IS学園で非日常   作:和希

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十四話 希とラウラ

 「それじゃ、ご飯とってくるけど何が良い?」

シャルル改めシャルロットが、真剣な話をするためシャワーを浴びて着替えてきたけど、よくよく考えると食事はまだだった。その事を思い出して今更コルセットだかサポーターだか付けるのもあれだと思い、取ってこようと提案した。

「希と同じのでいいよ」

今日は和食なんだけどね。

「じゃ、気をつけて」

「うん」

そう言って外に出ると、疲れがどっと出たような気がした。扉にゆっくりともたれかかってため息をつく。三十秒ほどで復活して、いつものように背筋を伸ばして歩き出す。身長165cmを伸ばして見せたいわけではない。

てくてく歩いて行くと、妖怪の後ろ姿があらわれた。

「出たな!妖怪!」

「希、この状況どうにかならないか?」

ボケに突っ込みを入れるでなく、この状況をどうにかしてくれと言ってきた。何を言ってるか分からねーと思うが、コイツくるってる。後ろに振り返ってこっち向くと、箒とセシリアに挟まれた一夏のすがたが!鈴じゃ駄目だしね、押し付けるのは。鈴のことは不憫で仕方ない。おお、鈴よ!無いとは情けない!ちなみに本人の前でこれを思ったら吹っ飛ばされてる。

「あのね、天下の美少女二人に挟まれてどうにかしてくれ?お前、世界の男が泣いて土下座して頼み込んでくるレベルだぞ。俺だって土下座して二人に頼み込みたいぐらいだぜ。お前馬鹿か?」

「さすがは希さん、よく分かってますわね」

さすがですわみたいなエッヘンとした表情でセシリアが。

「だが、お前が土下座して頼み込みたいと思ってるのは嘘だろう?」

胡散臭げな表情を向けてくる箒。

「いやいや、本当だよ?」

あははと片手あげて笑いながら。この瞬間に下手にどもったり謙遜するのではなく、むしろ押して笑い飛ばすのが上策。そうすると、「あ、コイツ興味無いな」みたいに思われやすい。あ、頼み込むってのは嘘だけど二人に挟まれたらヒャッホーぐらいにはなると思う。

ちなみに二人はえっへんと胸逸らして一夏に余計に当たる。一夏も密着されてるとちょっと苦しいのかな。助け船をだすつもりはないけど。あ、言いたいことがあるんだ、この状況。

「でもね、俺の大嫌いなのは天下の往来をふさぐことだ。邪魔なんだよね。どいてくれない?」

「あっ、ああ、すまん」

一夏を連行したまま横にそれる三人。

「お前、本当に横並び嫌いだよな」

「うん。歩道とかで自転車を二台並走とか、廊下をふさぐ三人組とか大嫌い。二人はいいんだけどね」

抜けれる幅があればいい。中途半端に中央で二人ぶらぶらとかはダメ。

「意外と細かいんだよな、お前」

「それで、そのままカニ歩きで行くの?」

「いえいえ、そんなことないですわ。箒さん、どうぞお先に」

「いやいや、セシリアこそ先に行くといい」

一応名前で呼び合うぐらいには仲良くなってる。が、一夏がらみはライバルだから仕方ない。恋は戦争らしいから。

 

 

 

 冷めると元も子もないと判断した、ので、一夏たちに別れを告げて食器を二つ持ってシャルロットのところに戻る。両手は塞がってるので

「俺だ」

ガチャッと音がしてドアが開いた。

「お帰りなさい」

日常生活で笑顔だもんな。すっごく癒されるわ。

「ただいま」

そう言ってドアの中に入りテーブルに食器を置く。シャルロットを見ると顔が微妙に赤かった。

「どうした?まだ気分が落ち着いてないか?」

「ぜんぜん!全く関係ない事だから!ね!?」

いきなり慌てふためいた。さすがの俺でもわからんぞ。今のどこに慌てる要素が……?まあいっか。

「そういや、シャルルって箸使えないんだよな?」

「うん、練習してるんだけどね。……」

あれ、ちょっと不満顔。どうしたんだ?まさかシャルロットって言わなかった事?無いよね、多分。いきなりシャルロットって言うのは、何というかアレだよ、アレ。気恥ずかしい?じゃなくて、皆の前の時に言い間違えるかもしれないし。

