インフィニット・ストラトス~深緑の狂犬~ 作:疾風海軍陸戦隊
『ジークハイル!ジークハイル!ジークハイル!!』
ベルリンのとある場所で民衆たちのコールが鳴り響く中、演説台の上にハーケンクロイツの旗の前に長い銀髪の髪をなびかせた少女が立ち
「栄光ある、第4帝国臣民諸君今日は記念すべき日である!遂に我々はイギリスを除く欧州を制圧し、そして今、アジアの半分を手に入れようとしている!この戦争が始まって以来我々は一度も敗北していない!!だが諸君忘れないで欲しい、現在我々を囲む状況は非常に困難である。アメリカ、イギリスなどの連合軍はもちろん愚かしくも東洋の黄色いサルである日本までもが我々に平伏す事を拒否し無謀な戦争を仕掛けてくる!だが諸君安心した前!我々ナチスは!第4帝国は不滅だっ!!我々には屈強な兵士や親衛隊たちがいる!彼らの活躍によって連合軍の連中は一人残らず殲滅されるだろう!諸君我々に逆らう者共が潰えるまで戦い抜こう!我々に逆らうやつを皆殺しにするのだ!栄光ある第三帝国の永遠の繁栄のために!ジークハイルッ!!」
ナチス式敬礼を上げそう叫ぶと、それを聞いた民衆たちが
「ジークハイル!!ハイルフューラー!!ハイル!アドラー!!」
彼のJをたたえるかのように彼らもまたナチス式敬礼を上げそう叫ぶのであった。そしてそれを聞いた彼女はにやりと笑うのであった・・・・・・・・
「はっ!!」
学園の屋上の上で、ドイツから転校してきたラウラ・ボーデヴィッヒは目を覚ます。本来この時間、彼女のクラスは2組と合同のISの訓練なのだが、彼女は参加せず、ここ屋上でみんながISを運転しているところを見ていたのだが、おそらく寝ていたのであろうか目を覚ますともう授業が終わりそうな時間になっていた
「なんなんだ・・・・・・・さっきの夢は・・・・・」
ラウラは先ほどの夢を思い出した。自分とそっくりの少女がかつて悪魔の軍団と称されたナチスドイツの旗を掲げて演説をしていた姿を・・・・・
「誰なんだ・・・・あの女は・・・・・」
そうポツリとつぶやく中、ラウラはちらっとアリーナの方を見ると一夏が箒と何か話していた。それを見たラウラは険しい顔になり・・・・・・
「織斑‥‥一夏」
と、鷹のように鋭い目つきで彼を睨みそう言うのであった。
「う~ん!久しぶりに相手に飛行技術を教えたから少し疲れたな~」
訓練が終わり清美は背を伸ばし、そう言う。
時間は少し遡り、今回の訓練では、まず始めに専用機モチによる実演が始まった。その時セシリアと凛院が山田先生相手に試合したのだが、結果は互いに込みにケーションが取れずに山田先生の見事な射撃にて完敗し墜落 グラウンドに小規模なクレーターを作る羽目になった。聞けば山田先生は元日本の代表候補生だったとか・・・・
まあ、それはともかく専用機の実演が終わった後は各グループに分かれて専用機持ちの生徒が他の生徒にISの動かし方や飛行の仕方を教えることになったのだが、一夏とシャルルの班では
「一目見た時から決めてました!!」
「ぜひ、手取り足取り教えてください!」
と、ものすごい笑顔でアピールで二人に迫る女子に対し、セシリア、鈴の班になった生徒は少し落ち込んでいて、私にいたってはなぜか怯えられた
「あの・・・・・何であんたたち怯えているのよ?別にかみついたりしないわよ?」
「え?だって清美さん『狂犬』て仇名なんでしょ?」
「それに聞けば清美さん前に素手で机を真っ二つにしたじゃない?間違えたら殴ったりしないよね?」
と、少し怖がってそう言うと
「大丈夫だよ~キヨキヨはとっても優しいからそんなことしないよ~ねえ、そうでしょキヨキヨ~♪」
と、一緒の班になった本音さんがそうフォローし私も頷いて
「ええ、別に失敗するのは誰でもあるし、別に理不尽に殴ったりしないわよ。まあ命にかかわるような失態したら怒るけど。そんなことはしないわよ」
軍隊では鉄拳制裁なんてよくあるのだが、私が所属した部隊、いや訓練場では鉄拳制裁は本当に命にかかわるような失敗をしなければ殴られることは一切なかった。殴って相手の腕が上達できれば苦労はしないからね
「は~良かった~」
「ほんと良かった~」
それを聞いて女子生徒たちはほっとした顔になりそれを見た私はふっと笑い
「それじゃあ、練習を始めましょうか」
『はい!』
私の言葉にみんなは返事をし、私はまずISの基本である歩行から始める
