小さな提督と艦娘日和   作:SAMICO

24 / 73
後編です。

こっちは甘い内容と次回に続くシリアスっぽいお話です。




結有と恵奈(2)―暁の水平線(後編)―

―――――――――

恵奈は、夢を見ていた……

 

炎に包まれる、名古屋港水族館。

逃げ惑う人々……

「お姉ちゃん!!大丈夫!?」

左手を吹き飛ばされ、右手で押さえている女性に、少女が駆け寄る。

「逃げて……エナ……!」

バキッ……目の前の床が大きく陥没して……

「きゃああああああ!!!!」

「エナぁぁぁぁぁぁ!!!!」

少女が落ちていく……大量の瓦礫と共に……

 

「おねえちゃああああああああああん!!!」

 

―――――――――――――

「!?」

恵奈は、ばっと起き上がった。

「恵奈!気がついた!?」

声の先に、顔を向けると、心配そうにしている、暁の顔があった。

 

暁の話によると、あの後すぐに、陸戦隊が駆けつけ、恵奈と結有は、一番近くの医療施設――

中部警備府医療部に搬送された。

結有のケガは、切り傷と擦り傷、肋骨の骨折だけで、済んだとのことだ。

額は、縫う事になったが、まだ若いから、縫い痕は、大きくは残らないだろう、とは、軍医の話だ。

 

病室には、既に意識が戻って、ベッドを起こしている、頭に包帯を巻いた結有と、その隣で座っている湊。

そして、もう一つのベッドには、黒髪の少女が眠っている……夢で見た少女に似た……

 

「恵奈ちゃん、良かった」

結有は、少し痛みに顔を歪めながら、声をかける。

「お姉ちゃん……大丈夫?」

心配そうな顔の恵奈が、声をかけると、結有は、苦笑いを浮かべる。

「ううん、だいじょばない。数日間、入院だって」

「ごめんなさい……」

しょんぼりする恵奈に、結有は、首を横に振る。

「ううん、ボクこそ、守りきれなくてごめんね」

「お姉ちゃん、とってもかっこよかった」

「あはは、負けちゃったけどね……」

結有が、笑いながらそう言うと、湊が、恵奈に声をかける。

「恵奈ちゃん、左手、出してくれる?」

「ほぇ?」

左手を、布団から出すと、指輪が、薬指に填まっている。湊が付けているリングと同じものが。

「……あれ?なにこれ」

キョトンとしながら眺めている恵奈に、湊が、静かに語る。

「ケッコンカッコカリの指輪は、元々、司令官と艦娘との、強い絆が結晶となって作られた、と言われています。私の、父と母は、そのようにして、指輪が出来た、と聞いています。私の指輪……軍で作られた指輪は、それを元に作られた指輪です。第二世代の指輪、というべきでしょうか?」

その説明に、恵奈は、キョトンとしたまま聞いている。あまり解っていない。

「わかりやすく言うと、恵奈ちゃんの、『暁お姉ちゃん、頑張って!負けないで!』という気持ちと、暁の、『恵奈には、絶対手を出させない!』という気持ちが響き合って、指輪を作った。そして、暁は、恵奈を護る、強い艦娘になった。と、いえば分かりますか?」

苦笑いをしながら、説明すると、恵奈は元気に「うんっ!」

と応える。

「要するに、恵奈ちゃんと暁は、ケッコンしたってこと」

そう、結有が続ける。

「ケッコン……」

恵奈が、指輪をみて、呟くように言う。

「恵奈?」

その様子を、心配そうに覗き込む暁。

「暁お姉ちゃん!チューしよ!」

「うぇえええっ!?」

にぱっと笑顔を浮かべて、元気よく言う恵奈に、暁は狼狽して、声を上げる。

「ケッコンすると、チューするんでしょ?湊お姉ちゃんと電お姉ちゃんが、お祝いの時に、いっぱいしてたよ!」

「おおう……」

頭を抱える暁に、今度は逆に、恵奈が、心配そうな顔になる。少し涙目で。

「それとも、恵奈とじゃ、やだ?」

「そうじゃないけど……」

照れながら、顔を赤らめる暁に、恵奈は、無邪気な笑顔にもどると、元気良く言う。

「じゃ、チュー、しよ?」

「わ、わかったわ」

 

そっと目を閉じる恵奈に、暁は、軽くキスを……しようとしたら、恵奈に、思いっきり抱きつかれた。

「んぅ……」

「んっ……」

深い、深い、そして長いキス……

 

「わぁ、大胆」

「こういうところは、お母さんに似てるみたいですね」

にまにま笑顔を浮かべながら、その様子を眺めている二人だった。

 

「ぷはぁっ、初めてのちゅー、あげちゃった」

「……ありがとう」

にぱっと笑顔を浮かべる恵奈に、顔を真っ赤にして、恵奈の頭を撫でる暁。

その左手には、銀色のリングが、輝いていた。

 

 

軽い擦り傷しかない、恵奈と暁が、仲良く帰っていったあと、残されたのは、湊と結有と謎の少女。

「心配かけて、すみません」

「全くです。いくら軍属だからって、深海棲艦に、正面切って殴り合いを挑むJC(女子中学生)なんて、聞いたことないですよ。いくら武道の有段者と言っても、無茶が過ぎます。報告を聞いた時、心臓が止まるかと思いましたよ」