「良かった。ナイフとフォークで食べれるよな?和食」

シャルロットは何か言おうとしていたようだが、口を閉じて

「希は準備がいいんだね……箸ならあーんとか……」

「察知能力も高いぞ。いつも無駄に不注意でラブコメしてる一夏とは違う。一夏とシャルロットが同棲してたら間違いなくシャワー中に乱入してるな」

小声で何か言ったような気がする。

「そ、そんなにひどいの?……ひどいよね」

散々な言われ方だが、一夏はそうだ。絶対にそうする奴である。

「じゃ、いただきます」

「いただきます」

中学生時代は言ったり言わなかったりだけど、軍隊生活が始まってから矯正されたので毎回言うようにしてる。そりゃ、作ってもらってるんだから言うべきだよね。中学生時代の時も忘れる時があっただけで、言うべき派だとは思ってた。でも、ささやかで大事なことほど忘れやすい。

「今日もおいしいなぁ」

「うん、そうだね」

あははと乾いた笑いを漏らしていた。俺は何かミスをしただろうか?……そんなはずはない。

 

 

 

 

 ピピピ、ピピピ。音が鳴り響いた。俺の目覚まし時計の音。時間は六時。同居人を起こさないように素早く止める。健康的な食生活、運動、睡眠、健全な人間関係が為せる業で、素早く目を覚ませた。体を伸ばし、隣のベットを見る。シャルロットがまだ眠っている。なんというか、女と判明して翌日だけど、いきなり見方が変わった……のだろうか。まあいっか。シャワー室に行き、運動用の服に着替える。シャワー室を出ると

「ん……おはよ」

「あ、起こしたか?」

「ううん、大丈夫。それより、今日も?いつもどんなことしてるの?」

同居しだしてから毎日早起きはしてた。いつも、ということは起きてないと思っても起きていたということか。やっぱり代表候補正、気配とかも敏感か。

「体力は全ての基礎って言うし。シャワーもあるから六時半ぐらいまで走って、その後に箒とかを見つけれたら剣の訓練に付き合ってもらう」

「へぇ、やっぱり努力してるんだね」

いや、そんなすごいやみたいな表情で見られても。今までで言えば君のがよっぽど努力していると思うけど?俺が頑張ってるのはここ数ヵ月だけだよ?

「ここは才女ばかり集められた学園だし。男代表の片割れとしては情けない姿は見せられないんだ。一夏も一緒にやってるよ」

「……僕もこれから付き合っていい?」

「俺が追いつけなくなりそうだけど、自分の問題だろ?いいよ」

なるほど、今まで微妙に後ろめたいところがあったけど、それがバレたから遠慮しなくなってるのか。やっぱり一夏にも知らせた方がいいんじゃないだろうか。そうすればもっと落ち着くと思うけど。

「じゃあ、ちょっと待ってて」

着替えを取り出してシャワー室に引っ込む。そこから服が落ちたり擦れる音が……いかん、微妙に意識するな。ISの新しいコンボでも考えよう、うん。

しばらくすると、いつもと変わらぬ姿となって出てきた。そこでふと疑問に思ったことを

「ねえ、胸きつくない?」

「きついと言えばきついけど、しょうがないかな。特製コルセットでこうしてるんだ」

「へえ」

あの大きさがここまで圧縮されるとは。感慨深く見ると、シャルロットは腕を胸に当て

「希のエッチ」

「男がエッチじゃなかったら人類が滅ぶさ」

「もう!希!」

顔を真っ赤にしたシャルロットかわい。和むわー。

 

 

 

 

 「そ、それは本当ですの!?」

「う、ウソついてないでしょうね!?」

教室に一夏とシャルロットと姿を現すと、馬鹿みたいに噂に引っかかった二人を発見した。鈴、前にそれっぽいことほのめかしたよね?まあいっか。人間は自分の信じたい事しか信じないって言うし。俺も大体そんな感じだし。

「本当だってば!この噂、学園中で__」

噂と言う物はあるときは一国を滅ぼすらしい。場合によっては女子だけの学園一つフィーバー状態にさせるなど簡単だろう。

「俺がどうしたって?」

「「「きゃああっ!?」」」

一夏は声をかけたら悲鳴を上げられて困っている。

「一夏がどうしたって?」

「えっと、その、そうだっけ?」

「そうだったかしら?」

ここまで下手なシラの切り方は無いわ。適当に一夏が今度の大会で戦うときにどれぐらい進むか、みたいな話に持っていけばいいのに。なんで才女ばかりなのにこう言った時は頭が働かないんだろうか。

