ではでは~
『準備はいいか?琴羽。』
「今更だろ。」
『よし、飛ばすぞ。会ったらすぐに戦いが始まると思っとけよ。』
「ああ。」
白い世界が黒に変わる。
天智と入れ替わりに、あいつが姿を現す。
『きひ、ははははは!久しぶりだなぁ!琴羽…』
「ああ、そうだな。」
目の前の少年は嗤った。
『お前に負けてから随分の間閉じ込められてたんでなぁ…寝覚めの運動程度にはなってもらうぜぇ?』
「お前に俺が負けると?」
『一度勝った程度でいい気になるなよ……記憶もまともに覚えてられないような奴に!何度も負けるかよ!』
「……そうだな。覚えてられなかった。だがそれは過去。一度壊れた人間を、簡単に壊せると思うなよ…」
俺は一度壊れている。
それが幸なのか不幸なのか、打たれ強くなった。
そう簡単にやられることはない。
『ならとっとと始めようぜ。正真正銘の…殺し合いをよぉ!』
「簡単に終わんじゃねえぞ……!」
雷と炎が衝突する。
それから打ち合いを繰り返していた。
『黒炎!』
「雷光!」
やっとの思いで黒炎を貫いた雷が、相手を貫く。
貫かれた体が消え、新しい相手が現れる。
「なに……!?」
『知ってるか?陽炎っていうのはなぁ人の姿をとることも出来るんだ。さて、どれが本物だろうな?』
その数は二十以上。
しかも、その全てに魔力がある。
(どういうことだ!?何故全てに魔力が……)
『無間『廻り続ける輪廻』(まわりつづけるりんね)。尽きることのない無限の魔力。滅ぶことのない不滅の分身。さあ、全てが本物なら、お前はどうする?』
「っ!」
能力の使い方が、その格が違いすぎる。
(これが……地獄の悪鬼……)
天智から聞いてはいたが、完全に力を使えるこいつがここまで強いとは思っていなかった。
『琴羽、あいつはお前の考える以上の力を持っている。以前のように倒せるとは思わない方がいい。』
「なんでだ?」
『あいつは軽い封印状態だったからな。お前が倒したことで解放されたって考えた方がいい。』
「封印?なんで封印なんてされてたんだ?」
『俺とは違ってあいつは表に出られない。長く抑えられ続けた。』
「……何故俺はあいつを抑えていた?」
『相性や戦術では確かに俺の方が強い。だが、素の力の量だけ言えば、俺とは桁違いに多い。』
「………………」
『あいつに魔力、妖力、神力、その三つの力を使える。正真正銘化け物だ。後は分かるな?封印の理由。詳しくは知らないが、奴には何かある。お前を乗っ取ろうとする理由もあるかもな。ま本人に聞いてみな。』
過去の会話の内容を思い出してみるが、聞く余裕はない。
今思い出してる中でさえ倒し続けている。
『おらおらどうしたぁ!その程度なのか!?』
(くっどうすれば……待てよ?分身は陽炎………はは。)
「お前の分身はあくまで気象現象に過ぎない。なら、これで……どうだぁ!」
風を周りに集める。
少し無茶な使い方だが、霊力を異常なほど使って竜巻を起こす。
『馬鹿な!?お前にここまでの力は……』
「お前が解放した力のように、俺も成長くらいするさ。ここで問題だ。竜巻の上には何がある?」
『っ!まさか……』
竜巻は積乱雲の真下にある。
積乱雲は雨や雷を落とす。
真下に竜巻を起こした状態で同時に起きることはない。
竜巻によって全て吹き飛ばされるからだ。
だが、それを同時に起こすことが出来たなら?
それが意味するのは……
「《天変地異》!」
ただ動く木偶の坊なら、耐えられる代物ではない。
天災に敵う者はいない。
神でさえも、止めることは出来ない。
『ありえない……そこまでの力を何故……!?』
今までの俺が創れないほどの雷と、鉄塊をも貫く水塊、そして竜巻が、俺以外のものを全てを飲み込む。
『………何故そんな力を使える?』
「…………少し前に、天智に試練を受けた。魂だけの移動だったんでな。天智でさえ詳細は知らない。だが少なくとも、俺の時間は他の奴らよりも二十日分多い。」
『……一体いつ、そんなことをしたんだ……失敗すれば死ぬのに、よくやろうとしたもんだ。』
「それが俺の覚悟さ。死ぬことは怖い。だけどな………俺にとっちゃ死ぬことよりも、失うことの方が怖えんだよ。」
『……くく………獄羅(ごうら)。』
「は?」
『俺の名前さ。また戦おう。またすぐに。』
そう言って獄羅は姿を消した。
『どうだ?琴羽。あの力は。』
現実に戻った直後に、天智からそう聞かれた。
「正直すげぇ疲れる。これ毎日とか考えただけで気が滅入りそう……」
本当に疲労が恐ろしい。
起き上がれないほどの疲労と痛みが、全身を蝕む。
『仕方ないだろ?それとも何か?あいつに言った言葉は嘘で、覚悟なんて出来てなかったのか?』
「んなわけねえだろ。疲れただけだ。とにかく眠いんだ。おやすみ。」
『とうとう聞きもせずに寝るようになったな。………おやすみ。』
(あ…忘れてた……現実の体……霊力ないんだった。)
その後すぐに、俺は意識を失った。
その後、学校を忘れて爆睡していた俺は、遅刻反省文を五枚書かされた。
天智の試練、受けてたのは幻想郷の家にいたときです。紫が来る直前にやってます。試練回創るか~では。