IS学園で非日常   作:和希

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三十話 ストーキング

 IS学園に帰宅した日の次の日の夜。シャルロットの部屋にいつものメンバーが集まっていた。

『本当にすみませんでした!』

シャルロットに対して箒、セシリア、鈴、ラウラが平謝りしてた。

「本当にそうだよ!少しはお淑やかになろうよみんな!!」

いつもなら笑顔で許すシャルロットが、許していなかった。よっぽどの事態である。それもそうだ。せっかくこれで恋人同士!ゴールイン!いや、始まりだね!!になると思っていたら、一気にグダグダにされ、次の日は見知らぬに美女に頬のキスをされていたのだ。シャルロットはあらぶっていた。かつて無いほどあらぶっていた。

「だ、だがしかし、私が怒られるのは__」

「何か言った?箒」

完全に巻き込まれただけの箒だが一刀両断された。さーっと顔が青ざめて、

「え、あ、はい、すいません」

すぐに下がった。逆らえる気がしないとはまさにこの事。

「みんながすぐ暴力を出したりするから一夏も逃げちゃうんだよ。もっとお淑やかに行こうよ。そうすれば捕まえれるよ」

「シャルロットだって完璧に捕まえたわけじゃ__」

「鈴、すっごく怒るよ」

「はい!本当にごめんなさい」

土下座した。ちょっとぶつくさ文句を言いたくなっただけである。軽口叩く癖が希から伝播していた。いけないと思っていても言ってしまう癖が。

「今のは鈴さんが完璧に悪いですわ。私たちがしっかりしていれば、シャルロットさんは希さんと恋人同士になってたでしょうに」

「そっ、そう見えるかな!?」

コレだっ!他の四人は全員そう思った。

「ああ、間違いない!兄の妹である私とシャルロットのルームメイトの私が断言する!兄とシャルロット以上にお似合いなカップルはいない!!」

「本当にそうだ。とてもうらやましいと思うぞ!」

ラウラと箒が一気におだて出す。意外とシャルロットもちょろかった。それに、怒るキャラがそう長く続く人間ではない。

第一、チェックメイトだったのだ。横槍で盤を吹っ飛ばされはしたが、詰んでいた状態なのだ。もう一度盤を組み直してチェックメイトをかける、かけてもらう雰囲気を出せばいいだけである。その事がプラスに働いていた。独走状態なのだからまだ寛大であった。もしライバルがいてここで決める!というときにこれをしていたら彼女らはかなり危なかったかもしれない。命がである。

「そ、そうかなぁ。うん、そうだよね。そうだといいな。絶対にふさわしくなってみせるよ!」

「その心意気ですわ!」

「全身全霊で協力するわ!希には世話になってるし、親友だしね」

協力も何も、何もしてなかったら決まっていたと、四人は密かに思ったが無視した。そんなことを言い出したらまた怒るだけである。

「じゃ、じゃあどんなことすればいいと思う?」

「ふむ、ここは私の出番だ」

ラウラが一歩前に出た。その事に周りがえっというような顔をした。

「えっと、こう言うのはなんだけど、ラウラが一番苦手じゃないの?」

生まれてからずっと軍事ばかりしか教えられてなかったラウラは、普段も不思議っ子をやっている。だから無理なのではと思うのも当然だ。

「ふんっ!確かに出会ったばかりの私ならそうだ。だが!私の兄がアドバイスをしてくれているのだ。その内容を伝えれば良い」

「それで!どんな方法があるの?」

シャルロットの食いつきは良い。

「それはだな、兄が言うには__」

 

 

 

 「希!ご飯作ってきたよ」

「ありがとう。天気もいいし、屋上行くか。木陰なら涼しいだろうし」

「二人は屋上か?じゃあまた後で」

希とシャルロットが階段を上がっていくのを、追跡している者たちが居た。

「こういうのって、ワクワクするわよね。知ってる奴とくればなおさら」

「意外と楽しいですわね」

「軍隊訓練を思い出す。教官を見つけ出すのに比べれば……」

「否定はしない」

四人ともノリノリで追跡していった。十五歳の女子たちにかかれば大体テンションは上げることが出来る。

「おーい、みんなはいらないのか?食事」

そんな言葉すら聞こえてないように。二人が階段を上っていくのを、四人がテクテク付いてく。他の生徒からは奇異の目で見られているが、興味津津なので全く気にしていない、と言うか気付いていない。二人は適当なベンチに座った。

