東方独団記   作:十六夜凜

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獄羅の能力の説明は前書きか後書きで書こうかとも思ってたんですけど、長いし本文に入れました。まあそれは置いといて。病気で半分倒れてたりしてて投稿出来なかったという言い訳と、久しぶりに投稿した謝罪の言葉を書かせてもらいます。本っ当にすみませんでした!話は出来てるんです!なので時間があれば書けるんです!
………まあ言い訳は言い訳ですね。ではでは~


第五十七話 氷と炎の終末技

「……相変わらず暗いな。」

『俺の世界が明るいと思ったのか?見慣れた光景だろう?』

暗くて何もない世界。

黒以外の色も見えない。

ただ見えるのは、互いの姿ただ一つ。

そんな世界に俺はいた。

決着を着けるために。

『この世界は精神世界のようなもの。この暗闇も、お前の心だ。天智の白の世界もお前の心の一つだ。これがお前という人間の本質だ。人間の本質は変わらない。この暗闇から逃れることは出来ない。』

「…………」

『お前はかなり不安定だ。闇にも光にも成りえない。普通の人間に存在する心の世界と、お前の世界は違う。どちらにもならないお前は、俺も、天智も受け入れることは出来ない。そろそろ選ばなきゃいけないんだ。他人を護りたいなら、選べよ。どうせ人を越えてるんだ。それとも綺麗事ばかりでなんの覚悟も出来てなかったのか?』

「……ははっ」

『…なにが可笑しい?』

「選ぶ必要がどこにある?お前は俺を殺せばいい。俺が生きれば闇を手に入れる。単純な話だ。俺はどちらを選ぶ必要もない。俺がお前に勝つか負けるかだ。話を変えるなよ獄羅。今は『俺がどちらを選ぶか』じゃなくて、『俺が力を欲しているか』だろ?」

『………!』

「俺は何も選ばない。自分のために、自己満足のために、全て手に入れる。何であろうと俺のものだ。闇だ光だと右往左往するだけ無駄だ!とっとと寄越せよ。力ってやつをよぉ!」

『……荒々しいな。やっとらしくなってきたじゃねえか。なら始めよう。せいぜい足掻いてみせろ!』

獄羅の周りに熱気と冷気、真逆のものが集まり始める。

近付けば燃えるのではないかという熱気。

近付けば凍えるのではないかという冷気。

それらが同時に発せられようとしている。

『琴羽、これは俺からの多少の気遣いみたいなもんだ。この一撃に全魔力を注ぐ。戦いは、この一撃で終了する。これはスペルとは違うからな。喰らえば死ぬだろう。あれだけの大口叩いたんだ。即効死ぬんじゃねえぞ!』

二つが混ざり、気体から個体へと変化する。

炎と氷。

まるで魔法のように、その二つは重なる。

氷が溶けることもなく。

また炎が凍るわけでもなく、これらは広がっていく。

『地獄は誰でも知っている。中でも針地獄や血の池地獄と呼ばれるものは最も知られる。』

獄羅は淡々と説明していく。

地獄とゆう世界を。

人間の果ての世界を。

『しかしその実、全ての地獄を知る方法を、人間は持たない。予測を起てた者達でさえある数種類のものしか知らない。その点で言えば、八大地獄を当ててただけでも見事だと言えるだろう。』

「……その八大地獄ってのがお前の能力か?」

『ご名答。俺の能力は八大地獄を操る程度の能力。八熱八寒とも呼ばれるその地獄は、全て俺の力となる。まあ全ての地獄を支配するのは、俺じゃなくて閻魔だがな。八大地獄が俺の支配下なら、どうなるか。お前なら分かるな?』

「俺もそこまで知識があるわけじゃない。ただ、八大地獄の四方には門があり、それらの門全てに小地獄が存在する。それぐらいなら知ってる。つまりお前は、八つの地獄を使えると同時に、隣接する小地獄も操れる。そして八大地獄に属さない針地獄の針。これをお前が使っていたことから、他の地獄の力も使えるだろう。」

