リリカルでマジカルな世界に憑依転生した正義の味方(StrikerS編制作検討中)   作:四条小鳩

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 ついに闇の書が完成してしまい、高町はやてちゃんと八神はやてちゃんがその中に閉じ込められてしまいました。残されたフェイト・テスタロッサ達と守護騎士ヴォルケンリッターは共闘をしますが、そこに抑止の守護者が現れ───。


第四話「決戦の刻」

 高町なのはが八神はやてを連れ出して巻き込まれた漆黒の魔力の塊がある海鳴市の大きな公園の上空に、闇の書の主であるはやての形をした少女が出現した。

「あれは?はやてお姉ちゃん?」

 アリシア・テスタロッサが尋ねる。

「違う、あれは私達の主殿ではない。あくまで、仮の姿だ」

 その言葉に守護騎士であるシグナムが応える。

「わかった」

「この手に力を」

 少女の言葉に応じて闇の書が出現する。

「封印───開放」

「Freilassung」

 漆黒の魔力が迸り、少女の姿が別人に変化していく。

 こうなったら後がないと判断したフェイト・テスタロッサは予め考えていたことをすぐに持ちかけた。

「私とシグナムさん、ヴィータさんが前衛、あとは後衛で!!」

「共同戦線か───了解した」

「あいよ」

「はい、お姉ちゃん!」

「わかりました!」

「わかった」

 その言葉と同時に人形が女性の形へと変化し、二対の羽を生やして体を黒装束で纏った赤目の女性が出現した。

「いくよ、闇の書さん───魔力の貯蔵は十分ですか」

 マスターの言葉を真似たアリシアのかけ声とともに戦いの火蓋は切って落とされた。

 

 ───その少し前の私はというと…。

「ん…」

 誰かに揺さぶられていた。

 誰だ一体。

 そう思ってまぶたを開ける。

「おい、なのは!大丈夫か?」

 はやてが私の体を揺すぶっていた。

 そういえばはやてを公園にまで連れて行こうとして───こんな時に気絶とは私も修行がたりないなあ。

「よかったあ…。気が付いたら私となのははんしかいなくて」

「うん、心配かけてごめんね。このぐらいならなんともないよ」

 さっと体に解析魔術をかける。

 うん、リンカーコア、魔術回路、肉体、魔力共に異常なし。

「今診断したけど問題ないから、安心してね。それにしてもここは?」

「わからへん。うちも気がついたらここにおったんよ」

 二人して首をひねる。

「本当は二人には起きてほしくなかったのですが…」

 唐突に女性の声が響き渡り、私達はそちらを向いた。

「誰や?」

 ああ…なるほど。

 この中に存在し、かつ状況を理解しているとなると導き出せる答えは一つしかない。

「───もしかして、闇の書のメインプログラムさんかな?」

「お察しの通り、私は夜天の書の管理プログラムです」

 いつの間にか、私は敵陣の大将の前で自害を迫られている侍のような大ピンチに陥っていた。

 

 闇の書の行使する猛烈なデアボリック・エミッションやシュヴァルツェ・ヴィルクング、そして守護騎士達が収集した魔導師の攻撃魔法の雨あられに各々が強力な力を持つヴォルケンリッター達も苦戦を強いられていた。

