小さな提督と艦娘日和   作:SAMICO

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ここで、海賊さんたちも登場します。



結有と恵奈(4)―努力する意味Ⅱ《燃えよ結有》―

男は、大事そうにカバンを抱えて、電車を乗り継いで、名古屋駅に向かう。

私服である彼女達も、同じ電車に乗り、追いかけた。

まだ、新幹線と仮設電車しかない名古屋駅は、かつての名駅の頃よりは、人は多くないが、見失わないように、気づかれないように早足で、二人で男を追いかける。

男は、新幹線の券売機で、特急券を買って、改札を通る。

「どうする……?どこで降りるか、わからないよ?」

「……東京まで買おう!」

吹雪は即決すると、券売機で、東京までの特急券を二枚買って結有に渡すと、二人は急いで、改札を通り抜ける。

そして、男の乗る新幹線に飛び乗った。

 

「勢いで来ちゃったけど……大丈夫?」

「うん、なんでもなかったら、プチ旅行ってことで、東京行って、ちょっと遊んで帰ろ?二~三時間位は遊べるから」

衝動だけで、結果新幹線に乗ってしまった結有に、ポジティブに答える吹雪、もちろん男の様子を見ながら……

 

結局、男は、豊橋駅で降りた。

結有達も、豊橋駅で降りて、男を追いかける。

 

大事そうに、鞄を抱きかかえながら、海の方へ向かう男に、追いかけて行く、少女達。

そんな様子を、駅前で、釣り道具を片手に、電子タバコを吹かしている、眼帯をした女性が、不審そうに見ていた。

「おまたせ、コーヒー」

ボーイッシュな女性が、駅の売店から出てくると、眼帯の女性は、その少女たちを指差す。

ボーイッシュな女性も、ハッとした顔になって、コクリと頷いた。

 

かくして、結有達は、男を追いかけながら、眼帯の女性達に、尾行されることとなった。

 

豊橋港にある、大きな倉庫―――かつてブラック泊地だった場所で、終戦後、安藤監察官着任前に、閉鎖となった場所。

今は、半分廃墟と化している、その建物に、男が入っていくのを確認して、

吹雪と結有は、お互いに頷いて、敷地の中に向かった……

もちろん、ここが、かつての泊地だった、等とは、知る由もないが、怪しげな廃墟に入っていく軍人、というだけで、十分怪しいと判断して……

 

「おい、ここ……」

眼帯の女性は、二人が建物に入っていくと、咥えていた電子タバコを、ホルダーにしまいこんで、

「ブラック泊地で、閉鎖された、って聞いてるけど」

「それにしても、時雨カッコカリみたいな子と、アレは吹雪だったか、私服で、何やってるんだ?」

「とにかく、行ってみよう」

二人の女性も、それを追いかけて、廃墟と化した、旧豊橋泊地の門をくぐった。

 

結有達は、大きな倉庫の建物を、外からぐるっと迂回して、中が覗けるところを、確認していた。

「あそこ、覗けそう」

「うん」

 

そーっと、窓から覗き込むと、倉庫内には、所狭しと建造装置が並べてあり、多数の、作業着姿の男達が、中にいる。

そして、中では、偉そうなスーツの男が、一人座って、その様子を見ている。

先程の男が入ってきて、鞄から、瓶を取り出す。

「あれは……?」

「……!!」

結有は、馴染みが薄いが、吹雪には、見慣れたものだった。

そう、高速建造剤の()()……輸送の手間もあり、各地には、原液で運ばれ、希釈して用いられる。

通称【バーナー】の、燃料だが実際には、高火力バーナーとしても使用できる、可燃物なだけで、建造プラントに、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、生み出す。

原理は、科学的には解明されておらず、そういうものだ、という結果を元に、艦娘の夕張と明石が、設計した代物である。

こんな、使われていない泊地で、大量の建造装置……男が取り出した、高速建造剤の原液を受け取った、中の男たちが、希釈して流し込むと……

生み出されたのは、艦娘()()()()―――戦艦ル級……深海棲艦だった……!

