第五話 過去の傷心
[これは、ある少年の過去に起きた
友との誓いの物語]
「今日は楽しかったな!」
「ああ!皆で集まって遊ぶことなんてあんまないもんな!」
俺は宮代琴羽。
今日は友達十三人で集まってパーティーを開いていた。
「今日はありがとうな。また集まろうぜ。」
俺は言って皆より一足先に部屋を出た。
その俺を追って二人の友達が部屋を出てきた。
「行くの早いよー。」
「待ってくれよー。」
少年と少女が一人ずつ俺を追って来た。
「そんなに急いでどこ行くのよ。」
「別にどっかに行こうなんて思ってねえよ。」
この少女は田鐘陽。(たがね よう)
仲良しグループのムードメーカーだ。
「暇ならこれから三人で別のとこ行って遊ぼうぜ琴羽姫~。」
この少年は 和野翔大。(わの しょうた)
こっちは仲良しグループの中では企画を立てたりする役目をいつもやってくれるリーダー的存在だ。
彼が俺をふざけて姫と呼ぶのは、俺が少女顔だからだ。
俺達はいつも三人一緒に居た。
親友というものだろう。
物心付く前に死んだ父さんと、二年前に病気で死んだ母さん。
俺の親はもういなかった。
陽や翔大、他の皆も同じで、親がいない。
養護施設だ。
そんな中、俺達は誰よりも仲が良かった。
本当の家族じゃなくても、俺達は家族同然だった。
「姫は余計だ。 別にいいけど、どこ行くんだよ。」
「う~ん。」
「じゃあ公園に行こうよ!」
「公園?」
「何で公園に行くんだよ?」
翔大は陽に聞いた。
「ふふふ~や~っぱり知らなかった。」
「何を?」
今度は俺が聞いた。
「今日公園でね、動物と遊べるイベントやってんのよ。琴羽はこうゆうの好きでしょ?」
小さい町な分、こうゆうイベントはよくある。
「好きだけど、人が多いのはなぁ。」
「良いんじゃないか?楽しそうだし。」
「あれ?翔大はこうゆうの好きだっけ?」
「わりと好きだよ。」
「まあ、確かに楽しそうだし、行くか。」
「やったぁ!じゃあ早速行こ!」
「わぁ~。」
目の前には動物好きにとっては楽園が広がっていた。
「驚いた?凄い数だよね!もう三時過ぎなのにこんなにいるとは思わなかったけどこのイベント五時までなんだよね~。だから五時まで楽しも!」
彼女は言い、我先にと走って行った。
『待てよー。』
走って行く陽に付いていった。
「楽しかったねー!」
屈託のない笑顔で陽はそう言った。
「よく言うよ。あんだけ犬猫追っかけといて。」
「まあ、楽しけりゃ良いんじゃね。」
「陽、あんまそうゆうことすんなよ。」
肯定する翔大と、否定する俺の言葉が重なった。
全く、この二人は楽しければ何でも良さそうだ。
「琴羽!」
「何?」
「また来ようね!」
俺は少し笑って「ああ。」と言った。
こんな日々が、これからも続くと、
この時の俺は思っていた。
「うわぁぁー!」
「?何だ?」
俺は声のした方を見た。
そこには――――笑いながら人を殺す、悪魔のような人間が居た。
「ひひひ。」
「!?」
「け、警察を呼べー!」
「ひひ、はははは!」
殺人鬼は、何の躊躇いもなく、叫んだ男の胸を、持っていた包丁で突き刺した。
「逃げろー!」
「助けてー!」
「うわぁぁー!」
周りに居た人達は誰一人として、殺人鬼と戦えるような体格を持っていなかった。
「アハハハハハ。」
殺人鬼は周りに居た人を次々と殺していった。
そしてその刃は次に――――俺の親友の、翔大の肩を割いた。
『え……』
俺と陽は、二人揃って何も言えず、驚きの声を漏らした。
その男は、次に俺に刃を向けた。
「あ、あ…」
「ひひ。」
男は躊躇なく、その手を振り下ろした。
恐怖で動けなくなっていた俺は、逃げることも出来なかった。
―――自分は死ぬ。翔大と同じように。
でも、せめて陽には生きてほしい。
俺は陽に、逃げろと言おうとした。
しかし声が出ない。
恐い。
(俺は…死ぬのか?……でも陽が、親友が生きるなら、翔大も、許してくれるよな。)
俺はそう思い……嗤った。
突然目の前が暗くなった。
そして包丁が振り下ろされた。
―――陽に向けて。
「え…」
俺は再び驚きの声を上げた。
(陽……何で……?)
「アアアアァァァァァ。」
泣いた。
悲しんだ。
だけどそれだけじゃない。
こいつを殺す。
仇を取る。
俺は、振り下ろされる包丁を掴んだ。
そして、落ちていた石を、力一杯に叩き込んだ。
男は包丁を落とした。
俺は包丁を手に取り、男に振り下ろした。
何度も、何度も。
殺意を剥き出しに。
泣きながら、何度も。
不意に手を捕まれた。
「もう……止め…ろ。」
「翔大…?」
「もう…止めて。」
「陽…?」
「貴方…は……生……きて」
「何…言ってるんだよ…お前らが居ないと嫌だよ……母さんだけじゃなくて、お前らも俺を置いてくのか!?」
「私…達は……貴方…の……心の…中に…生きてるわ…。」
「だから…約束……してくれ…死なないと………もう……殺さないと…。」
まるで自分がそうなることを知っていたように。
自分の死を受け入れたように。
二人はそれらの言葉を最期に、意識を失った。
(二人共……分かったよ。)
「約束する。俺はもう、死なない。誰も死なせない。」
俺は泣くのを止めた。
二人の顔は、笑ったように見えた。
その後、警察に保護された俺は、様々なことを刑事から聞かれた。
正当防衛として、また子供ということで、人を殺したことは不問となった。
警察との話が終わった後、俺は家に向かった。
その時の皆の顔は、もう、忘れられない。
二人の葬式を終えて、俺は世話をしてくれていた人に、今の母さんと父さんに、家を出たいと言った。
幼い俺が一人で生きることは出来ない。
そんなことは分かっていた。
でも、ここにいるのは嫌だった。
二人が居ない家に居るのは嫌だった。
母さんと父さんはそんな俺の思いをわかってくれた。
二人から生活費と、マンションの一部屋を与えられた。
俺は、そんな優しい二人に、感謝の言葉しか出なかった。
強くなる。
俺は、もっと強く、大きくなる。
誰も死なせないために。
ありがとうございました。この話半分は僕の知る実話なんですよね~。ここからは幻想郷の話だからちゃんと話を作ります。では。