「そう、そのまま、そのまま。慌てないでまずは自分のペースで動いてみて」
「は、はい!」
と、緊張をほぐすように私が言う中、女子生徒は返事をし、ISを稼働させる
「うん。先ほどより上達したわね。よし、じゃあ次の人に交代して。ただし降りるときはしゃがんで降りてね。そのまま降りたら次の人が降りれないから」
「は、はい!」
と、私は根気よくそしてわかるように相手にいろいろISの操縦の仕方を教え、そして授業が終わると
「いや~、まさかここまでできるとは……」
「杉田さんでよかった!」
「最初はひやひやしたけどね……」
「ありがとう杉田さん!」
と、お礼を言われた。私は別にお礼を言われるようなことは一切していない。ただ元の時代でやったように新兵の訓練の指導をしたのと同じ感覚でやっただけなんだけどな・・・・
「じゃあ、すぐに機材をかたずけようか」
「は~い」
と私たちは使用したISを少し談笑しながら倉庫に戻し、各自分かれて今に至るのだ。
「それにしてもあれくらい素直だと、かえって物足りない感じだな・・・・」
私がぽつりと呟く、私…いや隊長と一緒にいた部隊は基本的に問題児が多く、よく私か隊長に反発したりして結構大変だったのを覚えている。まあ、書くいう私自身も隊長に反抗した問題児の一人なんだけどな・・・・
「はぁ~ポッポが私に反抗してきたときのあの頃が懐かしいな・・・・・」
私は遠く見つめかつて部下であった彼女を思い出す。
ポッポとは新たに配属された新人の子で本名は羽藤沙月。性格はくそまじめでマニュアル重視のマニュアルバカではあったが、小柄でみんなからは羽藤の羽を取って『ポッポ』と呼ばれていた。私がそんな昔のことを考えながら。私は別のことを考えていた。
ラウラ・ボーデヴィッヒについてはナチス総統ラウラフォンアドラーと無関係だというのはすぐにわかったが、彼女の素性についてはドイツ軍の規制によって調べることはできなかった。そのほかにシャルル・デュノアも彼が転校してきてすぐに調べたが彼はフランスISメーカの大企業デュノア社の社長の子だということはすぐにわかった。ただ、問題なのはそこではない。問題はデュノア社の社長に息子はいないということだ。万が一息子がいてISを操縦できるのならとっくの昔にニュースになっているし、それに会社からすれば大宣伝に利用できる。そのため私はシャルルのことが少し気になっていた。それ以前にも私には気がかりなことがあった
「デュノア・・・・・もしかしてあのシャルルもあいつの子孫なのか・・・・・」
そう呟くと・・・・
「お、杉田」
「あ、一夏。あなたも今終わったの?」
偶然、一夏と出会う
「ああ、・・・・あ、そうだ杉田。ちょっといいか?」
「ん?」
学園の屋上
「・・・・・で、一夏。これはどういうことだ?」
箒が一夏をジト目でそう訊くと一夏は笑って
「いや、だって大勢で食べたらうまいだろ?それにシャルルは転校して来たばっかりだし、右も左もわからないだろ?」
「それはそうなんだが・・・・・」
と箒はため息をつく。そう今私は先ほど一夏に一緒に昼ご飯を食べようと誘われついてきたところ。屋上にて一夏や箒、セシリア、鈴、そしてシャルルと一緒に弁当を食べているのだが箒は一夏のことをジト目で見ている。恐らく箒が一夏に一緒にご飯を食べようと誘っていたみたいなのだが‥‥一夏の奴。本当に女心がわかっていない・・・・
「えと・・・・僕、帰った方がいいのかな?」
「いや・・・もういい・・・・」
シャルルが気を使って言うが、箒は諦めたように返した。そしてその後はみんなでお弁当を食べ始める鈴は酢豚で、箒は唐揚げ、セシリアはサンドイッチ。ちなみに私はおにぎりと沢庵と紅鮭であった。そしてみんなお弁当のおかずを交互に交換して食べて、鈴の酢豚はとても美味しく。高級店でも出せるくらいの味であった。次に私はセシリアのサンドイッチをいただく。そう言えば彼女の祖母、私にとっては戦友だったリネットは料理が趣味でその腕前は一流シェフに劣らない料理が得意だったがどうかな・そう思いながら私はセシリアのサンドイッチを口に入れる・・・・その瞬間・・・
「っ!?」
サンドイッチを食べた瞬間私は冷や汗が止まらなくなった。な、何ともいえないこの味……! 口の中で、甘みと酸味と苦みと渋みと辛味が狂ったようにコサックダンスを踊っている!!な、なぜだ・・・・なぜこんな味に…見た目はすごくおいしそうなのになぜこうなった!?