「あっ、そういえば昨日、希ひどいだろ」

「えっ、何が?」

いつも一夏に対してそれなりにひどいことをしている覚えはあるが、昨日は無い。

「俺が箒とセシリアに挟まれて助けを求めたのに。俺だったら土下座して頼み込みたい、とか言ってさ」

「世界中の男なら羨ましがると思うけど?シャルルもだろ?」

見るとニッコリ笑ってた。周りの女子(鈴・セシリアも)だけでなく一夏もひるんだ。俺も。ボーデヴィッヒを見ると周りを警戒して腰に手を回していた。多分そこにナイフでもあるのだろうか。この学園って、ほんと無法地帯。

「一夏、なんだって?」

「俺が箒とセシリアに挟まれて助けを求めたのに。俺だったら土下座して頼み込みたい、とか言ってました」

さっきと殆ど変わらない返答。

「誰が?」

「の、希です」

「へえ、希は女の子に土下座して挟まれたいの?」

正直、怖い。一瞬どもりそうになるがここは平静でいかないと。

「それは誤解だよ。そこで下手に引くよりあえて押した方がアハハの笑い話になると思ってさ。そんなことより男同士で楽しくISバトルのが楽しいよ」

「そう。じゃあ今日もいっぱい戦おうね」

良かった、いつもの笑顔に戻った。周り全員胸をなでおろしていた。いや、それにしてもシャルロットまさか……あ、ちなみに鈴はなでおろす胸があるのかどうかは__

「希。野球をしない?あたしがバッターであんたが的よ」

「すいませんでした」

だがしかし、それは野球じゃない。

「ってもうこんな時間!?じゃあまたね」

さっさと離れていくのを見て、恋する乙女って大変だなと思った。

 

 

 

 

 「ん?一夏、どうした?」

トイレに行って来た一夏が悩んだような顔を出してやってきた。

「いやさ、さっき千冬姉とラウラが言い争ってたんだ」

「どんな風に?って、時間が無いか。あとで」

「ああ、また」

格闘訓練に関する色々を学んで一時間が過ぎる。……実際には五十分で休憩は十分。高校ならどこもそんなんでしょ。

「で?」

「ラウラはこの学園の生徒など教官が教えるにたる人間ではないとか、ここの生徒はISをファッションと勘違いしてるとか。千冬姉にもう一度ドイツでご指導とか言ってた」

「そんなことを……」

シャルロットは腕を組みながら、悩んだように。

「うーん、いい加減いつまでもこのままじゃ駄目だけど、どうしようかね」

いい案が正直ない。少しずつ掛け合うしかないのか。

 

 

 

 

 「よし、これで自由パック装着完了」

前の日曜日に企業に行ったときに持ち帰った物。企業では何度も使ったけど、この学園では初披露になる。ちなみに一夏とシャルロットは用事があるようでいない。

「さて、お披露目と行こうか」

ちなみに、自由パックとは。青色塗装の羽を八本付け、外見は某MSの羽そっくり。というか内部機構も似たような感じで、羽の移動による慣性制御、第一段階ではそれぞれからブースター機能を使い高速機動が可能。第二段階以降はまたいつか。武装は肩に粒子加速砲二門、腰にレールカノン二門。製作者に尋ねたら作ったのは趣味と言われた。ワイヤーブレードの基本武装は外し、プラズマサーベルだけ。さっきから派手に音がしている。多分、鈴とセシリアがガチ勝負でもしてるんだろうけど。となると後からくる一夏やシャルロットに相手してもらうか。ピットを出て確認すると__

「おい、マジかよ」

あのボーデヴィッヒが二人と相手にしていた。形勢はあの二人が不利な状況だった。二対一なのに。結構なダメージを負って、肉体にダメージが入っていそうだった。ビットが二基ほど落ちてたり、衝撃砲が片方消えていたり。なのに、ボーデヴィッヒは装甲もあまりはがれておらず、軽症だった。羽を広げ、最大加速。白式には微妙に劣る物の、今までの俺の機体より遥かに速い。装甲も結構外してるし。

