小さな提督と艦娘日和   作:SAMICO

52 / 73
かっこいいお姉さんの天龍と子供たちの触れ合い

そして、ほったらかされた魔装備が再利用されます。

小さな少女たちの純粋な願いが今奇跡を起こす。


恵奈ちゃんと天龍と龍田

日曜日、朝八時半(0830)

 

「「「えーなーちゃーん、あーそーぼー」」」

 

艦娘寮のインターホンを鳴らす、遊びにやって来た、恵奈ちゃんのお友達トリオ。

右からおかっぱ頭の美雪ちゃん、元気一杯の女の子。

ツインテールでメガネの真由ちゃん、大人しい女の子。

三つ編みお下げの杏子(アンズ)ちゃん、マイペースで天然な子。

ちなみに、去年のクリスマス、恵奈に響と共に、余計なことを吹き込んだ()()()()()は、美雪ちゃんだ。

「お、チビッコ達じゃねえか。開けてやるから、待ってな」

ちょうど買い物帰りの天龍が、ポケットからIDカードを取り出し、扉の端末に当てると、裏口の扉が開く。

これは、中部警備府艦娘寮の規定で、定められている。

『艦娘寮に入寮中の小・中学生の同級生は、艦娘寮ロビーと当該者の部屋まで立ち入り可。但し、出入りには、艦娘もしくは尉官以上の確認、寮長への報告が必要』

実質的には、恵奈ちゃんしか該当者が居ないため、恵奈専用規定となっている。

天龍とは、去年のクリスマスで出会って、

「オレの名は天龍。フフフ、怖いか?」

と、ビビらせようとしたところ、この三人は、

「「「かっこいいー!!!」」」

と懐いてしまったのだ。

恵奈ちゃんの友達の中でも、特に仲のいい三人娘だ。

裏口の扉には、既に恵奈ちゃんが、走ってやって来ていた。

「「「「おはよー!!!!」」」」

四人で挨拶を交してから、天龍の後に従いて、艦娘寮ロビーに向かうと、天龍の首に付いてたペンダントの鎖が切れて、ロケットが開いた。

中には、天龍と仲良く写ってる、女性の写真が入っている。

「天龍さん、落ちました」

真由ちゃんが拾うと、手渡した。

「お、ありがとな」

天龍はしゃがみ込むと、頭を優しく撫でる。

「天龍さん、この美人さんだれ?」

ほわーんとした雰囲気で杏子が問いかけると、天龍は、困ったような笑みを浮かべる。

「オレの妹。龍田ってんだ」

「どこにいるの?」

その美雪の問いに、

「んー……沈んじゃったからな」

「しずん…」

その言葉に、察した恵奈が振り向いて、更に聞こうとした美雪を遮って、首を振った。

「みゆちゃん、だめ」

「あ、ごめんなさい……」

申し訳なさそうに、シュンとなる美雪と恵奈の頭を、天龍が撫でると、

「良いってこと。いずれ、また会えるさ」

 

艦娘は、いつか浄化して、同じ型が現れる事がある。もちろん、同じ姿の別人だが、

艦娘にとっては、轟沈は覚悟していることなので、それでも救いだった。

 

 

暁型のお部屋で、四人はちゃぶ台を囲んで、ちょっと沈んでた。

暁と雷は、お出かけ中らしい。響は自由人なので、居ないほうが多い。

「ごめんね、恵奈ちゃん」

美雪が、しゅんとなったままでいると、恵奈が笑顔を向ける。

「大丈夫。天龍お姉ちゃんが言ってたよ、いずれ会えるって」

「…というと?」

真由ちゃんがメガネを掛け直すと、外から声がする。

「説明しよう」

いつの間にか座ってた、響が説明をする。

艦娘は、深海棲艦を倒して浄化すると、現れる可能性がある……と。

「「「「でたぁ!?」」」」

ちびっこ達は、びっくりして腰を抜かすが、

響は、ただ単にベッドで寝ていただけである。

 