「どうですか清美さん?」
にこやかにそう言うセシリアに私はまずいとは言えず
「・・・こ…個性的な味だな・・・・」
苦笑いして最大級のお世辞を述べるのだった・・・・・・・その後私たちは軽い談笑をした。すると・・・
「へ~シャルルってデュノア社の社長の子なんですか?」
「うん。そうなんだ。そう言えばセシリアさんの家も確か有名な企業のだったよね?」
「へ~本当なのかセシリア?」
「はい。そうですわ。でもそれだけじゃありませんわよ私の祖母はかつて第三次世界大戦でエースパイロットとして活躍していたらしいですわよ」
「へ~そうなんだ」
セシリアの言葉に一夏はそう言うと鈴音も
「それを言うなら私のおばあちゃんも第三次大戦のエースパイロットなのよ!」
「え?そうなのか?」
へ~それは初耳だな・・・・私はお茶を飲みながら黙って聞いていた
「そうよ一夏!あの戦争中国は参加してないって言われているけど、本当は義勇軍として参加していたのよ。もう亡くなっちゃたけど、私のおばあちゃんもその義勇軍の一部隊の隊長として参加してたんだよ」
「へ~・・・で、どんな部隊なんだ?」
箒がそう訊くと鈴音は
「う~ん・・・・・確か第二次世界大戦でも活躍した部隊で・・・・・確か『フライングタイガース』だったかな?」
「そうなんですの・・・・で、おばあさまの名前はなんていうの?」
「確か・・・・・・嫁入りする前の名前は確か・・・・・張蓮華…だったけ?」
「ぶふっ!!」
「うわっ!ちょっ、大丈夫か杉田!?」
「だ、大丈夫。ちょっと咽ただけだから・・・・・」
私は鈴音の祖母の名を聞いた瞬間、思わず飲んでいたお茶とともに吹きだしてしまった。するとシャルルは
「張蓮華…‥『空の呂布奉先』と呼ばれたあの中国の撃墜王?」
「うん。その張蓮華。今では鳳蓮華になっているけど。小さい頃よくおばあちゃんにその時のこと訊かせられたよ。特に日本人と喧嘩した時の話をしたときおばあちゃん嬉しそうに話してたよ」
「日本人と喧嘩?」
私がそう訊くと
「うん。なんでもおばあちゃんが若い時、部下と一緒にとある酒場で同じ店に入った日本の戦闘機乗り達と鉢合わせしたらしいんだけど、何かの言い争いで大喧嘩になったらしいのよ。特におばあちゃんその中でも日本人女性のパイロットと激しい殴り合いをしたんだって。でもその後、互いの腕を認め合ってその日本人と仲良くなったみたいだよ。おばあちゃんによれば『いい友人ができた』って言ってたよ」
「な、殴り合いって・・・・」
「へ~それは‥‥すごいね」
と見んなは苦笑し、私も苦笑いをしながらお茶を飲む。そして・・・
「(その日本人・・・・・・・・私だ・・・・)」
鈴音の話で今思い出した。確かに私蓮華と殴り合った。確かあれはとある店で、から揚げに何をかけるかで口論になって、蓮華が私に水をぶっかけたのが喧嘩の始まりだったな。まあその後青春ドラマみたいに殴り合った後、互いの腕を認め合って仲良くなり、たまに道子やリネットたちと一緒に買い物に行ったりカフェでお茶したりなんかといろんなことしたっけ・・・・・と、言うより鈴音が蓮華の子孫だというのに驚いた。確かに言われてみれば目つきが似ている・・・・・それよりもこの学園ってやたらに私の知人の子孫が多いんだけど・・・・・・
そんなことを思っていると一夏は
「そう言えば、シャルルのおじいちゃんやおばあちゃんも戦争に参加したのか?」
と、そう訊くとシャルルは
「う~ん・・・・・僕あまりおばあちゃんにあったことないからわからないけど戦争には参加していたって言っていたよ。なんでも自由フランス軍に所属していたとか、でも初戦でナチスの捕虜にされてしばらくナチスの兵としてアジアで戦っていたみたいなんだけど、すぐにナチスから脱走して連合軍に保護されてまたフランス軍として戦ったみたいだよ?」
とシャルルはそう言う
「(・・・・・・やっぱり。こいつは・・・・)」
シャルルの言葉に私はじっと彼を見る。すると昼休みを終えるチャイムが鳴る
「あ、チャイムが鳴った。もうそろそろ教室に戻らないと」
「そうですわね」
と、みんなかたずけをし教室に戻るのであった。そんな川田氏はシャルルを見た後、空を見上げ
「(ああ・・・・何という運命のいたずらなんだよ・・・・・・・そうだろ姉妹・・・)」
と空を見上げてそう小さな声でつぶやくのであった