インフィニット・ストラトス~深緑の狂犬~ 作:疾風海軍陸戦隊
時は、連合軍とナチス率いるテロリスト軍によって始まった第三次世界大戦。この戦争では奇妙な戦時条約があった。それは「使用できる兵器は1945年8月15日までに設計、または試作に着手した兵器のみ」という変な条約だった。だが、そんな条約があって、各国の軍人たちは最初は途惑ったが、次第にそんなのは慣れていき、戦いは連合軍が優勢になっていた。
2017年4月15日。欧州のとある地域の空の上で、10機の紫電改が飛んでいた。おそらく武力偵察だろう。
先頭を飛ぶ1機の紫電改には尾翼に白い雷と2本の赤いストライプが付いていて、もう一機は赤いストライプ1本の紫電改。そして最後に無印の紫電改が飛んでいた。
彼らは日本国海軍の戦闘機の中で精鋭の中のさらに精鋭を集めた精鋭航空隊「343海軍航空隊」の3つの精鋭戦闘機隊の一つ501戦闘機隊通称「抜刀隊」の部隊である。
「こちら疾風。杉田、異常はないか」
隊長である疾風村正大尉が副長である。先任搭乗員である杉田清美曹長に訊く。
「こちら杉田。周囲に異常はなし。それにしても隊長。今日はナチスの野郎おとなしいですね」
「ああ、まるで嵐の前の静けさだな」
そう話しながら空を飛んで偵察する。確かに空は静かで聞こえるのは味方である紫電改のエンジン音のみであった。だが、その沈黙もすぐに破られることとなった。
「っ!?隊長!!1時上空に敵機です!!」
と、隊員である中澤凪が、無線で知らせる。その無電を聞いた清美は、その方向を見るするとその方角には無数の点が見える。そう、敵の戦闘機だ。
「機種はbf109k型です!!数は18機っ!」
「国籍マークは!?」
「ハーケンクロイツにドクロ!ドイツ連邦じゃありません!!ナチスです!!」
「全機!増加燃料タンクを捨てろ!!空戦に入れ!!」
疾風の指示で全機が燃料タンクを捨て、空戦に入る。bf109もそれに気づきこちら向かって突進し機銃を撃つ。
一時期、平和だった青空は一気に戦場へと変わる。敵も味方も機銃を撃ちあい入り乱れ、機銃の弾が機体に当たり火を噴きながら落ちていくのもあれば燃料タンクに命中し爆散する機体もいた。まさにそれは地獄絵図だった。
その中で、ラバウルの時から、隊長である疾風とともに戦い続けた清美は敵の銃弾をよけ、敵の背後について翼内にある20ミリ4門を一斉に敵機に叩き込み撃墜する。
「よしっ!また1機撃墜!!我突撃す!日本国海軍先任曹長。戦闘501飛行隊「抜刀隊」副長。杉田清美とは私のことだぁ!!」
と、興奮しながら、敵を落とす。杉田清美曹長はその激しい戦いから「501の狂犬」と呼ばれて恐れられていた。その彼女に目をつけられた敵は決して逃れることはできない。そう血に飢えた狂犬から逃れることは絶対にできないのだ。彼女は乱戦の中、1機のbf109を見つける。次の獲物だ! 彼女は狂気じみた笑みを見せ、その機体へと向かう。そしてこちらの存在に気付いたのか敵機は慌てて逃げようとするが・・・・・
「逃がさねえぞ!!」
杉田は目の前にいる敵機を追いかけ機銃を撃つ。そして1発の20ミリ弾がbf109の翼に命中し、目の前のbf109は炎に包まれ地面へと吸い込まれるように落ちていくのだった。
「よし・・・これで6機目だな・・・・・ん?」
清美が周りを見ると、そこには紫電改がbf109に追われていた。清美の部下で、隊長機の3番機を務める中澤凪の機体だった。
「凪っ!くそ!待ってろ今助けに行くぞ!!」
そういい彼女は操縦桿を握りしめて彼女のもとへ機首を向けて突っ込み、そして凪機を追っている敵機に機銃掃射をする。いきなりの奇襲にbf109のパイロットは清美の顔を見る暇もなく撃墜された。
「す、杉田曹長。ありがとうございました!」
「凪!、空戦は常に背後に気を付け・・・・危ない!!」
清美がそういうと急に機体をあげて、凪機の盾になる形をする。するとどこからか、機銃の弾が降ってきて、清美の左翼に当たる。そう、実は上空から敵の戦闘機が急降下して凪の機体に機銃を浴びせようとしていた。それにいち早く気付いた清美だったが、無線だと間に合わないと判断し、彼女の機体の盾になるように機体を上昇させたのだ。
ボォン!!
