東方独団記   作:十六夜凜

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一話から何ヵ所か訂正しました。書き方知らなかった時に書いたものでしたし、でも全話ではないしまだ手直しはすると思いますから読み返す必要は特にありません。とりあえず報告でした。ではでは~


一柱の悪魔

「さあ始めよう。お前だけは、絶対に倒す!」

俺は明らかな殺意を、アガレスに向ける。

「あの頃より成長したのか、見させてもらおうかの?しかしここは狭い。大蛇は大きいからの。我もお主との一体一の戦いを望んではいたのでな。我が世界へと行こうではないか。」

俺は過去に行ったことがある。

アガレスの世界、人間を一人でも多く殺すために創られた――魔界。

行けば勝ち目はなくなる。

アガレスの魔界に存在する、下級の悪魔達に、体の一つ一つを喰われる。

一体一体は弱いが、その数は確実に人間を殺すため、万を越える。

その世界に誘われ、そう簡単に行くわけがない。

「そう警戒するでない。我の世界は一つではないのだからな。」

(一つではない?俺の知らない世界が………?)

「あるのじゃよ契約以前からの。さあ、一体一の真剣勝負じゃ。簡単には死ぬでないぞ?」

「……上等だ。」

視界が黒に染まる。

次に見えたころには、目の前は更地だった。

「この世界が我がもう一つの世界じゃ。魔界とは違い、大地の操作を我が行う、アガレスとしての世界。お主に見せていた魔界は我の別の名の世界じゃ。この世界も我が支配下。しかしこれこそが戦闘に特化した我が力。これが我が本気だと理解するがよい。」

アガレスの別名はヴァサゴ。

世界を二つ持っていることはおかしくもなんともない。

「………こんな世界もあったなんてな。結局は自分有利の世界か。」

「魔界を我は創っていない。我を創造した者が創ったものじゃ。自分有利に世界を顕現しているといのは確かじゃが、この世界は我が持つ世界を、魔力を代償に召喚しているもの。以前の魔界は召喚のみ。なにより、この世界は我が創ったもの。これは我が実力に他ならない。」

「………くくっ。有利にするのが悪いとは一言も言ってないぜ?お前の本気を、真っ向から叩き潰す!二度と、お前に負けることは赦されない!」

「ふむ、良い眼をするようになった。ならば始めよう。殺し合いを。」

 

 

 

 

 

「――はぁ!」

数秒の沈黙を破り、自分に出来る最高速でアガレスの懐に飛び込んだ。

「我が能力を忘れたとは言わせんぞ。」

その一撃を、軽々と受け流す。

受け流された腕を引き戻しながら、もう片方の拳を突き出す。

そこから連打を始める。

(アガレスの能力は歴史を視ること……俺がこれから何をするかも筒抜けだ。だがもう一つの能力は発動出来ない筈だ。発動前に――倒す!)

伝説上、アガレスの能力は過去・現在・未来を見通す能力。

そして別名、ヴァサゴの能力は地震。

人間の世界ではそう伝えられている。

それだけの情報があれば十分。

知らない能力への警戒は少なく済む。

もし地震が事実ではなく、例えば地を操る能力でも、警戒することが分かっていれば問題ない。

「よく分かっておるではないか。過去のお主ではそれすらも分からなかったであろうな。」

「!?」

俺の殴打を受けていたアガレスとは別に、背後から声がかかった。

「がぁっ!」

そのまま背後から殴られる。

だけでなく、眼前にはアガレスの杖が迫る。

咄嗟に腕で防ごうとしたが、間に合わずに地面に叩きつけられる。

以前のアガレスに、ここまでの力は出ない。

(なんでだ!?なんでここまでの力が……そもそもなんであの連打で……!?)

「能力を知ることは最も重要なことじゃぞ?」

「ぐぅ……!」

地面を砕かんばかりの勢いで、俺は両手で飛び退いた。

しかし、その背後からさらに殴られる。

「………!?」

「ほれ、どうした?まだ能力が分からんのか?」

そのままお手玉をされるように、後ろから、前から、横から、ずっと殴り続けられる。

「このままなぶられ続けることほど、つまらぬことはないぞ?」

「………」

俺は三つのことから、既に能力が一つは分かっていた。

一つ目はアガレスにないはずの防御力。

俺の殴打に耐えられるほど、奴の防御は堅くない。

二つ目はそれと同等の攻撃力。

ここまで俺がやられ続けるほど、防げない攻撃を奴は出来ない。

そして三つ目は、無数の分身。

能力上、数を増やす能力はない。

(ならこの分身は――)

俺は大きく跳躍した。

分身一つ一つが、地面と繋がっていることを確認した。

「『水流閃』!」

その場から、水でできた蛇のような剣をしならせた。

「!ほぅ……」

出現していた分身の全てを裂く。

裂けた破片の全てを水で包む。

分身の全てが消えたことを確認して、俺はアガレスに向き直った。

「お前の二つの能力、やっと分かったぜ。地を操る能力、いいや、地の概念が少しでも混ざっているものの完全操作権。つまり分身はただの、泥人形だ!」

「ふむ……時間はかかったようだが、ようやく理解したようじゃな。同時に人形を作っていた土自体を無力化するとは見事……」

水の圧は、場合によっては空気以上の重さを持つ。

深海においての水圧は、人間の体でさえ潰す。

たかが土の強度なんて、巨大な塊にでもなっていなければただの粒。

消滅するまで潰すことは容易だった。

数ミクロの単位まで潰せば、無力化は完了する。

「『水牢』。」

人形と同じようにアガレスの体を水で包む。

地の概念が存在するものの中で、攻撃や防御を強化するものは主に重力。

(だが、そんなことは関係ない。俺の神力の量なら、機械以上の圧を人体にかけられる。)

