超大和級の恵海の装備に思い悩んだ結果、
夕張は『とある艤装』の装備を剥ぎ取ることを考えた。
そして、大和とは別の方向での最強を目論むのだった。
第三世代艤装計画の終焉を見届ける3人と恵海
そして、バーでもう一人の同僚を語る。
今回の
季節は八月、夏へと突入した。
ちなみに、智子と智紀の仲は、こっそり隠れてキスしているところを、
恵奈ちゃんは、小学一年生なので口が軽い。そして
湊は、あの告白の翌日、結有から話を聞いていたので、
こっそりと、警備府の隊内規定を、司令官権限で書き換えておいてあげた。
曰く、
「軍属は、預けた将官の官舎、
バレたからにはと、智子は開き直って、規定を調べ、智紀を、営内から引き上げ、自身も、家族用官舎に引っ越した。二ヶ月で
「私生活も、仕事も、ビシバシ叩き直してあげるから、覚悟なさい」
と言うのは智子の言である。
とは言うものの、お互いまだ遠慮があるようで、手は出していない。というのが両者の談だ。
恵海は、正式に艦娘としての配属が決まり、艤装名も、超大和型戦艦一番艦、『恵海』に決定した。
恵海は、夕張からの奇抜な名称案を、ことごとく拒否して、恵海の名を固持した。
二人の重雷装巡洋艦娘からは、「よく頑張った」と褒められた。
居室は、三人部屋がない為、大井と北上が四人部屋に移り、恵海が転がり込む形になる。
この部屋に居住する、度胸のあるやつは現れないので、
もう一つ、吉報があった。
とうとう、足柄さんに、彼氏ができたのだ。お相手は、名古屋JVに参加する、設備会社の社長。
お膳立てをしたのは、湊と鈴木大尉だった。
そして、鈴木大尉はその直後、「お見合いを受けることになりました」と離脱し、
湊も参加する理由がなくなったので、この合コンプロジェクトも
そんなある日、恵海は、いつものように呼び出された。
「とうとう、めぐみんの艤装計画、大詰めを迎えました」
「……嫌です」
ズバッと、カウンターで切り込む恵海。そのまま崩れ落ちる夕張。
「……もう死のう」
「じょ、冗談です………」
思いっきり、どんよりした夕張に、慌てて訂正する恵海。
「あのぉ……マジで、冗談を言わない娘が、冗談言うの、ダメージでかいから、やめてくれませんかね?」
よろよろと、立ち上がる夕張。
「それで、今日のお題は……?」
だんだん、このノリに慣れてきたのか、おずおずと恵海が問いかける。
「そうそう、それです! めぐみんの艤装、改装しました!」
「ええっ……何も聞いてません」
メンテナンスモードで預けていた艤装は、勝手に改装されていた。
恵海は、抗議の声を上げるも、夕張は止まらない。
「まあ、ものは試しで、広げてみてくださいな」
「は……はぁ……」
という訳で、毎度のごとくやってきた、軍港埠頭。
第2艦隊は、きちんと埠頭の上で、待機中だ。
「……いきます……」
海に降り立つと、艤装を展開する。
展開される超大和型一番艦恵海の艤装。何かが、おかしい……
「うぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
かくして、超大和型航空戦艦一番艦
試製晴嵐が、ぶんぶんと、試験飛行をしているのを、第2艦隊の子達が、追いかけっこをしている。
「もうちょっと改装すれば、艦爆も飛ばせますよ。
「は、はぁ……」
自信満々で答える夕張に、それしか言えずに、次の話題に移る恵海。
「あの、副砲は……?」
「Mk.45 mod4 5インチ砲よ!」
ひゅるりら~……夏の熱い風が吹いた。
「あのぉそれって、速射砲ってやつですよね……?」
おずおずと、手を上げてツッコミを入れると、別の声が、代わりに答えた。
