たまーに行う夕張やらかし回です。
基本的に、夕張と元レ級娘と艦娘がやらかして湊がひょっこり現れる形式です。
今回の
今回は対艦番長F-2とターボジェットエンジンのお話。
※技術考証は割とゆるいので間違っててもお許し下さい
あれから、元レ級だった艦娘(仮)は、精密検査の後、
奈緒の、レ級アーム同様、深海棲艦の侵食の恐れがないため、催眠モードが解除されていた。
記憶の全くないこの少女は、奈緒曰く、妹に似てるらしいが、細部はちょっとずつ違う、とのことらしい。特に胸部がちがう!とは、奈緒の力説だ。この少女は、割りと豊満な方である。
「妹はぺたんだった!」
天国の妹は、聞いたら、きっと怒るだろう。
ということで、妹の恵那から、一文字取って、海で見つけたから、
恵海(めぐみ)と、名付けられた。
本人も、それで納得した為、この名前問題には、あっさりと決着が付いた。
記憶が戻って、本来の名前を思い出したら、その時考えればいい、と。
「この子の艤装を作る?」
艤装の、定期メンテナンスに来ていた瑞鶴が、夕張の発言に首を傾げる。
中部警備府大工廠は、今は、夕張と恵海と瑞鶴の、三人だけである。
「この子、艤装を持たずに生まれたから、解体退役艦娘の艤装、取り寄せて付けてみたんだけど、
「………」
スパナを持って力説する夕張と、基本ちょこんと座って、黙っている恵海。
「それで、早速、新しい艦載機を作ったのよ」
「っていうか、勝手にやっていいの?」
瑞鶴がツッコミを入れると、夕張は自信満々で答える。
「大丈夫です、新艤装開発で、艦娘本部工廠部に、話は通してるし、今日明日は、
そう、加賀は、休暇の為、赤城と大阪まで、
「大丈夫かしら……?そんで、艦載機はどれなの?」
「これよ!」
取り出したのは、明らかに、固定翼機のフォルムを持つ、ミニチュアだった。
「ナニコレ?」
「番長」
キョトンとする瑞鶴に、夕張は自信満々に答える。
「何の?」
「対艦」
「……対艦番長………はぁ!?Fー2!?」
夕張の言いたいことがわかった瑞鶴は、大声を上げる。
「めぐみんって、元レ級じゃない? 最強航空戦艦じゃない」
「……全く覚えてないんですけど」
全く記憶のない恵海は、おずおずと手を上げながら、ツッコミを入れる。
「だから、ちょっとはっちゃけても、良いんじゃないかなって」
「あのさぁ、正規空母より狭い航戦で、無理じゃない?」
「じゃあ、瑞鶴、試しにやってみて」
「は、はい?」
という訳で、埠頭にやってきた。
沖の方では、第2艦隊の面々が、訓練中である。
「さあ、やってちょうだい!」
「へいへい……」
渋々、Fー2のミニチュアを受け取り、海に降り立つと、艤装を展開する瑞鶴。
艤装が展開されると、Fー2は、銀色の矢に変わる。
「それじゃあ、いくわよ!」
弓を引き絞り、矢を放つと、その矢は、Fー2に変わり……アフターバーナーで、瑞鶴の手を焼く。
「あちちっ!!!」
そして、ターボファンエンジンを噴射したFー2は……
そのまま、水面を滑って、水切りのように……第2艦隊の方へ飛んでいった……
「なんか飛んできたぞ!?」
「な、なにこれ!?」
「ちょ、ま!?」
「うわああああああ!?」
沖で訓練中の、第2艦隊に突っ込んで、大爆発を起こした。
天龍達は、大パニックだ。後ろから、銃弾が飛んできたようなものだ。
「………」
「………」
「あのぉ……この、電子図鑑によると、Fー2は、元々、陸上発着機で、空母に積むには、滑走距離的に、無理があるんじゃないでしょうか……」
片手にタブレットを持って、おずおずと、ツッコミを入れる恵海。
「よし、工廠に戻りましょう」
「……」
「は……はい……」
何事もなかったかのように、工廠に戻る夕張を、ジト目で見つめる、上陸して、艤装を収納した瑞鶴。
そして、律儀に後ろをついていく、恵海を見ながら、やれやれと、その後を歩いて行く……
工廠に戻ると、三人は、工廠の椅子に着席する。
「うん、陸上発着機は無理だって、わかったことだし、一歩前進ね」
「ちょっと待ちなさい、私火傷しただけ!?」
「た……多分……」
一仕事終えた顔をする夕張に、火傷しただけの瑞鶴が、ツッコミを入れる。
そして、おどおどしながら、恵海が答える。
残念なことに、本日は、常識番長の、
「あのー」
ひょっこり現れた、ちっちゃい子……もとい。司令官の湊。
「湊ちゃん提督、どうしたの?」
瑞鶴は、彼女の到来の理由は、だいたい、予想は付いているが、敢えて聞いてみる。
「第2艦隊から、『陸地から攻撃を受けた』って、報告がありまして、事情聴取に」
「オウフ……」
がっくり項垂れる夕張。
「そりゃそうですよ。というか、よく作りましたね」
事情を一通り聞いた湊は、きっぱりバッサリ両断する。
「そもそも、瑞鶴やその他の正規空母は、まず、レシプロ機を運用する母艦。というのを、前提に考えてください。最悪、ターボファンエンジンの排熱で、艦載機の搭載爆装ボン!ですよ」
その言葉に、火傷で済んでよかった。と瑞鶴は、顔が青ざめる。
「やっぱり、それ相応の、改装が必要となります……が今、呉で明石さん達によって、その研究が行われていて、翔鶴さんが、舞鶴から異動になって、実装実験してるそうですよ」
