インフィニット・ストラトス~深緑の狂犬~ 作:疾風海軍陸戦隊
「杉田・・・・清美」
突然、邪魔をされラウラは空を見上げると、そこには紫電を纏い怒りを含んだ眼でラウラを睨んでいた杉田の姿であった。
「・・・・・」
清美がここにいいたのは数分前のことだ。新しく配備された機関砲とブーメランであるアイスラッガーの点検が終わり、アリーナに来てみれば、そこでラウラがセシリアや鈴音たちと模擬戦でもやっているかと見ていたが、だんだんとそれがエスカレートしてきて、今にも二人を殺さんとするラウラに清美は黙っていられず、IS紫電を纏い出撃したのだ
「貴様・・・・・なぜ邪魔をする」
ラウラは清美を睨み、そう言うが清美は
「ガキがじゃれ合うぐらいなら別にこのままだったけど・・・・少しやりすぎのようだなラウラ・ボーデヴィッヒ?」
清美はそれ以上の殺気を含めた目でラウラを睨み、そして
「そんなに暴れたいなら。アグレッサー経験の俺が相手になってやるぞ小童。お前に本当の戦い方を教えてやる」
その冷たく、そして重い言葉にラウラは初めて身震いがした。教官である織斑千冬以上の威圧が彼女を襲った。
「(な・・・なぜだ。なんで私はこんなただの学生に震えている・・・・いいや、そんなはずはない!)ふん!織斑一夏同様、貴様らのような有象無象のひとつでしかない存在に負けるはずがない!!」
「グダグダ言っていないで、さっさとかかってきなよ
杉田は不機嫌だった。ラウラは織斑やセシリア達を有象無象のひとつでしかないと言った。その有象無象とはこの学園の生徒全員を意味している。そんな馬鹿な意見を持つ物には当然、軍人の先輩としてお灸を据えなければならないだろう。しかし現在の清美はあの無人機襲撃事件で腕の骨にひびが入っていた。以前に比べて治りかけて入るのだが、まだ完全には直っていなくたまに鈍痛がする。しかし闘争本能が燃え上がった清美にはそんなものは関係なかった。
「思い上がるなよ。たかが訓練機と同性能の第一世代型で私の相手をするか?」
「お前こそ思い上がるなよ。さっきも言ったようにISの性能差が勝敗を分かつ絶対条件ではない事を教えてやる!」
「ならば容赦はしないっ!」
感情的になって突っ込んでくるラウラ。その動きは至極単純で、カウンターを当てるには簡単すぎる程だ。
「ぐっ!」
清美のカウンターパンチをまともに食らい、よろけるラウラ。それを見た清美は
「そんなものか少佐?やはり士官学校上がりは一から戦場で戦っている奴より経験不足のようだな」
挑発することで相手の激情を買い、相手の動きをさらに感情的にさせる。
「貴様・・・・やはり軍人。しかも下士官だな!」
「今は違うさ。今はただのヤクザ気取りの学生だ」
片手に20ミリ機関砲を構え(※普通の人には持てない)ラウラに向けて20ミリ弾を撃つ。ラウラは慌てて射線上から出ようとするが、至近距離から放たれた弾を完全に避けることはできずに掠り傷を負う
「くっ!この下士官風情が!!」
感情に流されるままラウラはワイヤーを放つが
「デュア!!」
清美がアイスラッガーを投げるとアイスラッガーは白熱化しそして清美の脳波によるコントロールでワイヤーを切り刻む。そしてラウラは次にレールガンを放つが清美はその弾道を読み次々とその攻撃をよける。
「なぜだⅠなぜ当たらない!!?」
あれだけの攻撃をして躱されることに焦りを覚えるラウラ。そんな中、清美はラウラを冷静に見ていた
「(ラウラよ。お前は軍属でIS専用の部隊の隊長で、確かにそれに見合うだけの実力がある。しかもお前は織斑千冬に──その強さに憧れているんだったな。しかしラウラよ。心得ているか?道子には悪いけどISは確かに兵器だ。世界最強の力だ。だが、それが必ずしも強さに繋がるとは言わない。攻撃力は・・・・暴力あくまで暴力でしかないのだ。今のお前のやり方は完全に間違っている。単純に言う強さは軍事的価値と言って大差ないが、哲学的な強さはもっと複雑で奥深な物なのだ。だからそれを分かっていないお前は・・・・・・)」
そう言い清美は機関砲をしまい、アイスラッガーを手にする。そして
「お前はまだまだ軍人としては
ラウラよ貴様にはわかるか?生まれた時代は違えど身体的な幼さを言うなら、俺とお前の年齢は一緒なのだから俺も幼いという事になる。しかし俺はあの戦場で強さを見つけた。ただの暴力ではない本当の強さを…力とは何かを、力とはそんな形だけの物じゃないことを・・・・今のあなたには持っていないものだ
「喰らえ!!」
アイスラッガーの刃をレーゲンの装甲に刃を押し込む。しかもそこはレーゲンの特徴とも言えるAICの展開するための機関だ。しかし破壊した訳ではない。あと1センチ押し込めばAICを展開できなくなる。しかしそれは今度の学年別トーナメントに支障をきたすため武士の情けとしてそれはしなかった。代わりに俺はラウラの体を掴みCQCの技で奴を組み伏した
「こ、この私が……お前ごときに!!」
「これでも学園の生徒皆が有象無象だと言うのかラウラ?まだ不満がありやりたいのなら私は喜んで続きをやるわよ。どうする?」
「くっ・・・!!」
清美の言葉にラウラも今の状況が分かっているのだろう。これ以上抵抗することはなかった。そしてそこへ千冬がやってきて、今後トーナメント戦が行われるまでの死闘を禁ずるという命令が出てしまった。そしてその戦闘を見ていたシャルルは
「すごい・・・・・・第一世代で第三世代に勝つなんて・・・・・ねえ、一夏。杉田さんって・・・一体?」
「俺にもわからねえ。でもすげぇ・・・・・やっぱり俺、杉田に勝てる気がしないよ」
と、唖然とした表情で見ていた。そして同じく箒も
「(なぜだ・・・・なぜあんな奴にそんな力が・・・・・強さがあるんだ・・・・)」
と疑念の目で見ていた。そして一方、清美の方は暗い廊下の中利き腕を押さえていた
「ちっ・・・・・・少し無理をしたか・・・・」
少し顔を歪ませ、そう言うそして抑えている腕は紫色の痣ができ少し腫れていた。自分の腕を見た杉田は
「まあ、きつくテーピングして補強してトーナメントまで大人しくしていれば大丈夫か・・・・・あ、そうだ今夜にでもシャルルと話し合うか…あいつの今後の運命を」
そう独り言をつぶやき、誰もいない廊下を一人寂しく歩くのであった。