俺は霊夢に案内されるままに、里の大通りを歩いていた。
「へぇー里ってこうゆう所なのか。……向こうの世界より雰囲気が明るい気がするな。」
向こうの世界ではあまり外には出たくなかった。
ひとたび外に繰り出せば、すぐに喧嘩をかけられる。
それに…明るい顔をしている奴らなんて、数える程しか居なかった。
たまに見る外も、部屋から見える通りも、争い事や警察沙汰なんて珍しくなかった。
でもここは違う。
皆が皆、明るい顔で通りを歩いている。
(向こうもこうだったら……俺も少しは楽しめたかもな。)
そんな事考えているとは知らない霊夢は、こちらもまた嬉しそうな、明るい顔をしていた。
「霊夢ー!」
(ん?)
「魔理沙…。」
呆れ顔で霊夢は言った。
「どうしたんだ?」
何に呆れているのか分からない俺は、霊夢に聞いた。
「いえ、面倒臭い奴が来たなと思って。」
「面倒臭いとは失礼だぜ!朝霊夢ん家行ったのに居ないし、里に居ても賽銭の音を聞き取るお前が、全然帰って来ないから、それからずっと探してたんだぜ!?」
どうやら霊夢が中々帰って来ないから、何かあったのか心配して探していたらしい。
「心配掛けたのは悪かったけど、異変も起きてないのに私が何にやられるって言うのよ?」
「う、確かにそうだけど…だったら何やってたんだぜ?」
「俺の案内してもらってたんだよ。」
二人の会話に割って入った。
「?お前誰だぜ?」
俺を知らない魔理沙は、当然の反応を見せた。
「でも何か見たことある気が……。」
「外来人なんだからあんたが見たことあるわけないでしょ?」
俺も疑問に思った。
この世界であったのは霊夢、紫、永琳、もしかしたらアリスにも顔は見られてるかもしれない。
それ以外にあった人物は一人もいなかったはずだ。
そう考えていると…
「あー!思い出したぜ!新聞で出てた霊夢の彼氏か!」
は?
こいつは今何て言った?
「な、な、…」
凄い霊夢が狼狽えてた。
確かに霊夢は良い奴だが、そんな見方はしたことがない。
俺は誤解を解くために口を開いた。
「なぁ、一つ言っとくが別に俺らは付き合ってねえぞ?単なるデマだよ。」
当然そう言った。
「そそそそうよ!私達は別に付き合ってなんか……」
何か凄い慌ててる。
魔理沙がイタズラな笑みを浮かべている。
これはヤバい。
一瞬で魔理沙の性格を判断した俺は、魔理沙が言おうとした言葉を遮り「悪いが急いでるんだ。話はまた今度な。」と言った。
「そ、そうね!早く慧音のとこに行きましょ!」
「えー!少し位良いじゃんかよー!」
玩具を奪われた子供のような声で、魔理沙は騒いだ。
「早く行くわよ!」
言うなり霊夢は、俺の手を掴んで、逃げるように早足で歩き始めた。
「待ってくれよー私も行くんだぜー。」
笑いながら走って来た。
「何であんたもいんのよ?」
「面白そうだからだぜ!」
こいつは反省の言葉を知らんのか?
まあ、いいや。
「で?慧音呼ぶんだろ?早く頼むよ。夜になる前に家見つけたいし。」
「はぁ、そうね。魔理沙に構ってる暇なんてないわね。
慧音ー!居るー!?」
霊夢が叫んだ。
………………全然出てこないな。
居ないのか?
と思っていたら、「誰だー?」と言う声がした。
「何だ、霊夢と魔理沙か。それに…新聞の?」
「あの新聞やっぱ嘘だったぜ。」
「そうなのか?てっきり本当かと…」
「ちょ、ちょっとそんな話どうでもいいわよ!琴羽の家探して欲しいの!」
「名前で呼ぶとは…」
「仲がいいですなぁ。」
二人が暗い笑みを見せながらひそひそと話始めた。
名前で呼ぶのは当然じゃないのか?
「う、五月蝿い!」
『あっはははは』
「うう……」
霊夢が泣きそうな顔してた。
(そろそろ助けるか。霊夢って弄ると面白いな。)
「なぁ、そろそろ家探し始めてほしいんだが…」
「ははは、そうだな。では空いてる家の確認をしようと思うから、少し待っててくれないか?」
「分かってるよ。特に希望はないから適当に家を見つけてほしい。」
「聞こうと思ったが余計だったようだな。じゃあ少し待っててくれ。」
慧音は寺子屋に戻って行った。
十分経って慧音が出てきた。
「いくつか空き家を見つけたが、本当に希望はないか?」
「…それなら一つだけ良いか?」
「何でも言え。特に困ることもないしな。」
「…なら出来るだけ人が少ない場所にしてくれないか?人が多いのは、まだ難しい。」
「…分かった。なら西端の家にしよう。あそこはあまり人は来ないからな。」
「ありがとう。それから、仕事についてなんだが…掲示板で決めたんだが、そのことについてあんたに言わなきゃ駄目か?」
「決めた仕事が何か報告してくれればいい。」
「分かった。俺が決めた仕事は里の護衛だ。」
「良いのか?この仕事は危険を伴う。外来人の君にこの仕事を頼むのはこちらとしても気が引けるが…」
「良いんだ。俺がしたくて決めたんだからな。」
「…そうか。承諾した。では、まずは家に向かうとしよう。こっちだ。」
言った後、西の方に俺達を先導して歩いていく。
歩いていく慧音に、俺達も付いていった。
「ここだ。」
慧音は一つの家を指差した。
外見は綺麗だ。
きっと誰かが今まで掃除していたのだろう。
窓から見る限り中も綺麗そうだ。
「ここで良いか?」
「ああ、充分だ。ありがとう。」
「とりあえず中に入るといい。部屋割りとかも見る必要があるだろう?」
「分かった。とりあえず家を使えるようにしたいから少し確認したら店に行くよ。」
「そうか。終わったらでいいから寺子屋に遊びに来いよ。」
「気が向いたらな。」
「ははは、そうだな。では私はもう行くとするよ。じゃあ。」
「またなー!」
「さよならー」
「じゃあなー」
慧音に挨拶をしてから、「じゃあ家に入るか。」と言った。
「そうね。」「そうだな!」
二人の声が重なった。
そして、俺は家に挨拶をするように言った。
その言葉と、二人の声がまた重なった。
『失礼しまーす。』
その家に三人揃って入り込んだ。
ありがとうございました。昨日今日毎日更新ギリギリです!里パートはまだまだ続きます。書くことないのでこれで。