小さな提督と艦娘日和   作:SAMICO

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これで、ロング編もおしまい。
次回からはまた1話完結のショートネタに戻ります。


用語集にseason2の用語も追加しました
文章量が充実したら独立させる予定です


結有と恵奈(6)―努力する意味Ⅳ《スーパーガール》―

翌日、結有は、吹雪の介助で、新幹線で名古屋に帰ることとなった。また、包帯を頭に巻いて、松葉杖ついて……

中部警備府に帰り着いた結有は、湊の、

「危ないことはしないでね、って言ったのにねぇ」

という、溜め息混じりのお説教と共に、吹雪と二人、共に東京への出頭を命じられた。

退出時、湊がこっそり、『新幹線代ね』とウィンクしながら、二人分の、東京までの新幹線代以上の、お小遣いを渡してくれた。

そのまま吹雪に渡り、差額は、二人で分け合うことだろう。

 

もちろん、吹雪は吹雪で、結有を止めなかったということで、寮長加賀からのお説教と、あとは、横澤元少将の陰謀を砕いた功績への、お褒めを受けているだろう。

余談だが、大量の、高速建造剤原液の盗難を、未然に防げなかった、工廠責任者である夕張は、一ヶ月の減給処分と、始末書の刑に処せられていた。

平穏期で、建造の必要がなかったため、高火力バーナーの用途以外に、使い途がなかった高速建造剤は、他の資材に比べて、管理が甘かったのも、事実である。

落ち込んでる夕張に、艦娘達や、幕僚達と結有が、代わる代わる、差し入れを持ってくることだろう。

そして、使い道のない高速建造剤を使う為、夕張の、()()()()()()が始まるのだが、今は、そのことは誰も知らない。

「ククク……この建造剤をどうしてくれようか」

誰もいない工廠に、夕張の、半ばヤケの笑い声が響き渡った……

 

 

数日後、ギプスで松葉杖の結有と吹雪は、再び新幹線で、東京まで向かっている。

行き先は、海軍幕僚監部である。

「良いお知らせ系の呼び出しなので、胸を張って、行ってらっしゃい」

という、湊の言葉を、信じての出発だったが、ちょっと不安でもある。

ちなみに、今日は、幕僚監部へ行くお仕事。明日は休暇をくれたので、今日は東京にお泊りである。

「ねえ、結有」

「んー?」

あの一件以来、お互いを呼び捨てで呼ぶようになった、吹雪と結有。

肘をついて、車窓から外を眺めている結有に、吹雪も車窓から外を見ながら、ポツリと呟くように、語りかける。

「不要な争いを避けるのが武道なら、避けられない戦いなら、負けちゃいけないのも武道……そうだったね」

「あんなに、大騒ぎになるとは思わなかったけど。いいじゃない、悪い奴等の企みから、皆を護ったんだから」

ふっと笑う結有。瞳の色は、普段の結有の黒い瞳……そして、あの訓練の鬼である、父親の、強い雰囲気も感じさせる……

「そういえば、知ってる?結有」

「んー?」

再び、車窓から外を眺める結有に、吹雪は、悪戯っぽい笑みを浮かべる。

「結有のお父さんって、昔の名古屋攻防戦で、姫を倒したんだって」

「えっ、まじで!?」

ばっと、吹雪の顔を見る。悪戯っぽい笑顔のまま、吹雪は、

「前に、司令官から聞いたの。結有、お父さんに似てきたね」

「また、彼氏作るハードル、上がっちゃうなぁ……」

大きな溜め息を吐く結有に、笑いを堪える、吹雪だった。

 

 

結有と吹雪は、深海棲艦によるテロを、未然に防いだということで、

結有は、海軍幕僚長より直々に、第五級賞詞と第12号防衛記念章(国防軍発足から、テロ防止等にも適用される)を授与され、上等兵への昇進が決定した。

吹雪にも、艦娘功労章と、第五級賞詞が授与された。

艦娘功労章は、特に功績が顕著な艦娘に贈られる章で、これを受けた艦娘は、広報部の青葉による取材を受け、艦娘向けに発行される、週刊青葉新聞に、一面掲載されるのだ。

もちろん、一般マスコミの取材も、受けることになった。広報部の鈴木大尉のレクチャーの元、合同取材ということで、ガッチガチに緊張している結有は、何を答えたか、記憶になかった。