「ちっ!カードリッジ切れか!」

 シグナムは舌打ちしながら空になったカートリッジを投げ捨てた。

「シグナムさん!!」

 フェイトが自分のカートリッジをシグナムに放り投げる。

「お前───いいのか?」

 彼女は受け取りながら意外そうな顔をしていた。

「こんな時だから…私達の目的は一緒。多分規格は一緒だから使えるはず」

「すまない。恩に着る」

 そういって彼女は受け取った新しいカートリッジをデバイスに装填した。

「はああ!」

 それを余所に、アリシアが迎撃しそびれたレーザーのように放たれる闇の書の攻撃魔法を勝利すべき黄金の剣(カリバーン)で切り裂く。

 なのはのスターライトブレイカーは利用できたが流石に魔術…特に無限の剣製については複製ができなかったためか攻撃は魔導師の範疇であった。

「アリシアちゃん、すごい…」

 自陣に陣取って身体強化を施した体で黒鍵を投擲しながらユーノを守るすずかが呟く。

「しかし、なのはが用意したすごい剣があるとはいえ、あの子はいつの間にあんなに戦えるようになったんだい?」

 ユーノ・スクライアがアリシアの動きに驚いていた。

「プレシアは基本的な魔法しか教えてなかったよ。あんな剣を使った格闘術なんて教えてなかった」

 実戦経験があるフェイトと違い、プレシア・テスタロッサから魔導師としての訓練を受け始めたばかりのアリシアはまだそこまでのレベルにはいっていないからフェイトの使い魔であるアルフも不思議そうにしていた。

「言われてみれば普段の魔術の練習でもそういう訓練はしてなかったよね」

 口々にアリシアの戦闘能力に疑問を呈していた。

 ───疑問に思っている通り、アリシアは剣道など武道の心得などなく、使い手には及ばないがそれなりに使えるようになる憑依経験は無限の剣製が使えるなのは…正確には衛宮士郎だからこそ行使できるものであり、真の使い手でもなにもない勝利すべき黄金の剣を十分に使いこなせるわけではなかった。

 ただ、極限状態におかれた彼女のサーヴァントとしての潜在的な能力とライン越しにマスターであるなのはから固有結界などの能力をいくらか受け継いでいるため不十分ながらも剣を使いこなすことができた。

 

 ───決定打が欠けている。

 闇の書の内部から映し出される今の外の戦局を評価するならそう判断されるだろう。

「うーん…結構押されちゃってるな」

「キツイのか?」

「各々火力はあるんだけど、チームプレイがね…。それにアリシアちゃんの魔力で結構エネルギーを溜め込んでるみたいだから」

 急造チームだし、なにより敵の火力や力が強すぎる。

 そんな状況で皆が戦っているのを指を咥えてみているしか無いのを歯がゆく思いながら、私ははやてとともにある一つの可能性を思い浮かべた。

 闇の書が海鳴市で完成したため、暴走するということはここだけではないレベル…すなわち人類の生存が危機に陥る可能性があるということだ。

 ───となると世界は抑止の守護者(カウンターガーディアン)をこの世界に送り込むはずだ。

「こうなったら、多分来るんだろうなあ…」

 無意識に呟いてしまった。

「誰?」

「こちらに誰か来るのでしょうか?そうすれば主は助かるのですか」

 はやてと管理プログラムが私に尋ねる。

 アラヤが抑止力として英霊を送り込む場合は十中八九アイツに決まっている。おそらくアイツしかいないという確信もあったのだが。

「助かるかは正直言って保証できない。誰が来るのかは…来ればわかるよ。なのはが嫌いな人、って言えばいいかな。まあ向こうも同じだろうけどね」

「なのははんが嫌いな人なんておるのか?」

 馬鹿をし合う悪友な存在はいても、嫌いな人物というのが想像できないのが目の前にいる少女、どこまでも心優しく究極のお人好しな高町なのはなので彼女の疑問はもっともである。

「なのはが嫌いな人なんて数えられるぐらいけど。どっかの辛い物が好きな似非神父と金ピカと…ソイツぐらいなの」

 彼女の疑問に私が応える。

 アイツだけは因縁は無くなっても未だに相容れない───言うなれば同族嫌悪なのだろう。

 そんなことを考えていたら、奴が何もない空間に強大な魔力を伴って突如現れた。

 

Interlude

 

