神「転生特典は?」俺「ハーレムで!」 作:モテたい男
「今日も修行につきあってもらって悪いな、何か食ってくか?」
「ふむ。おばさんの料理はうまいからな、頂こう」
鍛錬の帰り、イザベラを家に誘うと嬉しそうな気配を放つ。イザベラはすっかり母さんの料理のファンだからな。
「──ッ!」
「ん?」
不意にイザベラが表情を険しくしてある一点を睨む。そろそろ俺の家で、睨んでいるのは玄関だ。正確には玄関の前にいた怪しすぎる2人組。
なんだありゃ、ローブ?凄い不審者だな職質とかされなかったんだろうか?
それにしてもイザベラが警戒しすぎな気がする。俺は最近覚えたばかりの縁関知という技術で2人組を見つめる。見かけた程度の縁だ、あまり強くない……はずだけど片方は少し強いな。どっかで会ったことあるんだろうか?と、凝視していると2人組が此方に気づいた。
「あ、イッセー君!」
「……………誰?」
「え!?私だよ、私私!」
私私詐欺か?いや、縁をみる限り親しかった過去はあるみたいだけど……。
「紫藤イリナだよ!昔良くヒーローごっこしたじゃない!」
「…………………え、男じゃなかったのか!?」
「あらあら、男の子と勘違いしてた?ごめんなさいねイリナちゃん」
「いえいえ、私もあの頃はやんちゃしてましたから……」
イリナと母さんは楽しそうに話している。本当にあの時の友達だったのか、ずっと男の子だと思ってた。
イリナとその連れ、ゼノヴィアというらしい女とイザベラを連れ家に上がった俺とイリナ。さっきからゼノヴィアさんの視線がキツいな。
「それにしても久し振りの再会、何があるか解らないけどイッセー君が早まってなくて良かったわ」
そう言ってイリナはイザベラを見る。いや、
教会関連の人間らしいから、悪魔であるイザベラは敵なのだろう。しかしならば何故敵地に?
戦争を仕掛けに………じゃ、ないよな。それなら家の前で戦闘になってもおかしくない。一般人の被害を考慮するならさっさと避難誘導しているだろうし。
「イリナ、だったか?私の名はイザベラ。ここ最近毎日イッセーに喚ばれ相手している者だ」
「───な!?」
イリナが目を見開きゼノヴィアさんが睨んでくる目を鋭くさせた。な、何?俺なんかした?
俺とイザベラが首を傾げていると母さんがやれやれと肩をすくめる。
「最近、イッセーは強くなろうとしてるのよ。イザベラさんはそんなイッセーの修行相手としてね」
「な、なーんだ、吃驚した~」
「ふん。悪魔に教えを請うなど言語道断だ……本来なら神の名の下断罪してやりたいよ」
ゼノヴィアさんはどうやら悪魔がお嫌いなようで。教会の信者だから当然か。でも俺はクリスマスを祝って元旦には神社行く日本人ですから、神に忠誠なんて誓ってないんだよな。
命を懸ける相手は俺が決める。だからそんな罪人を見る目で見られたって痛くも痒くもない。
そして2人は去っていった。一応、伊月にも連絡を入れた方がいいかな?
次の日、木場が俺と伊月を迎えに来た。伊月は嫌がっていたが俺が朝、イリナ達教会の件を話していたからかしぶしぶついて行った。
「まだ話を始めないのか?」
「この町には私達の下に所属こそしていない者の関係者がいるのよ。彼等とも話しておいた方がいいでしょ?」
「そこで眷属候補とか寝言をほざかなかったのは誉めてやる」
と、伊月が部室内に入る。最近ようやくしつこい眷属勧誘が行われなくなった。会長が頑張って説得してくれたらしい。
なかなか止められなかったお詫びにとお菓子を持ってきたが伊月が会長のお菓子はクソまずいからいらないと言ってたっけ。つーかあの人も悪魔だったんだよなぁ。グレモリー先輩とは親友らしいが、一方的に思われてて仕方なくとかじゃないよな?グレモリー先輩、おっぱいは素晴らしいのに残念だ。
「兵藤一誠………?それと、誰だ?」
「葉隠伊月。人間だ」
話を纏めると……
教会で保管していた聖剣エクスカリバー三本が盗まれちゃった!
犯人は堕天使、奴は駒王町に行ったらしいぞ、悪魔の領地だ!
聖剣は教会の物なんだから手を出さないでよね、ていうか聖剣を壊したくて堕天使と手を組んだんじゃないでしょうね!?