『ふむ……確かにそこまでは正解だ。あえて間違いを言うのなら、俺が使っている針は針地獄の一部。そして俺が使える力も、能力以外じゃそれぐらいだ。』

「……お前の能力に属さない能力はもう一つある。お前が使う黒い炎は地獄には存在しない。人間の世界にも、……天界にも。その炎は、能力とは全く関係ないお前自身の体質のようなものだろう?」

『ふっ…半分は正解だな。この炎は地獄のものじゃない。つまり俺の能力じゃなく、獄卒全てが使える 種族的な能力だ。最も、俺程使いこなす奴は他にいないがな。だからこそ、能力と併用すれば、技を強化も出来る。』

広がっていく炎が黒に変わる。

『さて、俺の能力も説明は大体した。これが冥土の土産ってやつだろうな。……そろそろ俺の力も頃合いだ。確実にお前を殺すための力も溜まった。』

「……なら、早く終わらそう。これが最後だ。来いよ、その力のある限りを、全て呑み尽くしてやる。」

『その覚悟は認めてやる。せいぜい生きることに尽くすことだな。死んでから後悔すんじゃねえぞ!『氷炎獄』(ひょうえんごく)!』

混ざりながら炎と氷は壁を造る。

俺を囲うように、徐々に縦にも広がっていく。

ドーム状に形成が終わった時点で、その攻撃の仕掛けが全て発動する。

黒と青の炎と氷が、柱状に全て俺に向かってくる。

氷炎獄の仕掛けとは、混ざった力全てが、対象に襲いかかること。

その威力は少なくとも、過去俺の使ったどのスペルよりも、数倍は上のものだった。

『……これを喰らい、生きてた奴は一人もいない。どうやって、生き延びた?』

その攻撃を俺は喰らった。

完璧に全身を飲み込まれた。

しかし生き延びた。

それは何故か。

ただ防いだだけだ。

ある物を使って。

「こいつを解いただけさ。」

その俺の手にあったのは、一つの箱だった。

幻想郷で、初めて中身が分かった、形見。

その箱の役割を、俺は既に知っていた。

強力過ぎる力の封印。

魔力の塊である石は、父さんの術による封印式。

父さんが育ててきた子供は、皆何らかの理由で魔力、霊力が高かった者だったのだ。

あとは単純、その封印を解いただけ。

過去に俺が開けなかったのは、力が目覚めてなかったから。

幻想郷で開いたのは、力が目覚めたから。

そして中にある封印式を破壊する。

そうすれば、元よりあったはずの力の全てを解放できる。

「俺は、自分本来の力の全てを解放しただけさ。」

全ての柱がぶつかる直前に、魔力、霊力による最大の防御障壁。

ただ力を垂れ流したものを、障壁として展開するのみ。

それが防げた理由だった。

『……くくっはっはっはっはっ!』

「!」

『はぁ……長時間体が保つとは思えない。ぶっつけ本番でやるには危険過ぎる賭けだな。そのまま死んでもおかしくない。異常だよ。お前は。』

「長時間は無理でも、一瞬なら、十分だろ?」

『……そうだな…琴羽、お前の勝ちだ。力はくれてやる。天智と俺は、これで完全に対等となった。使い方は同じさ。説明は……いらないな。その箱は持ち続けろよ?長時間解放しっぱなしじゃ死ぬからな。封印もし直してやるよ。』

「……やっぱりな。最初からそのつもりだったろ。」

『そのつもり?何のことかな~?』

「……嘘が下手な奴め。」

『何にしても俺はお前の力となった。助けるんなら早く行けよ。鵺倒して来い。この世界もお前のものになったんだから、自由に出入り出来るしな。』

「もう来ねぇよ。これからは普通に話そう。外でな。」

『ああ。』

暗闇から抜けて元の世界へ。

現実へと戻る。

(さあ、ここからが本番だ。)

俺は能力を発動して、囲っていた妖怪の手足を、燃やした。

 




多分話の流れから分かると思うけど説明しときますね。最初から獄羅がしようとしてたことは琴羽に能力を与えること、結構前に投稿していた回では獄羅が死んじまうって言ってた回もあります。その伏線回収でもありますね。分かりずらいところはここで説明することにします。今までも分かりずらいところはありましたから。
では。

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