「その通りよ」
声の方に、二人が振り向くと、腕を組んでいる、黒髪の無愛想な未来と、妹の湊だった。
「私の
「てへー」
照れる夕張のおでこを、ピンと弾く未来。
「あだっ……」
「まあ、同じく明石は、VLS+イルミネーターやら、四連装SSM発射筒やら、ファランクスやら、解体した資材やら剥ぎ取っていったわよ。まさに強盗だったわ……」
「明石さんェ………」
「まあ、良いじゃないですか?私のなんか、核爆弾扱いですよ」
そんな、湊の言葉に、夕張は大きな溜め息を吐いた。
「結局、第三世代艤装計画とは、一体何だったんでしょうね……?お二人の幼少期に、墨を塗っただけで……」
「いえ、夕張や明石さんが、罪悪感を持つことはないですよ。時期が、悪かったんですよ」
落ち込む夕張を、優しく慰める湊。
「結局、あの時は、藁をも摑む思いだったのよ。まさにサバイバル。だから、誰も悪くないわ」
「………」
じっと見ている、恵海に気づくと、未来は恵海の方を見る。
「貴方が恵海ね、私は高梨未来中将。湊の双子の姉で、大湊警備府の司令長官よ」
「……よろしくお願いします」
頭を下げる恵海に、未来が軽く頷く。未来は愛想がないので、余り笑わない。
「姉さんは愛想ないけど、怒ってないから大丈夫ですよ」
そう、湊が付け加える。
「それで、超大和砲、速射砲、試製晴嵐と装備はわかりました……これはなんですか?」
足についてる、それを見下ろす。
「それ?魚雷ですよ」
「……魚雷に、主砲に、副砲に、艦載機……」
ぽつんと呟く……恵海……
「結局、レ級の下位互換ね」
その言葉に、ばっと未来を見る。その顔は、怯えていた……
「怯えないでいいわ。 貴方はレ級ではない、ただの恵海。そうじゃないの?」
「……記憶が戻ったこと、黙っててごめんなさい……」
しゅんと落ち込む恵海に、湊が優しく語りかける。
「記憶があろうとなかろうと、貴方は艦娘です。私達と、共に戦うと決めてくれた、仲間です」
「……はい」
笑顔に戻った恵海が、夕張に問う。
「ところで……何の魚雷ですか……?」
「89式~」
と、笑顔で答えた夕張さん。
ひゅるりら~……再び、沈黙と共に、夏の風が吹いた。
「……あの、それ、ハワイ決戦時に降ろした、
「イエース!水上艦娘用に、改造しました!」
湊のツッコミに、元気よく答える夕張。そして、こめかみを抑える未来。
「前言撤回。レ級の、
「大和型を上回る
「そして、この
未来が溜め息混じりに前言を撤回し、湊が解説をして、最後の夕張の言葉に、ジーっと恵海の胸部を見る三人。
「……あの、おっぱいは、関係なくないですか?」
おずおずと、胸を腕で隠しながら、手を上げる恵海。
「大・中・小……か」
ぼそりと呟く夕張。
「恵海が大で、大井が中で、北上が小と」
地獄耳の未来が、更にボソっと言う。
「………」
むっとする恵海。ぎゅいーんと、主砲と副砲が動く。
「あの、姉さんに夕張、速射砲と超大和砲、向けられてますよ」
ツッコミを入れながら下がる湊、割と薄情である。
「冗談よ冗談」
「冗談ですよ!」
両手を上げる二人。陸上でこんなのを食らったら、
「この機会だから、はっきり言っておきますけど!北上は北上で、大井は大井の可愛さがあるんです!」
「……おっぱいの?」
両手の拳を、ぐっと握り、顔を赤くして、力説する恵海に、つい訊いててしまう湊。そして、恵海はコクリと頷く。
「いや、おっぱいはもう良いから。聞いてて悲しくなるわ」
「ですよね……」
大きな溜め息を吐いて、自分の胸を見下ろす、
「ところで、その未来中将は、今日は、どうされたんですか?」
