小さな提督と艦娘日和   作:SAMICO

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1年ぶりに無理やり完結させた勢いで
当時構想にあったほのぼの1話完結短編集。

小さな小さなとは別の道を辿ることとなった世界のお話


season1:青ヶ島泊地物語
終戦~別の可能性~


………もし、悲劇のない世界だったら……

 

 

高梨海来(ミライ)の願った「祈り」は、「可能性」を生み出した……

 

 

 

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高梨湊は「()()大佐」として、片桐英治元准将によって虐げられた第13泊地に赴任して、

一年が経とうとしていた。

 

着任当初は、艦娘のサボタージュや反抗未遂等、数々のトラブルがあったが、

初期から支えていた電や天龍の姿、自身がボロボロになりながらも東奔西走して、

倒れる司令官の姿を見るに、今や彼女に歯向かったり、協力しない者は皆無となった。

 

そんな、ある日のことだった。

 

 

戦艦三笠こと、呉鎮守府司令長官である三笠若奈(高梨若奈)元帥率いる連合艦隊が、

深海棲艦の本拠地と化していたハワイ諸島を攻撃、これを撃滅したというニュースが全国を駆け巡った。

 

……ただし、独断で核砲弾を用いた為、責任を取り解体・退役し、

連合艦隊司令部は全員降格処分となるが……

 

ともあれ戦争は、終わった。

 

それから少し経った後、湊は全員を集合させた。

軍服ではなく、若草色のワイシャツの上にカーディガンと海上迷彩ズボン、といういつものスタイルで……

 

「御存知の通り、大きな戦争は終結したようです。ハワイ諸島()()()()が深海棲艦と化しており、

 原初の恨み――真珠湾攻撃―――で生まれた連鎖は断ち切れたようです。

 三笠元帥は、非核三原則を無視してまで、断ち切られましたが」

 

皮肉っぽくそう言ってから、こほんと咳払いをして続けた。

 

「さて。恐らくは、こういった前線泊地は、解散ということになるでしょう」

 

その言葉に、三艦隊+秘書艦19名の艦娘達は、大きなどよめきを上げた。

次に出会う提督が、このような恵まれた環境下ではない、からだ。

 

「ですので、別命あり次第……」

 

そう言い終わる前に、端末の呼出し音が鳴った。

司令官端末を取り出すと、湊は大きな溜め息を吐いた。

 

……依然深海棲艦の存在を確認。されど、統率された気配なし。以後自然災害として扱う。

よって、第13泊地艦隊は、これより横須賀鎮守府外郭独立艦隊として、引き続き指揮を取られたし。

第13泊地名称を青ヶ島泊地とする。なお、艦娘の編成は、指揮官たる貴官に一任す。

明日1400(ヒトヨンマルマル)に、辞令を持たせ運営の為の、追加要員を派遣する。

 

                         横須賀鎮守府司令長官 山本八十六大将

 

 

「どうやら、当泊地は解散を免れたようです。大きな戦争は終わりましたが、

 依然として、深海棲艦の脅威は残っている為、泊地は再編され、本日より外郭独立艦隊として、生まれ変わります。

 恐らく、他の泊地はそれぞれ問題を抱えていたのでしょう。解散となるでしょう」

 

 

その言葉に、艦娘達は安堵の声を漏らした。

「いや、まだ分からないのです。私達の配属は、どうなるのですか?」

専任秘書艦の電が、おずおずと手を上げて問うと、艦娘達は再び緊張の色合いを見せる。

そんな艦娘達に、穏やかな笑顔を浮かべて、湊は答えた。

「私の専決事項です。 専任秘書艦、駆逐艦電。 

 第1艦隊旗艦、長門。副旗艦加賀。 以下赤城、陸奥、大井、北上。

 第2艦隊旗艦、天龍。副旗艦吹雪。 以下暁、雷、響、……

 第3艦隊旗艦 …… 副旗艦……  以下…… …… …… 雪風。

 ……今まで通りですよ。

 追加要員次第では、組み換えを行いますが、この泊地からよそにやることはないと思いますので、

 ご安心ください。

 ただし、退役……解体を願う者は、今のうちに申し出るように」

 

 そう告げると、退役を願う者は手を上げた。

 

「分かりました。あなた達の、これまでの協力に感謝します。今後は恐らく、退役少尉の階級で、年金を差し上げる事となりましょう。

 明日、こちらへ追加要員がやってくる予定ですので、その船の帰りに乗せてもらうよう、手配します。

 到着は1400(ヒトヨンマルマル)ですので、それまでに退去の準備をお願いします。下がっていただいて構いません。

 本当に、ありがとうございました」

 

敬礼ではなく、深々と頭を下げる司令官の姿に、各々は心を打たれ、泣く者、それを堪える者、

最敬礼で返す者、それぞれだった。

退役希望者が部屋を辞すると、湊は残った面々を見回した。

残ったのは、第1艦隊全員。第2艦隊は一名を除き全員。第3艦隊の雪風、となった。

 

「差し当たり、雪風を第2艦隊に異動させれば、二艦隊13名体制になりますね。

 すみませんが天龍、遠征部隊は、六勤一休体制、とさせてください」

 

申し訳無さそうな顔をする湊に、天龍は大きく首を横に振った。

「い、良いってことよ。なんなら七勤でも……」

そう言い終わる前に、湊はピシャリと、

「だめです。休みは、取ってください」

と遮ると、艦娘達から、笑い声が上がる。

天龍も困ったな、という顔をして、頭を掻く。

 

「そんな訳で、今夜は送別会をしましょう。

 電、居酒屋鳳翔に連絡を入れてください。」

 

「わかったのです」

 

 

その夜は別れを惜しむ者、思い出話に花を咲かせる者等、

艦娘達が島にある、()()した鳳翔が営む、居酒屋の二階の座敷席で、夜遅くまで飲み明かしたのだった。

最後は、久々に酔いつぶれて、電の膝枕で眠る小柄な司令官の、寝顔を鑑賞する会と化していたが……

 

 

 




更新ペースは体調と相談ですが
細く長く続けれればいいと思ってます。

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