東方独団記   作:十六夜凜

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お久しぶりでございます~。更新出来なかった理由は説明が出来ません。とにかくいろいろあったということでお許しください。ではでは~


第六十二話 本物の地獄

十、二十、三十と時間は経ち、気付けば一月を過ごしていた。

そしてついに、待ち続けた者が現れた。

「一月ほど…だったかしら?気分はどう?」

まるで囚人にでも話し掛けているようだった。

「悪くない。といっても疲労は否めないがな。」

「そう。ついでにそれはどっちの?」

「…想像通りだ。」

つまりは精神的な疲労。

一月することなく隠れて過ごせばそうなるのは当然。

(紫が情報を持ってなかったらまた……頼む。)

「堺については何か分かったか?」

「ええ。」

あっさりと答えた。

どうやら精神的疲労をさらに重ねずすんだらしい。

「それで堺はどこに?」

「別の世界。」

……肉体的疲労もくるらしい。

 

 

 

 

 

「ここに堺が……」

紫から場所を聞いて、すぐにこの場所へ来た。

獄羅の故郷でもあり、死者の集いし場所。

ほとんどの人間が知るその世界……地獄。

それも幻想郷のように優しくない。

獄卒が闊歩する異界だ。

何故堺がここにいるのか。

何故いることが出来るのか。

紫でさえ知ることは出来なかった。

しかし堺がここを拠点としているなら、獄卒のほとんどが敵。

罪人を逃がす断罪人などいないのだから。

そして、その原因とも呼べる者もまた、逃れることは出来ない。

 

 

 

 

 

 

獄卒が行き交う中、隠れながら歩いていた。

獄羅から聞いた話では、獄卒には専用の種族能力のようなものがあるようだ。

いわゆる罪人と呼ばれる者達が分かる勘に近いもの。

つまり俺は、その適用内。

見つかれば、戦闘は免れない。

(厄介な奴らだ。悪いのは俺だけどな……)

歩いてるのはただの道、いや廊下。

隠れる場所はどこにもない。

更に言えば紫もここには来れずに帰った。

つまりどう隠れているのか。

簡単なこと。

能力による透明化。

道具の能力を付加する能力。

今の力量なら使い続けられる。

(堺は既に罪人…俺と同じくどこかに隠れているのか?それとも獄卒を…?特定の部屋に潜んでいるのも考えられる。常に気配を探れ…小さな力も見逃すな…!)

「!」

俺は全力で飛び退いた。

「へえ……この程度の殺気に気付くんだぁ♪…面白そうだねぇ?」

その前に現れたのは、明らかな幼女だった。

(だがこの殺気は間違いなくこいつから出てる…見た目が子供でも中身は化け物だ……!)

「僕のことどう考えてるかすっごく分かりやすいねぇ?楽しめそうだなぁ♪」

会話の内に背後にも獄卒が現れた。

「…一つ聞かせろ。何故俺に気付いた?」

「ん~?何で?気付かない方がおかしいんだよ♪そんな雑魚………いらないね?」

背後から血飛沫の音が聞こえた。

「………?」

反応が出来なかった。

見えてもいなかった。

何も分からないまま、背後にいた獄卒は……死んだ。

「あっはっはっは!滑稽だねぇ?弱いからこうなるんだよ?ははは……君は、どうだろうねぇ?」

「!消え……」

「こっちだよ?」

背中に強い衝撃が走る。

「がっ!」

「ほら次!次!次!次!!次ぃ!」

手、足、腹、首、頭。

人間にとって重要な部位一つ一つを破壊されていく。

「がっあぁ……ごほ!」

「あっれ~?もう終わり~?張り合いないなーつまんないなー。もっと強いと思ってたのにぃ……見込み違いだねぇ?」

その言葉の後、俺はその場から消えた。

文字通り、消えた。

その子供の後ろにいた。

風で造った手刀を首に当て、動作を止めた。

「……どういうこと?今みたいな速度、出したらそれこそ早死にするだけだよ?死にたいの?」

「…はっ!死にたいわけがねえだろ!お前の攻撃受けて、ある程度は理解したさ。お前の能力は、スピードを上げる能力じゃない。」

「へぇ…あんな数秒で分かったんだ。ならいったい何の能力だと言うのかな?」

「お前が行っていた高速移動。そのからくりは、その手だ。」

「!」

その手は、血塗れだった。

「………」

「その血は最初に殺した部下の血。そしてお前の能力は、置換。物質の場所を入れ替えるだけ。高速移動しているように見えたのは、部下の血を散らすことで、移動場所を造ったからだ。俺の足元の血と場所を入れ替えるのも可能なんだからな。正解だろう?」

「…それじゃ説明つかないこともないかなぁ?何故部下の血が手に?他の部位に付着してもおかしくないでしょうに。最初の移動は何と?そもそも、置換が床に着いた液体で出来るの?」

「答えはこいつだろ?」

俺は構えていた手刀を背後に放った。

「ぐああ!」

突然何もない空間から一人の獄卒が現れた。

「お前の置換能力で入れ替わった直後、その獄卒は透明になって身を潜めた。もともとお前の部下は、倒れてるのともう一人いたんだ。透明化の能力を持つ奴がいると分かれば後は簡単だ。自分とともに連れてきた部下と入れ替わるだけだ。透明になった部下がただ他の奴らと同じ場所に行けばいいだけなんだからな。」

「……ご名答。降参だよ。」

降参の意思表示かのように、手を上げた。

「第一お前、いらないとか言って誰も殺してねえじゃねえか。」

「まあ当然だよ。ただの私闘で部下を殺しちゃ、部下なんてすぐいなくなっちゃう。(まぁ重症にはしちゃったけど……)」

「……試してたのか?」

「そうだよ♪」

(そんな私闘で部下は殺さない、だが平気で他人は痛めるのか…)

「そんな顔しないでよ♪僕はただ知りたかったんだよ?彼女が殺したい人っていうの。」

「!堺のことか!?あいつはどこにいるんだ!教えろ!」

「まあまあ…ねぇ琴羽君。もし、自分が絶対に勝てない相手が、誰にでも出来るけど、誰にも出来ない方法で力を手に入れてたとしたら、君ならどうする?」

(誰にでも出来るけど、誰にも出来ない方法?)

「……やっぱりまだ分からないんだね。それじゃ軍配は彼女に上がるかな?あっはっは!」

豪快に笑う。

笑ってから端的に言った。

「彼女はもうここにはいないよ♪地獄にも、現世にも、どこにもね♪六道の道は開いた。追うなら急いだ方がいいよ♪この奥、一番大きな扉へ。」

そう言って彼女は、部下を連れて去って行った。

「六道の道……?」

何も分からないのに考える必要はないと、ただ一つ、俺の行かなければならない場所へ向かった。

『一番大きな扉』、そこを堺は通った。

「絶対に連れ戻すぞ、堺。」

 

 

 

 

 

 

「……行ったみたいだねぇ♪死んだら僕が裁こうかな?二人とも♪……君たちの魂がここに来るのを笑顔で待ってるよ♪」

 

 




最後のちょっとした説明。地獄へは基本死んだ人の魂のみが行く場所とほぼ常識的に知られている。ここでは生身の琴羽はもとより裁くことの出来る存在ではないので、琴羽が隠れて移動してた意味は皆無。というわけでもなく、見つかればゲームよろしく現世に強制送還されるので、琴羽の考えは若干間違っていた。罪人だとしても琴羽や堺を裁く権利はこの幼女にはない。幼女の名前未定。ということで終わります。では。
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