神「転生特典は?」俺「ハーレムで!」 作:モテたい男
「土産じゃ」
奈阿がそう言って持ってきたのは歪な形の鉄屑と剣の柄。聞けば突然襲ってきた神父を溶かした際、剣が微妙に残っていたので防御の際完全に刃を溶かしてしまった剣と一緒に持ってきたらしい。
「本気ではなかったとは言え、妾の毒に耐えたのじゃ。伊月はそういう珍しく強い物が好きじゃろ?」
「まあな………でも、これは完全に駄目になってるな」
複製の能力の福次効果なのか、俺は見たモノをある程度解析できる。これはまあ、うん………本来はそこそこの業物なんじゃないかな?家じゃ規格外ばかりだから麻痺してるけど多分すごい武器だと思う。
けどもう駄目だな。片方の柄はそもそも飾りだしもう片方は溶けた刃が残っているけど剣の力の核となる部分が完全に溶けて効果を失ってる。ただの鉄屑だこれ。
「ん~……溶けててわかりにくいけど、何だこの核、荒いな」
例えるなら出来もしない物を必死に作ろうとして出来なかったみたいな?無理やり力を与えようとして粗が目立つ。結局諦めて核にしたってとこか?
「気に入らなかったか?」
「いや、嬉しいよ。ありがとう」
「………妾は嘘は嫌いじゃ」
「正直無事だったとしてもいらなかったかな」
「………そうか。妾も少し、物を見る目があれば良かったんじゃがな」
「いや、気持ちだけ十分だよ」
「………そうか」
俺ことイッセーは公園で鍛錬をしていた。ライザーの配下の1人、イザベラという悪魔との格闘訓練だ。
伊月は俺より強いので鍛錬にならないとライザーから暇な奴を貸してもらっている。最初は兵士だったけど、相手にならなかったので今では戦車のイザベラが相手になってくれている。
「ふっ!」
「──っ!はぁ!」
イザベラの鞭のようにしなる蹴りを腕で受け止める。ビリビリと腕が痺れ足が浮きかけるが踏ん張りそのまま足をつかみ引き寄せる。
「せや!」
「く!」
引き寄せる勢いと俺自身の拳の力を上乗せしたパンチにはイザベラも顔をしかめたが体を回転させ足に捕まっていた俺を宙に放り投げる。ヤバい!拳が来る!
『Boost!!』
「───!」
俺の力が底上げされ、反応速度の上昇に俺にあわせてくれていたイザベラの拳の速度が落ちたように錯覚する。
ギリギリ体を回転させ頬を擦る拳を掴み取り回転を利用して着地と同時にイザベラを投げる。が、馴れない動きをしたからバランスを崩しその場に倒れてしまう。
「………………」
「………え、えへ?」
「どけ」
「げふ!」
ニコリと微笑んだイザベラに笑みを返すと腹を蹴られた。
「全くお前のその獣性はどうにかならないのか?ライザー様と同じだな。助平め……」
ジト目で睨んでくるイザベラ。罵倒しながらもさらっと主と同じ扱いしてたぞ今。まあ、別に不満があるわけでもなさそうだが。
「けど、毎回毎回悪いな。つきあってもらって」
「かまわん、弱い男は嫌いなんだ」
「ん?なら俺のこととかほうって置くのが普通なんじゃ」
「頑張ってる男は好きなのさ。お前も、良く見れば顔は悪くないしな」
「────!」
「何だ、照れたのか?ハーレムを作りたいなどと言う割には初なやつだな」
クククと笑うイザベラ。く、これが大人の余裕か。
「まあしかし、私を追いつめるのに必要な倍化の数も減っている。楽しいな、徐々に追いついてくる弟子というのは」
「お、楽しんでくれてんの?ならお礼におっぱい……冗談です拳握らないで!え、えっと……なら、デートとか?」
「………ふむ。そうだな、なら私から一本取れたらデートしてやろう」
よっしゃあ!やる気出てきたぁ!
「おいおいライザー、お前んとこのハーレム要員取られそうだが、良いのか?」
「………俺はな、伊月。元々はただハーレムを作りたいためだけに眷属を集めていたんだ」
俺の言葉にライザーはイザベラ達を見下ろしながら語り出す。
「俺は女を俺達男の価値を高める道具として見ていた頃だ。気づいて、後悔した………イッセーは良いやつさ。イザベラだって名家でもなんでもない、幸せになれるなら応援するさ。だが、もしイッセーがイザベラ泣かしたらそん時は殴りに行くがな」
「………お前どっちかつーと父親みたいだな」
俺の言葉にライザーはフッとニヒルに笑う。と、その時だった、俺達がいた屋上に、扉が開いた音がしなかったのに人影が増えていることに気づく。
幼女だ。ゴスロリ幼女がいた。
「………手元にはいないタイプだな」
「おい」
「冗談だ。だが、気づいてるか?あのガキ………ガキ?人間じゃない」
ライザーが緊張した面持ちで幼女を睨むが幼女はライザーを無視してトテトテ俺の下に向かってくる。
「………我、見つけた」
「………何を?」
「グレートレッドに勝つ可能性。我に手を貸して欲しい」
?駄目だ、何言ってるかさっぱり解らん。助けを求めてライザーを見るとライザーは顔を青くしていた。
「グ、グレートレッドを倒したいだと………それに、圧倒的すぎて気づけなかったが、これはドラゴンの気配………まさか、コイツは!?」
この子のこと知ってんのか?やけに顔を青くしてるけど。俺は首筋をつかみ俺の顔の高さまで持ち上げてみる。
「………………」
「………………」
ガラスのように、俺を映しているはずなのに何も映していないと感じる空虚な瞳と目が合う。ライザーが何やら慌てているが、どうするか。
「………取り敢えず、家で飯でも喰うか?」
「お、おい!?」
「……メシ……?喰う?」
「ご飯を食べるって意味だよ」
「………ご飯。我、食事不要。取ったことない……どんな感じ?」
「ふっふっふ。俺は料理の腕には自信がある。うまいぞ」
「うまい?我、知らない。うまいってなに……」
なるほど、何も知らないのか。そういう子もいるんだな。
「よし、じゃあ俺が何か美味い物を作ってやる。もう食いたくないと思ったらまずい、もっと食べたいと思ったら美味いといえばいい。解ったか?」
「………ん」
ああ、やっぱりだ。このガキ北斗に少し似てる。放っとけねーな。ライザーははぁ、と呆れたようにため息をはいた。
「……夕飯、俺も食いにいって良いか?無知な友を逃がす盾ぐらいにはなってやるさ」
「?良く解らねーけど、まあ良いぜ。でも今晩は鶏肉だぜ?」
「関係ねーよ。鶏肉ぐらい食うわ」