「久しぶりに、妹に逢いに来たのよ」
「夕張も、久々に飲みに行きましょう」
「……ごちそうになります」
という訳で、やってきたBISTRO KIYOSIMO 。
まだ開店直後の、夕飯時の為、それほどお客も多くない。
テーブル席に、夕食目的のお客が、数組いる程度。
その一角では足柄と、若くて長身のスーツ姿の男が、楽しげに食事をしている。
それを横目に、四人はカウンター席に並ぶ。
「いらっしゃいませ、今日は珍しい組み合わせですね?未来提督は、ご無沙汰してます」
「そうね、佐世保以来ね、
懐から取り出した祝儀袋を、さっと差し出す。かなり分厚い。
「こ、こんなには……」
「まあとっておきなさい。これは、金剛と、私と、
「ありがたく……いただきます」
感傷に浸りたくなる清霜だが、ここには今、プロとして立っている。
大事に祝儀袋を仕舞うと、振り向いた。
「では、ご注文をどうぞ、お客様」
恵海以外が、思い思いのカクテルを、目の前にする。
「あ……あの……こういうところ、初めてで……」
その言葉に、じーっと恵海を見て、少し思案しながら、湊に問いかける。
「恵海さんはお酒は……?」
「居酒屋鳳翔では、強めのお酒を飲んで、回収要員です」
「強いと。では、ちょっと変わり種で」
シェイカーと小皿とカクテルグラスを取り出して、塩を小皿に入れる。手早く、レモンで縁を湿らす。
シェイカーにテキーラ2分の1、ライムジュース4分の1、コアントローの代わりに、ブルーキュラソーを4分の1入れて、シェイクし始める。
「ここにいる三人……おそらく貴方も。青い海で、涙を流した方達です。マルガリータは、恋人を亡くしたバーテンダーが、涙しながら作ったカクテルとされています。これは、『
そう語りながら、用意しておいた、カクテルグラスに中身を注いで、恵海の目の前に差し出す。
「青い海と、塩の涙の味。でも、スッキリとした味です。貴方達がもう流さなくていい、涙の味です」
清霜が笑いかけると、恵海達も、笑顔になる。
「それでは、乾杯」
未来が、軽くグラスを上げると、それぞれが、グラスを持ち上げる。
「第三世代艤装計画も、完全に、歴史の影に消えてしまいましたね」
夕張が己のカクテル……モスコー・ミュールを飲みながら、溜め息を吐いた。
残った、最後の艤装も解体され、
「それでよかったのよ。上手く行っていたら……私達だけじゃなく、適合する子供全てに、あれを付けていたわ」
「子供の純粋な心は『霊子』が強い……艦娘の遺伝子を組み込んで、薬物や刷り込みで頭をまっさらにして、『意思』だけ植え込む計画もあったと聞きます。そうなったら……」
そんな高梨姉妹の会話に、恵海が口を開く。
「………そんな悲しい世界、嫌です」
その言葉に、高梨姉妹と夕張は頷いた。
「悪夢の世界ですよ。現代艦艇の艦娘と、相手は大戦期の戦艦の長所を、極端に伸ばした存在」
「……失敗するべくして、失敗した。そして、
その言葉に、夕張は首を傾げる。
「明石さんて、何か、やらかしてるんですか?」
「まずは、『
「えっ」
未来のその言葉に、夕張が絶句する。
「艦娘の緊急展開ブースターの、ボーイング787タイプのメンテナンスモード艤装に取り付ける、オプションパーツを試作したの。日向に取り付けて、実験して、まあ結局、明石の単位換算の間違いから、空中で燃料切れを起こして、龍驤と協力して、滑空させながら、地面に降ろしたの」
「そういう事故、ありましたね。『ギムリー・グライダー』」
未来の説明に、湊が答える。
