小さな提督と艦娘日和   作:SAMICO

57 / 73
最強の駆逐艦と言われる綾波と海の殺し屋DSキラー
彼女たちがついに出会ってしまった。


という異色艦娘近接バトルものです。
そして、明石脅威の技術力で生み出された『綾波改二零』とは……。


本日はちょっと短めエピソードです。

どっかの霊能力者『バケモンにはバケモンをぶつけんだよ!』

※決して怪獣大戦争ではありません。


艦娘日和外伝《鬼神VS殺し屋~南海の大決闘~》

「………」

「………」

 

今ここに、深海の殺し屋と、冷酷無比な笑顔の鬼神が、出会ってしまった。

 

それは、()()()()()の、試験航海中の、出来事だった。

改二零とは、明石脅威の技術力によって魔改造された、零距離兵装のことである。まず動力を、蒸気タービンから、高速ディーゼルエンジンに換装した。

そして、兵装は両腰にある、CIWS『ゴールキーパー』のみで、右手には、『霊子強化型両手用ロングヘビートマホーク』、機関部には、『ディーゼルターボ』、背部には、『開閉式ウェポンコンテナ』、

という、海上で深海棲艦を、近接戦で叩き潰す為の装備で、速度も、40ノット以上(島風以上)

開閉式ウェポンコンテナからは、四連装30㎜ガトリングガンが展開される。こっちは、()()()の通常兵器だ。

フルアーマー綾波の発展型で、その為、19式重装備汎用艤装は、日向の手に渡っている。

ロングヘビートマホークは先日、凶悪な債権回収業者(高菜結衣)に脅されて試作した、バルディッシュの強化型である。

途中、太平洋上で、海賊行為をする海賊船に、HEIAP弾の30㎜ガトリングガンを、思う存分叩き込んで沈めたりしながら、公海上を航行していた。

「カ・イ・カ・ン」

まさに、『セーラー服と機関砲』である。

海賊さん達は……どうなったかは恐ろしくて、綾波の記憶だけに留めておいたほうが、良さそうだ。

日が暮れ、帰還しようとした時に、何か『()()()()()()』ものの、接近を感じていた。

「……何かが来ます」

本部にいる、旗艦神通に報告しながら、接近しようとすると、海から浮上してくる白い深海棲艦……DSキラーである。

「湊さん……?!」

その深海棲艦は、驚くほど、湊にそっくりだった。

「……!?……っ!!」

次の瞬間、綾波の体を射抜く殺気が、反射的にトマホークを、DSキラーめがけて、振り下ろさせていた。

彼女の、研ぎ澄まされた防衛本能が、『()()()()』をさせていたのだ。

DSキラーは、バックステップで攻撃を躱すと、モーフィングで、艤装を替える。

「!!艤装が変わった……!?」

「………」

綾波と同じ、特型駆逐艦タイプの標準艤装だ。右手には、綾波の持っているのと同じ、ロングトマホーク。

どうやら、()()()()()()()事ができるようだ。

 

「っ!!」

「……」

綾波が、いつもの笑顔を消して、再び振り下ろすトマホークを受け止めるDSキラー。迸る霊子の火花が、バチバチッとスパークする。

ぐっと力を抜き、その押し出される力でバックステップをして、距離を取った綾波。

「……オーバーロード!」

綾波の艤装が真っ赤に染まり、疾風のように深海棲艦に突っ込んで、トマホークを深海棲艦に振り下ろす。

その姿は掻き消えた………

「残像……!?」

背後からの、気配に気づき、振り向くと、無表情のDSキラーが、トマホークを振り下ろそうとしていた。

「っ!!!」

トマホークの、鉄製の柄に霊子を送り込んで受け止める。物凄く重い衝撃が、両手に伝わる。

「……っっく!!!CIWS CQB(近接格闘戦)オート」

綾波は、ゴールキーパーを起動させると、至近距離のDSキラーに、30㎜機関砲を浴びせかける。

更に、横蹴りも叩き込む。その衝撃とダメージで、DSキラーを後方に吹き飛ばす。

起き上がる相手は、あちこちに穴が開いて青い血が流れるも、すぐに傷口が閉ざされる。実艦換算では、かすり傷程度である。そして、回復力も高い。

「堅い………」

綾波レベルの達人になると、霊子で自然治癒能力の活性化ができる。相手も、その領域にいるということだ。

綾波は、すぐにオーバーロードを解除する。霊子で軽減できるとはいえ、オーバーロードは、燃料を消耗する。

「このままでは………」

覚悟を決めると、息を吸って、丹田に集中して、息を吐いた。腹を肚に替えるのだ。

「はぁっ!!」

一気に距離を詰めると、トマホークを振り下ろす。それと同時に、右に足払いを掛ける。

足に、何か引っかかった感覚がして、目にも留まらぬ勢いで、DSキラーは二・三回、海を転がってから、体勢を立て直す。

「スキあり!」

体勢を立て直そうとしたところを追撃して、トマホークを振り下ろすも、DSキラーもトマホークで受け止めて、再び火花を散らせるが、至近距離で、12㎝単装砲で狙われてるのに気づくと、バックステップで下がる。