「!!」

その光景に、衝撃を受けた二人は、足元のガラス瓶を、踏んでしまう。

パリンッ……

「何者だ!!」

軍服の男が、即座に九ミリ拳銃を抜いて、発砲する。

銃を抜いた瞬間、二人共、屈み込む。

発砲音と共に、ガラスが割れる。

「吹雪、海から逃げろ!」

「でも、結有は!?」

「僕は、陸から逃げる!」

「わかった!」

 

吹雪は、そのまま走ると、その先の海に飛び込んで、艤装を展開する。

そのまま沖まで加速する……ここから名古屋まで……突っ切れば……

 

背後から、次々と、泊地の軍港から、追いかけてくるのは、戦艦ル級の群れだった。

そして、前からも……

「う、嘘でしょ……?」

吹雪は、背筋に、悪寒を覚えていた。

 

 

「くそっ!」

結有は、先程の道が、男達に封じられる、と気づくと、敢えて建物の中に入って、追いかける男達と、死闘を繰り広げていた。

扉の陰に隠れ、開けて、中に入ってくる男を、扉ごと蹴り飛ばしたり、

階段を上がって、階段の脇に隠れ、上ってくる男にケリを入れ、追いかけてくる男達を、将棋倒しのように倒したり……

銃を持ってるヤツは、あの士官だけだった。作業着姿の男達は、刃物は持っているが、銃は持っていないようだ。

刃物を、うまく躱しつつ、建物の死角から、急所に打撃を与えていく。

 

ただ、奥まで潜り込み過ぎた……走り抜けた先は、行き止まりだった……

「ここまでだな………」

「くっ……っ!」

先程の、偉そうな男が、ニタニタと、下卑た笑みを浮かべて、歩いて来る。

結有は、この男を見たことがある。()主席監察官の、横澤少将だ。

「横澤元少将!?」

「私のことを、知っているようだが……見たからには、死んでもらうよ」

手に持っていた拳銃を向け、トリガーを引いた。

「ごめん……吹雪……」

発砲音がして、ギュッと目を瞑った瞬間、目の前のガラスが、派手に割れ、中に、誰かが飛び込んだ。

マントを羽織って、眼帯を着けた女性が……

何時まで経っても、痛みが来ない結有は、目を開ける……

 

横澤元少将は、銃を握ったまま、倒れていた。胸には、投げナイフが刺さっている。

「うぐぐぐ……」

まだ、生きているようで、苦悶の声を上げる、横澤元少将。

目の前の、マントの女性が、投げたようだ。

「あ、貴方は……」

警戒しながら、問いかけると、マントの女性は、ニヤリと笑った。

「オレは――――通りすがりの海賊だ」

「は、はい?」

そういった直後、ボーイッシュな女性が、階段を登ってやってきた。

「木曾!中部警備府に連絡したよ。すぐにお嬢さ……湊提督が、高速艦艇差し向けるって!あと、下の連中は、全員片付けたよ!」

「よっしゃ!最上、こっちも片付いたぜ。ええと、お前は、()()()()()()よな?」

木曾が、再び結有を見ると、

「はい、中部警備府司令官付き、各務原結有軍属一等兵です」

「軍属か、よし。ついてこい」

「はい!」

 

最上、木曾と共に、先程のプラントに戻ると、男達は、全員殴り倒されており、建造装置は、最上によって、ハンマーで破壊されていた。

「これでいいな。後は、軍の到着を待つだけ……」

「吹雪!?」

結有が、何気なく沖を見ると、追撃を受けている、吹雪の姿があった。

「おい!各務原!!」

木曾が止める間もなく、結有は、埠頭に接舷していた、モーターボートに飛び乗って、エンジンを掛けていた……

「おい!」

慌てて、木曾も飛び乗る。彼女は、既に()()()()()()()()()()()()のだ。

「吹雪を助けに行きます!」

「ああもう!わかったから、オレが操縦やる!どけ!」

その言葉と共に、木曾は、半ばヤケッパチで、スロットルを全開にする。




電「湊とのデートを邪魔するやつゆ゛る゛さ゛ん゛のです!」
湊「ご、ごめんね……」
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