「どうする?距離が遠い」

「私にお任せください!」

ブルーティアーズを二機射出し、近くにまで大回りで移動させる。カメラとマイクを起動し、鈴が既に取り出していた立体投影ディスプレイに接続。位置は二人の頭上後ろといった辺りと正面から目立たない位置の二箇所だった。

『今日のは自信作なんだ』

『料理部でメキメキ腕を上げてるようだしね』

『うん、将来役に立つから』

要約 一緒にすごすから毎日作ってあげる!である。大体そんな感じである。一夏ならああそうだが、察しのいい希はしっかり気づいた。よって

『あっ、うん』

一瞬どもる。

『ほら、開けて』

希が言われるままに弁当を開けて、閉じた。

『どうしたの?』

『いやいや、えっ』

もう一度ふたを開けて、観念した。ご飯の上にはハートのマークが鮭ふりかけ(手づくり)で描かれていた。

「兄から教えてもらった、必殺!ハート弁当だ!」

効果、相手は死ぬ。下手したら作った本人も。色々な意味で。

「希、自分で教えた事をそのまま返されてどう思ってるのかしらね」

「見ていて、正直笑いが来てしまうのだが」

「わ、わたくしもちょっと。希さんの引きつり笑顔が」

いつもいい様に踊らされてるので少し笑いそうになっている三人。だがちょっと真面目な顔になって

「ねえ、これって一夏に対して効果あるの?」

「あの鈍感さだと無駄か?」

「少しはあると思いますけど。料理できるという面も押し出せますし。希さんぐらいに察しがよければ効果覿面でしょう」

「だが、ここまであざといと希に対しては問題ではないか?」

だが付き合いが長い鈴がそれを否定する。

「別に問題ないわよ。こういった正攻法が一番効くはず。希は思慮深いけど、正義が悪をやっつけるのが大好きな王道大好き人間だし。いつもあの読んでると一夏を殴りたくなるラノベ読んでるから。むしろこれぐらい押せ押せの方がいいと思う。そういったのに憧れてそうなのを会話から微妙に出てたし。でも、一夏に対しては正直……」

話している最中にどんどん話は進んでいた。

『はい、あーん』

『あーん』

シャルロットにはい、あーんをしてもらっていた希。ハートマークの弁当にあーん、傍から見たらバカップル以外何者でもない。

「前の私はこう見えたのだろうか?」

「傍から見ると、何というかアレね」

「胸焼けがすると言いますか。でもこれが世に言うリア充爆発しろ、と言う言葉でしょうか」

「めでたいことだ、シャルロットの機嫌が治まるのなら」

「っていうか、セシリアって段々庶民の感覚が分かってきたようね」

「希さんを見習って色々な視野を作っていますわ」

ラウラだけは何か違っていた。

「ねえ、これって結構勉強になるわね」

「だが、私たち全員ライバルだ。同じ分成長しても同じだ」

「いや、兄が言ってた。お前たちが成長すると一夏の負担が減ると。だから成長しろと言ってた」

「なるほど……それと、同じように見てはいますが、得られる物は違って来ますわ。ここでいかにデータを取れるかがいい女の違いですわ」

「そうね、負けないわ」

「私こそ」

「無論私もだ」

こうして、二人は実験台?にされようとしていた。

『僕にもお願い出来るかな』

『イエス、マム』

いざまじめな会議みたいな状況になると、スムーズに進む彼女らであった。自分が一夏に好意を抱いてると言うのを隠してきてた(頭隠して尻隠さずでも)のに。きっぱり頭で分けて考えているためであろう。

 

 

 

 

 「今日のはどうだった?効果あったかな」

「希さん、顔が赤くなってましたわ。大成功です」

「良かった!やった!!」

「けど気を抜いちゃ駄目よ。王手はしてるけど、ここはIS学園。次々に攻めないといけないわ」

「そこで私は思い出した。秘策、その二。次の作戦は__」

 