単装砲の砲弾は、頭を掠めて、海に着弾する。

「はぁ……はぁ……」

「…………」

息が上がっている綾波と、息一つ乱していないDSキラー。

――殺される。

ばっと、綾波の目が見開かれた。その瞳は、真紅に染まっていた。

夜になっていく中、真っ赤な瞳だけが、輝いていた。

 

その後、霊子の火花だけが輝く、月夜の斬り合いが始まった。

ガキィンっ!!という剣戟音と共に。

綾波の生存欲を、純粋に開放した『()()()()()』としての綾波と、『()()()()()』DSキラー……

二人の魔物が、純粋な霊子をぶつけ合わせていた……

「っ……はぁっ!!」

「………」

永遠に続く、と思われていたが、その戦いは、長くは続かなかった。

「ぐうっ!!!」

「………」

切り結んだ時に、集中力が途切れた綾波の腹部に、蹴りが入って、海面を転がって行く。

燃料の残りも、もはやレッドゾーン……回避できた蹴りを、避けきれなかった。

起き上がろうとした時には、目の前にDSキラーがいて……

まさに、トマホークを振り上げ……

(ごめんなさい、拓哉さん……)

綾波が死を覚悟した時、空から、ジェット噴射音が聞こえた。

「……」

DSキラーは、その噴射音に空を見上げ、瞬時に潜水艦艤装に姿を戻すと、急速に潜航していった。

橘花改の落す、JDAM爆弾は誘導を受けて、DSキラーを追いかけるが、一気に振り切られてしまった。

 

「大丈夫ですか!?」

尻もちをついたまま、呆然とDSキラーを見送る綾波は、駆けつけた神通に、ポツリと語った

「いえ……大丈夫です。ただ、アレを倒すのは……私では、難しいです。あんなに、純粋で深くて暗く悲しい……霊子は、ハワイの深海棲艦の女王でも、感じませんでした。まさに、深海の邪神です」

「邪神……ですか…?」

綾波は、姿が湊に似ていたことは、敢えて伏せていた。

「はい、まさに邪神です。私は、手を出すべきではなかったんです。純粋な純粋な、悲しみと憎悪。艦娘というものが、『()()()』したら、こうなるのかな?と言う存在。恵海や龍田が、()()()()()()だとすれば、DSキラーはまさに、()()()()()()()()です」

「特異点……艦娘における特異点。深海棲艦における特異点……」

二人共、深刻に考え込む。遠くから、残りのザ・デストロイヤーズがやってくる。

「何れにせよ、彼女が日本を、積極的に攻撃する意図はなさそう。ということだけ、わかっただけでも、収穫です」

「ならば、あまり手を出さないほうが賢明でしょうか?」

二人は頷くと、出迎えに来た仲間達の元へ、滑り出して行った。

 

 

数時間後。

 

「……というわけなんだ、高菜」

「連絡ありがとうございます、草加先輩。これで、何となくあの計画の、結果の違いがわかった気がしました」

「そんじゃな。高梨に話すかは、お前に任せるわ」

「はい、了解ですよ」

 

電話を切った結衣は瞑目したあと、月明かりに照らされる、海の見える埠頭に出た。

「これで、はっきりわかった。第三世代艤装計画で、湊ちゃんが艤装の展開すらできなかったのは……『()()()()()』を追い出されたからか……未来ちゃんが艤装展開できたのは、『()()()()()』が混じり合ったから。……そうなると、高い霊子を持って、人と艦娘の霊子を兼ね備え、()()()()()()が鍵となる……か」

そう呟くと、はっとした顔になり、大きな溜め息を吐く。

「やれやれ。結論は、『持ち越し』か。……結局、結衣達が、やることは変わらない。『()()退()()』ってことかぁ……」

諦めきった笑みを浮かべて、ポケットから電子タバコを取り出すと、スティックを差し込み、(水蒸気)をくゆらせる。

()()()()()()()()()()()()……か。やれやれ」

吸いきったタバコを、海に捨てようとして、ポケットから携帯灰皿を取り出して押し込むと、執務室のプレハブに戻っていった。

 

 




次回から通常運転ですが

明日は作者がケンタッキー(フライドチキン)の欲望に負けて緊急外出を行い休載予定です。
(もしかしたらケンタッキー(鶏肉)パワーで夕方頑張るかもしれないけど)

カロリーコントロールとは一体何だったのか。

外見モチーフ
DSキラー:白肌白髪青目の睦月(というか湊)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。