青葉新聞には、吹雪の希望で、二人の写真が掲載されることになった。見出しは、『友情のスーパーガールズ、大手柄』と。

 

なお、この一件で、手助けをした、木曾と最上は、軍から身を引いた、自分等のことは表に出さないでくれ。仕事がやり辛い。という意向で表には出なかったが、

防衛大臣感謝状を受けて、村上建設の方で、特別賞与を受けることになった。

新聞には、『謎の海賊の協力もあった』と、しれっと一文だけ、加えられることとなった。

 

かくして、ヒロイン『名古屋のスーパーガール』が誕生することとなった。

これは、復興の象徴の、『不敗の女神様』と共に、中部警備府から動かせない人材が、もう一人増えたと言うことも、意味している。

 

「ふぁー、疲れたぁ」

「なんか、ものすごい一日だったね」

ホテルのツインの部屋で、結有は、ベッドに寝転がり、吹雪は、もう一つのベッドに座りながら、今日一日の激動を思い出す。

「ねえ、吹雪」

「ん?どうしたの?」

ふと、起き上がって、吹雪をじっとみる結有に、首を傾げる。

「ケッコンしたらさ、キスするんだって。恵奈ちゃんが、言ってた」

「き、キス!? わたしは良いけど、結有ちゃんはいい……んぅっ」

答えを聞き終わる前に、結有は、片足歩きで、隣のベッドの吹雪を押し倒しながら、口づけを交わす。

「ふぅ、僕のファーストキス、あげちゃったよ」

そのまま、横にゴロンと寝転がると、吹雪の顔を見ながら笑う。

少し照れた、結有の顔に、同じく照れてる、吹雪の顔。

「わたしも、だよ」

「これからもよろしくね、吹雪(僕の一番の親友)

「うん、よろしくね、結有(私のいちばん大切な友達)

 

 

翌日、鈴木大尉の同伴で、名古屋に帰り着いた結有達は、名古屋のマスコミの取材を受けるも、

テキパキと捌いていく、鈴木大尉のお陰で、あっさりと、警備府に帰着することとなった。

そのまま当分の間、鈴木大尉は取材対策で、ここに赴任することになる。

 

その夜は、居酒屋鳳翔を貸し切っての、二人の慰労会である。

大盛り上がりだったが、二人のケッコン指輪を見つけた、小悪魔ガールの恵奈に、

「あー、ケッコンしたらチューするんだよ!」

という、大きめな声に、一同注目するも、

「残念、もうしちゃったもんね」

「恵奈ちゃん、ごめんね」

という言葉に、恵奈は、大爆弾発言を落す。

「じゃあ、しょやはしたの?」

二人は、ぼふんと真っ赤になる。暁と加賀は、盛大に頭を抱える。

当然ながらその後は、二人は、それぞれのベッドで寝ている。

「しょ!?しょしょしょ!?してるわけないよ!!」

「え、恵奈ちゃん!?な、何言ってるの!?」

真っ赤になってる二人に、不思議そうな顔をする恵奈。

「ところで、しょやって何?」

その言葉に、ずっこけかける二人。

「説明しよう!」

「するな!座ってなさい!」

と、立ち上がる響に、艦娘寮長加賀が、サササっと、響の後ろに寄って、ゲンコツを落す。

そのまま、頭を押さえて、ご着席の響。

「恵奈、貴方が、もう少し大きくなって、大人になる準備ができたら、教えてあげるわね」

という加賀の説明に、恵奈は納得すると、奈緒を含む大人達は、ほっと胸を撫で下ろす。

 

 

数時間後……

「どうすんのこれぇ!?」

普通にザルである鈴木大尉と、食以外は、常識の塊である加賀、貧乏くじ体質の、結有と吹雪は、

最後まで残ったカオス組を、官舎や艦娘寮に放り込む作業をする羽目になった。

もちろん、けが人の結有は、実際にはできなかったので、その作業を、律儀に見届けていたのだった。

 

 

当然ながら、カオス組には、始末書が待っている。

 

 




次回は夕張による魔改造計画のお話です。

減給処分を食らった夕張によるドタバタコメディ。
やつはさらに減給を食らいたいのか
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