長々とすみません。ではでは~
弱くなった。
そう獄羅に言われてから、さらに三日が経った。
自分の何が駄目なのか。
どうすればいいのか。
何も分からないまま過ごした。
だからこそ今、俺は何も出来ずにいる。
襲われる人を助けられず、下等な妖怪に負け、囲まれている。
こんな事態になって初めて気付いた。
自分が愚かだったという現実に……
数時間前
いつものように教室に着いた俺は、いつものように自分の席で、無言で過ごしていた。
戦いに備えて英気を養う。
空想の物語ではよくある話だ。
しかし実際に自分がやるとは思ってなかった。
そんな日を過ごしていた。
その日の昼頃、突然騒ぎ始める者がいた。
騒ぐだけなら学生にはよくある話だ。
特に馬鹿なことばかりする問題児とかは。
だがこの時の騒ぎ方は異常だった。
「うあああ!」
「何!?どうしたの!?」
「押さえろ!早く!」
机が宙を舞い、狂人のような咆哮が教室に鳴り響く。
『があああぁぁあああ!』
「ぐっ!先生呼んでこい!救急車も!」
「わ、分かったわ!」
流石に騒々し過ぎるので、意識をそちらに向けた。
「かは……」
その時、ロッカーに叩きつけられた奴を見た。
そのまま意識を失ったのかロッカーにもたれかかる。
暴れている男子生徒は、五人に押さえられながらも暴れ続けている。
『うわあああ!』
『きゃあああ!』
同タイミングで廊下からも叫び声があがる。
どうやら暴れているのはこいつだけではないようだ。
俺が無感情にそれらを見ていると、校内放送が流れた。
『校内の生徒の約一割ですが、暴れている生徒がいます!正常な生徒は全員、グラウンドに避難してください!』
その放送を聞いて、何人かが走りだした。
「女子から行かせろ!男子は少しでも時間を稼げ!」
クラスの学級委員が皆に指示を出す。
女子が全員行った後、男子も教室から次々と出ていく。
「琴羽、何してる!行くぞ!」
学級委員に手を引かれる。
(何が起きてる?天智。)
『分からない。でも気を付けた方がいい。妖力を感じる。暴れてるのは生徒だけじゃないかもしれない。』
「………離してくれ。」
「!?」
俺は手を振りほどき、立ち止まった。
『琴羽?まさか……』
(戦いにいくに決まってるだろ。俺以外に誰が戦える。)
『………今のお前じゃ、全部の処理なんて無理だぞ。』
(…そうか。)
天智との会話を切り、皆とは逆に走りだす。
「琴羽!どこに行くんだ!琴羽ー!」
暴徒と化した生徒を殴り、締め上げ、叩きつけ、俺は目についた全員を気絶させていた。
「…多いな。」
そんななか出た感想はこれである。
妖怪ならいざ知らず、人間なんて今更相手にもならない。
そのために学校の生徒の鎮圧にはそう時間はかからなかった。
学校の、は――
ふと外を見ると、襲われてる人が目についた。
すぐに飛び降り、襲われている人のところまで走った。
(この騒ぎ、外まで広がってるのか!?)
『妖怪の気配が近い。来るぞ!』
「雷槍!」
なりふり構っている暇ではない。
能力が見られる心配もせず、俺は雷の槍を手に顕現した。
その槍は、次々来る妖怪を殴り、あるいは貫き、妖怪達を無力化していった。
「…ありがとう…」
その男性は目の前の現実に恐怖しながら、感謝の言葉を言った。
俺は構わず走りだした。
「ふっ!」
背後から妖怪を裂く。
気付き襲ってきた四体をさらに裂く。
自分の甘さを痛感しながらも、俺が倒した妖怪に死者は出ていない。
一体残った妖怪は、必死に命乞いをしている。
その妖怪を裂かない理由は、妖怪の出所を知るためだった。
「お前らがどっから来たのか。とっとと吐け。」
「わ、分かった!教える!だから助けてくれ!」
みっともない。
そんなことを思った。
「……早くしろ。」
俺はその姿を長く見ているのも馬鹿らしいと思い、早く教えるよう催促した。
「こっから向こうに2kmぐらい、そこに門が開いてる!理由なんて知らない!これ以上は何も知らない!」
どうやらその辺の下等妖怪にそこまでは教えられてないようだ。
(門……これ以上出られないように塞ぐか?それとも壊すか?……どっちでもいい。向かおう。)
そいつが人を襲えないよう足を一本落とした。
直後、能力による光速で走った。
門と呼ばれたものの場所に着いた。
まるで空間が裂かれたようなもの。
妖怪の出所はここで間違いなかった。
見たところ妖怪は二十程度しかいない。
(あの程度なら……)
俺は能力を発動した。
せいぜい麻痺する程度の雷咆を、妖怪全てを飲み込む範囲で放った。
『があああぁぁ!』
狙いは成功し、そこにいた妖怪を全員無力化した。
何体かは気絶しているが、死者はいないようだ。
(後はあれを……)
その考えは途中で切り替わった。
『オオオオーーーン』
遠くの方で遠吠えが聞こえた。
そしてその方角は――学校。
そこで俺は、妖怪の本能とさえ言えるある習性を思い出した。
食人という妖怪の嫌われる要因。
恐怖の対象となる原因。
意思を持つことさえ出来なかった下等妖怪には、それ以外の感情はない。
ならばそういう妖怪はどこへ行く?
その答えは至極単純。
人間の多い場所へ向かう。
一ヶ所に固まってるなら尚更だ。
門を破壊する暇もなく、俺は一つ罠を張るだけでその場から離れた。
次の回若干グロ描写あるかもしれません。相変わらず時間はないですけど、三連休ですしもう一話ぐらいは出します。これは確実です。では。