「貴様、何のようだ?」

「希!?」

「希さん!?」

「二人とも大丈夫か?」

様子を近くで見るとそれなりに怪我をしているようだが、問題はなさそうだった。二人は

「問題ない(ですわ)!!」

「黙って出て行け怪我人。ここは俺の顔を立ててくれ。今まで色々あったよな?」

多分、一夏を馬鹿にでもされたのかね?それでも俺の貸しはかなりのもの。素直に二人は退場していった。苦々しげな表情をし、ボーデヴィッヒを睨みながらだったけど。立ち塞がるのは俺一人。

「ほう、貴様が相手か」

「ああ、ちっちゃいお子様をお仕置きして説教するだけだし。俺一人で十分さ」

「ふんっ、その大口すぐに叩けなくしてやる!」

大口径レールカノンが火を噴いた。大口だけに大口径ってのは置いとく。が、機動戦特化のパッケージを装着したこの機体に、そんなのにあたりはしない。

「これでもどうだい?」

移動しながらの空中固定ミサイルの射出。わずらわしそうに噂のAICで全て止めた。が

「突撃!」

「馬鹿め!」

弱めのイグニッションブーストを発動。同時にミサイルを起爆。中身は煙幕弾でいきなり見えなくなる。

「小癪な!」

減速して横移動。声を出したところにマシンガンで射撃しながら接近。敵影が見えた瞬間に右に移動をするが、直前に左に一つ物を投げ捨てる。さらにもう一つスカートの下あたりに指向性爆薬を複数展開。

「これでもくらえ!」

さっき投げた物がしゃべって音が鳴る。ぶっちゃけただの録音機械。だが、相手はしっかり引っかかったようだ。音がした方向を振り向き、

「間抜け__」

音を出すなんて間抜けめと言いたいのだろう。さっき自分でしゃべってたくせに。後ろからプラズマブレードの蹴りを放つ。ここまで簡単に引っかかるとは。油断しすぎじゃないかな?確かにこのごろ模擬戦は負け越しが多い。皆小技になれてきたし。でも、そこまで弱くは無いよ?

「っく、小癪な手を」

首を後ろに向け舌打ちしながら言ってきた。あの状況からなんと反応して見せた。多少装甲はえぐったけど、AICで止めたのだ。正直驚きだ。だが、残念だなぁ。

「だがこれで__」

ちなみに、テスト兵器とは色々と共通事項がある。総じて、脆い。

俺はスカートの下にある、指向性爆薬を全部着火した。実戦投入してきたとは言え試作品、それでいてデリケートな兵装だ。そんでもって、ISは基本一対一を前提と考えてる為、後ろに重要な物を回す。後ろを取られるのは珍しいし。よって

バンッ!

「な!?AICが!?」

「それ」

さらに加速。一気に間合いに入って相手を後ろから掴む。そして腕のプラズマサーベルを展開し、背中にぶちこんだ。

「ガッ!?」

そしてすぐに蹴り飛ばす。見ると相手はすさまじい形相。美人が怒ると怖い怖い。でも可愛い系だけどねボーデヴィッヒは。いや、その中間?

「貴様!よくもここまで侮辱してくれたな!!」

「おお怖い。俺に妹がいてそのパンツを盗んだらこんな顔をしそうだ」

「ッ__」

もはや声にならないのか、雄たけびをあげて突っ込んできた。さてと、トーナメントは出場してくるだろうけど、もう搦め手は効かないな。トーナメント困ったわ。初回に限っては無敵に近いんだけどな、俺。

ともあれ、今日はもう違う。AICが使えない第三世代ISでは、基礎スペックは全てにおいて俺の機体の性能を下回ってるだろう。機動性とかはこっちが強いから特に。迷わず後ろに逃げた。

「逃げるのか!?」

「自分を軍人とかISをファッションとか思ってる連中とかと違うと思うならそんな事言うのは駄目だろ?軍なら自分の有利な土俵で、相手の不利な土俵で戦う方法を教わるはずだ。徹底的に勝ちを取るべきだ。試合じゃなくて殺し合いを学んでるんだから。俺はISを飽きない面白いオモチャとも思うけど、数千人以上を殺せる兵器としっかり思ってる。だから勝つ戦をする」