左翼に敵の弾が当たってたちまち左翼から火が噴き出す。
「杉田さん!!」
凪は叫ぶが、清美の機体は火を噴きながらどんどん降下していく。
「な、凪・・・・・隊長のこと・・・あとのことは頼んだわよ!!」
「杉田さん!杉田さぁーん!!」
清美がそういうと、清美の紫電改がどんどん降下していく。それを見た凪は無線で清美の名を叫ぶが、彼女の乗る紫電改は雲の中へと吸い込まれそして消えたのだった。
日本国海軍曹長 杉田清美
東京のとあるやくざの長女として生まれ、8歳で海軍航空隊に志願。けんかっ早い性格でよく仲間の訓練生と喧嘩三昧な生活をしていため「狂犬」というあだ名がついた。12の時に当時軍曹だった清美は太平洋の最前線であるラバウルに配属され、当時11歳だった疾風村正少尉の2番機につくが最初は彼に対して反発的で、よく疾風に喧嘩を吹っかけていた。しかし、模擬戦で疾風にコテンパンにされてから素直に疾風の言うことを聞くようになった。
ある日、敵に撃墜され、近くにあった小島に不時着したとき「私は日本の王女、杉田だ!!」といい、救助が来るまで女王としてあがめられたことがある。
その後、上官であり悪友でもある疾風とともに欧州へと派遣され343海軍航空隊通称「剣隊」の501戦闘隊通称「抜刀隊」の副長に任命された。部下からの信頼も厚く「杉さん」または親しい人から「清ちゃん」っと呼ばれていた。
2017年4月15日に敵との交戦中、仲間を守るため自らを盾とし、左翼に被弾し、そのまま行方不明となって後に16歳で戦死と判定される。
疾風は彼女の死を思いっきり嘆いたという。その疾風も同年の8月1日に機銃暴発のため行方不明となった。
彼女の撃墜記録は202機となっている。
「くそっ!!まだ落ちんな!!」
清美はそういい操縦桿を思いっきり上げようとするが、自分も左腕を撃たれているため力が入らない。
「私は!私はまだ死ぬわけにはいかないんだぁ!!」
そう叫ぶ、彼女は額から流れる血を首に巻き付けたマフラーで拭く。そして再び操縦かんを握り何とか機体を上昇させようとするが、機体は言うことを聞かない。まるで誰かに操られているような感じだ。
「くそ・・・・私はここまでなのかよ・・・」
彼女はそうつぶやき、目を閉じる。そこに浮かんだのは今までの記憶だ。やくざの長女として生まれ、その後空を飛ぶ飛行機に憧れ、海軍航空隊に入ったこと。また訓練生の時弱い者いじめをする先輩訓練生相手に喧嘩三昧な日々を送っていたこと。ラバウルで相棒と呼べる疾風と出会ったことや、彼との模擬空戦で友情が芽生えたことなどの様々な記憶が頭の中をよぎる。
「くっ・・・・まだ、暴れ足りねえけど。仲間を守って死ぬんだ。こうゆう最後なら、まあ悪くないかな・・・」
彼女は最後に微笑んで自分の最後の瞬間を待った。しかし彼女の最後の瞬間は来なかった。なぜなら・・・・
「な、なんだよ。ここは・・・・・」
しばらく目をつぶって最後の時を待っていた彼女だが、一向にその時が訪れなかった。彼女は不思議に思い目をうっすらと開けるとそこは、今まで飛んでいた世界とは違う別の景色だった。そこには自分が幼少のころ住んでいた東京の景色に似ていたが、まるで違う未来の世界のような景色があった。
「ここは・・・・東京?いや、違う・・・・・どこよここは!?」
こうして彼女は自分のいた時代とは全く異なる時代へと流れつくのだった。
はい。今回はここまでにします。ちなみに彼女の名前モデルは紫電改の撃墜王、杉田庄一ですが、なんか書いているうちにドリフターズの菅野直っぽくなってしまいました。
死んだと思った彼女ですが、目を開けたらそこは自分のいた時代から80年後の世界だった。次回はブリュンヒルデが登場します。
次回もお楽しみに。