「翔鶴姉ぇが!?」
そう、彼女はずっと、姉の行方を探していたのだ。
「はい。その実装実験が、うまく行ったら、貴方にも、改二甲実装を行えると思います。もしよかったら、近日中に休暇を出しますから、会いに行ったらどうですか?」
「湊ちゃん提督、ありがとう!」
「おお!さすが明石さん!」
その報告に喜ぶ瑞鶴と、俄然己も、やる気を出す夕張。
「でも、Fー2の実装は、無理ですよ。艦載機仕様に改良するくらいなら、ぶっちゃけ、一から設計したほうが早いです」
「オウフ………」
バッサリ切り捨てる湊に、また、がっくり項垂れる夕張。
「でも、ターボジェットエンジン対応の改装が、実装化されたら、航空戦は、大きく変わると思います」
「発艦速度……ですか?」
椅子に座って、足を組んで、ふっと笑みを浮かべる湊に、おずおずと手を上げる恵海。
「その通り。敵レシプロ機より先に、強襲攻撃が行えるんです。ついでにいうと、レシプロ機に、ジェットエンジン機の迎撃は、無理でしょう」
「おおお……これで、
ぐっと喜びを堪える瑞鶴に、にこにこと笑みを向ける湊。
「ですが、慢心は禁物ですよ?貴方達は艦娘なんですから。
龍驤改二のことである。ハワイ前哨戦時に、発艦と同時に、敵中に切り込み、トマホークで、ばっさばっさと敵艦をなぎ倒し、着艦時に後退するという、戦法を編み出した、高梨艦隊の一人である。
彼女は、海兵旅団にも参加していた、艦娘本部の最古参のうちの一人である。
「で、艦載できる、ターボファンエンジン機である、F/Aー18という戦闘機が出てくるんですが、翔鶴改二甲に搭載できた、と仮定します。そして、深海棲艦が、勢力を増したとします。考えたくないですが……そこで、出て来るであろう、姫・鬼クラスの深海棲艦に対して、有効かと問われると、微妙なところです」
「どうしてよ!?」
食いつくように、瑞鶴が訊いてくる。姉のことにもなるので、若干ムキになっている。
「そうですね。例えば、レ級の凶悪な艦載機である、飛び魚艦爆を叩き落とすことは、出来ると思います。超音速で誘導する、空対空ミサイルと、20ミリ機関砲で。ただ……対艦ミサイルのハープーンは、あまり、期待できそうもないと思います。これは、現代と大戦期の、軍艦の運用思想の違いによるもので、現代艦艇は『当たれば終わり』なんです。だから、ああいう、大戦時の艦艇の長所……つまりは、硬い、でかい、つよい、を極端に伸ばした、深海棲艦に対しては、分厚い鉄板に対して、手榴弾を投げ込むようなものです。まだ、でかくて重たい徹甲榴弾を、ズドーンとぶち込んだほうが、有効です。ただし……」
それだけ言ってから、一呼吸置いて、続ける。
「
「何でよ?」
問いかけた瑞鶴は、湊の、自分を見る、流し目でいたずらっぽく冷たい笑みに、ゾクリと、背筋が凍る思いをする。
「マッチ一本……火事の元」
指を一本立てて、静かに告げるその言葉に、自分が、何を積んでいるのか、理解した。
「艦載機……と言うより、雷装と爆装……」
瑞鶴にも、かつての艦としての記憶が、かすかにある……自分が艦だと、イメージする……艦載機を積んである、空母だ……
遠くより、水面を亜音速で飛んでくる、筒状の物体。それが上空に跳ね上がり……上から降ってくる……甲板上に、駐機している、機体の間近で炸裂……
跳ね上がらなくても、ダイレクトに、横っ腹に飛び込まれれば、そう変わりはしない……
生唾を、ごくりと飲み込む音が、自分でも聞こえる……自分が、青い顔をしているのが、想像できる。
「船ってのは、
それだけ言ってから、湊の笑みは、優しいものになる。瑞鶴も、少し心を、安堵させる。
「それが、艦娘に当てはまるかは、わかりませんし、ヲ級に通用するかも、まあ、謎です。というわけで、この話は、おしまいにしましょう」
といって、この話題を終わらせる湊。
「……大きく脱線しましたけど、艤装の話、とりあえず、先送りにしましょうか?」
「何でです?」
立ち上がりながら、黙って、ずっと話を聞いていた、恵海の頭をポンと撫でてから、「行きますよ」と促すと、恵海も立ち上がる。
問いかける夕張に、湊は笑みを浮かべるが、目の奥は笑っていない……瑞鶴は、それを直視して、目を逸らす。運良く、夕張は、それを直視していないようだ。
高梨湊という女性は、
「
艦娘の統括は、
「オウフ……」
始末書の提出は、本日
天龍達や減給延長はともかく、電激おこはやばい。夕張は、どうやって謝ろうか……あるいは、私の命が明日まであるのか……そう思いながら、口から魂が出かかっていた。
「さて、艤装メンテナンス、早くやってね。電には、先に私からも、夕張が反省してるって、伝えておくから」
「ふぁい……」
慰めるように夕張の肩をぽんと叩くと、涙を浮かべながら、夕張は、瑞鶴の艤装メンテナンスに取り掛かるのだった。
夕張「本当にすみませんでした!」
電 「電は気にしてないのです」
夕張「……あれ?」
電 「(机の電話をとって電話をかける)もしもし、鳳翔さん、今度艦娘たちで飲み会開くのです。予約お願いするのです。夕張のお会計で」
夕張「オウフ……」