湊ちゃんが大暴走します。
夜の東京スカイツリー……カップルや家族に人気のあるスポット。
その一番高いところ、天望回廊。
可愛い服を着た湊と、同じくおめかしをした電。
「好きです!結婚してください!」
「………はい?」
どうしてこうなったのかは、一週間以上遡る。
アンドリューこと安藤龍少将の監査も最終日、
「有意義な一週間だった。艦隊運営も、ハナマルと言っておこう」
司令官執務室に現れた龍は、満足そうな顔をしていた。
「結局、シミュレーションはしませんでしたね」
意地悪そうな顔をする後輩に、
「艦娘運用に関して、君ほど突出した才能はいくら天才でも持ち得なかった。やっても、私が負けたであろうよ。研鑽を積んで、改めて勝負を申し込む」
少々の自嘲を込めて言う先輩に、
「お暇があったら、いくらでもお相手しますよ。ところで、ちょっとよろしいですか?」
執務室にいる、結有と電をちらっと見てから、真顔になって問いかける。
「う、うむ」
連れて来られたのは軍港埠頭。
鬼教官の不知火と、演習に参加する艦娘達。
艦娘達も、不知火もいい顔をして訓練している。
彼女に訓練を任せてよかった、と思いながら眺めていると、龍の方から声をかけられる。
「それで、用件って何かね?」
「それがですね……東京に二日間ほど、
不思議そうな顔をする龍に、湊は真剣な顔をしている。
「ケッコンカッコカリをする相手を決めました。どうせこの先、彼氏も見つかる予定もないし、憧れだった東京スカイツリーで渡したいんです」
「ああ、それで執務室を………んー……召喚命令ねぇ………私の権限で出来るものだと、お叱り系くらいしか……ん?」
龍は、顎に手を当てて考えると、ふと
「後輩よ。そう難しく考える必要はあるのか? ただ
「あっ」
しっかりしている割には、どこか抜けている後輩に大きな溜め息を吐いた。
「君は、しっかりしているようで、どこか抜けているな。有給なんぞ未消化なのだろう?この機に使えばいい。今は平穏期だ」
「は、はい……すみません」
「となると、東京への移動が問題となるな。八丈島経由の空路だと時間がかかるしな……高天原くんあたりに、定期輸送艇の便乗について訊くと良い。私は法務は専門外だ」
そう言うと、今の話は結果が出るまで心にしまっておく、と言い残し立ち去っていった。
翌朝。
龍達が、皆に見送られ、横須賀に帰っていった。
恵奈の、「あんどりゅーおじさんと、しらぬいさんは『ふーふのいとなみ』をしたんですか?」
という大爆弾で、二人共赤面する一幕もあったが……ついでに、結有も赤面していた。
なお、この一件で恵奈を焚き付けた奈緒は、始末書を増やされた。恵奈は、暁と結有にお説教されていた。
そんな昼過ぎ、湊は高天原智子の元を訪れてた。
湊は、本日午後からは、お休みの予定のはずだ。
オフィスには他の幕僚はおらず、一人だけだった
「お邪魔しまーす」
片手には智子の大好きなブラック缶コーヒーを持って。
「どうしたのよ、湊准将」
「これ、
すすすっと目の前に缶コーヒーを置いてから、空いている椅子を引っ張ってきて座る。
「もったいぶらずに、用件を言いなさい」
「ええとですね。私用で、定期輸送便に乗せていただけないかと……」
その言葉に、智子は眼鏡をかけ直すと、
「駄目に決まってるじゃない」
とピシャリと言い放つ。
「えうぅ……」
しょんぼりする湊に、智子がふと、思い出したように言う。
「輸送船ということは、内地に行きたいんでしょ?ヘリチャーターすれば?
「ヘリヘリ……あっ」
陸奥から贈られたプレゼントを思い出した。 ヘリのチャーター往復券。
「智子!来週の月火、私と電、有給取るから。じゃあね!」
勢い良く立ち上がり、出ていこうとして、
「これは他言無用で!」
と出ていってしまった。
「久々の、湊ちゃん大暴走ね……」
見送った智子は、電話を取って、きちんと陸奥の送ったチャーター券で予約する旨を、電話してあげていた。
「休暇は取った、ヘリの手配は……たぶん、智ちゃんしてくれると思う」
湊は私室に戻ると、長門からプレゼントされたノートパソコンを開く。
「東京スカイツリーの展望デッキをペアで……来週の月曜に予約……と。あと、ホテルのスイートも予約……と」
うふふ、と笑いながらパソコンをカタカタやって、おサイフからクレジットカードを取り出して、入力している。
暗い部屋で、パソコンをやっている湊の姿は、割と不気味だろう。
「あとはディナー……はっ!?」
電の好みがわからない……すぐにスマホで、結有に電話をする。
「結有ちゃん!マッハで私の部屋まで来てください!」
というわけで、完全に
ちなみに、本日彼女は、
「ええと、何でしょう?司令官」
来たらすぐに、リビングの椅子に座らされて、賄賂でございます、と紅茶とお菓子が出され、
対面に座ったところで、結有が口を開いた。
「結有ちゃんって、都会っ子ですよね。ギャル……ではないけど」
「ええと………?」
返答に困っている結有に、
「東京で、若い子にお勧めのレストランってないですか?」
結局、二人で大井プレゼントのipad pro12インチ&北上プレゼントのWIMAXルーターで、
東京のお勧めレストランを、ああでもないこうでもないと、一日かけて探すことになった。
最終的には「知り合いが働いてる、ここならお勧めです」と、結有の推薦した場所に決めることにした。
余談だが、片桐が各方面のコネを悪用して、どの携帯キャリアも、電波が通る環境になっていた。
「ありがとう、結有ちゃん!」
と、湊に満面の笑顔で見送られた頃には、夕方になっていた。
結有は、どっと疲れた感じがしたが、あの湊の、子供みたいな無邪気な笑顔を思い出すと、
ま、これもありか。と官舎に帰っていった。
……官舎で、恵奈ちゃんwithあかつきちゃん人形が鎮座していてなければ。
「おかえりー、結有おねーちゃん!」
更には裕二は、
「これから陸戦隊の飲み会だから、留守番頼むよ」
と、出て行ってしまった。
「……お、おおぅ……」
結有ちゃん、君は泣いていい。
翌朝司令官室。
出勤してきた湊を、げっそりしている結有に、いつも通りの電が出迎える。
「「おはようございます、司令官」」
「おはよう、結有ちゃん、どうしたの?」
不思議そうに、席に着く湊に、
「昨日帰ったら、恵奈ちゃんが鎮座してまして。珍しくなかなか寝てくれなくて……」
「それは、ご苦労様でしたなのです」
苦笑いを浮かべる電。
「ところで、電。来週の月・火、有給を取って貰いたいんですけど」
「? 有給は良いですけど、どうしたのですか?」
首を傾げる電に、湊は笑顔を浮かべる。
「ちょっと東京に行くので、同行をお願いします」
「は、はぁ……分かりましたなのです」
事情を打ち明けられている結有は、クスリと笑って、
「それじゃあ、僕はお茶を淹れてきますね」
敬礼すると、司令官室を出ていった。
なお、現実の青ヶ島のネットの状況は
ブロードバンド
ADSLのみ
モバイル回線
Xi(ドコモ)全域
ソフトバンク au 一部地域
WIMAX エリア外
だそうです