 ───アースラの司令室。

 クロノ・ハラオウンはギル・グレアムを拘束してアースラに帰還した後に闇の書の動向を監視していた。

「来たか」

 空中に浮かぶ闇の書の前に急激な魔力が集まり始め、人の形を取り始めた。

 やはり予想通り、世界はあの時と同じように抑止力を送り込んできたとモニターを睨んでいた彼は思った。

「クロノ、やはり彼が?」

 隣に来たリンディ・ハラオウンが尋ねた。

「ええ、提督。彼が来ました」

「被害は書だけでなのはさん達を無事に助け出せるといいのですが…」

「それができるようにこちらでもサポートするしかありませんね…」

 

Interlude end

 

「あれは…!?」

 アルフやフェイトは彼との再会に驚きとともに、ユーノやすずか、ヴォルケンリッター達は突然の侵入者の登場に動揺していた。

「アーチャーさんだ…!助けに来てくれたの?」

 唯一、それなりに冷静に反応していたのはアリシアであった。彼女はなのはの生前…あの城での戦いを夢で見たためだろう。

「なんかいきなりごつい兄ちゃんが来たな。あいつは何者やろ?」

 モニター越しにそれをみたはやてが聞いてきた。

 予想はしていたがその人物と再会することに私は心底嫌そうな顔をしながらも、闇の書が暴走しているこの場では世界というか守護者の手でも借りたい状況なのでしぶしぶ私はアラヤの守護者、英霊エミヤを見据えた。

「───また、来たんだね」

「なんですかアレは。巨大な魔力の集合体のように思われますが」

 管理プログラムが尋ねてきた。

 霊長の守護者は闇の書という世界への脅威に対処するために現界したようだ。

 彼に歯向かわなければ、意志がないとしてもエミヤは味方として働いてくれるだろう。だから嫌悪感を振り切って彼を見つめる。

 となると此処から先の重要な問題はアーチャーの攻撃から闇の書に取り込まれているはやてをいかに無事に助け出すかだ。

「なあなのは、あのすごそうな兄ちゃんは誰なんや」

「あれはね───」

 

 闇の書の内部で私がはやてにエミヤの正体を説明していると同時に、外ではヴォルケンリッター達が急に出現した強大な力を持つであろう男に驚いていた。

「おい、そこのお前…一体誰なんだよ!」

 守護騎士の一人であるヴィータが突如現れた英霊エミヤを指差しながら、疑問を投げかけた。

 内包する魔力や醸し出す闘気などが桁違いで実力差が戦わずとも歴然としていたためか心なしか彼女の声は震えていた。

 古代に栄えたベルカ式魔法で構築されたプログラムとはいえたかが、人が作った道具にすぎない彼女達にとって、世界そのものはあまりに強大なものだ。

「彼は、世界の守護者…孤独な正義の味方、英霊エミヤさん」

 彼女の問いに答えたのはフェイトであった。

「あのお兄さんはみんなのために世界で戦ってるヒーローさんなんだよ」

 アリシアも同意する。

 ───ヒーローという言い方を聞いたらおそらく彼は『私はそんな高尚な存在ではない』と言いながらひどいしかめっ面をするかもしれないが。

「世界中にある様々な悲劇から万人を救うために何度もあがき続けて、ある村の百人を救うために死後の自分の運命を世界に託し、そして救った人々に裏切られたけど誰も恨まずに殺された。そしてやっと全ての人々を救えると思ったら…死後にやることは様々な世界の危機を救うためにその危機をもたらす人たちを殺す日々。地獄をたくさん見て一人で泣きながら他の人が泣かないように頑張ってずっとずっと世界を救ってる人。それがあのエミヤさん…そしてなのはが至る可能性だった人───」