響は、説明を終えると、出かける、と言い残して出ていった。

「……深海棲艦を倒すって、美雪達には無理だよ」

「……そうだね……無理だよね……」

「気持ち切り替えて、遊ぼう」

「そうだね」

美雪が言って真由が同意して、そして杏子が笑顔を皆に向けると、恵奈も頷いた。

「おもちゃ、見つけてきちゃった」

ごそごそと取り出したのは、飛行機のミニチュア……工廠から勝手に持ち出した、Fー2さんである。

恵奈は、持ち出したときには居なかった、妖精さんが翼に座ってるのを見つけた。

「あれ?なんか座ってる」

そんな恵奈の言葉に、三人は首を傾げる。

「居ないよ?」

「もしかしたら、先生が言ってたけど、恵奈ちゃんみたいに『れーし』が強くないと、見えないのかも?」

「ひょっとしたら、手を繋いだら、皆見えるかも?」

「まっさかぁ……」

美雪が突っ込んで、先生の霊子についての説明を、なんとなく覚えてた真由が、美雪に突っ込んで、杏子が何気無く言ってみた言葉に、恵奈がてしっとツッコミを入れながら、

四人全員で、ちゃぶ台を囲んで手を繋ぐと、全員の体が少し輝いた。

 

すると、妖精さんが、翼に座っているのが見えた。

「「「「見えた―!」」」」

――おう、チビ達。話は聞いてた。ちょっといい案があるんだぜ。

「「「「きえええええ!!!しゃべったああああああ!!!!」」」」

――いや、話を聞いてほしいんだが……

「「「「しゃべったあああああああああ!!!!!」」」」

――いや……話を

「「「「しゃべったあああああああああ!!!!!」」」」

――いや………

「「「「しゃべったあああああああああ!!!!!」」」」

――………

「「「「しゃべったあああああああああ!!!!!」」」」

――喋ってねえよ!?

 

そんな、漫才みたいな遣り取りを繰り返した、Fー2妖精さんが、ゲンナリした顔をする。

――話していいかな?

「「「「うん」」」」

手を離すと、恵奈しか見えないので、手を繋いだままFー2妖精さんを囲んで、お話している。

――俺は戦闘機の妖精さんだ。対艦番長って呼ばれてる、強い飛行機なんだぜ。でも、イロイロあって飛べないんだ。

「なんでー?」

杏子が、間延びした口調で問いかけると、Fー2妖精さんは、困った顔をする。

――空母に積めないからな。

その言葉に真由は、鞄からipadを取り出すと、「Fー2さん?」と、言いながら調べる。

「ええと。Fー2は、地上から飛ぶタイプの飛行機、なんだって?」

――そうそう、頭いいな。それでだ。どっか、長くて広い滑走路ねえか?

その言葉に、四人は、顔を見合わせてから叫んだ。

「「「「セントレア跡地!!!」」」」

 

 

「……それで、私が呼ばれた訳?」

恵奈は、ロビーでコーヒータイムをしていた、艤装メンテナンス中の、寮長加賀を連れてきて、『龍田掘り計画』を明かした。

加賀は、眉を顰めて、こめかみを押さえる。

「うんっ。どうしても天龍さんに、龍田さんを会わせてあげたいの」

その恵奈の言葉に、三人娘も、じっと加賀を見つめる。

「……ダメ?」

恵奈の言葉に対し、加賀は、恵奈達の予想外の反応を示した。

「わかったわ。Fー2を飛ばせるか、まだわからないし、引率するわ。セントレア跡地ね?準備してくるから、待ってなさい」

 

 

という訳で、仮設電車を乗り継いでやって来た、

セントレア(中部国際空港)跡地。

セントレアは、まだ工事が後回しになっており、今は、色々な資材を置いたりしている。

本来、一般人は入れない筈だが、日曜日であることに加え、加賀の軍用パスで入れる。

今日は、工事もなく無人の、セントレア跡地。

守衛さんがいるが、加賀が一緒にいる為、特に咎められずに、滑走路まで行けた。

加賀は、大きなジュラルミンケースを持っている。

 

 

「さて。どうやって飛ばすのかしら……?」

腕を組んで、考える加賀さん。

Fー2ミニチュアを持っている、恵奈の肩に、Fー2妖精さんは、ちょこんと座ってる。

――霊子を送れば、飛べるんじゃね?

「よし!皆!加賀お姉ちゃん!恵奈の後ろにくっついて!」

「「「うん!」」」

「よくわからないけど、わかったわ」

恵奈を先頭に、美雪、真由、杏子、加賀の順で、後ろから電車のように抱き付いて、繋がる。

これで加賀も、Fー2妖精さんを、見ることができる。

――地面に置いとくれ。

「うん!」

恵奈は地面に置くと、両手をFー2に向ける。

「ぱわー!」

謎の掛け声と共に、霊子を送り込まれたFー2は、光り輝く。

「とべー!」

――ラジャー!ちょっくら飛んで来るぜ!!