 

 

 

 『希、気持ちいいかな?』

『とっても』

希は自室でマッサージを受けていた。ちなみに、やっと戻ってきた一夏が「俺がやろうか」と言ったのをヒロインズがたたき出している。

「相手の疲労をほぐすマッサージ作戦だ」

「マッサージは受けるのもいいですが、自分から出来たらいいですわよね。思い出してしまいますわね……またしてもらいたいですわ」

「家に疲れて帰ってきたとき、風呂上がりに親切にマッサージとかいいわね」

「……実家でマッサージ技術を学ぶか。確かあったはずだ」

「だが、シャルロットはどうやって学んだのだ?」

「前に私が一夏さんにマッサージをしてもらっていた時に見ていましたから。それでやれるのでしょう。もしくは、既に学んでいたか」

シャルロットは恐ろしい子である。

「相変わらず要領がいいな。本当に一夏の方に参戦して来なくて良かった」

「全くね。正直、勝つのは難しいだろうし」

「シャルロットは何でも出来る。私も髪を溶かしてもらってるし、それがまた心地よい」

「才色兼備を備えていて、家事万能、胸も大きいですが大きすぎるわけでは無いですし。それでいて、その、私たちと違って暴力も振るいませんし」

「正直、シャルロットの弱点はどこだ?」

皆が悩んだように頭を悩ませた。

「……怒ると怖い、でしょうか」

セシリアが一生懸命ひねって出した答え。

「でも、希ってあれを楽しんでるフシが……。しかもそれだけ普段穏やかってことでしょ?」

鈴が悩ましげに。

「えっと……日本とフランスとは距離が離れているな」

箒の答え。

「それは私たちより一歩リードしてるといいたいのか?」

「今は一緒の目的のはずです」

「落ち着きなさい。ふぅふぅ……落ち着いたわ、よし。一見そういった意見かもしれないけど、箒の言う事は最もよ。ご実家の付き合いとか色々出てくるだろうし。でも、希や一夏がそんなの問題にするとは思えないけど」

「む、確かにそうか……」

「ラウラさんは何か思いつきませんの?同部屋ですし」

「……一つ、思いついた」

「何でしょう?」

「兄が言ってた。完璧すぎる女は持てない、と」

「セシリア良かったわね。料理が下手で」

「ずっと前の話ですわ!鈴さんこそ、胸が小さくて」

「そ、そ、そんな事無いわ。これだってここ一ヶ月で1cm増えたのよ!!」

「誤差だろう?そんなもの」

箒がばっさり切り捨てた。学年最大の戦力を保持している人間だからこそ鈴には効いた。

「あ、あんたたちが異常なのよ!それに、箒こそ一番危ないじゃない!刀を取り出して!」

「何を!?」

いきりだした三人をラウラがたしなめた。

「みんな、落ち着け。ここで争ってどうする。争いは何も生まないと兄のお爺さまが言ってたと言ってた」

「む、確かに……悪かったわ」

「その、こちらこそ言い過ぎましたわ」

「私も、すまない」

「それとじっちゃんが言ってたって嘘よ。じっちゃんが言ってたって言うのは自分自身で言ってる事だから」

○○ってじっちゃんが言ってたと言うと説得力が増すから希はたまに使う。中学時代はそれなりに多用していたので鈴は知ってた。

「そ、そうなのか……それと、考えたのだが……僕と言っているが、これはどうなのだ?」

「それはそれで個性じゃない?僕っ子って需要があるらしいわ。ラノベ読んでるからこっちも問題ないでしょ。僕っ子萌えーとかあいつなら言うわ」

鈴は付き合いが長いのでけっこう毒されている。

「確かに希さんはそちらにも精通してそうです……」

「ああ、確かに。ここ一番というときに私、とかになったらそれが萌えるという奴ではないか?」

「箒にしちゃ上出来じゃない」

「舐めてるのか、鈴」

「まあまあ……となると」

「シャルロットに欠点が無いということで決まりだな」

「悔しいけど、そうね」

「私もそう思いますわ」

「女として悔しいが、そうだな……いや!そうではない!シャルロットの欠点に関してではない!話し合ってたのは!」

「「「あっ」」」

『ねえ、今度は僕にしてくれないかな』

『そ、それは色々と、勘弁してください』

『しょうがないな。でも、いつかして欲しいな』

中と外の温度差が広かった。

「空しいな」

箒がしみじみと言った。

「戦いとはそういうものだ、兄のお爺……じっちゃんが言ってたと言ってた」

「昔からある言葉よねそれ」

 

