神「転生特典は?」俺「ハーレムで!」 作:モテたい男
最近木場が馴れ馴れしい。
俺が北斗に類似する、つまり未練による呪いの気配に向かい呪われた老人と木場に会ったあの日から親しげに話しかけてくる。
まあ遠慮も知ったのか迷惑そうな顔をすれば下がるし勧誘もしては来ないから良いんだが。
しかし不気味だ。
「それで私に相談しに来たんですか?」
「悪魔のことは悪魔に聞くのが一番だと思ってな……」
俺はソーナとチェスをしながら言うとソーナはため息をはきながら駒を動かしチェックしてくる。俺は王の間に別の駒を動かすが直ぐに別のチェックをかけられる。
「チェックメイト」
「あー!また負けた!」
「ですがなかなかお強いですよ」
「奈阿は趣味がババアだからな、将棋や囲碁なんかの相手にしてるうちにそこそこ……コロンビーヌは機械だからその手のゲームはチート級だし」
だからまあ腕はそこそこあるつもりだ。一度も勝てたことないけど。
「しかしちょうど良いですね」
「ん?」
「実は私も、貴方に………貴方達に伝えたいことがあったので」
俺……
俺達ねぇ。つまり北斗や奈阿の事か。少なくとも向こうが把握してるのはあの二人だけのはず。
そして逆に言えば向こう、神話側に関する事だ。超面倒くせー。
「今度、この地にて三大勢力の会談が行われます。魔王様、天使長様両名から出てほしいとのことです」
「………堕天使は?」
「出来れば出てきて嫌ならせめて敵に回るな、と」
「魔王に天使もそれぐらい軽ければ良いんだけどな」
まあ仮にも1種族の長だ。脅威になる可能性がある以上、見極める必要があるのだろう。
堕天使側も適当すぎると言えばすぎるが、例えば俺が居ないところで三大勢力総出で俺を監視させる腹積もりかもしれないな。
この場合警戒しているくせに勢力のトップが集まる場所に俺を呼ぶ魔王と天使を楽観視した馬鹿ととるか会談を通して結束しようとしてる堕天使を利口ととるか……。
或いは敢えてトップが居る場所に誘うことで敵意がないと伝えようとしている魔王と天使を利口ととるか、伝わることが解っていたはずなのに軽く接する堕天使を馬鹿ととるか、だな。
まあ俺とて神話を敵に回す気はないし、これを機にうざったい堕天使天使悪魔共の襲撃をなしにしてもらうか。
「最近北斗の気が立って、このままじゃ彼奴一人で全部ぶち殺しに行きかねないしな」
「………へ?」
てか連れてって大丈夫だよな?いきなり襲いかかるとか、北斗ならあり得そうなんだよな。でも連れてかなければ連れてかないで失礼に当たるだろうし。
一応は1種族の王達だ、誠意は見せるべきだろうし、いや北斗を連れてく時点で誠意がないと取られる可能性も………。
うーん、まあ、全員連れてけば抑えられるか。
「その会談、出席させてもらおう」
「………そうですか、すいません」
「謝る必要はねーよ」
「そういえば、そろそろ授業参観ですよね………貴方の方は、誰か来るんですか?」
誰か、ねえ。俺は四歳ぐらいの肉体年齢でこの世界に転移して、親はいなかった。金は毎月振り込まれるし、保護者も名義だけ存在した。
しかし今までの授業参観とか、三者面談で誰も来たことはない。敢えて言うならイッセーの両親だな。
が、今回の授業参観ではグレモリーやソーナの血縁、つまり魔王が来るはずだ。そんなイベントを、
「おーい!伊月、元気かー?」
「……………」
二十代前半のイケメンが満面の笑みで俺の名を呼びながら手を振ってくる。俺を転生させた神だ。
「……なあ、あの兄ちゃん知り合いか?」
「知り合いと言えば知り合いだな。もう数年は会ってなかったが……」
転生以来会っていない。だというのに来た。やはり魔王がいるからか?
彼奴が魔王程度恐れるとも警戒するともおもえないが、暇潰しの相手にはなるとでも判断したんだろうな。
「見たことねーけど」
「ずっと俺を見ていたとは思うぞ?会いに来なかっただけでな」
魔王サーゼクス・ルシファーは妹の領地に住み着いていたという人間、葉隠伊月について調べていた。
調べたところで彼が何処かの組織に所属していた形跡は無く、謎は深まるばかりであったが。
まず彼には両親がいない。後見人も存在していることになっているがどれだけ探しても見つからない。
そして彼と共にいる少女達。アーシア・アルジェントはすぐに情報を集められたが聖剣を修復不可能なほど破壊した奈阿、コカビエルを一方的にいたぶったという北斗、未だ謎の多いコロンビーヌという同居人については何の情報も得られなかった。
俗な言い方をするなら解らないという事が解ったわけだ。
つまり何も解らない。そして今日、さらに解らない者が増えた。
「おおあんたがサーゼクスか。うちの息子は扱いづらいだろ?当然だ!敵意をもたれてるものなお前!」
ゲラゲラ楽しそうに笑う葉隠伊月の親を名乗る男。葉隠伊月に血縁者などいないはずだし、後見人も戸籍上は女性だった。では彼は誰だ?
「くはは。警戒しておるな。無駄だ無駄だ、紙上の者がいくら足掻いたところで人間の世を知ることなど出来ぬだろう?それと同じ、我をいくら知ろうともがいたところで、貴様には我を知ることなど出来ぬよ」
何も感じない。彼からは、何の力も感じない。人の気配すらも。何なんだ、此奴は。
「くはは。精々足掻け、もがけ、悩め、惑え。我はそれが面白い。ではな、我はもういく。ああそれと、ホテルを探すふりをして伊月か兵藤の家に泊まるつもりなら止めておけ。イッセー辺りなら甘いから泊めるかもしれんが、我が殺すぞ?」
「────ッ!」
この町にいる赤龍帝か、葉隠伊月に接触しようとしていたのは確かだ。どちらも脅威になる可能性もあれば心強い味方になる可能性もあった。少し早いが見定めたかった。だが、全身の細胞が訴える。目の前の男の言葉に逆らうなと。
「…………グレイフィア」
「ホテルならすでに用意しております」
「……え?」
「悪魔でも契約相手でもない者の家に泊まるとおっしゃった場合力付くで連れて行くつもりでしたから」
「アナタね!ソーナちゃんを傷つけたっていうのは!ソーナちゃんのお菓子は確かにおいしくないけど、男なら女の子を喜ばせるために黙っているべき☆」
「………ソーナ、こりゃ誰だ?」
「単なる馬鹿です。ほうって行きましょう。それより、今度お菓子づくりを教えてくれるというのは本当ですか?」
「あの地獄を味わいたくないからな」
「……味わう……文字通りですね。味見して、私はこの世の地獄を知りました」
「え?あ、あれ~?おーい、ソーナちゃん?ねえ、おねーちゃんを無視しないでぇぇぇ!」