彼女たちがついに出会ってしまった。
という異色艦娘近接バトルものです。
そして、明石脅威の技術力で生み出された『綾波改二零』とは……。
本日はちょっと短めエピソードです。
どっかの霊能力者『バケモンにはバケモンをぶつけんだよ!』
※決して怪獣大戦争ではありません。
「………」
「………」
今ここに、深海の殺し屋と、冷酷無比な笑顔の鬼神が、出会ってしまった。
それは、
改二零とは、明石脅威の技術力によって魔改造された、零距離兵装のことである。まず動力を、蒸気タービンから、高速ディーゼルエンジンに換装した。
そして、兵装は両腰にある、CIWS『ゴールキーパー』のみで、右手には、『霊子強化型両手用ロングヘビートマホーク』、機関部には、『ディーゼルターボ』、背部には、『開閉式ウェポンコンテナ』、
という、海上で深海棲艦を、近接戦で叩き潰す為の装備で、速度も、
開閉式ウェポンコンテナからは、四連装30㎜ガトリングガンが展開される。こっちは、
フルアーマー綾波の発展型で、その為、19式重装備汎用艤装は、日向の手に渡っている。
ロングヘビートマホークは先日、凶悪な
途中、太平洋上で、海賊行為をする海賊船に、HEIAP弾の30㎜ガトリングガンを、思う存分叩き込んで沈めたりしながら、公海上を航行していた。
「カ・イ・カ・ン」
まさに、『セーラー服と機関砲』である。
海賊さん達は……どうなったかは恐ろしくて、綾波の記憶だけに留めておいたほうが、良さそうだ。
日が暮れ、帰還しようとした時に、何か『
「……何かが来ます」
本部にいる、旗艦神通に報告しながら、接近しようとすると、海から浮上してくる白い深海棲艦……DSキラーである。
「湊さん……?!」
その深海棲艦は、驚くほど、湊にそっくりだった。
「……!?……っ!!」
次の瞬間、綾波の体を射抜く殺気が、反射的にトマホークを、DSキラーめがけて、振り下ろさせていた。
彼女の、研ぎ澄まされた防衛本能が、『
DSキラーは、バックステップで攻撃を躱すと、モーフィングで、艤装を替える。
「!!艤装が変わった……!?」
「………」
綾波と同じ、特型駆逐艦タイプの標準艤装だ。右手には、綾波の持っているのと同じ、ロングトマホーク。
どうやら、
「っ!!」
「……」
綾波が、いつもの笑顔を消して、再び振り下ろすトマホークを受け止めるDSキラー。迸る霊子の火花が、バチバチッとスパークする。
ぐっと力を抜き、その押し出される力でバックステップをして、距離を取った綾波。
「……オーバーロード!」
綾波の艤装が真っ赤に染まり、疾風のように深海棲艦に突っ込んで、トマホークを深海棲艦に振り下ろす。
その姿は掻き消えた………
「残像……!?」
背後からの、気配に気づき、振り向くと、無表情のDSキラーが、トマホークを振り下ろそうとしていた。
「っ!!!」
トマホークの、鉄製の柄に霊子を送り込んで受け止める。物凄く重い衝撃が、両手に伝わる。
「……っっく!!!CIWS
綾波は、ゴールキーパーを起動させると、至近距離のDSキラーに、30㎜機関砲を浴びせかける。
更に、横蹴りも叩き込む。その衝撃とダメージで、DSキラーを後方に吹き飛ばす。
起き上がる相手は、あちこちに穴が開いて青い血が流れるも、すぐに傷口が閉ざされる。実艦換算では、かすり傷程度である。そして、回復力も高い。
「堅い………」
綾波レベルの達人になると、霊子で自然治癒能力の活性化ができる。相手も、その領域にいるということだ。
綾波は、すぐにオーバーロードを解除する。霊子で軽減できるとはいえ、オーバーロードは、燃料を消耗する。
「このままでは………」
覚悟を決めると、息を吸って、丹田に集中して、息を吐いた。腹を肚に替えるのだ。
「はぁっ!!」
一気に距離を詰めると、トマホークを振り下ろす。それと同時に、右に足払いを掛ける。