Fー2妖精さんが乗り込むと、

「「「「行ってらっしゃーい!!!」」」」

未だにくっついたままの、恵奈+三人+加賀の霊子を受け、ジェット噴射をして、飛び立って行く。

飛び立ったFー2は、分身のように四機に分かれ、編隊を組んで、飛んで行った。

「ほ、ほんとに飛んだわ……」

加賀の驚きの呟きと共に……

 

 

少し経った後だった。未だに、くっついてる5人に、声が聞こえる。

――此方Fー2隊長。渥美半島南沖で姫発見、クラス軽巡。レーダーにて、志摩泊地・浜松泊地の艦娘部隊は、それぞれ別の深海棲艦と交戦中と確認。指揮官恵奈(コマンダー)指示を。

「加賀お姉ちゃん、どうしよう……?」

「恵奈ちゃん、交戦命令。空対艦攻撃指示」

「うん。隊長さん、対艦攻撃ゴー!」

――ラジャー。ASM発射!93式空対艦誘導弾、着弾誘導、敵頭部!

Fー2隊長妖精さんが、赤外線画像誘導でのヘッドショット(バイタルパートへの直撃弾)を指示する。

「「「「がんばれー!!!」」」」

――着弾確認。八発のASMの攻撃を受けても、撃沈せず。中破状態。残り各機ASM二発、どうする?

発射(ファイアー)!!」

――ラジャー。ASM発射!93式空対艦誘導弾、着弾誘導、敵頭部!その後、JDAM誘導爆弾投下。くたばりやがれ!!

「「「「妖精さんがんばれー!!!」」」」

――敵艦撃沈確認。自然浄化現象開始を確認、すぐに来られたし。

「ちょっと、行ってくるわね」

ジュラルミンケースを開けると加賀は、駆逐艦型汎用艤装改で海に降りると、高速度で沖合に向かって行った。

「恵奈ちゃん、皆で祈ろうか?」

美雪が、三人に声をかける。

「なんて?」

真由が、美雪を見る。

「そりゃもちろん……」

杏子が笑う。

「せーの!」

「「「「龍田さんが『()()()()()()』ように!」」」」

四人で輪になって、大きな声で『()()()』。

 

 

少し後、先行してFー2が帰ってくる。

「おかえりー」

一機に戻ったミニチュアを、恵奈がキャッチすると、妖精さんが、親指でグーサイン(サムズアップ)をする。

同じく恵奈も、グーサインをする。

それから、も少ししてから加賀が、さっき写真で見た女性――龍田を抱きかかえて、戻ってきた。

龍田は、眠ったままのようだ。

「「「「龍田さんだ!!!!」」」」

喜びの声を上げる四人に、加賀の顔は冴えない。

「……二つ、懸念事項があるの」

「どうゆうこと?」

四人を代表して、恵奈が加賀に聞く。

「一つは。これは、全ての浄化に言えることなんだけど、昔の記憶が残るのは、『ほぼ』ないってこと。もう一つは、艤装がなかったわ……恵海と同じように、浄化が不完全で終わったか、あるいは……」

「あるいは?」

美雪が問いかける。

「ううん、あなた達は知らなくていいわ。残酷過ぎて、話せない」

「「「「………」」」」

悲しそうな顔をする四人に、一旦龍田を、予め用意してもらった毛布の上に寝かせると、四人の頭を撫でる。

「あなた達が、悲しむ必要はないの」

「片桐ってやつのしわざ?」

「………」

恵奈の言葉に、加賀は短く頷く。

恵奈も、片桐って悪い奴が居たことは、母から聞いていた。

「天龍を呼んでくるわ……」

 

 