神力を解放して、異常な圧をかける。

「!ここまで成長しているのなら、認めるしかなかろう。じゃがしかし、残念じゃ。」

「!?」

予想していた以上の重力で潰される。

俺は耐えられず地面にめり込む。

辺りの地面を蜂の巣上に砕きながら。

耐えきれずに水牢が解かれる。

「お主が死を望んだのじゃからな。」

アガレスの周辺の地面から、杭のような土の塊が五本浮く。

「お主は知らぬじゃろうが強い能力は他の人物や獣などだけではなく、物体にも付与出来るのじゃよ。たとえその系統の能力でなくともな。」

ただの土の塊が鉄に変わる。

四本が、俺の周囲に突き刺さる。

「『四結界』。」

重力の箱のようになる。

「これでお主が逃げることは出来んな。何故一本残しているかも気になるようじゃの。それは……」

残った一本の鉄杭が迫る。

「動けないお主を、確実に殺すためじゃよ。」

(__っ!動けない!やられる!)

覚悟をした直後、杭が止まる。

『!』

それを止めたのは、八つの竜首だった。

「………」

その首は、そのまま四つの鉄杭を噛み砕く。

見間違える筈もない。

八岐大蛇そのものだ。

「これは………!」

最後の鉄杭を噛み砕き、直後にその首はアガレスを狙う。

アガレスは飛び退き、大蛇は俺を守るように前に出る。

「お主……そこまで使えるようになっておったのか……!」

「使…‥える?」

「まさか勝手に発動したと言うのか!?」

大蛇の姿が薄れていき、その四つの首は徐々に姿を変えていった。

草薙太刀と呼ばれる刀へ。

それを見て、俺はある話を思い出した。

その武器に選ばれた者に与えられる特別な権限。

選んだ相手にのみ見せる本来の能力。

俺はその力を、自分の意志で解放した。

「させぬぞ!」

さっきよりも強い重力で押さえつけられる。

しかし膝を付くこともなく、俺の体からは膨大な神力が放出される。

「何故だ……何故それほどの力がある!?四結界すらも壊すことの出来ない貴様に!」

「素が出たなアガレス。これは俺の賭けさ。なりふり構わず能力を使い切る。倒せば勝ち。耐えれば負け。逃がしはしない。この一撃で、この戦いの決着にしよう。」

「く、くかか……よいぞ!その勝負、受けようではないか!我が守りを砕いてみよ!その力の全てを!我に見せてみよ!」

アガレスの体に金属の光沢が出来、地面から四結界と似た魔力を帯びた三つの柱が突き出る。

「『三柱神』!」

「こいつが俺を選んだ。なら俺は、それに答えなければならない!神としての力を纏え草薙!」

太刀が神力を纏い、刀身が輝き始める。

「『光蛇・草薙』!」

八首の光蛇がアガレスに襲いかかる。

「アアアアア!」

「ぬうううう!」

 

 

 

 

『…………』

攻撃が止み、その戦いに決着が着いた。

「光司よ………一つだけ、教えてはくれぬか?お主は、何がために戦った?」

「……この世界の……皆……家族のためだ。」

「……そうか。」

そう言うアガレスの体は大蛇に喰われ、半分がなくなっていた。

「死に逝く老骨から、最初で最後の教えじゃ。負けた分際で言うことではないがな。……大切なものがあれば、何者でも強くなれる。人間が神を倒すことさえ出来る。最も強い存在は、大切なものを持つものじゃ。我にはなかった。じゃがお主なら、まだまだ強くなれる。……これをお主にやろう。お主の好きにするがよい……ではな。」

アガレスは、自身の持っていた杖を俺に渡し、その体を灰に変える。

「………じゃあな。」

そのアガレスに一言、それで別れの言葉は終わりにした。

 

 

 

 

 

どれだけ経っただろう。

起き上がる力もなく伏していた。

その時間がずっと続いていたが、突然足場が消えた。

暗い空間に、何故か堕とされていた。

「これは……?」

『お前の試練が終わったんだよ。』

その声は、久しぶりに聞く声だった。

『よく、帰ってきたな。奴と戦う力は手に入ったか?』

「天智……ふふ…新しいスペルも手に入れたし、神力もかなり強くなった!今なら、お前の本気レベルも使えるだろ?」

『ああ。行く前よりも、別格だ。今なら嵐も起こせるぜ?』

「そうか。ありがと。」

『……?その刀は?』

「?」

そう言われ腰を見た。

魂だけの移動の筈なのに、そこにあったのは、草薙太刀だった。

おそらく、神としての力を使って、魂の俺に与えたんだろう。

その刀を、俺は常備することにした。

光司達を忘れないために。

 




光司→琴羽に視点途中から変わってます。今更一つ思ったことあるんですよね。文字数五千がここでは普通だって。だから文字数気にしないようにします。そのうち光司と琴羽の対戦回も、多分!統合します。しないかもしれませんけど。まああくまで平均二千は続けます。時間ないからそんな書けませんしね。では。
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