あれから草薙が暴れることはなかった。
刀そのものとして使わせてくれている。
たまに小町と手合わせする以外、瞑想と素振りしかしていないが。
本気で振ると地面が抉れ、それを見た映姫に説教され、血気盛んな奴らは抉れた地面見て萎縮して、それでも争いもなく、平和な日々が続いた。
(自分が狙われてるとは思えないな。)
その油断が命とりになることを俺は知っている。
しかし、これから会う人物を俺は欠片程も予想していなかった。
庭で寝ていた俺は、俺を探していた映姫の一言で目を覚ました。
飛び起きたと言ってもいいだろう。
『霊夢が来た』
その言葉通り、映姫の横には霊夢がいた。
今にも泣きそうな顔をした、弱々しい少女が。
「……久しぶりだな。」
俺は顔を逸らして言った。
「……久しぶり。」
霊夢も、顔を逸らした。
空気を読んだのか、映姫はいなかった。
天智も獄羅も、二人がいる気配すらなくなっていた。
「…もう会わないつもりだったのに……なんで来たんだ…」
本心からそう言った。
「………」
「……俺には、この世界にいる資格はない。本当なら、死ぬべきなんだ。」
「…そんな………」
「でも今起きてることの原因は俺、責任を取らなきゃいけないのも俺だ。無責任に投げ出すことは出来ない。」
ここで死ねば、俺はただ逃げただけになる。
救うことも、護ることも、約束を果たすことすら出来ない。
「霊夢。俺はもうお前達に合わせる顔がないよ……だから……帰ってくれ。」
地獄にいるのももう終わり。
後はただ、誰にも会わないように放浪するだけ。
それが俺の道なのだから。
道のない暗がりを進むだけ……
「何言ってるのよ……!」
霊夢が怒気を孕んだ声で叫んだ。
「ここは幻想郷よ!?資格なんていらない!幻想郷は全てを受け入れる!これはたとえ魔理沙でも違えさせない!私が創った楽園を、侮辱するな!」
涙まで流して、霊夢はそう言い放った。
(……クク……幻想郷創ったのは霊夢じゃないのにな。)
でも、道は示してくれた。
暗がりに迷い込んだ俺を、光へ導いてくれた。
(幻想郷は紫が創った。でも、妖怪と争わないためのルールを創ったのは、霊夢だったな。)
「霊夢。」
「………」
「ありがとう。」
「!」
これ以外に言葉はいらない。
意味のない言葉を羅列するなら、たった一言の感謝の方がずっと大きい。
でも、それより大きい罪はある。
今はこの一言以外に、俺に出せる言葉はない。
俺の道は、暗がりから外れない。
贖罪こそが俺の道。
この光を護るためなら、俺は殺人鬼にだってなってやる。
たとえ過去の家族でも、幻想郷を襲うならば断罪する。
罪を背負って生きていく。
これが俺の人生だ。
それから数分、霊夢は何も言わなかった。
何も言わずに時間が経って、流石の霊夢も帰宅時刻となった。
結局その日、俺は映姫に別れを告げた。
それから俺は、紫を待つことにした。
幻想郷で過ごすのも難しい。
かといって外の世界に戻ることも難しい。
なら後は、堺の情報を手に入れるために、紫を頼るのが先決だ。
自分から会いに行けないのは面倒だが、他に選択肢がない。
俺は人里の自宅に帰ることなく、湖にいた。
そこが紅魔館の近くとも知らずに。
「ふぁ~あ…釣りって退屈だな…」
それから十日間、紅魔館の奴に気付かれることなく時間が過ぎた。
ここに住み始めてから五日目で俺は気付いた。
釣りは同じ場所でやってても釣れないと思ったから、湖の周りを探索してたら偶然見つけた。
それからは気付かれないよう、日に日に場所を移しては食料調達(釣り)を続けた。
たまに妖精がいたが、気配を断った状態の俺に気付けるはずもなく、十日間を過ごせた。
紫からの音沙汰なし。
堺からの襲撃なし。
霊夢や魔理沙の捜索なし。
いや最後に関しては三日前に二人を見たからないのか完全には分からない。
それからもずっと、堺に関する何かが起こることを、紫から情報を届くことを、俺は待ち続けた。
そういえば堺の名前って出したっけ?またキャラ紹介しますか!……さきに霊夢達側書かなきゃ。近い内に投稿出来ることを投稿者ながら願います。では。