「ちょっと待て、あいつどっからどう見ても男じゃないか!アイツは確か女だったろ」

 ヴィータがそんなことありえないと突っ込む。

 その指摘も最もなんだが、事実だ。

「なのははいろいろあったから。彼女の中身は彼なの」

「フェイトの言うことは正しいよ。なのはが言ってたんだ。なのはが間違った道をたどるとアイツにたどり着くらしい」

 アルフが補足する。

「はあ!?」

 ヴィータは往年の驚きのポーズを取るぐらいびっくりしていた。なのはの正体が転生した衛宮士郎、しかも男性であると知らなければ当然の反応だ。

「世界の守護者とはなんなのだ…」

「世界が危険になった時、人類を守るために派遣される存在らしいです」

 ザフィーラは冷静な視点でフェイトの話を聞く。

「───正義の味方だと。そんなバカげた偽善者が居るのか。正義など世の秩序を守るための都合のいい方便にすぎぬ。それがわからぬなど戯け者に過ぎぬな。泣きながら死後にまで世界にいいように利用されている、どうしようもない奴だ」

 騎士であるシグナムはお伽噺のヒーローのような存在だと説明されたことに眉をひそめる。

 彼女を筆頭にヴォルケンリッター達は主に絶対的な忠誠は尽くすが、度々主のために戦ってきた身からすれば、正義など結局は主の味方であるための方便にしか過ぎないとよく理解していたからだ。

 だから彼女は彼のあり方を全否定した。

「うん、シグナムさんの言う通り確かに彼やなのはのあり方はバカなのかもしれません。でもそんなバカなことをずっと気の遠くなるほどの間、愚直にみんなのために、世界の一人でも多くの人が笑うためにただ一人で頑張ってきた人なんです。そして今も───」

「そんな奴はただの理想に溺れた大馬鹿者だ」

 彼女は吐き捨てるように言った。

「でも…すごくそのあり方は美しいなって思います。二人とも、他人のためにいくらでも頑張れるってすごいと思いますよ。たとえその先の人生が地獄だとしても、後悔があっても、機械的で偽善に満ちたものだとしても…あの二人は決して歩みを止めないと思いますよ」

 くすっと笑ったフェイトにふんといった感じで彼女は目を逸らす。

 この男やなのはならもっと早く確実に主を助けることができるかもしれないという思いを振り切るために。

 もしくは───自分が闇の書の蒐集をすることでしか主を救えないと思い、ひたすら戦っていたことが馬鹿にした相手の歩んだ道と同じだったと自嘲するように。

 

 ───その頃。

「英霊エミヤ…そこまでして他人のために生きようとするなんてなんちゅう奴や」

「そんなやつがアイツなの。なのはが至る可能性でもあったから、あんまり人のことは言えないんだけどね」

 私は苦虫を噛み潰したような顔をして自分の理想の成れの果てである彼についてはやてに説明した。

「英霊?そんな存在が私を倒せると思いですか?」

「侮っているみたいだけど、相手にしているのは宇宙とか地球とか星を超えた存在…。古代ベルカの魔法なんか軽々と飛び越えているレベルの相手だよ」

「そうですか。だからなんです?」

 私にはやたらと冷たいのか、どうも言うことを信じてくれない。今すぐに味方につけるのは無理そうだ。

 となると、さっさとリンクを切るもしくはココから抜け出すかなのだが…。

「闇の書の中だからか、私の固有結界にこの世界が変に干渉してるからか、なんか投影がうまくいかないからなあ…。上手くいけば破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)で全部消せるんだけど…」

 投影だけがなぜかできないのだ。ここ自体がある意味固有結界のような存在だからだろうか。

「固有結界?破戒すべき全ての符…?」

「えっと、固有結界はともかく、破戒すべき全ての符ってのはすごく簡単に言えば、はやてちゃんと闇の書の繋がりを切っちゃうっていう特殊な剣なの」

「そんな剣あるわけ無いでしょう、主」

 呆れ果てて管理プログラムが告げる。

 だがあるのだ。

「そう思うかもだけど、それがあったりするんだよね。世界がまだ神秘に満ち溢れていたころ、ある人が使っていた魔術礼装なの」

「なあ、管理プログラムさんや。なんとかここから出られへんのか?」

 流石にはやてが困ったように彼女へ尋ねた。

「無理…としか言えません。普段であれば主であるはやて様が管理者権限を持っていますが、今は防衛プログラムそのものが管理者権限を掌握しているので外に出ることができません。外部の防衛プログラムを倒せば管理者権限は主に戻りますので、私に命じていただければ元に戻れます」

