小さな提督と艦娘日和   作:SAMICO

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結有ちゃんにモテ期到来!?(百合的な意味で)
正妻吹雪はどうなる!?

今回はラブ(?)コメ風味です。


※今日もショートですよん


士官学校騒動記②―駆逐水鬼―

DSキラーが出没して、警戒状態になっている頃、

駆逐水鬼は、大湊警備府の艦娘に取り囲まれていた。

「降伏する」

「……えっ?」

 

 

それから少し後。各務原結有は、校長である安藤龍に、応接室に呼び出されていた。

もちろん、対番の村井杏奈も、同行している。

「各務原結有、入ります」

「村井杏奈、入ります」

「入りたまえ」

入室すると、苦々しい顔の安藤龍中将が、応接室のソファに座っていた。

「まあ、座りたまえ」

「「はっ」」

二人はぴしっと敬礼すると、龍の対面に座る。

「用件というのは、なんだ、宮戸島の一件は、覚えているだろう?」

「はい」

結有は答える。いろいろな意味で、忘れ得ぬ場所である。

杏奈は少し苦笑いだ。必死で、『()()()駆逐水鬼を倒しただけ』と、弁解してくる結有を、思い出していた。

「その、()()()()……なんだがな?」

安藤にしては、珍しく言い淀んでいる様子に、二人共首を傾げる。

「まあいい、入ってこい」

そう、隣室に声をかけると、隣室の扉が開き、艦娘用の手錠――霊子を受け流し無力化させる、連結していない腕輪――を付け、兵士に連れられた、()()()()が隣室から入ってきた。

「駆逐水鬼!?」

「ひえええっ!?」

結有は驚きの声を漏らし、杏奈は初めて目にする、「水鬼」に驚き過ぎて、飛び退いて床に尻餅をつく。

「……()()()()()()()。お前に、忠誠を誓う」

その言葉に、一瞬沈黙する結有。

「……ええええええええええええっ!?」

 

漸く落ち着いた二人が座り直し、駆逐水鬼は龍の隣に座ると、龍が口を開く。

「大湊警備府艦隊が、宮戸島付近に居た、駆逐水鬼を発見、交戦の意志が見られなかった為、包囲したところ、降伏するとの申し出があり、大湊警備府で取り調べを行ったのだ。すると、中途半端に浄化され蘇った『()()』駆逐水鬼と判明。艦娘基本法を統括する、大淀大臣に問い合わせたところ、差し当り、『()()』として、艦娘に準ずるよう指示を受けた為、要求はないか?と訊いたところ、『私を倒したカガミハラユウという者に仕えたい』と申し出た」

「………」

「………」

二人は唖然としている。その様子を見た龍も、苦笑いを浮かべる。

「そりゃそうだろう。私だって、初めてのケースで戸惑っている。軍上層部と大淀大臣、矢部総理との協議の結果、差し当り、『艦娘』に準じることとなった。幸い、この個体には指揮命令プロトコルが通用する。医療部の検査によると、半分艦娘、半分深海棲艦だと思うと、わかりやすいそうだ。日本語も話すし、知性もある」

「………」

「……結有ちゃん、モテモテだね?」

杏奈は、理解の遠い彼方に行ってしまった現実を直視するのを諦め、苦笑いで言った。

「……吹雪にどう説明しようか?」

「……だね」

「フブキというのは、あの時一緒に居た艦娘か?」

それに割り込むように、問いかける駆逐水鬼に、杏奈はいたずらっぽく、

「うん、結有ちゃんの()()

「ちょっと!?先輩!?」

そう答えると、結有は慌て出す。

「正妻……ちょっと待ってもらいたい」

そう言うと、小型端末を取り出し操作する。

「まだ日本語に詳しくなくて申し訳ない。『法律上の正式な妻』……ん?」

理解できなくて、首を傾げる駆逐水鬼に、杏奈が更に吹き込む。

「結有ちゃんと吹雪ちゃんは、恋人としてお付き合いしてるの。辞書で言うと『2』の方かな?」

「先輩、何吹き込んでるの!?」

猛抗議中の結有をほったらかしにして、駆逐水鬼は画面に目を落とす。

「一番目の妻。正室……ふむ……」

いろいろ調べてから、駆逐水鬼は結有にまっすぐ向いた。

「……本日より、側室として、ユウのお側に仕えさせて頂く」

「えっ……えっ!?ええええええっ!?」

もはや龍は、疲れ切った顔で、生暖かく見守っている。

「全く。君達は()()()()()()()()()、だ」

「あの、私も入ってませんか?」

杏奈が、とりあえず抗議の声を上げるが、

「当然だ、問()()()()()だろう。()()()()だ」

と、しれっと言われ、がっくりと項垂れる杏奈。

 

 

当然のごとく、話を聞いた吹雪は、ご機嫌斜めだ。

「それは、さぞおモテでおモテで、結構ですね?」

「吹雪、だから話を聞いてよ」

「とりあえず、結有ちゃんの話を聞いてあげて」

ご機嫌斜めの吹雪を宥める二人を、他人事のように眺めてる、吹雪の対番上坂千里。

「カミサカセンパイさん、フブキは何故怒っている?」

隣でそれを見ている渦中の人物に、真顔で問われた千里は、顔を見合わせて笑った。

「えっとね。吹雪は結有ちゃんを、あなたに取られると思って怒ってるの」

そう答えられた駆逐水鬼は、すたすたと吹雪の元へ向かう。

「フブキ、貴女はユウの正妻だと聞いている。私は、貴女にも忠誠を誓う」

「……ふぇ?」

結有は、ポカーンとしている。

「だめだこりゃ」

「火にミサイルを焚べるような真似を……」

だめだこりゃって顔をして、生暖かく見ている千里に、頭を抱える杏奈。

言われた吹雪は少し考えて、意地悪な笑みを浮かべる。

「……そうか。この子は、『()()』の側室ってことだね?」

「うぇぇぇぇぇ!?」

驚愕の声を上げる結有。

「……吹雪ちゃんがそれでいいならそれでいいや、あと私も」

どさくさに紛れて主張する杏奈に、更に驚愕する結有。

「うぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

「あ、あたしもー!」

「うぇえええええええ!?」

悪乗りして手を挙げる千里に、更に驚きの声を上げる。

結有の()()()()が結成された瞬間だった。

 

