結有達にに霊子の操り方を教えるの巻
その他でお送りします。
今回もジークンドーと武道ネタです。
追記11/9
護身について色々悩みましたが『護身術』で落ち着きました。
ザ・デストロイヤーズの滞在期間中は、
ライヴをやったり、綾波以外の艦娘達は、中部警備府の艦娘に、教導したりして過ごしている。
休暇とは、一体何だったんだ。
そして、綾波に次ぐ、訓練の鬼である神通の教導は、
さすがは、デストロイヤーズの副旗艦であり、呉鎮守府の主任教導艦である。
そんな中、警備府のカフェでは、拓哉と奈緒と湊が、お茶をしてた。
定時直後の
「へー。あの、ちっちぇ赤ちゃんだった恵奈が、もうランドセルか?」
コーヒーを飲みながら、拓哉は笑う。
「あれ?恵奈ちゃん、ご存知なんですか?」
首を傾げる湊に、
「おうよ。海兵旅団でグレてた後、足を洗ったって聞いて、一度会いに行ったのよ。そん時が、出産直後くらいでな、可愛い赤ちゃんだったぜ。今も可愛いけどな、オメーに似ず」
「ひどっ!!」
抗議の声を上げる奈緒に、拓哉は、何いってんだ、って顔をする。
「ばっか。可愛いのは旦那の方だよ。オメーは、
「あ、ありがと……ございます」
拓哉にそう言われると、少し照れる奈緒。そしてその表情が、地味に可愛いと思った湊だった。
「最近は恵奈ちゃん、護身術習ってるんですよ」
「らしいなー。埠頭で、結有に習ってるのを見たぜ?」
「心配なのは、恵奈が綾波さんに、『お手合わせ願います』って、言わないかだよね?」
そんな母親の心配に、爆笑しながら答える拓哉。
「大丈夫よ。綾波には、『恵奈ちゃんには、ちゃんとやられたふりをしとけよ』と言っておいた。冗談が通じなくても、そのくらいの分別はある」
と話している時に、事件は起こっていた。
「ただいまー!」
艦娘寮のロビーにやってくる、ランドセル姿の恵奈ちゃん。
ちょうどいたのは、恵海と結有と吹雪と常識番長の加賀と綾波さんだった。
恵奈ちゃんの大きな声に、暁が部屋から、ロビーにやって来る。
「おかえりなさい。お友達と仲良く遊べた?」
「うんっ!」
元気よく答える、恵奈ちゃん。
「ちゃんと、18時の門限までに帰れたわね」
頭をナデナデする暁、そして綾波も、
「おかえりなさい」
と声をかける。
門限は18時だが、一人で帰るのはまだ危ないので、お友達のお母さんにここまで送ってもらっている。
綾波の声に、にぱっと笑顔の花を咲かせる恵奈。
「綾波さんだ、ただいまー。今恵奈ね、護身術やってるの。お手合わせお願いします」
その言葉に、
「恵奈ちゃん!!だめ!!」
「まって!!!」
「恵奈ちゃん!!」
だが、止めに入れない。綾波が怖いのだ。
なお、暁はキョトンとしている。
恵奈の保護者として、拓哉から、ちゃんと話を聞いている。
「何言ってんのよ?あんた等」
等と言いつつ、ロビーの椅子に座る。
そんな様子を、ふっと目を伏せ黙っている、常識番長。
廊下を背に向けて、立っている綾波。
それに対面する恵奈。
「いきます。とあーっ!」
恵奈は、詰め寄って掌打をする。結有直伝だから、やはり骨法と空手ベースなのだ。
ぽふん
綾波のお腹に、クリーンヒットする。
「ああ……終わった……」
崩れ落ちる清純トリオ。
そのまま、ニコニコとしている綾波。
当てたまま、キョトンとする恵奈。
永遠の時が経つ、感覚がして……
綾波が吹き飛んだ。
というか、自分で、全力で後方に吹っ飛んたのだ。
10mくらいは、吹っ飛んだだろう。
「やーらーれーたー!!」
という、棒読みの声と共に。
そして、ゴロゴロ転がり、うつ伏せになって、ポケットから何かを出して、口に含みながら、仰向けに転がり倒れる。
そして、起き上がろうとして、大量に
やられた振りにしては、完全にやり過ぎである。
清純トリオは、何が起こっているのかわからずフリーズし、暁と加賀は、頭を抱える。
「綾波さーーーん!!!」
自分が、とんでもないことをしてしまった、と思った恵奈は、必死に駆け寄る。
「綾波さん、ごめんなさい!死なないで!!」
必死にゆさゆさされて、マジ泣きされてしまっている綾波もまた、フリーズ中である。
目を開けようとした綾波だが、予定になかった、マジ泣きしている恵奈に、どうして良いかわからず、動けない。
加賀は、やれやれ……と立ち上がると、恵奈達の方まで歩いて行き、恵奈の肩を、ぽんと叩く。
「綾波は、やられたふりをしてくれたのよ。ちょっと、びっくりするように」
「ほ、ほんと?」
