そしてLとはLike?Love?それとも?
その時だった。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………
突如、航空自衛隊基地のあった場所から、巨大な人型の、
10mは越えようという、その姿……その肩の上には、片桐が立っている。
姿形は、あの、ハワイの深海棲艦の女王を、ミニチュア化させたような姿だった。
「ウギャハハハハハ!!!横澤のお陰で、建造装置を暴走させて、なんでも取り込める深海棲艦の作成に成功した!もうお前たちは終わりだァァァ!!!」
「どうする!?」
「あれは、流石に無理だよ」
戦慄を覚える二人に、恵海は、決意を固めた顔をする。
「艤装……Type-ReModF……パージ……」
目を閉じると、ボロボロとレ級の艤装が崩壊し、海に沈んでいく。
「めぐみっち!」
「恵海!」
今、恵海の身体は、彼女たちが抱き締めているから沈まないが、恵海の足は、海の中に浸かっている。
「……戦艦レ級は、
閉じた目を開き、決意に満ち溢れた表情を浮かべた。
「ただの恵海です!」
その声と共に、超大和級戦艦の、艤装を展開させた。
両肩には、先日の夕張の暴走で、大騒動を巻き起こした、
「位置固定、錨固定モード」
再び、海に浮かんだ彼女の足から、錨が降りて、海底にロックされる。
「これを持ってきて正解でした。これから、私があれを倒します。大井さん、北上さん。私を、支えててください」
その決意に満ちた声に、二人は、両側の後ろから、彼女に抱きついて支え、錨を降ろして固定する。
ドーラの準備は、ここに完了した……『固定された場所から、逃げも隠れもしない
「80㎝連装砲、榴弾装填……ファイアー!」
ズガァァァン!!!
ズガアァァン!!!
「この反動っ!!!!」
「身体に響く……!!」
その反動を、モロに受けながら……恵海も、反動を受けているが、その後ろで、同じく固定している二人には、ダイレクトで衝撃が襲う。
降り注いだ、実艦換算4.8 t榴弾は、超巨大深海棲艦の右を大きく外れ、着弾後、その周囲を吹き飛ばし、炎の海に変える。
「ギャハハハハ!!馬鹿め!どこを狙っている!!」
馬鹿にしているのか、電気メガホンで、此方に聞こえるよう、罵声を浴びせる片桐。
「……あれは誰?」
方位を修正しながら、後方の二人に、恵海が問いかけるも、二人は答えられない
その時だった……
片桐が、『言ってはいけない言葉』を発したのだ。そう、二人が汚された状況を、自慢げに語ったのだ……
「っ……」
「っ……」
強くなったとは言え、ダイレクトに、心の傷を抉る言葉は、二人にとっては辛い……ギュッと、抱き締める力が強まる。
だが、片桐は、
恵海は、人と艦娘と深海棲艦の、
傷つき、寄り添うように、傷を舐め合うことしか、できなかった二人の過去を……
「そう……あれが片桐……」
「めぐみっち……?」
はっと、顔を上げた北上が見た、恵海の横顔は……片桐を、無表情で見ていた。青く透き通った絶対零度の瞳……ゴミを見上げるような。
「許さない……その汚れた舌で、私の、大事な友だちを語るな」
両手を広げる恵海。二人は、それぞれその手に、自分の手を伸ばし、ギュッと握る。
そして、もう片腕をクロスさせるように、恵海の身体に、しがみつくように抱きつく。
「紅蓮の炎に灼かれろ!片桐栄治!!!ファイアー!!!」
カッと、目を見開いた恵海は、憤怒の表情に変わり、怒声と共に、80㎝連装砲を発射した。
ズガァァァン!!!
ズガアァァン!!!
「ギャハハ!!下手くそが!!」
先程よりは近づいたが、まだ片桐と深海棲艦には、届かない。
超巨大深海棲艦が口を開くと、無数の艦載機が出現する。
「くっ……ここまで来て……」
「めぐみっち……大井っち……」
二人は、恵海の手を、強く握りながら絶望するも、恵海は優しく握り返した。
「大丈夫……仲間たちが来ました」
ギュォォォンン!!ジェット音を鳴り響かせて、固定翼機が飛んでくる。
ネ20エンジンの、橘花改である。敵航空機そのものに、強襲を仕掛ける。為す術もなく叩き落される、敵艦載機。
その後、追いついた加賀・赤城の艦載機も、それに続く。
「……間に合った!翔鶴姉ぇ!」
「続いて、通常機発艦!」
「此方も、第一次攻撃隊発艦します!」
「通信が封鎖されています、各自目視と計器で、連携を!」
此方への爆撃を、航空隊が防いでいる中、恵海は再び、照準を直す。
「……行きます!ファイアー!!」
砲身が焼き付いて、その反動と、艤装のオーバーロードで、体に負担がかかってくる。
ズガァァァン!!!
ズガアァァン!!!
「くっ!!避けろノロマ!!」
至近弾によろける、超巨大深海棲艦にしがみつきながら、罵声を飛ばす片桐。
「ファイアー!!ファイアー!!!うぐっ!!ごぼっ!!」
真っ赤に赤熱した砲身に、何度も榴弾を装填し、異常な速度で、発射する。
ズガァァァン!!!
ズガアァァン!!!