 

 

 「ねえ、どうだったかな、どうだったかな!」

かなりハイテンションである。マッサージが終わったあと、ヒロインズを集めて言った言葉である。顔がワクワクしてて笑顔で、ああこりゃ希も勝てないわと思った。

「勘弁してくださいと言ってましたが、好意的な事だと思いますわ」

「一夏でも無ければ、同年代の女子に触れるのは恥ずかしいはずだ」

「だからちょっと遠慮してるのよ。効いてるわ、とても」

「兄を攻略する時は近い!」

すでにしてるも同然だが。

「そ、そうかな、うん。頑張るよ!それで、次はどんなのがいいかな?」

「そこでだ、秘策その三、次の作戦は__」

 

 

 

 『こんな早起きでもいいのか?六時でも』

『うん、希と早く会えて嬉しいな』

『あ、ありがとう。俺も、その、嬉しい。……えっと、髪の溶かし方はこうでいいのか?』

『そう、そんな風。気持ちいなぁ』

「髪を溶かしてもらう大作戦だ!」

「ノリが良くなってますわね」

「当然だ。兄とシャルロットが仲良くなる、素晴らしい事だ」

ああ、こりゃ希が可愛がるのも無理は無いと三人は思った。何せ自分たちでも可愛がりたくなったから。この純粋さを。

「相手がお礼に何かしようか、と言ってきた時に、簡単なお返しだが、ドキドキさせる技。希は一体どうしてこんなに思いつくのだ?彼女はいないかったはずだろう?」

「漫画とか小説とか読みまくってるのよ。ネット小説も読んでるとか。しかも手に入ったISを使えば短縮できるし。沢山読んでも印象に残るのは効果的なものだから、質も高い。私たちも希の部屋にちょくちょくお邪魔して小説読ませてもらってるでしょ……やるとなると忘れるけど。それと、ハーレム物間違って見ちゃうと無性に一夏を殴りたくなるけど」

専ら彼女らが読むのはそれ以外だ。ハーレム物を見ると一夏を無性に殴りたくなるからである。

「私ももっと本を読むか。文武両道の為だぞ」

「今更取り繕っても遅すぎますわ。さて、今日は本屋で買い物をする予定が」

「セシリアも似たようなものだ」

彼女たちは結構多忙である。鈴は別だったが、箒やセシリア、ラウラは引っ越したくさんだったり貴族の関係だったり軍事訓練だったりとで、知能レベルは高いが本などを読む暇はあまり無かった。このごろは希と一夏の部屋に入り浸ってはいるが、知識だけでは実戦では役に立たないを地で行っている。とはいえ、このごろは希の助言無しでもまともになってきてはいるが。