腰に手をあてて、少し怒った顔をする湊に、しょんぼりする結有。

「でも……二人で逃げていたら、二人共、危なかったかもしれません。ありがとうございます。()()()()()()()としては、ハナマルです」

優しく頭を撫でる湊に、今度は、結有が慌てる。

「いや、僕のほうこそ、あのレ級の姿を見たら、なんか、ハイになっちゃって……()()()()()()()()()()()

「………」

 

湊は、休暇の時に、安藤龍から言われた言葉を、思い出していた。

結有には、ハワイで散った、時雨の霊子が引き寄せられているかもしれない、と。

 

「ところで、その女の人は?」

「ええと。レ級が、沈んでいたところに浮いていた、と加賀が、救助して搬送したんです。生体的には、()()()()()()()()()()()()()らしいですけど、念の為に、催眠プロトコルをかけて、眠らせたままにしています……本当は、使いたくなかったんですが」

「そうですか……」

湊は、指揮命令プロトコルという物を、()()()()()していた。故に、嘗ての旧第13泊地艦隊第3艦隊から、暴行を受けても使わなかった。それを使った、彼女の葛藤が結有にも伝わっていた。

「取り敢えず、結論は先送りです」

大きな溜め息と共に、立ち上がると、結有に、

「あなたは、とりあえず、休んでください。 恵奈ちゃんは、暁に預かってもらいます」

優しく頭を撫でると、湊も部屋をあとにした。彼女にも、すべきことは、沢山残っている。

 

残された結有は、天井を見上げる……

「ねえ、時雨……僕は、一体……」

髪飾りに触れながら、そう呟くと、静かに目を閉じて、結有も眠りについた……

 

 

 

そのまま湊は、医療部オフィスに向かっていた。

オフィスには、夕張と、医療部長である、山本八重軍医少佐―――あの山本元帥の孫である――が座っている。

「検査結果はどうですか?」

「まず、暁と恵奈ちゃんの共鳴現象ですが、元々、高い霊子を持つ子だったので、恐らくは、母親の左腕……深海棲艦の血が混じってることが、原因だと思いますが、子供の純粋な気持ちと、暁の、恵奈ちゃんを護るという心が共鳴して、指輪を結晶化させたものと考えられます。第二世代の指輪より、強い絆です。あの段階で()()せず、艤装オーバーロードをした原因はわかりませんが、私の仮説を言うと、二人の霊子が、それをさせたものでしょう。殆どケガのなかった恵奈ちゃんが、意識を失ったのは……霊子の急な消耗に耐えられなかったもの、と私は考えます」

と、夕張が説明すると、山本少佐が続ける。

「もう一つ、気になることが。各務原一等兵が受けた負傷が、思いの外軽かったので、検査を行いました。人体組成的には、艦娘の組成が混じってます。おそらく()()()()()

「………各務原少佐の奥さんは、結有の出産時に、夭折している、と聞きましたが……」

その湊の言葉に、夕張は深刻な顔をする。

「一つは、本当に艦娘――おそらく、時雨が出産時に死亡して、生まれ変わって現出した時雨が、()()()()を行った。もう一つは、母親が()()()()で、各務原少佐が()()()()()()で、『妻は死んだ』と偽ってる場合。情報部に、調査を依頼しますか?」

「いいえ、この件に、私達が介入する権利はありません。―――知らなかったことにしましょう」

湊の言葉に、一同が頷く。

「次に、加賀が救助した少女の方ですが、人体組成はちょっと複雑で、左腕の上腕部までは艦娘、そこから手首までが人間、その先が義手です。義手には、海兵旅団東海連隊の部隊章が刻まれていました。大村奈緒大佐に協力を頂いて、DNAサンプリング検査をしましたが、彼女の左腕で間違いないです。戦艦レ級が、()()()()()()()()()()()した、そう結論づけられます」

山本少佐は、カルテを見ながら告げると、

「いずれにせよ、今は、できることが少ないですね」

湊は、大きな溜め息を吐いた。

 

 

その晩。

「暁おねえちゃあん、しょや、しよ?」

と、耳元で、甘ったるく囁く小悪魔恵奈に、顔を真赤にする暁。

「そ、そういうのはね、恵奈が、もうちょっとおとなになってから、するのよ」

「うんっ!」

と、その様子を見ていた、暁型の次女三女はにまにまと、

「宜しく、恵奈『お義姉』さん」

「恵奈ちゃんが、義理のお姉さんになっても、恵奈ちゃんは恵奈ちゃんよ!」

と、からかうのに、暁は顔を真赤にしている。

「もー、暁おねえちゃんをいじめちゃや―!」

むーっという顔をした恵奈が、ばっと、暁の目の前にでて、両手を広げてから、ふと思い出したように、

「ところで、『しょや』ってなに?」

首を傾げる恵奈に、一同がずっこける。

「説明しよう、初夜とは初めてのせ……」

「「やめろー!!」」

起き上がって解説しようとする響に、二人が飛びかかって、止めようとする。

「あははー、楽しそうー」

一人、ベッドに腰掛けて眺めながら、笑ってる恵奈。

 

「うるさい!寮の中でドタバタしない!大人しくしてる恵奈ちゃんを見習いなさい!」

と、雷を落としに来た、寮長加賀が入ってくるまで、そのドタバタは続いていた。

 




ロリ×ロリのおねロリっていいですよね。(エロい意味じゃなくてよ)

可愛い×可愛いは最強ってことです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。