「うわ、結構条件が厳しいね…」

 管理者権限を奪い返すとなると、ハッキングに長けた私のレイジングハートでもできるかどうかは怪しい。

 ───いやちょっと待て。待て待て。アイツは並行世界の同一人物なのだからこの手があったじゃないか。アイツは世界の加護を受けているんだ。ならあの禁じ手(とうえい)も可能だ。

「かなり力技をアイツが使えば…外に出られるかもしれない」

「本当か?」

「まさか…そんなバカげたことができるのですか」

 世界の抑止力というものは不可能を可能にしてしまうほど規格外の存在でもあるのだ。

 ともかく無事を伝えるためとここから逃げ出す算段が立ったということをサーヴァントであるアリシアちゃんに伝えなきゃ。

 

「マスターから念話が来ました!今はやてお姉ちゃんと中にいるそうです!外にいるアレを倒せさえすれば出てこられるって!」

「よかった!じゃあ…」

 あとは外部にいる防衛プログラムのコアを潰すだけだという時に、彼の手に徐々に黄金の両手剣が出現し始めた。

 闇の書を認識した時点で、彼───いや世界は既に最も火力がある星の敵となる存在のために作られた剣で闇の書の一掃を決断していたようだ。

 幸い、闇の書の起動と同時に周囲一帯に封鎖結界が貼られているため、あの宝具の直撃一発分であれば耐えられるであろう。

「なに、あの剣!?」

 フェイトがアーチャーが投影を始めたアリシアの持つ勝利すべき黄金の剣以上の能力を内包する剣を見て動揺する。

「なんなのだ、あの剣は…!」

 シグナムもひと目であの剣の異常さに気がついた。

 それはかつて荒れていたブリテンの国を一つにまとめあげ、円卓の騎士を率い、騎士の王として讃えられた騎士王のみが持つことを許された宝具───人々のこうあって欲しいという願いを叶えるために星により鍛えられた最強の聖剣、約束された勝利の剣(エクスカリバー)。湖の乙女から勝利すべき黄金の剣が折れ王として完成した暁にアルトリア・ペンドラゴンに渡され、死後ベディヴィエール卿により返却された最強の幻想(ラストファンタズム)だ。

「あれ……セイバーさんの剣?」

 アリシアがポツリとこぼす。

「アリシア、セイバーって誰なの?」

 フェイトが尋ねる。

「マスターがたしか…聖杯戦争?っていうので戦った時にパートナーだった女の人の使ってた剣だったはずだよ、お姉ちゃん」

「そうなんだ…すごい」

 世界のバックアップがあるとはいえ投影品なのでランクはA+になっているが、自分が使うインテリジェントデバイスなど比較にもならないほどの力を秘めているということを理解した。

「ってぼーっとしてちゃいけない!!アリシア、射線上から避難して!!」

「お前たち、逃げるぞ!」

 フェイトとシグナムが慌てて指示する。

 約束された勝利の剣に猛烈な魔力が加えられ、輝きはより一層力強さを増した。

 確かに、約束された勝利の剣の真名開放をすれば防衛プログラムなど容易に倒せるとは思ったの。でもさ…周囲に居る人も、中にいる私達も無視って酷くないかな?そりゃ世界からすれば私達の存在なんてどうでもいいのかもしれないけど。でもあれが出てきたらのんびりなんかしていられない。

