「天智、誰もいないな?」
『問題ない。』
俺は今、紅魔館の廊下を歩いていた。
時刻は深夜二時。
この時間はもう全員が寝静まっている時間だ。
ここに泊まってから三日。
歩き回って道もある程度は把握した。
その紅魔館の廊下を玄関まで、誰にも見つからずに向かっている。
勿論紅魔館の人の寝てる部屋の前を通ることさえしない。
見つかったら終わり。
何かのゲームのようになっていた。
何故そんなことをしているか。
その理由はフランと美鈴にあった。
美鈴から格闘技盗むためこの三日間戦い続けた。
その間にはフランの相手をしていた。
暇な時間は居候らしく、妖精メイド達の手伝いをした。
ここまでしていると、天智の能力を使う機会が全くない。
つまり紅魔館から深夜に抜け出そうとしている理由は、天智の能力の練習のためである。
新しい使い方を思い付く度に、どうすれば能力を使える?と考えていた。
その答えは人がいないところに行くこと。
しかしそんな時間はどこにもなかった。
なので仕方なく深夜に抜け出している。
『しかし吸血鬼が夜寝るってのもおかしな話だよな。』
(それは俺も思ってたよ。)
「この辺でいいな……」
湖面を挟んで反対側、紅魔館からはかなりの距離があった。
香霖堂と紅魔館の丁度間くらいにいる。
『まあ霖之助にもばれたらまずいからな。』
「跡は残るかもしれないが、距離があれば音は聞こえない。それだけで十分だ。」
『それで?能力を試すんじゃないのか?』
「その能力の派生でできたスペルを試すんだよ。俺が何考えてるかはお前には分かるだろ。」
『なら早くやろうぜ。その使い方は出来るがどこまで威力が出るかは俺も知らないんだ。まあ俺が使ったらお前の倍の威力は出せるけどな。』
「勝手に言ってろ。」
そんな天智とのやり取りを終え、スペルを宣言した。
「スペル________」
スペルの試し打ちを終え、俺は紅魔館に戻った。
出るときはこそこそとしなきゃいけなかったが、帰りはその必要がなくて気が楽だった。
まだ誰も起きてないようで、俺がいなかったことにも気付いてなかったらしい。
安心して部屋へ戻った。
「琴_さん。起き_下さ_。」
微睡の中で、掠れた声が聞こえた。
「ん……ん?」
「朝食の時間ですよ。もう皆さん集まっていますよ。」
「ああ……咲夜か。ん……分かったすぐ行く。呼び出しサンキュー。」
「あ、はい。では私は先に食堂に行きます。」
そう言って咲夜は部屋から出て行った。
「時間止めたんだろうが相変わらず一瞬だな。俺もとっとと行くか。」
いつもと変わらず、食卓は賑わっていた。
単に食事をしているだけなのに、ここまで騒がしいのは何故なのだろうか。
「琴羽さん、今日はどれくらい後にやりますか?」
戦う気満々の美鈴だが今までの戦績は、たった三日だというのに既に五戦五勝しかも勝ってるのはいずれも俺だった。
「今日こそ勝って見せますよ~!」
意気込みはいいんだが、何分実力が足りない。
一応紅魔館の戦闘力をある程度分析してみたが、フラン、レミリア、パチュリー、咲夜、美鈴の順に強い。
まあフランは予測でしかないんだが。
とにかくどう考えても美鈴はここでは最弱だ。
力をつける相手としては少し足りない。
かといってあのメイドと戦えば時を止められて一瞬。
やはり俺にちょうどいい実力を持つ奴はここにいない。
しかし格闘技を美鈴から盗むだけだからこんな考察するだけでも無駄なのだが、天智が『もっと面白い対決見せろよ。』というので考えていた。
(ったく、俺はまだ美鈴の格闘技盗めてねえっての。)
『何もできないこっちは暇なんだって言ってんだろうが。』
軽く頭の中で会話をして、紫にでも相談しようと決めた。
結局食後の運動とばかりに勝負を受けた。
結果は当然のように俺の勝ちだった。
琴羽の新スペル何でしょうね。多分知ってる人は知ってるけど国所属の異能者の話で出てきた能力です。すぐに分かるんで別に言う必要もないんですけどね。近々戦闘回ですので。つか久々に二千文字超えませんでしたね。では。