ちなみに、これだけペラペラしゃべる余裕があるということ。ボーデヴィッヒはさっきから二人相手に疲労している部分もある。レールカノンだって残弾が少ないだろうし、後はクルクル飛び回って勝ちだ。

「まっ、俺のほうが遥かに実力は負けてるけど甘く見るのはよした方がいいな。昔から敵を軽んじた軍は負けるのが決まりだ」

「黙れ黙れ!!貴様に私の何が分かる!?」

が、闇雲に撃っているうちにレールカノンが切れたようだ。俺は武装を普通のマシンガンから変え、弾幕重視の連射と火力重視の大口径マシンガンに変える。さらに肩に浮遊砲台を浮かべた。そんで持って封じてた自由パックの四門を敵に向ける。

「何も俺たちに話そうとしないお前の事は知らないよ。分かりたくないとは言わないけどね。でも、今日の戦いはしまいだ」

「くそおぉっ!!」

弾が切れたら突っ込むしかない。いつも機動力万歳の一夏に的当てしている俺だ。合計七門の砲撃は凄まじく、ボーデヴィッヒはエネルギー切れでふらふら落ちていく。急降下をし、手を捕まえる。

「貴様!何をする!?」

「エネルギー切れてるから、念のため」

ピットに連れて行き、俺はISを解除する。向こうも解除をし、俺に近づいてくる。が、殴りかかってくる事は無い。掴みかかる場所は無いのでつかむことも無い。が

「よくも!また勝負をしろ!!」

「まあまあ、少し話を聞け」

「聞けるか!!」

「あのね、確かに途中乱戦してきたのが暴れたらムシが悪いかもだけど、軍人はいつも冷静沈着で現状を把握しなければならない。お前は負けた、油断して。確かにせこい面もあるとは思うけど、正規の軍人に一般人が正攻法で挑むなんて自殺行為だ。戦術的にもああいった方法しかなかった。俺は悪くない。だから、まず落ち着く事だ」

そういうと、深呼吸をして落ち着きだした。だがまだ表情は険しい。

「ともかくだ、私と勝負をしろ」

「まず話をさせてね。あのさ、どうして皆と仲良くしようとしないの?」

「あんなISをファッションと思ってるような連中、付き合えるわけが無い」

「確かにISをファッションみたいに思ってるのもいるかもしれない。一夏も兵器とははっきり自覚してないかもしれない。でもね、ここは戦場も経験した事無い人間の集まりなんだ。それは仕方ない。人の価値観はそれぞれだ」

「価値観はそれぞれだろう。そして、私の価値観は付き合うべき相手というのは互いを高めあう相手であるべきだ。だからあんな連中と一緒にいられるか。朱が交われば赤くなると言うではないか」

「それは俺も賛成だ。俺は弱いから、周りに影響されやすい。だから、俺はこの学園にいる人間と仲良くしたいんだ」

「ならあんな奴らと手を切るべきだ。あんな連中とつるんで強くなれはしない」

なるほど、この子は強さが全てなのか。

「強さは欲しい。でも、それが全てじゃない。あんな連中って言う人たちは、いい人ばかりだ」

「何を言っている?いい人だと?弱いのに」

「一度ゆっくり考えてくれ。特に一夏に対して。千冬さんに迷惑かけたのかもしれないけど、その事を忘れて。ボーデヴィッヒ……いや、ラウラ。いつまでもそれじゃ、多分駄目だから。人は一人じゃ生きるのは難しい。もちろん、強さだけでも。これでも、それなりに心配してるんだからな」

あんなに騙されやすい人間だ。こんな美少女騙しに来る奴わんさかいるだろう。

「おい、待て!」

もう言う事は無い。何を言ってるか分からないけど、何をしたかったんだ俺?っと、そうだ。

「次の勝負はトーナメントでね。また会おう」

「おいっ!?」

そうやってピットを後にして……訓練を続けようと思ってたのに。ここからまた戻るのは雰囲気的にアレなので、他のビットに移動して参加した。その後、何食わぬ顔で一夏とシャルロットと訓練をした。が、次の日に噂や鈴やセシリアの話から漏れ、無茶するなと説教されました。一夏は二人が痛めつけられ怒ってました。

 

P.S 鈴とセシリアに怪我は無く、機体も組み合わせれば問題ないレベルでした




夫婦の定番
「おかえりなさい」
「ただいま」

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