 はやてを守るために最適な防具を考えるとあれしかない。

「なんだよありゃ!!」

「主、あの剣は!?」

 流石に防衛プログラムさんも焦ったかな。

 まあアレを目の前にして正気を保っていられるのは見慣れた人か英霊ぐらいだろう。

「ええっと…正直に言うとね、お城を落とすぐらいの威力がある…かな」

「なんだって!?」

 アーチャーが剣を振り上げ始めた。

 私は急いで熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)のイメージを組み立て、真名開放に合わせて展開する準備を整えた。

 幸い、投影をほとんどしていなかったので魔力量は九割。最大レベルの強固さを維持できるはずだ。

「───約束された勝利の剣!」

 奴が真名開放をした約束された勝利の剣を振り下ろした。

「なんなの!?」

「すごーい!!」

「うわあああああなんじゃありゃああ!?」

「これは!?」

 外にいるフェイト達が約束された勝利の剣のビームに驚きの声を上げた。

 防衛プログラムは美しい黄金の輝きにあっという間に飲み込まれ、私達のいる場所までやって来た。

 私は全力で魔術回路に魔力を流し、二人を支えながら片腕を上げ───トロイア戦争でアイアスが用いた宝具をイメージした。

「熾天覆う七つの円環!!」

「きゃああああ!?」

「これは!?」

 古の城壁と同じ強さを誇る花弁が一枚、一枚と散っていく。

「お願い…砕けないで!!」

 私の七つの円環は最後の一枚でなんとか約束された勝利の剣の一撃を凌ぎきり、片腕に抱えたはやてと管理プログラムを守りきった。

「はぁ…はぁ……なんとかなった……よかった」

「た、助かったのか?」

「なんとか、ね」

 そういうとレイジングハートが自動的に私をデバイスモードにしてくれていた。私は両腕に二人を抱え直し、強化した目でアイツを見た。

 ───輪郭がぼやけて魔力が霧散していくということはおそらく消滅するのだろう。

「おいおい、なのは。あのエミヤの兄ちゃん、消えて行くぞ」

 私は近くのビルに降り立った。

「闇の書っていう世界の問題が消えたからね。脅威がなくなれば、アイツはただ消えるだけなの」

「でも…そうなったらまた次の戦場に───」

 私の話を聞いたはやてが辛そうに話す。

「大丈夫だよ。アイツは答えを得てるし……それに報酬なんて求めてないから」

「主様を救えたのですか」

「そうだね」

「そうですか───では、私は消えるだけです」

「えっ」

 彼女が発した言葉に驚いてしまった。

「なあ待てや。なんで消えるん?」

 女性は努めて冷静に状況を説明しようとした。

「私は…あの男性の剣による攻撃でコアを破壊され以前の書として戻りましたが、バグは内包したままなのでまたプログラムがおかしくなる可能性があります。守護騎士は主であるはやて様が管理できるようにシステム変更をしました。ですが私自身は誰かの手を借りないと改変できません」

「そんな!?」

「大丈夫…。私に任せてなの!」

 大聖杯と融合し黒化した桜を元に戻すために使った、破戒すべき全ての符なら…!

「貴女が私を破壊してもらえるのですか?」

「あかんなのは!それだけはやめ───」

「───投影開始(トレースオン)

 私ははやての言葉に答えずねじ曲がった短剣を投影し思いっきり彼女の胸に刺し、引き抜いた。

「なのは!?」

「さようなら…主」

「───大成功…!」

 私は予想通りの結果に落ち着いてくれて思わず声を上げてしまった。

 致命傷になったので消えるはずと思っていた二人は呆然としていた。

「え?」

 プログラムの異常部分だけを上手く取り除くことができた。

「これでもう大丈夫だよ。あなたはもう絶対に闇の書にはならないし、暴走もしない。これで全て解決だよ」

「どういうことなんや、なのははん」

「簡単に言うと、管理プログラムさんにあるバグをさっき投影しようとしてできなかったある魔術師が使っていた宝具、破戒すべき全ての符で消しちゃったの。そうすれば元の魔術礼装に戻るだけなんだよ」