「事故原因も一緒のおまけ付き。次は『パリ砲事件』。文字通り、パリ砲を佐世保から日本海側に、龍驤のオーバーロードで発射させたら、予定してた射程を遥かに飛び越え、ザ・デストロイヤーズの母艦、いずも改に直撃して、あっちでは隕石騒ぎになった件。軽傷者と甲板破損とドラムセット破壊
その未来の説明に、
「……やめといてよかったですね、パリ砲」
「そうですね」
危うく実行するところだった
「あとは、『三式弾テルミット事件』、『80㎝砲三連装事件』、『メテオ作戦未遂事件』と、まあ書いた始末書は、星の数ほどよ。やるときは、やるんだけどね」
「……夕張さんは、仕事ができるいい人……そういう所は、見習っちゃ……駄目です」
「……ありがと」
恵海の言葉で、夕張は、漸く、魔改造のダークサイドから救われた。
でも、やっぱり、夕張はやらかすんだろう。ものづくりの情熱に燃え過ぎて。
《TIPS『メテオ作戦未遂事件』》
重砲装備艦娘を国際宇宙ステーションに上げて、ステーションに固定してからハワイに直接重砲撃を加えて破壊する作戦。
シミュレーション上で、衛星軌道上から大質量の物質を落とした地上への影響を考慮して中止になった。
明石はそれを密かに実行しようとJAXAと交渉中にバレて上層部から叱られた事件。
危うく『宇宙戦艦日向』になりかけた。
別名『空飛ぶ日向未遂事件』
《TIPS『80cm砲三連装事件』》
あれを、三連装して無理やり日向に搭載して試射させたら、
反動で佐世保鎮守府の庁舎に日向が壁を破壊しながら吹っ飛んだ事件
別目「空飛ぶ日向第2事件』
《TIPS『三式弾テルミット混入事件』》
試作してした、高温燃焼に特化したナノテルミット子弾入り三式弾を、管理しないまま置いておいたら
榛名が誤って持ち出してしまい、飛行場姫に打ち込んだ結果、テルミット反応を起こしたものが降り注ぎ
断末魔の叫びを上げながら3千度の高温という地獄の業火で燃えていく飛行場姫というあまりにも凄惨な光景を見た榛名が
1ヶ月トラウマで戦線復帰できなくなった事件
別名『空飛ばない日向事件』
そして数々の問題を起こした明石は三笠のお膝元の呉に移動させられた。
《Tips『艦娘の遺伝子組み込み』》
『あちらの世界(小さな泊地と提督の物語)』で実際に行われた第2世代艦娘計画。
第1計画
戦艦三笠の遺伝子を組み込んで、原子力潜水艦型艤装を埋め込んだ。
被験者は日野湊 展開が行われず、記憶を抹消し、高梨家に養女として監視つきで出した。
第2計画
戦艦三笠の遺伝子を組み込んで5人の適合者に外部から艤装を展開させる。
耐久力そのものは人間と変わらなかっため、演習中砲弾を受けて4人が死亡。
日野未来だけ生き残り、軍の監視下のもとで軍隊に残る。
第3計画
戦艦三笠と深海棲艦のコアを元に「吹雪」「叢雲」「漣」「電」「五月雨」が生み出される。
成功したが、艦娘による反逆を恐れた軍部により、
ここから、艤装の陸上展開不能、生殖機能の排除、プトロコル制御を加えた第3世代艦娘に移行し、この計画の艦娘は全員完全解体(文字通り解剖して死亡させる)処分されたとされている。
(吹雪と電のみ逃れられた)
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こぼれ話【作者の与太話】11/8
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艦これのシステムで言うと、恵海は
索敵を行い、航空戦を行い、対空迎撃をして、先制雷撃戦を行い、砲撃戦2回を行い、雷撃戦を行い、夜間砲撃戦(主砲1・雷装1のカットインか主砲・副砲の連撃?)を行い、雷撃戦を行う。
なんか、不思議なものになってしまった気がする。