ではでは~
私はどうすればいいのか。
先日琴羽に、[殺す]ことを頼まれてしまった。
私は閻魔であり、こと殺しに関してはむしろ管理者と言える。
しかし私が行うのはあくまで審判。
手を下すことを私はしたことがない。
そもそも私が行うのは魂の審判であり、実体ある者と関わることはなかった。
地上に出て、説教をして、それで深い繋がりを持つ者は、ただ一人とていなかった。
宴会にも行かず、休日も遊ぶなどと腑抜けた生活を送らず、仕事をする毎日。
だから私は悩んでいた。
琴羽という実体のある人間を、どう扱えばいいのか。
どう接すればいいのかと……
「………」
「………」
横にいる小町も、俺も、今の心境は同じだろう。
『……なんでこうなった…』
目の前には、切り刻まれ、穴だらけの修練場があった。
それは今から約一時間前程のこと……
「~♪お?琴羽じゃないか。どこか行くのかい?」
俺は修練場に向かっていた。
その道中、おそらくまたさぼってどこかへ行こうとしているであろう小町と会った。
「修練場にな。振る程度は許されたが、正直外でやるとどうなるかが分からん。」
この刀、草薙は神からの預り物。
ちょっとした能力があってもおかしくはない。
なかったとしても、外で振れば、風圧で花が散ってしまう。
ここは地獄と思えない程花が綺麗だ。
まぁ映姫が言うには全て魂らしいが、命を散らすことには変わりない。
「修練場ねぇ~あそこは戦うの大好きな殺しが仕事の死神ばっかりだからね~………」
そこで小町は言葉を区切り俺を見た。
おそらく楽しそうな顔してたのだろう。
小町の笑顔はひきつっていた。
「あのー琴羽?やっぱり外で……」
「今の聞いて外行くと思うか?」
「あははー思ってませんよー」
もはや棒読みだった。
(存分にストレスを発散させてもらおう!)
俺は足早に修練場へ向かった。
修練場に着いた俺は驚いていた。
とてつもない広さに大量の傷痕、しかしその広さを活かせてないと思う程の……人のいなさに。
「小町?血気盛んそうな奴どころか誰もいなくないか?」
結局付いてきていた小町に問いかける。
「……なんでだろうねー……」
目に見えて安堵している。
「……まぁいいか。」
そう言って俺は草薙を抜いた。
刀を使うことは初めてではない。
能力上武器は何でも使える。
それが普通の武器ならば。
草薙は突然光だし、持っていることが出来ない程暴れ出した。
その姿は龍となり、ところ構わず噛みついた。
尾は地面を叩き、牙は地面を噛み続ける。
「………」
「……琴羽、あれは?」
「……分からん。」
収まるまでと俺達はただ見ていた。
十分後、その龍は力尽きたように刀へと戻った。
「……よし。やっと始められる。」
俺は刀を手に取った。
「あれ見てからすぐに刀を手に取るのかい……」
それを見た小町が呆れていた。
実を言えばこうなることは分かっていた。
あの刀は仮にも神の持つ刀。
どんな力があっても不思議ではない。
その上この刀の前の持ち主は友人である光司だ。
刀本来の力は知らないが、光司が使っていた時の力は予想出来る。
武器は持ち主の能力に関連した力を得る。
俺の雷槍のように、能力で造った武器は当然、鍛冶屋などが打った刀も、使用する時間によっては力を吸収する名刀などは存在する。
単なる本の受け売りでしかないが、あれを見て嘘とは思わない。
光司の能力『海』が刀に吸収されていたのなら、さっきのは持ち主から離れた刀の怒りが具現化した姿なのだろう。
力尽きて刀に戻ったのだろうが、そのうちまた暴れだすだろう。
(持ち主として認めさせるしかないか……)
「琴羽?」
「……ふっ!」
俺は刀を壁に向かって投げつけた。
「ちょっ!?何してるの!?」
「小町、数日間修練場に引きこもるって映姫に伝えといてくれ。」
「へ?あ、ちょっと待っ……」
返事を聞く前に、俺は雷の檻を造った。
修練場の大半を囲う程大きいものを。
「ついでに誰も近付かないようにもしといてくれ。」
間髪入れずに檻へと飛び込んだ。
「琴羽!?熱っ!」
『ありゃ相当やべぇぞ?光司って奴はどんだけ強ぇ奴だったんだよ?』
(仮にも神だぞ?)
「まぁでも、面白そうじゃねえか。」
その言葉の直後、水色の龍がその姿を創りあげた。
「元の世界での知識だが、こうゆう生意気な奴は殴って躾りゃいいんだろ?」
『……歪んだ知識だな。』
俺は雷の槍を造った。
「さぁ…躾の時間だ!」
それからは早かった。
龍の力は相当に大きかったが、怒りに身を任せてただ暴れ回っている子供のように、攻撃は全て単調なものだった。
「パワーはあってもスピードはない。力はあっても技はない。誰かが従えることで初めて力を発揮出来る。」
『刀ってなそういうもんだ。自立は出来ねえんだよ。たとえ一つの魂でもな。』
「……お前と同じか。……草薙。お前の主はここにいる。偽りだとしても、お前の友に認められた者がここにいる。俺を主と…認めてくれないか?」
『…………』
草薙は首を上げて答えた。
『認めましょう。長き時共に過ごせし我が友が、私を譲るがまでに認めた御方を。その心が、私に喰われるような脆き物でないことを願います。』
頭に直接響くように聞こえた言葉は、その言葉で区切られた。
そして同時に、草薙の姿が刀へと戻った。
俺はそれを手に取り、言葉をかけた。
「これから頼む。草薙。」
それから俺は、映姫に説教を食らっていた。
生半可なものではなく本気。
小町はそれを横で見ていた。
映姫の説教は二時間続いた。
「……まぁこれくらいにしておきましょう。……全く。心配して損しました。」
そう言った映姫の顔は、少し笑っていた。
草薙擬人化させようか迷ってます。もしくは龍の姿での出演か。どっちでもいいですよね?僕の好きにさせてもらいます。あと戦闘中は意識が明確でないってことを忘れないで下さい!喋った時が本来の草薙なので!では。
4月5日追記 サブタイ変更が反映されていませんでした。すみませんでした。