神「転生特典は?」俺「ハーレムで!」 作:モテたい男
残りの聖剣を探してくると北斗が指さした方向に教会組が向かい、イッセーも何時の間にか帰っていたので俺らも帰ろうとすると立ちはだかる影があった。木場だ。
「……聖剣使い達はどこだ……」
「ああ、あやつ等なら彼方に向かったぞ」
木場の言葉に奈阿が指さすと木場は何も言わずに去っていった。グレモリーと何やら言い争っているが後は向こうの領分だろう。俺は北斗が引きずってきたコカビエルを見る。
「さて、これどうするか………教会の奴らも持ってってくれりゃ良いモノを…」
「なら、俺が運ぼう」
と、不意に上空から声が聞こえる。気配は感じていたがさっきから様子を見続けてるだけだったから来ないと思ってた。
「……白い、龍……と、六匹の蝙蝠」
白い龍?なる程コイツがイッセーの宿敵というわけか。しかし、六匹の蝙蝠?
確か北斗が描いてくれた絵によると、堕天使、天使、悪魔は普通の人間、つまり北斗にとって人の形をした黒い塊にそれぞれの翼が生えて見えるんだったな。それが六匹、つまり12枚の翼………12翼の悪魔………。
「お前、ルシファーか?」
「良く解ったな。その通り、俺はルシファーの血を引いている。が、今は堕天使の世話になっているがね」
ふーん、どうでも良いや。しかしルシファーの血縁なのに堕天使の世話ねぇ、ルシファーは元々天使っていうしな。不思議でもないか。
そのままルシファーはコカビエルを連れて飛び去った。
「じゃあグレモリー、俺達も行くな」
「え?ええ………あら、コカビエルは?」
こいつ気づいてなかったのか。木場も何時の間にかいなくなってるし、言い争いの末眷属をやめられでもしたか?
木場は唐突に自分の嘗ての名をつぶやいた老人を見て目を見開く。一瞬だけ、憎悪が消えた。しかし彼の手に握られる剣を見て表情を変える。
「聖剣!」
「──……っ、おお、おお!そうだとも!私が開発した技術で、私が扱えるようになった聖剣だ!」
木場が殺気を放ってもしばし呆然としていた老人だったが数秒経ち目に光が戻り、しかし虚ろなまま叫ぶ。
「お前が……──!」
そして老人が語った言葉に怒りがこみ上げてくる。自分が開発した技術、そう言った。つまりは───
「お前が、聖剣計画の責任者か!」
「そうだ、そうだ!なのに天使共は私を異端と呼んだ、私が作り上げた技術を間借りしているだけのくせに!くせくせくくくせせせ……」
「……どうした?」
様子がおかしい。老人の目はギョロギョロ動き口から泡を吹き喉を皮膚が削れ肉が見え始めるほど掻き毟り始める。
「お、おい!何をしている!」
「こりゃ完全に呪われてるな」
「!?」
不意に聞こえてきた声に振り向けばそこには自分から聖剣を破壊するチャンスを一度奪った男がいた。
伊月は木場に興味もくれず男の胸に手を当てる。
「……棺と似てるな……けど少し違うな。生前何かを抜かれ死後そこに定着したのか。起きたのは、北斗辺りとでも接触したのか?」
「何の話だい?」
「こっちの話だ。取り出すのは……無理そうだな。呪いで完全に蝕んでる。そこまで憎いか」
はぁ、とため息をはき立ち上がる伊月。完全に老人から興味が失せたようだ。
「……今、彼に何が起きている」
「取り込んだ何かに宿ってた死霊に呪われてんだよ。一体一体は絞りカスみたいなもんだがその数が集まれば十分脅威だろ………」
呪い?
何に呪われているというのだ。木場は伊月が去った後、そっと老人にふれる。途端、老人の体が強く輝き複数の少年少女達が現れる。
「──………っ!皆!」
それは、嘗ての同士達であった。自分を逃がしてくれた、生かそうとしてくれた恩人達であった。
『………イザイヤ』
「皆、僕は……僕は……───っ!」
『生きていたんだね』
『良かった。これで心残りはない』
『どうしたの怖い顔をして、ほら、笑ってイザイヤ』
何と言おう。彼等を犠牲に生き延びてしまった自分は、何と言えばいいのだろう。
言葉が出ない木場に少年少女達は優しくほほえむ。
『復讐かい?』
『ああ、だから怖い顔なんだ』
『でもねイザイヤ、私達はそんなこと望んでいない』
『そうさ、君が生きていてくれれば、それで良い』
「……え?」
『君が世界を見て、生きて、最期のその時まで生ききった、そう思ってくれればそれでいい』
『復讐なんて必要ないさ。こいつは僕等が連れて行く』
『だからイザイヤ、笑って?そして生きてくれ!』
少年少女達がそういうと一人、また一人と消えていく。彼等が消える度に、老人から何かが抜け落ちるように痩せ衰えていく。
やがて最後の一人が手を振り消えると同時に、嘗て弄んだ命達に呪われた哀れな男は服を残し塵となって消えた。