その言葉に、ようやくフリーズから立ち直った綾波も、起き上がって笑顔を見せると、恵奈も、笑顔になってくれた。
「はい。恵奈ちゃんは、護身術を習ってるんですよね?」
「うんっ!」
その言葉に、綾波は、笑顔を湛えたまま、
「護身とは、三つの極意があります。恵奈ちゃんでもできるから、聞いてくださいね」
「はいっ!」
「一つ目。危ないところには、近づかない」
「はいっ!」
その極意の一つ目で、ちゃんと、小学生向けに考えてるのか、と思った加賀は、笑いながら腕を組んで、壁に体を預ける。
「二つ目。危なくなったら、何を置いても逃げる」
「はいっ!」
綾波は、聞き分けの良い恵奈に、頭をナデナデすると続けた。
「三つめ。どうしても逃げられない時は、全力で障害を排除せよ。殺してしまっても、構いません」
「はいっ!」
「おいこら、ちょっと待て!!!」
最後の言葉で、加賀が突っ込んだ。
「男の人は、
「はいっ!!」
「でも、これは
「はいっ!!」
綾波は、己の股間に、軽く手を置いて、諭すように話す。
それを見て、加賀は、頭痛がする思いがして、頭を抑える。
「はぁ……これは、恵奈の前に、変質者が出ないことを、祈るしかないわ」
恵奈は、長身の両親の間に生まれたせいか、クラスでは背の順で、一番後ろである。身長的には、一学年上くらいの、130㎝強である。
小学生といえども、霊子の操り方を
普通に、小学生に不意に、股間を蹴り上げられたって、下手すると悶絶だ。
暁と、真のケッコンカッコカリをする程の霊子を持つ恵奈もまた、『スーパーガール』なのだ。
漸く、フリーズから戻った清純トリオと、着替えてきた綾波を交えて、
先程の、護身の話をすると、結有が、意外な反応を見せた。
「いや、間違ってないですよ。特に、女の子は、失うものが大きいんです。だから、二段階目までが、ものすごく重要なんです。僕も、それに似たことを、父さんに言われました。曰く、三つめ。窮地に陥ったら、殺される前に殺せ……という
「そうね……法も秩序もない、狂気の世界で生き延びた人なだけに、重い言葉ね」
常識番長の加賀も、静かに頷いた。
そんな結有に、綾波は、静かに口を開いた。
「結有さんは、掴みかけてるかもしれませんが、ジークンドーの教えに、『無法を以って有法と為し、無限を以って有限と為す』という言葉があります。簡単に言えば、『限界や形式は無い、囚われない、あなたは無限です』と、いう意味」
「はい、何となくわかります。時雨と、融合したせいかもしれませんけど」
頷く結有に、綾波はふっと、笑みを浮かべて立ち上がる。
「ちょっと、勉強の息抜きに行きましょうか?でも、そろそろ夕飯ですね」
綾波の言葉に、一同は艦娘食堂に向かった。
夕食後、結有を連れて向かった先は、トレーニング室だ。
恵海と吹雪と
恵奈と暁は、部屋に戻って、二人仲良くテレビを見る時間だ。
綾波は、椅子を用意すると、ついてきた皆にも、腰掛けるように告げる。
「はい、それでは、皆さん。腰掛けてください。そして、お尻を少し、前方にずらしましょう」
その言葉に、四人は戸惑いながらも、腰掛ける。
「はい、深呼吸してリラックスしましょう」
各々が呼吸する、音だけが聞こえる。
「はい、では始めます。背筋を伸ばして、肩の力を抜いて、おへその少し下、
綾波が、下腹部に両手を当てると、四人共それに倣い、下腹部に両手を当てる。
「はい、背骨を伸ばすように背筋を伸ばして、目を閉じましょう」
その言葉に、四人共ぴんっと背筋を伸ばして、目を閉じる。
「はい、息を吸って」
呼吸する音だけが聞こえる、静寂な世界
「はい、おへその下を意識しつつ、体を少しずつ、前へ傾けながら、ゆーっくり鼻から、息を吐き出しましょう。全部は、出しちゃダメですよ」
再び、呼吸音だけが聞こえる、静かな世界。四人共、前へ体を傾ける。
「はい、そこでストップ、息を止めましょう」
30度位傾けたところで、綾波が声をかける。再び、静寂な世界に包まれる。
「息を止めて、きゅっと、お尻の筋肉を引き締めます」
それに倣う四人。
「はい、ゆっくり息を吸いながら、元に戻ります。体を起こして…」
再び、息を吸う音が聞こえてから、四人共、体を起こす。
「はい、再び体を傾けながら、息を吐きます。吐き出す速さは、吸った時の、半分くらいゆーっくり。体は、さっきストップと言ったところで、そしてお尻の筋肉を締める。それを繰り返す」
綾波が見守っている中、呼吸だけが、静かに聞こえる。
何度も繰り返す呼吸。
ずっと繰り返す……