あの大騒動の後も、結有をシメてやろうと企む、人間(バカ)は少なからず存在した。

だが、女子候補生を中心としたファンクラブが出来上がり、駆逐水鬼を家臣(側室)として連れて、対番二人まで側室宣言する相手。誰も手出しができなくなっている。

手錠によって、普通の人間程度まで能力を抑えられているから、実は駆逐水鬼が()()()()()()()()()のだが、

そんなことは、誰も信じない。

()()()()()()()()()()()()()』というイメージが、固まってしまったのだ。

 

中部警備府で龍田リペアが完成したり、南海の()()()()()が勃発している頃には、駆逐水鬼は日本語での会話が、きちんとできるようになるに至った。

結有達が授業中は、校長室でおとなしく座っており、課外になると、結有の元にやって来る。

その頃には、ファンクラブの子達を纏めて、節度を超えないように目を光らせるまでに至った。

教官達も、当初は軍閥化が……と、頭を抱えてはいたが、結有が忠誠を誓う軍部に対しても、同様の態度を取っている為、

何故か()()()()のような扱いになっていた。

その頃には大淀より、『名誉艦娘』としての認定を受け、めでたく手錠の解除も行われている。

その際、実力評価を行ったが、嘗ての能力は大幅に失われ、練度の高い駆逐艦より強い程度、になっている。

その代わりに、結有に手ほどきを受けた、骨法や空手を習得している為、そっちは、メキメキと上達していた。

生真面目というか、融通がきかないというか、綾波を、更に極端にしたようなバカ正直さが玉に瑕だが、士官学校の珍名物となっている。

結有によって、名前も付けられた、『瑞希(ミズキ)』という名前だ。

駆逐『水鬼(スイキ)』を、ミズキに変えて、漢字を当てたのだ。

結有に付けられた名前を、大変喜んで受け入れた。

 

そんなある日の放課後、珍しく五人だけで、屋上でのんびりしていた。

ふと、気がついたように結有が、

「そう言えば、瑞希はあのあと、何してたの?」

「……気がついたら、海に浮かんでいた。太平洋のど真ん中。そこで、恐ろしい魔物に出会った。悪魔……いや、邪悪な神と言っていい。深海棲艦の潜水艦だが、『()()()()()()()』をぶつけられた。私は必死で逃げ、宮戸島に流れ着いた。そこで、結有の記憶を取り戻し、艦娘達に取り囲まれて降伏した」

恐ろしそうに、身を震わせて語る瑞希。空飛ぶ墳進魚雷(ハープーンミサイル)……おそらくDSキラーだろう。

「…………」

沈黙する四人に、瑞希は真顔で見つめる。

「……私は、あの時、終わらせて欲しかった。ずっと、地面の闇に閉ざされていた。もし、生まれ変わるなら、貴方の側に居たいと思った」

まっずぐな、愛の告白と言ってもいい言葉に、吹雪が結有を抱き寄せた。

「正室は私ですから!」

その言葉に、頷く瑞希。

「じゃあ、側室二番!」

「三番!」

杏奈と千里も結有に抱きついた。結有も照れている。

「おいで、瑞希」

「……ん」

結有に呼ばれ、コクリと頷いた瑞希も、ぎゅっと抱きついた。

 

 

その様子を、隣の校舎の屋上――教員喫煙所――で煙草を吸っている、裕二が眺めていた。

「やれやれ。私は、『()()を連れてきたらぶっ飛ばす』とはいったけど、『()()をたくさん作ってハーレム化しろ』なんて、言った覚えはないんだけどなぁ?」

「クックック、それも結有君の人徳じゃないかね?男から、遠ざけ()()()ような教育を施した中佐がそうさせた、と私は思うがね?」

そんなボヤキを、龍が笑いながら窘める。それを聞くと、裕二は両手を上げて降参の姿勢を見せる。

「ま、当人同士が納得ずくで幸せなら、それもいいでしょうけど。親父やおふくろが聞いたら、ぶっ倒れるでしょうね?」

再び、煙を吸って吐き出すと、裕二は生暖かい目であっちを見やる。

「二度、戦死報告を受け取るわ、孫は豊橋で無茶をするわ、その孫は彼女を連れてくるわ、今度は孫がハーレム結成と、中佐のご両親も、さぞや大変でしょうなぁ」

龍も、煙を燻らせながら笑う。

「ま、これも新しい時代の象徴と思えば、我々の戦いも無駄じゃなかった、ということだ」

「ですね」

二人は、笑いながらその様子を見守っている……()()()()




結衣の語った『艦娘に倒された深海棲艦は浄化され(成仏す)る。艦娘にもなりうる』
ならば、半分艦娘の結有が倒したらどうなるか?と言う一つの答えです。
恵海・龍田に続く特異点です。

結有ちゃんモテモテです。

ちなみに人間が倒したら消える(消滅する)だけです。




ほっぽちゃんほしい(欲望)。
ほっぽちゃんなでなでしたい

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