足に、何か引っかかった感覚がして、目にも留まらぬ勢いで、DSキラーは二・三回、海を転がってから、体勢を立て直す。
「スキあり!」
体勢を立て直そうとしたところを追撃して、トマホークを振り下ろすも、DSキラーもトマホークで受け止めて、再び火花を散らせるが、至近距離で、12㎝単装砲で狙われてるのに気づくと、バックステップで下がる。
単装砲の砲弾は、頭を掠めて、海に着弾する。
「はぁ……はぁ……」
「…………」
息が上がっている綾波と、息一つ乱していないDSキラー。
――殺される。
ばっと、綾波の目が見開かれた。その瞳は、真紅に染まっていた。
夜になっていく中、真っ赤な瞳だけが、輝いていた。
その後、霊子の火花だけが輝く、月夜の斬り合いが始まった。
ガキィンっ!!という剣戟音と共に。
綾波の生存欲を、純粋に開放した『
二人の魔物が、純粋な霊子をぶつけ合わせていた……
「っ……はぁっ!!」
「………」
永遠に続く、と思われていたが、その戦いは、長くは続かなかった。
「ぐうっ!!!」
「………」
切り結んだ時に、集中力が途切れた綾波の腹部に、蹴りが入って、海面を転がって行く。
燃料の残りも、もはやレッドゾーン……回避できた蹴りを、避けきれなかった。
起き上がろうとした時には、目の前にDSキラーがいて……
まさに、トマホークを振り上げ……
(ごめんなさい、拓哉さん……)
綾波が死を覚悟した時、空から、ジェット噴射音が聞こえた。
「……」
DSキラーは、その噴射音に空を見上げ、瞬時に潜水艦艤装に姿を戻すと、急速に潜航していった。
橘花改の落す、JDAM爆弾は誘導を受けて、DSキラーを追いかけるが、一気に振り切られてしまった。
「大丈夫ですか!?」
尻もちをついたまま、呆然とDSキラーを見送る綾波は、駆けつけた神通に、ポツリと語った
「いえ……大丈夫です。ただ、アレを倒すのは……私では、難しいです。あんなに、純粋で深くて暗く悲しい……霊子は、ハワイの深海棲艦の女王でも、感じませんでした。まさに、深海の邪神です」
「邪神……ですか…?」
綾波は、姿が湊に似ていたことは、敢えて伏せていた。
「はい、まさに邪神です。私は、手を出すべきではなかったんです。純粋な純粋な、悲しみと憎悪。艦娘というものが、『
「特異点……艦娘における特異点。深海棲艦における特異点……」
二人共、深刻に考え込む。遠くから、残りのザ・デストロイヤーズがやってくる。
「何れにせよ、彼女が日本を、積極的に攻撃する意図はなさそう。ということだけ、わかっただけでも、収穫です」
「ならば、あまり手を出さないほうが賢明でしょうか?」
二人は頷くと、出迎えに来た仲間達の元へ、滑り出して行った。
数時間後。
「……というわけなんだ、高菜」
「連絡ありがとうございます、草加先輩。これで、何となくあの計画の、結果の違いがわかった気がしました」
「そんじゃな。高梨に話すかは、お前に任せるわ」
「はい、了解ですよ」
電話を切った結衣は瞑目したあと、月明かりに照らされる、海の見える埠頭に出た。
「これで、はっきりわかった。第三世代艤装計画で、湊ちゃんが艤装の展開すらできなかったのは……『
そう呟くと、はっとした顔になり、大きな溜め息を吐く。
「やれやれ。結論は、『持ち越し』か。……結局、結衣達が、やることは変わらない。『
諦めきった笑みを浮かべて、ポケットから電子タバコを取り出すと、スティックを差し込み、
「
吸いきったタバコを、海に捨てようとして、ポケットから携帯灰皿を取り出して押し込むと、執務室のプレハブに戻っていった。
次回から通常運転ですが
明日は作者がケンタッキー(フライドチキン)の欲望に負けて緊急外出を行い休載予定です。
(もしかしたら
カロリーコントロールとは一体何だったのか。
外見モチーフ
DSキラー:白肌白髪青目の睦月(というか湊)