純粋な艦娘である三人は、その呼吸によって、『霊子』が練り上がっていく感覚を覚える。
結有は、体が温まっていく感覚を覚えていた。
「はい、目を閉じたまま。想像してください。呼吸は、ゆっくり深呼吸」
再び、静かな世界に包まれる。呼吸だけが、ゆっくりする。
「はい、想像してください。今目の前に、貴方の一番大切な人がいます」
各々が、その相手を想像する。
結有と吹雪はお互い、 恵海は大井と北上、そして加賀は、
「はい、想像してください。その人が、目の前で酷い目に遭っています。とてもとても酷い目に遭っています。呼吸は乱さない」
乱れかけた呼吸を、戻すよう告げると、乱れた呼吸の音は、再び安定へ戻っていく。
「想像してください、更に酷い目に遭っています……助けましょう。想いを開放してください」
そう、静かに言ってから、鋭い声に変わる。
「
その瞬間、四人が、カッと目を見開いて、立ち上がって叫ぶ。
「結有ぅぅぅ!!!」
「吹雪ぃぃぃ!!!」
「北上っ!!大井っ!!」
「赤城さぁぁん!!!」
その瞬間、爆発的な霊子が、反響し合う様に、一瞬だけ、暴風が吹き荒れる。
「はぁ……はぁ………」
全員が、疲れ切ったように、椅子に座り込む。
「はい、お疲れ様でした」
再び、ニコニコとなった綾波は、四人を見つめる。
四人共、汗びっしょりだ。
「これは、丹田呼吸法を用いた、霊子練成です。心を安定化させ、脳……心を活性化させ、想いを純粋化させる。余計な雑念を取り払って、ストレートに霊子を操る。人間で言うならば、『氣を練る』という、方法です。ジークンドーは、戦い方だけではなく、『人間としての有り様』をも、教えとしています」
疲れきった四人は、静かに耳を傾けている。
「そしてこれは、艦娘のポテンシャルをも、引き上げる方法です。ケッコンカッコカリリングは、相手との絆によって生まれる、相手との霊子による、
そう、静かに語ってから、綾波は続ける。
「私はこれを、『心のオーバーロード』と、呼んでいます。今後の一助になれば幸いです。特に、結有さんと吹雪さん。あなた方は、軍士官を志す身。己を律し、冷静な判断の元、指揮統率をする為に、静かな心は大事です」
結有と吹雪は、その綾波に、笑顔で返す。
結有は、開放してから、体の暖かさが続いている気がした。
そんな様子を見て、綾波は、満足した表情を見せていた。
結有は、そのトレーニングを続け、そのポカポカした感覚が持続し、それが日常化した頃に、
持久力の大幅向上と、発頸による瞬発力の極意を、身に付けることとなった。
余談だが、基礎代謝も跳ね上がった為、食事の量も増えたのは、乙女として、複雑そうだったが。
同じく、トレーニングを続けた加賀は、航空機を直感的に操れるようになり、吹雪は、オーバーロードを使わずに、その手前を維持する技能を身に付け、勉強の効率も上がった。恵海は、複雑な機動を要求される、『雷装航空戦艦』という艤装を、使いこなせるようになっていく。
そして、加賀が他の艦娘達にも手解きを始め、中部警備府の艦娘達の日課になった。
もちろん、人間の士官達も、新陳代謝が良くなる、と始めるもの達も出てきている。
健康なのが一番なのだ。
Tips『護身の極意』
壱 まずは自ら危ない場所に向かわない。
弐 危険が迫ったら逃げられるうちに逃げよ。
参 窮地に陥ったら殺される前に殺せ(意訳:殺す覚悟を持って危機を突破せよ)
というのは、筆者が実際に空手の師匠から教わった話です。
まあ、小学生に教えていい話じゃないのは確かです。
Tips『護身術』【追記】
護身術とは危険を遠ざける技術で、敵を倒す技術ではありません。
結有は恵奈に『
骨法と空手を体力作りのために教えています。
『お手合わせ』と言うのは恵奈のちょっとかっこいいところを綾波さんに見せたい子供心ということで。
Tips『丹田呼吸法のメリット』
大きく2つ、脳の活性化と新陳代謝が向上すると言われています。
痩せにくかったり冷え性の方におすすめの呼吸法です。
新陳代謝が良くなると血行も良くなるので。
だいたい血行が悪いと体のリズムが崩れます。
綾波さんは冗談は通じず、融通も利かないですが
戦闘に直結しない限り心の闇を表に出さない強固な精神力を持っている人です。
拓哉が心配するより綾波は強い子なんです。
ただ、心の闇に向き合えない限りは草加の下で仲間たちで過ごすのが一番いいのかもしれません。
その原動力は『草加個人への強固な忠誠心』なので。
次回から2ndseason延長戦です