後半が朝のヒロイン目覚ましでツンデレが出たのを思い出したせいでツンデレ風になってしまったが、概ねこんな感じ。伊月は何やら考え込んでいる。
「………なあ、その聖剣を盗んだ奴に白髪の発言がイかれた俺等の同世代、交じってるか?」
「……フリード・セルゼンの事か?なるほど、奴なら協力しててもおかしくないが、何故だ?」
「俺の家族の1人を襲ったみたいでな。返り討ちにした。その時そいつが二本の剣を持っててな」
「────!」
「まさか、仮にも最年少悪魔祓いのフリードを下せる者が一般人にいたのか。して、奴は?」
「死んだ。その時の持ち物は無事だった分だけ回収してるから、取ってこさせる。あ、もしもし?」
伊月が電話をかけて数分後、アーシアと奈阿さんが部室の扉を開いてやってきた。
何やら袋を持っているけど、剣とか入っているようには見えないな。
「ほら、これだろ?」
「………え?これ………え?」
「………は?」
そこにあったのか剣の柄と溶かした鉄を適当に固めたような鉄屑。
「ね、ねえゼノヴィア……これ………」
「何度か見たことはある。一致しているな………こっちの鉄屑も、微かだが共鳴している………しかし、これは………貴様等、どういうつもりだ!」
「片方はとっさでな、本気ではなかったが手加減もできず刃の部分を溶かしてしまった。もう片方は、手加減はしたんじゃが………」
「ふざけるなよ、砕けたとはいえ仮にもエクスカリバーの一本、故意にでも行わない限り、人間に壊せるはずがない………」
「そのようなことを妾に言われてもな………」
ゼノヴィアさんの発言に困ったように言う奈阿さん。この人は滅茶苦茶やばいからなぁ。ドライグ曰わく『真に万能の神が誰にも触れられない、傷つけられないようにしたかのような酸性の劇毒』らしい。あるいはその神の一部で作った武器や力を宿した武器なら通じるかもしれないとのこと。
「ま、まあ良い。回収は出来たのだからな、後一本か………」
「…………核は壊れてるけどな」
俺はボソリと伊月が呟いた言葉を聞こえないふりをした。世の中には知らない方が良いことも、きっとある。
「………時に、気になっていたのだがそちらの娘はもしや魔女アーシア・アルジェントか?」
「え?あなたが一時期噂になった『魔女』になった『聖女』さん?悪魔や堕天使をも癒やす能力を持っていたらしいわね?まさか悪魔の庇護下にいたなんて」
「しかし、悪魔の庇護下とは聖女も落ちるところまで落ちたものだ。いや、悪魔になっていないだけましか?よもや魔女となったその身でまだ信仰の匂いを放っているとはな」
「……捨てきれないだけです。ずっと、信じてきたのですから」
「そうか。それならば、今すぐ私達に斬られると良い。悪魔を癒やす罪深き存在でも、我等の神ならば救いの手を差し伸べてくれるはずだ」
だからこの会話も、俺にはなーんも聞こえんね。何が起きてるのかなんて知らん知らん。
「おい小娘、黙って聞いておればアーシアを魔女じゃと?罪深き存在じゃと?寝言を吐くのは大概にしろ小娘が。聞けばアーシアの力とて神が与えた物。罪深き存在というなら、そんな物を造った神であろうに………それとも、貴様等の神は自ら造った罪深い力とやらで差別を起こす人間達を見て楽しむ真生の屑か?」
「貴様、我等の神を愚弄するか!」
あー!あー!聞こえなーい!
俺はなんも知らねーだー。奈阿さんの苛立った声もゼノヴィアさんの敵意も何一つ関知しておりません!
「俺等のアーシアを侮辱したのはそっちが先だ。神なんざ信奉してない俺等に取っちゃ、アーシアは神のありがたーいお言葉より大切な存在なんでね」
伊月、お前もか!?
「面白い、それは教会に対する宣戦布告と受け取るぞ……」
「ちょうど良い、僕が相手になろう」
何故お前まで!?
俺が驚いていると不意に木場に奈阿さんが近づくとその手を取る。そして、戸惑う木場を壁に叩きつけ気絶させた。
「お主の私怨に我等を巻き込むな。これは我等の私憤故、我等のみで片を付ける…」
「そういうこった。その前に決め事をしとこーぜ教会の戦士達。後でこういう条件なら勝てたんだと言われても面倒だからな」
「……………帰ろう」