インフィニット・ストラトス~深緑の狂犬~   作:疾風海軍陸戦隊

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歯食いしばれ

「もう!清美さん!あまり無茶しないでよ!」

 

「アハハ・・悪い悪い」

 

私は部屋に戻った後、簪に怒られた。理由は腕を怪我しているにも関わらずに無茶をしてけがを悪化させてしまったことだ。

 

「でも、保健の先生にはテーピングを巻けば大丈夫だって・・・・」

 

「でも!」

 

簪は心配した表情で私を見る・・・・うん。これは私もやりすぎちゃったみたいだな」

 

「本当にごめん簪。心配してくれて」

 

「当たり前だよ。だって友達じゃない!」

 

「友達か・・・・嬉しい言葉だな」

 

私は素直に嬉しかった。この時代、友も身内もほとんどいない未来の世界。その世界で初めて友達になってくれた簪の言葉に

私は簪の言葉に感謝した

 

「それで清美さん。今度のトーナメント戦。出れるの?」

 

「保険の先生によればテーピングでしっかり固定すれば出れるがあまりお勧めしないと言われたよ。まあ、大丈夫さ」

 

「もう・・・・」

 

「そんな心配そうな目で見るなよ」

 

「じゃあ、約束。清美さんは後方での支援。私が前衛に出るから」

 

「わかった。わかった。援護射撃は任せてくれ。まあ、今回の試合はもともと簪に前衛に出てもらおうかと考えていたしな」

 

「え?」

 

「お前の空戦の練習を見て。お前のIS、打鉄弐式は機動性に特化したISだ。しかも練習の成果を見るに機体の操縦に慣れてきている。そろそろ前衛の戦い方を覚えるには今回のトーナメント戦はいい機会だと思ってさ」

 

杉田は簪に自分の素性を話した後から彼女の訓練の指導をしていた。ラバウル時代から新人の教育係をしていた彼女から見て、簪の動きは最初に比べればよくなっており、そろそろ前衛の経験を積ませてもいいと考えていたところちょうどいいところにトーナメント戦の話が出たのだ

これを機会に杉田は彼女に前衛に出てもらおうと考えたのだ。もちろん断れば自分自身が前衛に出て見本を見せようとも考えていたが、簪は

 

「うん!私頑張るよ清美さん!清美さんに教えてくれたこと発揮してみたいから!!」

 

「あはは・・・そうかい」

 

どうやら無駄な心配だったようだ。そう思い杉田は立ち上がる

 

「さてと・・・・」

 

「どこに行くの清美さん?」

 

「ちょっと野暮用でね。ちょっと部屋を出るけどいい?」

 

「う、うん」

 

清美の言葉に簪は頷くと清美は部屋を出て、一夏のいる部屋へと向かう理由はシャルル・・・いやシャルロットのことだ。彼女が今後どうしたいかを聞くためだ。

もし、デュノア社の言いなりになりたければそれでいい。自由に生きたいのであれば中嶋さんが用意してくれた逃げ場を紹介する。

シャルロットの父親についてはすでに話をつけている。

杉田は時間を作り、モニター越しで彼と話したが、いい父親であった。常に娘のことを気遣い。娘の幸せを考えていた。だが立場上、それを娘に伝えることも話してやることもができなかったことを後悔していた。

それで一時とはいえ、表上はISのスペックを盗めという名目で国外の日本に留学させ、デュノア社から彼女を遠ざけた。だが、それは一時的なしのぎでしかない。いつ帰還命令が出てもおかしくはないからだ。今の会社の主導権を握っているのは妻の方であり父親である社長にはなんも権限がないに等しいのだ

 

「(それで、彼女の未来を中嶋さんや私に委ねたっか・・・・・不器用な愛情だな)」

 

清美は彼女の父親の不器用な愛情に半ば呆れつつもいい父親だと思った。

清美の実家は関東…特に浅草を縄張りとする大ヤクザの一家である。そしてそのヤクザの組長の長女として生まれた。むろん兄とか弟はいない。だから清美は次期、組長としての期待が大きかった。特に彼女の父親はそうだ。だが、第三次大戦が勃発し、軍に志願したいと願ったときは大げんかになった。

 

『戦争は男の仕事だ。お前は…特に女は体に傷をつけることはするな』

 

父親にそう言われたとき、清美も

 

