「僕もかな」

「なら、誰が悪いと思うのですか?」

「「浮気された方」」

「おっ、シャルルもそうなのか。奇遇だな」

「希もそうなんだ、奇遇だね」

自分の意見が異端だと確信してたから。とはいえ、シャルルが同じ意見かは知らないけど。

「どうしてなんだ?不倫する方が悪いだろ?」

「人を裏切るのは悪い事だ」

他の皆もうんうん頷いていく。

「確かにそうだけどさ。結婚の利点を挙げるけど、まず第一に好きな人と一緒に人生を過ごしていける点。と言うか、ほぼこれに集約される。けれどさ、いつまでも気持ちが同じとは限らないだろ?もし相手を嫌いになったら利点じゃなくて最悪な点になる」

「確かにそうだけど、どうして不倫したのが悪い方になるわけ?」

「簡単。相手の気持ちが変わることがある。なら、相手が自分を好きでいてくれるように努力するべきだろ?本当に相手のことが好きなら、手放したくないと思うなら、他の女や男なんて目もくれないぐらい自分に惚れさせればいいんだから。相手が自分無しじゃ生きれないぐらいに惚れさせれば不倫なんて起きない」

「あっ、僕も同じだよ」

おっ、シャルルも同じ意見だった。さらにシャルルが付け加えて

「例えば、昔は優しかった人が、結婚して凄く暴力振るったりしたら、不倫されるのも仕方ないよね?だから、相手の傍で居続けたいと思うなら努力するべきだと僕は思う」

「あっ、でもそんな相手を選んだ本人も少しは悪いとは思うぞ。将来性とか見て選んでないという点では。結婚したらそれで安心するような奴と結婚するなって事」

そう言うと、周りはフムフム頷いた。

「二人とも、すごい考えてるな」

一夏がなるほどといったように。

「さすが頭脳コンビね」

鈴が流石と言うように。

「私も努力しなければいけませんわね」

決意を固めて。

「相手を魅了し続ける、か」

こっちも。

「ということで、努力は惜しんじゃ駄目だよ?三人とも」

そして、怒鳴られました。

 

 

 

 「お邪魔するわね」

「人口密度高いね。よっす」

ベッドの上でぐーたら漫画を読んでると鈴がやってきた。ちなみに、もう片方のベッドにはシャルルが、椅子二つには箒とセシリアが座っている。それぞれが一応の返事をする。あっ、一夏が来る前と頻度はあまり変わっちゃいない。一夏を通さない交流もあるって。一番頻度が高いのは鈴ね。

「椅子無いわね。あんたのベッド座っていい?」

「いいよ~」

そう言って漫画の一冊を抜き出してから俺の隣に座りこむ。そしてしばらくすると、

「うう……不覚」

箒が少し目を赤くしていた。ガンスリの最終巻を見ている。意外と乙女なのでこれを勧めた。

「どう?面白かった?」

「……悲しい物語だが、良かった。また読み直すことにする」

そう言って第一巻を取り出し、椅子に座りだした。それを見てセシリアが

「それは箒さんとしてはどれぐらいお勧めですか?」

「夜更かしして授業に集中できなく、織斑先生に怒られようとも悔いはない」

「すごく勧めますわね。後から読んでみます」

「セシリアが読んでるのは何だ?」

「ARIAです。またイタリア旅行に行ってみたいですわ。この物語、いつも忙しかった幼少時代にこそ欲しかったですわね。心が落ち着いてきます」

「あー、分かるわ。それ落ち着くわね」

「僕も読んだけど、すっごく落ち着くね。昔を思い出すよ」

「となると、ぜひ読みたいな。読み返すのは明日にしよう」

そう言ってARIAの一巻を取ろうとする。っでもそれは罠だ。

「あー、ちゃう。その隣のAQUAが最初。それ一巻、二巻のあとARIAだ」

「少しややこしいな。分かった」

そう言って、五分ぐらいパラパラと漫画をめくる音が流れる。そしたらシャルルがんーっ、と伸びをした。

「疲れたー。でもついつい読んじゃうね」

「読みやすいからね。小説は二ページで一分とか二分かかるけど、漫画はその四分の一以下ぐらいで済むし。ペースが速い」

「そうだね。それにしても、ジョジョって面白いね。でもまだまだ四十巻ぐらいあるから、長く楽しめるよ」

「でも密度を薄くしたような漫画は嫌だな。文章が少ないから、その分テンポ良く進めないと」

「だね」

そしてまたペラペラめくってると、今度は鈴がダンッととび跳ねた。

「どうした?」

「ドラム缶で悪かったわね!」

題名を見るとネウロ。ああ、そのネタ笑えるよね。と言うかどんなネタもかなり笑えるんだけど。ドラム缶ネタはかなり笑えた。

知らない人向けに言うと、助手がメジャーを出してドラム缶の3サイズ? を測って、上から○○、○○、○○、喜べお前の仲間だと主人公の女に言うのだ。このように主人公女のスタイルを皮肉ってた。

「落ち着け、漫画に切れてどうする」

「そ、そうね」

そして五分ぐらいすると、扉が開いた。

「遊びに来たぞ」

それぞれ声をかける。一夏がきょろきょろ見渡して

「何と言うか、みんな希に染まってきたな」

「「「「それはない(ですわ・わよ・よ)」」」」

「お前たち酷いな」

気分落ち込んじゃうよ。あっ、アニメは一緒に見ない。俺が見る深夜アニメはあまり女子と見るものではない。日常系のものならまだしもだけど。一夏とだってあまりにひどいのは見てないし。シャルルにいたっては中身女(99%)なのでいないときに見るようにしてるが、それがほとんどない。困った。

「全員そろってるし、漫画じゃなくて何かするか」

俺達全員がそろうのは確率的に一週間に二回ぐらいだ。一夏は千冬さんの部屋に移った後もこっちにはほぼ毎日来てる。ヒロインズも他に負けじと攻めてくるが、それでも合計六人となると合うのは二回ぐらいが限度。

「人生ゲームとかか?」

「大富豪とかもな」

「それより希、将棋をしよう。今度は負けないぞ」

「私もチェスで勝負ですわ」

この二人と将棋やチェスで何度か勝負してる。二人共に対して勝率七割って所。天下の代表候補生や天才の妹相手には良い勝率。ただ、この二人はやはり脳筋な所があるのでそこが狙い目。

「まとめてかかってこい」

「調子に乗るのも今のうちだ」

「今日は倒します」

こうやって煽ると冷静さが失われたりする。

「大富豪はこっちの四人か。シャルル強いんだよな」

手札の使い方がうまい。

「そんなことないよ」

勝率としてはこっちが勝ってるけどね。俺は意外と運がいい方だ。こんなときばかり運が良くてもいざというとき悲しいだけだが。一夏が机の引き出しをあけてトランプを持ってきた。

「じゃ、俺が切るぞ」

 

こうして、俺の日常は過ぎていく。ヒロインズとの関係はこんな感じである。


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