第五十九話 地獄での隠居生活
「………」
幻想郷に帰り、約一週間が経過した現在。
俺は呆けていた。
川近くの芝生の上で。
幻想郷には俺の知り合いと呼べる者が思ったよりも多かった。
出来れば霊夢や魔理沙とか、紅魔館の面々には会いたくない。
旧地獄と呼ばれる地底。
妖怪の山。
人里の人達等々。
それらを除く場所というのなら、必然的に俺のいける場所は限られる。
結果、俺は地獄にいた。
知り合いも居ず、知り合いが来る可能性が比較的低い場所。
勿論そんな場所俺は知らなかった。
なら何故そこにいるのか?
完全に偶然だ。
ただ誰もいないところを探していたら、三途の川にたどり着いていた。
まあ三途の川があることに驚きはあったが、一週間前の俺は特に何も思わなかった。
そもそも知らなかったのだから当然だ。
むしろ驚いたのはその後と言える。
鎌を持った奴が急に、しかもかなりフレンドリーに話しかけてきて、そのうえ俺の事情をある程度知っていたのだ。
これで驚かないわけがない。
その女の説明では、現世の者をある程度知ることができる場所であり、また俺は何度も死にかけたことから、要注意人物としてマークされていたらしい。
いや、単純に心配されていたらしい。
そのためある程度の行動は全て知られているようだ。
霊夢達と会いたくない事情も知っていて、しかも会う確率が低い場所ということで、しばらく地獄に匿ってくれることになった。
それが一週間前のことである。
なら何故呆けているのか?
単純に暇なだけだ。
地獄の仕事において俺に手伝えることはない。
かといって他の雑用も特には必要ない。
実質単なる居候となっていた。
その間に力の制御を完璧なものにする、というのも考えたが、力の使用を禁止された。
勿論草薙も禁止だ。
よって今までになく暇な時間をただただ過ごしていた。
誰に禁止されたか?
閻魔にだ。
第一声『とうとう来た』だった緑髪の子供だ。
まあとにかく、何もすることがなくなったことによって、この世界に来る前のことを思い出したのだ。
『つまらない』
俺は睡魔に抗わず、芝生に身を預けたまま、静かに瞼を閉じた。
「……寝てるのかい?」
「…すぅ……すぅ…」
少年は静かに寝息をたてている。
「…私も寝るか!」
私は鎌を置いて横になった。
「――!……!さ……たら……!…なさい!」
俺は身を寝かせたまま、誰の声なのかを判別した。
もっとも、ここにいることが多いのは俺ともう一人だけ。
会話はそう聞かない。
ならこの声は誰の声か。
身を起こさない理由はそこにあった。
「貴女の仕事はどうしたんですか!魂はまだ残っているんですよ!?だいたい貴女はいつもさぼってばかり―」
鎌を持った女こと小野塚小町が、上司である閻魔こと四季映姫・ヤマザナドゥに説教をされている。
二日目で既に見た光景だったために、特になんとも思わなかったが、説教を一緒に受けるつもりなど毛頭ない。
最悪叩き起こされる可能性もあるにはあるが、映姫はあまり暴力的なことはしない。
(まあ小町が寝てるのを見つけたら起きるまで、しかも怖いくらいの笑顔で真横にいることもあるしな……起こすこともあるが。)
つまり今回、小町を生け贄にしてこの場はやり過ごす。
「―――ん?そろそろ日が暮れますね。今日はこれくらいにしておきますが、次さぼれば私の部屋で説教します。さぁ仕事に戻りなさい。」
「は、はいぃぃ!」
小町は走り去る。
「……起きてるのでしょう?琴羽?」
「……!」
「貴方もだらけてばかりではなく、多少なりとも体は動かして下さい。健康に関わります。それと……」
映姫は少し考える素振りを見せ、決心したように口を開いた。
「貴方の持つその刀、素人目でもわかる業物ですね?私が見ている時には使う素振りすら見せませんでしたが……どころか手に入れたことすら分かりませんでしたが、それの使用……いえ、素振り程度は許すことに決めました。」
「………!本当か!?」
俺は直後に飛び起きた。
暇を持て余す時間に終わりが来たと思ったからだ。
「はい。私が禁止していた理由は、能力やその刀を使えば、貴方はまた、危険に身を置くと判断したからです。能力など許可してしまえば、それこそ貴方は貴方ではない別の何かに喰われてしまうと思ったからです。」
「……いつから見てた?」
これは推測に過ぎない。
しかしもし子供のときの俺を、あの事件を見ていたのなら、ここにいるわけにはいかない。
たとえ受け入れられても、俺が許さない。
許されない。
「貴方がフランドールに殺意を向けたあの時から、その方と、それからの貴方を見ていました。いえ、本当のことを言えばそれよりももっと前、貴方が幻想郷に来た時から。」
俺は少し安堵しながら、次の言葉を発した。
「なら分かっているだろう?獄羅はもう俺の、俺達の仲間だ。フランを殺そうとしたあいつはもういない。」
これは事実だ。
今の獄羅は俺の許可無く表に出ることも、力を使うことも出来ない。
本人もそのつもりはない。
「そうですね。ですが私は心配なのです。それが本当だとしても。」
映姫の言うことは全て正論だ。
たとえ見ていたとは言え、誰かを殺そうとした奴のことを、簡単には信用出来ない。
それはもはや、理として世界に存在する考えだ。
閻魔といえど例外はない。
「……なら、約束してくれ。」
「え?」
「もし俺が別の何かに取り憑かれ俺じゃなくなってしまったら……迷わず殺せ……!」
「!」
気のせいか、辺りの花が散った気がした。
こんな空いた理由なんですがね?特に理由があるわけではないんですよ!春休みに入ったことで、僕の闘病生活がきつくなっただけなんです!基本引きこもり病弱野郎は運動も出来ないんです!学校に行く自転車が一番の運動なんです!まぁ理由はほとんど言い訳なので聞き…見流して下さい。空けてすみませんでした。次回は近い内に出します。では。