 キャスターには聖杯戦争で散々な目に合わされたが、今回ばかりは感謝し尽くしても足りない。

「私のバグが…無くなったのですか?───確かにバグらしきエラーの消失を確認しました」

 彼女は改めて自己に解析を施して呆然としていた。

「そういうことだよ」

「なのは…なのは……ありがとう…ありがとう。大切な人を守ってくれて」

 私にすがりついたはやてがポロポロと涙を浮かべて泣き出した。

 ───ようやっと…闇の書事件の全てが終わった。

 

 事件を解決した私達のもとにやっと管理局の局員がやってきた。

 今回の事件の主犯格である闇の書の管理プログラムやヴォルケンリッターは事情聴取のために一時的にアースラに身柄が移送されることになり、そしてあの使い魔達も移送されることになった。

 闇の書の彼女達については故意的なことではなかったので私ができるかぎり情状酌量ができるようにリンディに進言しよう。

 ───だが最後に一つ、やらなければならないことがある。

「さて、仕上げをしなきゃなの」

「まさかフィクサーのグレアム提督を締め上げるつもりか?彼は犯罪者で───」

 そう言ったクロノの言葉を否定する。

「いや、彼とも色々お話したいとは思うけど、今はむしろ彼じゃなくて彼の使い魔二人とちょっとお話するの。よくも真面目な彼女達を脅して色々引っ掻き回してくれたね───少し、頭冷やそうか」

 本当にこのねこ達とは何時間でもお話したいものだ。

 その感情に気付いたのかアリアとロッテが私の目が全く笑っていないからひときわ震え上がる。

 彼女達はあの奇妙な世界で欠片もなくなるまで殺されるかもしれず、今までの人生?の風景が迸り、これが話に聞く走馬灯というものかと考えていた。

 

 私は無限の剣製(アンリミテッドブレイドワークス)を解除して元の世界に戻ってきた。

「やっと終わったの」

「あ…あ……剣怖い剣怖い」

「もういやだあ。剣まみれで串刺しになるぅ」

 そう言ってぼろぼろになった2人を背にしてすっきりして顔をして説───もとい使い魔の躾が終わった自分を出迎えたメンバーは、何とも言えない表情をしていたのは言うまでもない。




まさかの続編 テスタロッサ道場!
プレシア「おっす、またも出会ったわね。私はミッドチルダのマッドサイエンティストでこの道場の仮の主、師匠プレシアよ」
アリシア「こんにちはー!弟子二号こと幼女ブルマでーす!どこかの見た目だけの似非のロリじゃない真性のロリブルマだよー!」
アリサ「なのは…すずか……殴っ血KILL」ピクピク
プレシア「あ、今回出番が一話しかなかったアリサちゃんだ。残念だったね〜」
アリシア「アリサは魔術師でも魔導師でもないからね」
アリサ「ずるいわよずるいわよ!!すずかは出番ちょっとしかなかったけど一応皆勤賞だし、私なんかA's編じゃ一話以降まったく出てないのよ!」
プレシア「文句は作者に言ってくれい」
プレシア「それにしても…闇の書を止めるためにビームぶっぱしたり、リインフォースをさらっと助けるとかいいところかっさらっていくのが主人公たちの特権というかなんというか」
アリサ「なのはが主人公だもんね…私の出番なんて」クスン
アリシア「まーまー、もしかしたらどこかで主演になれるかもよ?」
プレシア「だねえ。でもとーっても嫌な目にあうかもしれないけどね」
アリサ「それはもっと嫌〜」
プレシア「大丈夫大丈夫。スピンアウトでもっと酷くて色物になってる赤い人とか桜な人とかいるし」
アリサ「慰めにならないわよ!」
アリシア「アリサは作者の文才の無さを呪ってね。次回、『リリカルでマジカルな世界に憑依転生した正義の味方』、『彼女たちの答え』お楽しみに!」

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