数分後、近海を哨戒中の天龍が、加賀と共にやって来て、眠ったままの龍田を見て、フリーズしていた。

「これは……?」

「う……ううん……」

眠っていた龍田が、目を覚まして起き上がる。

「龍田!!」

でも、きっと別人だ。悲しそうな顔をしながら、天龍は声をかける。

「あら、天龍ちゃん。どうしたの?()()()()()()()()()()()()()?」

「「!!」」

天龍と加賀が、言葉を失った。

今、『また片桐にいじめられたの?』と、言ったのだ。

「龍田!龍田なんだな!?()()()()()()()()()()!!」

「そうよぉ?天龍ちゃん、なんでそんなに悲しい顔を……っ」

言い終わる前に抱きついて、天龍は、大きな声を上げて、泣き出した。

「「「「よかったよぉ……」」」」

恵奈ちゃんと愉快な仲間達も、ぺたんと座り込んで、わんわん泣いている。

「……」

加賀の目尻にも、涙が浮かんだが、それより先に、すべきことがあった。

「こちら、『汎用駆逐艦加賀』。本部、応答願います」

 

 

―――――

あのあと、中部警備府から、輸送船が派遣され、全員は、中部警備府に戻った。

その途中、恵奈が突然、「気持ち悪い」と言い出し、海に嘔吐を始めた。

そして、ふらっと倒れる。

「恵奈!?」

「「「恵奈ちゃん!!」」」

慌てて抱き止めると、体は熱いが顔は真っ青で、汗をかいてない。

似た症状を、加賀は知っていた。

霊子の枯渇(赤疲労)……」

恵奈は、ちっちゃな体に秘めた、全ての霊子を使い切ってしまったのだ。

Fー2という、超ハイスペック機を動かしたから、当然ではあるが……

もう、こうなってしまっては、休ませるしか、回復方法はない。

心配する友達には、「疲れ過ぎちゃって、倒れちゃったの」と、加賀は説明して、

中部警備府に到着するなり、美雪ちゃん達には、お家に帰ってもらった。

龍田は、医療部で検査を行い、深海棲艦の侵食がないことを確認して、病室に移した。

天龍は、龍田と二人っきりの医療部の病室で、ずっと話をしている。

加賀は恵奈を、暁型の部屋のベッドで眠らせると、司令官である湊に、報告に来たのだ。

「勝手に動いて、申し訳ありませんでした」

頭を下げて謝罪する加賀に、湊は笑みを向ける。

「いえ。あの、使い道の無かった、Fー2の活用法も見い出せましたし、『()()()()()()』が、帰ってきたんですよね?喜ばしいことです」

「艤装がなく、転生されたのは……?」

加賀が、司令官に問いかけると、

「……龍田さんは、天龍を守る為に、片桐に歯向かって、艤装を破壊された挙句、海に沈められた。そう聞いています。医療部の山本先生から、メールが入ってましたが、海に錘付きの足枷をつけて、沈められたところから、記憶が無いそうです」

「………」

悲しそうな表情をする加賀に、湊は首を横に振る。

「龍田は差し当り、警備府スタッフとして、軍属二等兵に登録します。天龍の『()()』として、艦娘寮に配属。……寮長、それでいいですか?」

「はい。ご配慮感謝します」

加賀が、再び頭を下げると、湊はクルッと椅子を窓に向けて、空を見上げた。

「……きっと、子供達の『()()』が、恵奈ちゃんを『()()()』にして、届いたんだ、と思いますよ?」

「……そうですね」

再び、加賀の方に向いた湊も、加賀も、笑顔を浮かべていた。

 

 

恵奈ちゃんは、翌日も高熱が下がらず、学校を休んだが、その翌日から、学校に行った。

三人の友達と学校の教室で、龍田さんにまた会いに行こうね、って約束しながら。

 

キーンコーンカーンコーン

「はーい、朝の会始めますよ―!」

先生の言葉で、今日も学校生活が始まる。

 

 

 

―――――――――

「なんか、ボーキと弾薬と燃料と鋼材が、めっちゃ減ってるんだけど!?妖怪か!?妖怪の仕業か!?」

工廠で、担当士官の結衣の絶叫が、響き渡っていたとか。




恵奈ちゃんお友達トリオの性格モチーフは
美雪→奈緒+結衣
真由→恵海+湊
杏子→恵一郎

Tips《F-2使用》
現状何故か恵奈のみ運用可能。恵奈ちゃんの霊子量によって数が増える。
他の艦娘はF-2妖精さんが拒否してる。
なぜ恵奈が運用できるかは未解明である。
飛行には長い滑走路(今のところセントレア跡地)が必要。
主に対艦攻撃には93式空対艦誘導弾とJDAM500lb誘導爆弾を使用。
大量の全資材を消費する。
別名『史上最悪の資材イーター』
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。