邪悪に恋した決闘者   作:蕎麦饂飩

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ソロモンって暁生さんに似てません?


想いが届く必要はない

私は親しいと思っていた男性に呼び出された。

どういう意図があっての事なのだろうか?

様々な期待と不安が交差して同居する。

 

結論からすると、私が想定していたことは全て外れていた。

彼は私に合わせたい人がいたという事だった。

少しの失望と疑問が私の中に生まれていく中、突如彼はいきなり良く解らない事を言いだした。

 

「聴こえないか?

君の魂が本当に諦めていなければ、世界の果てを駆け巡る――この音が聴こえる筈だ」

 

 

「…何なのでしょうか?」

全く、一体何を言い出すのだろうか?

彼はこんな電波な事を言う人だっただろうか?

そう思った時だった。

本当に車のエンジン音の様なものが聞こえた。

 

 

「さあ、我等と共にっ!!誘おう、君が望む世界へっ!!」

 

彼の完全に意味不明な謎の言葉と共に世界が暗転した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は気が付けば車に乗っていた。

どうやら私は夢を見ているのだろうか?

全く支離滅裂なシチュエーションだった。

それならそれで愉しもう。そう思っていると、私と同じく後部座席に乗っている彼が状況を説明してくれた。

 

「一応言っておくと此処は夢では無い夢のような場所というところかな。

それと、僕の正体は招待者。宇宙の外側より来たりて世界を面白おかしく掻き回す邪神さ」

 

そう言う彼からは形容しがたい恐怖の様なものを感じた。

初めて彼にあった時に感じた違和感であり、彼と共に過ごすうちにわからなくなった違和感。

それが今、明確に私の中に目覚めた。だが、それは彼を私の中から切り捨てる事と(イコール)とは繋がらない。

 

「…へぇ、やはり君は面白いよ」

 

私は声に出してはいないが、彼には全てが伝わっている様子だった。

彼が邪神という理由からなのか、この世界が夢の中なのだからかは解からないが。

 

「君は形式的には元の世界で死亡する。

そしてこの転生オープンカーで別の世界に移動するのさ。

今運転している男は、とある世界の怨敵だ。彼が今回の僕の取引相手だ。

名前はゲーティア。今は訳あってソロモンの名前を名乗っているようだね。

まあ、詳しい事はおいおい彼に聞くと良いさ。

でも結局の所、彼は幾つもの二次創作(並行世界)で敗北して散って逝く存在だ。

其れでは可哀想だろう?」

 

 

別に私はあった事も無い褐色の肌の男に何の感慨も無い。

だが、夢なのであればそれに流されるしかないのだろうし、

事実として死んでしまったのであれば、神である彼に従わざるを得ない。

 

「ゲーティアさん、彼とはどういう関係ですか?」

 

我々(わたし)も最初は驚いた。だが、幾つもの並行世界で来訪者たちに倒される自身の姿を見せられては仕方がない。

だがら、我々(わたし)の側の来訪者を依頼した」

 

 

 

「私が、そうだと言うのですね。拒否権は無いのでしょうから私から言う事もありません」

 

「物分りが良さそうだ。流石は邪神の選別眼は悪くない」

 

「いや、そこまで褒めて貰うと光栄だね」

 

 

この状況は、憧れの先輩に呼び出されて告白だと思ったら、その先輩は他の男に売ろうとしていたというようなシチュエーションだ。

というか、そう遠くないのが逆に哂えてしまう。哂ってる場合で無いかもしれないが、手遅れ故に哂うしかない。

せめてもの拠り所として私は彼に尋ねる。

 

「ねえ、ところで貴方は着いて来てくれるのかしら?」

 

「……そうだね、僕も忙しい身だからね。身体が幾つもあっても仕事が追い付かないのが中間管理職の大変な所さ」

 

暗に来れないという事を言われた。

正直に言うとそれは残念に思える。

 

「そうか、僕がそう仕向けたとはいえ、そこまで想われると冥利に尽きる。

そうだね、君がその価値を存分に発揮したなら僕の近くに置く事を考えなくも無いよ。

君には特殊クラス『決闘者(デュエリスト)』として世界を救う勇者たちと戦って欲しい。いいよね」

 

確証もなく、彼だけに都合の良い言い分。

そもそも、勇者と戦う柄などでは無い。お姫様扱いなら散々されてきたが。

そしてそれを私が拒否しない事も理解した上での発言。やはり彼が邪神と言うのは間違ってはいないのかも知れない。

少なくとも私にとっては邪悪でありながら絶対的だ。

 

でも結局、私はこう思っているのだ。

再び彼に逢えるというのならそれも良いだろう、と。本当に救えない。

 

 

「因みに僕は邪神だけど、運転手のゲーティア君は魔神なんだ。

まあ、仲良くやれると思うよ、僕と仲良くできた君なのだからね」

 

 

…正直ゲーティアのルックスが男性としては好みでは無い。

だから友人と言う形以外で仲良くできるとは思えない。まあ、友人としてなら構わないだろう。

前提として、これからのゲーティアの態度次第だけれども。

そう思ってゲーティアの方を向くと、

 

「ふふっ、心地良い振動だろう。世界の果てを見せてあげよう。君にもね」

 

 

そう言った彼は、いきなりスタイリッシュに服を肌蹴ると、車のボンネットに身を投げ出し、

後ろに回した手で運転を始めた。

先ずは、アクセルを誰も踏んでいないのに速度が落ちない事に突っ込んだほうが良いのだろうか?

 

それとゲーティアいう男はきっと変態の類なのだろう。

それくらいの変態という事だけなら彼のお蔭で変態耐性の着いた私には耐えられる。

だがそれ以上に、初対面の人を乗せた車で危険運転する人とは友達になりたくないなと思う。

彼はついさっきまでは完全に人畜無害な変態だった。

ついさっき形式上だけでも私を殺して有害になってしまったがそれは許してあげよう。

其れと比べて第一印象から危険の伴う変態はご遠慮願いたい。そういう所は今後直して欲しいと思った。

一緒に居るとそれなりには恥ずかしい。

ああ、人間じゃなくて魔神だったか。

 

だが、まあ、それはどちらでもいい。

邪神だろうが、魔神だろうが、人間だろうが、好きになれる者は好きになれて、

好きになれない者は好きになれない。

まともなのはまともで、変態は変態だ。

 

それが私、日嗣竜胆(ひつぎ りんどう)のスタンスなのだから。




リンドウの花言葉
『貞節』『高貴』『寂しい愛』『病めるあなたへの想い』






ウテナネタの汎用性半端ないですよね。
没ネタ
瑠果先輩×ガンダム
「僕が一番上手く樹璃を動かせるんだ」
幹×さすおに
「流石、達也さん。含蓄深いメッセージだなぁ。誰もが思いつく事じゃありませんよ。
達也さんらしいなぁ」
樹璃×まどマギ
「奇跡なんてあるわけない」
冬芽×艦これ
「此処(暁生カーご招待シーンの締め)は譲れません」
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