いろんな人達が吹っ飛んでます
長いので分けました。
青ヶ島泊地。
大会議室。
急遽、青ヶ島泊地の幕僚が招集されていた。
辞令の通達の時点で、横須賀鎮守府外郭独立艦隊『湊ちゃん艦隊』は消滅した。
現在は、ほぼ出来上がっている、中部警備府への引っ越し任務を行っている、ということで青ヶ島泊地に駐留している、
中部警備府駐留艦隊、ということになる。
席に座っているのは、
中部警備府司令官兼駐留艦隊司令官 高梨湊 准将
中部警備府幕僚長 大村恵一郎 大佐
同 防御隊指揮官 大村奈緒 大佐
同 総務部長 高天原智子 中佐
同 総秘書艦 駆逐艦 電 少佐
陸軍幕僚監部付 各務原裕二 少佐
現在、司令官付きという立場の、軍属一等兵である結有は、お茶くみ係で司令官の後ろに控えている。
湊自ら、緊急会議の開会を宣言し、辞令を読み上げた。
「以上となります。よって、当面の、『二代目』湊ちゃん艦隊及び中部警備府幕僚の任務は、中部警備府へのお引っ越しとなります……が」
そこで、結有と裕二をみる。
「結有には申し訳ないことですが、私の司令官権限は、海軍の中の横須賀鎮守府管内にしか及びません。言いにくいことですが……」
申し訳無さそうな顔をする湊に、結有は、きちんと湊の方を向く。
「僕は、中部警備府への赴任を希望します」
その言葉に、裕二が静かに頷く。
「僕も、高梨准将なら、安心して娘を預けられる。 子離れのいい機会だし――」
そう静かに前置いて、付け加える。
「この辞令は、後進の指導を求めてるものだろう、と思う」
「おそらく、訓練の鬼には教導隊を率いていただきたいのだ、と予想します」
と、湊が軽く笑う。
「辞令発令後、速やかに、赴任しなければなりません。各務原大尉は、数日中にはここを発たねばなりません」
智子が、静かに告げる。
「お別れ会、しようね!」
奈緒が、努めて明るく言うと、
「そうだね、みんな呼ぼう、艦娘の娘達もみんな」
恵一郎がほんわかいうと、
「………見張りもやりながら、全員参加できる方法は……」
湊は、腕を組んで考え込み、何やらブツブツ言い出している。凄く深刻そうな顔だ。
「司令官……?」
電は、若干嫌な予感がしつつも、声をかける。
「よし、埠頭でバーベキュー!しましょう!レーダー回して、来たら、誰か出撃すればいいでしょう!」
というのが、
この無茶振りに対応する羽目になったのが、『
大きなクーラーボックスをどんと、何個も渡されて、湊のクレジットカードも渡されて、
漁師のおっちゃんの漁船で、横浜の市場に向かい、大量の食材を買い込んで、再び青ヶ島に戻るという、
(もちろん、おっちゃんも手伝ってくれたが)スーパー無茶振りに応える羽目になった。
鳳翔の店にあるお酒類で、冷やすものは、いっぱいのクーラーボックスに、氷を詰め込んで、陸戦隊の力持ち達が運んでいく。
鳳翔は、軽いものを持っていく。むしろ、その軽いものすら陸戦隊が持っていく。
その間に、お店の食材をすべて使い切り、オードブルを作る。
本日を持って、居酒屋鳳翔青ヶ島店は閉店である。予想と違って、清霜と二人で、名古屋に先に向かうことになるだろう。
向こうでは、厨房担当やカウンター担当を採用したり、メニューを作ったり、各種届出を出したり、やることは山ほどある。
当初、一人で名古屋の方を熟すつもりだった清霜にとっては、これ以上ない応援要員だった。
湊ちゃん艦隊が、名古屋にやってくるまでに間に合わせたい、と鳳翔は思っていた。
幕僚達は、仕事があるから、定時までに終わらせられるように、引越し準備を始める。
その間、夕張は……
無心に、バーベキューコンロを、溶接機フル稼働で作っていた……
様子を見に来た電が、「あのー、これ、名古屋に持ってくんですか?もし置いていくなら、監察官に、これなんて説明するのですか?」と問うたところ、
「
という、滅茶苦茶な答えが返ってきて、電は、頭痛がする思いをしながら、工廠を後にした。
駆逐艦娘達with恵奈は、余剰装備の探照灯を、庁舎屋上にセッティングしていた。恵奈は小さいので、応援だけしてた。
電源は、コンセントに繋いだら、ブレーカーが落ちたため、天龍が、工廠の隅から発見して持ってきた発電機を設置して繋いだ。
なお、省スペースで、ノートパソコンやタブレット端末を使ってた幕僚達には、被害はなかった。
戦艦トリオは、倉庫裏に置いてあった、野外炊具1号(改)を綺麗に磨いていた。
何故ここにあるかというと、片桐が不正に入手して横流ししようとして、――これを横流ししようとした意図は謎である――
未遂に終わったが、忘れ去られたまま、宝探し事件の、『見つけたものは泊地のもんね』命令により、
第13泊地から、初代『湊ちゃん艦隊』を経由し、二代目『湊ちゃん艦隊』の所属物となっている。
一応、定期的にメンテナンスはしていたが、使うことはないので、徹底的に磨いて、これで炊飯する予定だ。
なお、愛着が湧いたせいか、名古屋にも持っていくようだ。
復興工事中の、野外炊飯に使える、との判断だ。
その間、完成したバーベキューコンロを、空母三人娘が運んでいく。
加賀と瑞鶴は仲が悪い、という通説だったが、
もっと最悪な相手――安藤龍――の訓練をくぐり抜けたせいか、瑞鶴の方から話し始め、
湊の麾下にいる一航戦の二人も、湊の為人が影響し、
「ところで、炭とかどうするの?」
という加賀の発言で、清霜の買ってくるものが増えた。
「清霜に電話するわね。もしもし、キヨシー?木炭100kg宜しく」(ピッ)
瑞鶴は電話をして、一方的に用件を伝え、切った。
「お、おおう……」
清霜は涙を流して、ホームセンターに走る羽目になった……
「た、ただいま……」
清霜が、大量の荷物と、領収書と、カードの入った袋と共に帰ってきたのが、
もう、この時期になると暗くなり始める、秋も終わりの10月である。
艦娘達がせっせと、木炭をバーベキューコンロに、それぞれセットし始めて、
次々と、天津風の連装砲くん改二が、しゅごーっと砲塔からバーナーを出して点火する。
夕張の魔改造の結果である。夕張曰く、普通の砲弾と、火炎放射と、
いずれは、M982 エクスカリバー風のも搭載したいと、夕張は供述している。
「ちょっと待って、ほとんど連装戦車砲じゃない!?」
流石に、天津風がツッコミを入れた。
その頃には
幕僚達が仕事の切りの良いところで、庁舎から出てくる。
探照灯で、明るくなった埠頭。お肉の山と、鳳翔がマッハで切った野菜の山と、野外炊具1号の大量の飯。
それぞれに、グラスが配られ、思い思いの飲み物を注ぐ。
一応、埠頭にレーダーを設置してあり、電曰く「敵襲があったらたたっ斬ってくるのです」等と言い出している。
電の背中には、曙に突き付けた日本刀が背負われていて、曙は若干、ガタガタブルブルしていた。
ケッコンしてから、アグレッシブになった、とは暁の談である。