今更ながら言い訳がましく言ったのは会議の集中力が切れてきて、分けて考えれなくなってきたからである。虚しさが増してきたとも。

『そういえば、ラウラは?やっぱり自主訓練?』

『うん、私たちと違うメニューをこなしてる。射撃訓練場で銃撃訓練とかも』

この学校には教師(軍人)などのために射撃訓練場もある。

『うーん、ラウラに合わせるか。もっと、強くならないと』

『気張りすぎだよ。そんなに福音に負けたのが悔しかった?』

『いや……守れなかったから。その、シャルを』

『う、嬉しいけど……無理して体を壊したら、僕は辛いよ?』

『分かった、少しずつ上げてく』

少し目線を逸らしていた。

『栄養のある食事もしっかり作るからね!』

『期待してる』

「これで付き合ってないだと……?恋人になるとはどんなに難しいのか!?」

箒が戦慄した。

「普段の希さんと、全く違いますわ。こう、雰囲気が気張っていないと言いますか、穏やかな」

「っていうかこれ、告白してないだけで付き合ってるのと同じじゃない?」

「それにしても……兄はシャルロットの事を本当に親しげにシャルと言うな」

「それだ!一夏と二人きりの時は愛称で呼んでもらえばいい!ほう……む?」

「えっへん!箒の生まれの不幸を呪ってなさい!私の愛称はリ……あれ?」

「ここは私の勝ちですわ!愛称はセッシーですわ!……あれ、何か違いますわ……」

「私はラウラン……いや、ラウ?」

四人が馬鹿みたいに落ち込んだ。

『希が良かったらだけど、これから毎日してくれると嬉しいな』

『もちろん、毎日朝食作ってくれてるし。俺も、その、嬉しいし』

 

 

 

 「ねえ!僕の今日の髪綺麗かな?希が整えてくれてね!」

「あー、うん。綺麗綺麗」

「すごく綺麗ですわ」

「すごく綺麗だぞ!私も兄にしてもらいたいものだ」

少し棒読みになりだしてきてた。ラウラはいつも通り元気だった。

「あれ?みんな元気ない?」

「そのだな、正直……二人があんなことしている間に女四人ライバルで集まって、鈍感相手に対策を練りながら見せ付けられてると、落ち込む。かなり」

「見せ付けてる!?やった!!」

シャルロットの調子はうなぎのぼりで気付いていなかった。恋は盲目とは言うものだ。

「次は?ラウラ、次は何かないかな!」

ラウラは一生懸命考えた。二人の為になると思い、ああそうだと思い出した。

「他には、そうだな……あの方法を試してみよう」

 

 

 

 

 『夕方の散歩もいいな』

『夕方が綺麗だね』

「夕方散歩作戦だ!」

「ラウラは元気だな。それに比べ……」

「仕方ないわよ」

「惨めな気持ちになってきますわ……」

IS学園は広い。木もたくさん植えられている上に、近くが浜辺なので公園には絶好の位置だった。

『でも良かった?訓練とか』

『シャルからの誘いを受けないわけにはね。それに、時間はとってる。それにしても、海に落ちてく夕日はいいな。内陸に住んでたから』

『僕も。でも、こうして学園から見てみるのは初めてだね』

『何でこうしなかったんだろ』

『でも、これからあと二年と半分あるよ?僕たちはまだ一ヶ月とちょっとぐらいしか会ってないのに』

『まだまだ先が長いな』

『だからいいでしょ?もっと思い出を作っていける』

「いい雰囲気だ。兄は凄い」

「これを落ち込んできたというのだろうか」

「落ちても日は昇るわ」

「また沈みますが」

三人はため息をついた。そのときだった。

「みんなここで何してるんだ?」

その言葉に四人はそれぞれ悲鳴を上げた。

「どっ、どうしてここに!?」

「皆が希とシャルロットについてくのが見えたから、何かと思ってきたんだ」

そしてそれに希とシャルロットが気付いた。

「おっ、お前たちどうして!?……いや、待てよ、まさか……シャル?」

察しが良すぎる希はあっと気付いた。

「あ、あはは、何の事かなー」

「……はー、まあいいけどね。むしろ、俺が悪いっていうべきかな。ごめんな、シャル。でもな、そこの四人、覗き見はそこまで感心しないぞ。俺もやってるから仕方ないけど」

「えっと、ごめんね?」

「失礼でしたが、どうしても気になりまして……」

「分かった分かった。で、シャルに入れ知恵したのは誰?」

「私だ」

「へー、ラウラがこうしたことを発案できるようになったとは。嬉しい限……あれ?これまさか全部俺が教えたやつ?」

ラウラは胸を張って答えた。

「無論」

そう言うと希はため息をついた。

「お前たちな……その情熱をもう少し一夏に向けろよ?な?」

『はい、すいません』

「まっ、ひとまず今日は夕日見ていこう、皆で。たまにはこういうのもいいだろ。綺麗だし」

希が手招きをした。

「そうだ。ほら、皆」

一夏が四人の前を走っていた。それをみて釣られて走り出した。


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