『ヤクザに生まれたらどっちにしたって血で血を洗う世界に入る。そしてどのみち私の体も傷だらけになる!だからどうせ傷だらけになるのなら、この命、この体、ヤクザの抗争ではなく!国を守るために使いたい!!』

 

そう、抗議し、清美は半ば家で同然に組を出て行ったのだ。だが、軍に入り、ラバウルに配属になったときは父親からの手紙がいくつも来た。

『怪我してないか?』『虐められてないか?』『ご飯はちゃんと食べているか?』と、あれだけ大喧嘩をしたのにも関わらず家出した娘に自分を心配してくれる手紙を送ってくれるなんて、その時、清美はその嬉しさに思わず涙ぐんでしまったことを思い出した。しかし彼女は返事を書かなかった。いや、書けなかった。あんな大ゲンカしたにもかかわらずどう返事をすればいいか、彼女はわからなかったのだ

 

「(今思えば、ちゃんと返事書いとけばよかったな・・・・本土に戻っても道子の家に世話になってたし・・・・あ、そう言えば夏祭りのときに話したっけ。まあ、あんときは軽い会話で終わっちまったけど・・・・)」

 

あの時ちゃんと話せばよかった。そう清美は思っていた。

 

 

 

 

そしてしばらく歩き、一夏とシャルロットの部屋がある場所に近づいてきた

 

「一夏・・・・シャルロットに変なことしてなきゃいいんだけどな・・・」

 

ふと、清美は一夏のことを思い出した。あの時彼女について彼に聞いたときあいつは動揺していた。間違いなく一夏は彼女の正体を知っている。

問題はそこじゃない。仮に男女同じ部屋にいるそれが問題なのだ。

一夏が彼女に何かしているんじゃないか少し不安に思えたが・・・・

 

「(いや、それはないか。あいつは恋愛ごとに不器用だし、何より女に手を出すほどの馬鹿じゃないからな・・・・・・たぶん)」

 

清美は一夏がそこまでの変態じゃないだろうと考える…いや、そうであってほしいと願っていた

 

「(まあ、出したら出したで顔の形が分かんなくなるまで殴るけどな)」

 

そんなことを考えつつ、一夏たちの部屋にたどり着く清美。

 

「さてと・・・・」

 

彼女は深呼吸して、ドアをノックする

 

「おい、一夏。私だ。杉田だ。例の件で話に来た。いるんならドアを開けてくれ」

 

そう言うが返事は帰ってこない

 

「・・・・いないのか?」

 

首をかしげるがドアの奥から、声が聞こえる。聞こえるってことはいるっていうことだ。

 

「おい!一夏!返事ぐらいしろ」

 

そう言いドアを叩くと、ドアがすっと開く

 

「ん?開いてる?不用心な・・・・・」

 

開いているのなら仕方ない。そう思い彼女は中に入る。そして寝室に入ったとき二人の姿があった

 

「おっ!いたいた…いるならいるって返事を・・・・・・・っ!?」

 

その瞬間、彼女は衝撃的なものを目にした。それは上半身裸で下着一枚の一夏が、四つん這いで下着姿のシャルロットのパンツを飛びついて脱がしていたのだ

 

「なっ!?ななな!!」

 

「す、杉田!?なんで部屋に!?」

 

「えっ!?す、杉田さん!?」

 

杉田の姿に二人は驚くが杉田は体をわなわな震わせる

 

「言っただろ?後で部屋に来ると・・・・ノックしないからいないのかと思ったがドアが開いていたから中を見たんだが・・・・・・」

 

氷のように冷たい声でそう言う、杉田。そして杉田は

 

「おい、一夏・・・・・その手に持っているのは何だ?」

 

「え・・・えっとその・・・・」

 

「杉田さん。これは誤解だからね?」

 

杉田が一夏の持っているパンツを指さし二人は慌て言い訳をしようとするが、

 

「おい・・・・一夏」

 

「は、はい?杉田・・・・さん?」

 

どすの利いた声に一夏は顔を青くすると杉田はニッコリと笑う。しかしその目は笑っていない。そして拳をぎゅっと握りしめ

 

「話し合いの前にやることができたわ……覚悟はいいな?自称ハーレム野郎及びリア充さん?」

 

そう言うと同時に、杉田の目は狂犬のようにギラリと光り

 

「てめぇ!!歯ぁ食いしばいやがれ!このガキャァー!!!」

 

その怒鳴り声と同時に衝撃音と一夏の悲鳴が上がるのであった

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