「雷槍!」
槍の投擲は何よりも強い威力を出せる。
俺は光司に向かって投げつけた。
「そんなもの、今更効くと思うのか?」
余裕を見せた光司は、草薙剣を振り上げた。
「ふっ!」
予想通り雷槍は剣に砕かれ、届くことはなかった。
「確かにただ投げつけるだけなら愚策にも程がある。だがなぁ、それが十や二十なら防げても、百や二百は防げるか?」
「!」
分かっていた。
槍の投擲なんて光速を越える速度でもなければ光司には当たらない。
スペルは殺さないものというルールがある。
だがこの戦いにおいて、そんなルールは必要ない。
だからこそ、本気を出すことが出来る。
「『雷槍乱舞』!」
周囲に大量の槍を展開する。
形状と密度を変えた弾幕だが、その一つ一つが持つ威力は幻影郷なら使うことも出来ない。
「数で圧倒出来ると思うなよ!」
その一つ一つを粉砕していく。
「思ってないさ。」
「なっ!」
雷の速度と同格の速度で光司の眼前まで走る。
雷が地上に落ちるまでの速度は秒速約150km。
光に届かなくとも、音速は越えている。
当然体は耐えられない。
(俺の能力が無ければ、の話だがな。)
「俺の能力、忘れたのか?」
「がっ!」
俺が拳を放つよりも先に、光司の拳が俺にささる。
そのまま殴り飛ばされた俺に、光司は追い打ちと言わんばかりに斬撃を飛ばしてきた。
「……!雷光!」
斬撃を避け続ける。未来を視る能力は健在。
おそらく攻撃に行った所で返り討ちに遭う。
(どうすればいい?範囲の広い攻撃を行ったところで全て斬られる。かといって威力の高いだけじゃ……)
避けながら光司を見る。
笑みを浮かべ俺を見ている。
その笑みは、まるで何かを待っているようだった。
おそらく待つとすれば、俺からの反撃。
(何かあるな。だがこのまま避け続けても俺の力が尽きるだけ……なら!)
一か八か、一瞬だけ自分さえ破壊する威力の攻撃を行う。
自爆。
それ以外に攻撃はまず当たらない。
避けながらも神力を全身に溜める。
「光司!未来が見えるなら、この先で俺が何するか分かるな!?」
「ああ。分かるさ。それなら俺も応えないとなぁ!」
斬撃を消し、同じように神力を全身に溜める。
「力比べといこうぜ。どっちが先に相手を壊せるかのなぁ!」
互いに走る。
激突と同時に神力を爆発させる。
『アアアアアア!』
俺と光司を中心に、巨大な爆発が起きる。
地面はクレーターのようになり、衝撃のみで壁は崩れ、吹き飛ばされた俺は壁にめり込んだ。
吹き飛ばされたのは俺。
そのまま意識は薄れ、壁から剥がれた俺は、地面に倒れ伏した。
勝者は……光司だ。
『宮代琴羽の気絶を確認。この勝負、天宮光司の勝利とする!』
『オオオオオオオオォォォォォ!』
『凄かったな!あんなのもいるなんて……』
『俺あの人に弟子入りしようかな……』
『かっこよかったなぁ。』
『求婚しちゃおうかな?』
『また誰かと戦ってくれよ!』
「……ふぅ、意識のない人間に好き放題言うなぁ。よっと。……俺もこれくらい言ってもいいよな?……頑張れよ、琴羽。」
「友美、琴羽の様子はどうだ?」
琴羽は未だに眼を覚まさない。
俺との戦いから丸一日。
爆発によって消し飛んだ右腕は治したが、消費した神力は戻らない。
眼を覚ますのには神力の回復が必要になる。
しかし俺も力をかなり使った。
少なくとも、抑えた今の状態では俺の神力を移すことも、友美の神力を移すことも出来ない。
俺には移せるほどの残力もない。
琴羽の自然回復力による。
「命に別状はないわ。あんなに派手に力を使ったのだから、これぐらいが当然なのよ。なんで貴方は平気なの…」
「まるで倒れろとでも言ってるみたいだな?そもそも力の総量にどれだけ差があると思ってるんだ。それなのに俺ももう力がない。全く、大した奴だよこいつは。」
「ふふ、自分に匹敵する人がいて、いいえ、来てくれてよかったわね。明友はどお?」
「はは、今は落ち着いてご飯を食べてるよ。本当どうやってあんなになつかせたのか。羨ましいよ。」
「そうね。」
琴羽が起きるのを、二人で待ち続けた。
それから琴羽が起きたのは、翌日の朝のことだった。
琴羽の負けってあんまない?主人公補正というものはチートなんですよ。神には勝てませんでしたが。ちなみに光司は回復も出来ますが、友美は豊穣の神なので特に回復や戦闘に使える能力はありません。琴羽はまだ死にかけますね。それは知ってて下さい。では。