強烈な発射音で、もう半分、耳が聞こえなくなっている。
口から、ぽたぽた、血を零している。血を吐きながら、歯を食いしばって連射している。
オーバースペックも良いところの魔装備を、艤装のオーバーロード――レ級の艤装の適用が出来るほど、霊子の強い彼女になら可能なことだが――をしながら、ほぼ
「恵海っち!!」
「もういい!もう良いから!!やめて!!」
「ファイアーぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
砲身を吹き飛ばしながら、大量の吐血とともに放たれた、
ズガァァァン!!!
ズガアァァン!!!
立て続けに襲い来る、連装二基の三連射……榴弾合計12発……
チュガアアアアアアン!!!
「うぎゃああああああ!!!!!!」
都市区画を、吹き飛ばす程のものだ。片桐は、紅蓮の炎と爆炎の中に、消えていった。超巨大深海棲艦と共に……
艤装の安全装置が働き、緊急収納される。水には浮くが、オーバーホールしなければ、艤装は使えない。
二人に抱き締められながら、力が抜けていく恵海……
「恵海っち!!」
「恵海ぃぃ!!!!」
「私の……私達の……勝ちです……」
意識が遠のき、気を失った、彼女の左薬指にも、白銀色のリングが填められて、三人の指輪に輝きを与えていた……
―――――
「………ここは」
目を覚ますと、自分の居室である、病室だった。
高速修復材の匂いが、体中からする。高速修復材が効いたとしても、ダメージが大きすぎると、意識が、何時間も戻らないこともある。
「沈みかけてたの……私?」
身体を起こすと、大井と北上が、ベッドにもたれ掛かるように、眠っている。
「……大井さん、北上さん」
ぽんぽんと、二人の肩を叩くと、二人が目を覚ます。
「めぐみっち……よかった」
「恵海、北上さんが悲しむからもうあんな無理はしないで!」
安堵して、浮かんできた涙を拭う北上に、腰に手を当てながら、涙を浮かべる大井。
「ごめんね……大井、北上」
優しい笑みを浮かべながら、二人の頭を撫でる。
「目が覚めたようね」
扉を開けて入ってきたのは、艦娘寮長の加賀だった。
恵海の笑顔という、珍しい場面に遭遇すると、「笑えるようになったのね」と一言添えながら。
二人に、恵海が駆けつけた理由、恵海に、その後の話をする。
加賀の話によると、恵海が、嫌な予感がすると言い出し、二人に通信を送るも、反応がない為、
工廠に飛び込んで、
高速仕様に、夕張が魔改造した、ジェットスキー目的の汎用駆逐艦艤装を背負い、
通信途絶と無断出撃に、恵一郎は、大井達に何かあったと判断し、急遽、呉に無茶を言って、できたてホヤホヤの、改二甲艤装を取り寄せ、同時に、名古屋に滞在中の、ザ・デストロイヤーズから、翔鶴を呼び寄せて、
ぶっつけ本番で、改二甲艤装を、実装して出撃させ、更に後詰で、加賀と赤城、その後、第2艦隊と後方支援艦も出撃させていた。
突然、大量の仕事が舞い込んだ夕張は、改二甲実装を、マッハでこなし、全員の出撃を見送った後、ぶっ倒れたそうだ。
恵一郎は、普段はほわほわだが、一度決断すると、冷静にそして、最速に対処する。緊急時の対処という点では、彼が一番早い。
加賀達が到着すると、彼女が見たのは、火の海と化している硫黄島と、
気を失って、呼吸も弱い恵海を、抱き締めて泣いている、二人の姿だった。
「すぐに、後方支援艦で、緊急入渠、あと、もう少し遅れたら、死んでたわ。艤装も、オーバーホール中よ。もちろん、
「そうでしたか……心配かけてごめんなさい、大井、北上……」
二人に、申し訳なさそうにする恵海の指と、大井と北上の指についている、
「まあ、色々話もあるだろうから、ごゆっくり。そうそう―――」
出ようとした時に、ちょっぴり、意地悪な笑みを向ける。
「―――恵奈曰く、ケッコンしたら、キスをするのが、
そう言い残し、扉を締める。
「キス……」
「と言われても」
「……ねぇ……」
キョトンとしている恵海と、ちょっと照れている二人。
「キスって、
「おおう……」
「そう来たか……」
ずっこける二人に、首を傾げる、知識が偏っている
その様子を見て、お互いの顔を見合わせると、大井と北上は笑いだし……
「キスとは……」
「こうするんだよ」
「んぅっ!」
強引に、北上が、大井を抱き寄せ、唇を重ねる。それを見ている恵海に、真っ赤な顔になる大井。
「き、ききき北上さん」
離れると、大井は、かなり混乱している、ゆでダコのように、顔が真っ赤だ。それを見て、恵海も、少し顔を赤くする。
「思い出した……誰かと、したこと……ある」
そういうと、二人の唇に、それぞれ軽く口づけをした。
「三人でケッコンなんて……しかも艦娘同士で……」
「それもアリだね。大井っち、恵海っち」
北上のマイペースな言葉に、病室は三人の笑い声が満ち溢れていた。
ユウバリンの暴走は無駄ではなかった!
なお、硫黄島はもはやめちゃめちゃになってるでしょう。
さてそれぞれのそれぞれに対するLは一体どっちなんでしょう。
それは皆さんの想像におまかせします。
前作の話数・文字数超えました。
次回からはまた、平穏な日常に戻る予定です。
(夕張がやらかさない限りは)