正妻吹雪はどうなる!?
今回はラブ(?)コメ風味です。
※今日もショートですよん
DSキラーが出没して、警戒状態になっている頃、
駆逐水鬼は、大湊警備府の艦娘に取り囲まれていた。
「降伏する」
「……えっ?」
それから少し後。各務原結有は、校長である安藤龍に、応接室に呼び出されていた。
もちろん、対番の村井杏奈も、同行している。
「各務原結有、入ります」
「村井杏奈、入ります」
「入りたまえ」
入室すると、苦々しい顔の安藤龍中将が、応接室のソファに座っていた。
「まあ、座りたまえ」
「「はっ」」
二人はぴしっと敬礼すると、龍の対面に座る。
「用件というのは、なんだ、宮戸島の一件は、覚えているだろう?」
「はい」
結有は答える。いろいろな意味で、忘れ得ぬ場所である。
杏奈は少し苦笑いだ。必死で、『
「その、
安藤にしては、珍しく言い淀んでいる様子に、二人共首を傾げる。
「まあいい、入ってこい」
そう、隣室に声をかけると、隣室の扉が開き、艦娘用の手錠――霊子を受け流し無力化させる、連結していない腕輪――を付け、兵士に連れられた、
「駆逐水鬼!?」
「ひえええっ!?」
結有は驚きの声を漏らし、杏奈は初めて目にする、「水鬼」に驚き過ぎて、飛び退いて床に尻餅をつく。
「……
その言葉に、一瞬沈黙する結有。
「……ええええええええええええっ!?」
漸く落ち着いた二人が座り直し、駆逐水鬼は龍の隣に座ると、龍が口を開く。
「大湊警備府艦隊が、宮戸島付近に居た、駆逐水鬼を発見、交戦の意志が見られなかった為、包囲したところ、降伏するとの申し出があり、大湊警備府で取り調べを行ったのだ。すると、中途半端に浄化され蘇った『
「………」
「………」
二人は唖然としている。その様子を見た龍も、苦笑いを浮かべる。
「そりゃそうだろう。私だって、初めてのケースで戸惑っている。軍上層部と大淀大臣、矢部総理との協議の結果、差し当り、『艦娘』に準じることとなった。幸い、この個体には指揮命令プロトコルが通用する。医療部の検査によると、半分艦娘、半分深海棲艦だと思うと、わかりやすいそうだ。日本語も話すし、知性もある」
「………」
「……結有ちゃん、モテモテだね?」
杏奈は、理解の遠い彼方に行ってしまった現実を直視するのを諦め、苦笑いで言った。
「……吹雪にどう説明しようか?」
「……だね」
「フブキというのは、あの時一緒に居た艦娘か?」
それに割り込むように、問いかける駆逐水鬼に、杏奈はいたずらっぽく、
「うん、結有ちゃんの
「ちょっと!?先輩!?」
そう答えると、結有は慌て出す。
「正妻……ちょっと待ってもらいたい」
そう言うと、小型端末を取り出し操作する。
「まだ日本語に詳しくなくて申し訳ない。『法律上の正式な妻』……ん?」
理解できなくて、首を傾げる駆逐水鬼に、杏奈が更に吹き込む。
「結有ちゃんと吹雪ちゃんは、恋人としてお付き合いしてるの。辞書で言うと『2』の方かな?」
「先輩、何吹き込んでるの!?」
猛抗議中の結有をほったらかしにして、駆逐水鬼は画面に目を落とす。
「一番目の妻。正室……ふむ……」
いろいろ調べてから、駆逐水鬼は結有にまっすぐ向いた。
「……本日より、側室として、ユウのお側に仕えさせて頂く」
「えっ……えっ!?ええええええっ!?」
もはや龍は、疲れ切った顔で、生暖かく見守っている。
「全く。君達は
「あの、私も入ってませんか?」
杏奈が、とりあえず抗議の声を上げるが、
「当然だ、問
と、しれっと言われ、がっくりと項垂れる杏奈。
当然のごとく、話を聞いた吹雪は、ご機嫌斜めだ。
「それは、さぞおモテでおモテで、結構ですね?」
「吹雪、だから話を聞いてよ」
「とりあえず、結有ちゃんの話を聞いてあげて」
ご機嫌斜めの吹雪を宥める二人を、他人事のように眺めてる、吹雪の対番上坂千里。
「カミサカセンパイさん、フブキは何故怒っている?」
隣でそれを見ている渦中の人物に、真顔で問われた千里は、顔を見合わせて笑った。
「えっとね。吹雪は結有ちゃんを、あなたに取られると思って怒ってるの」
そう答えられた駆逐水鬼は、すたすたと吹雪の元へ向かう。
「フブキ、貴女はユウの正妻だと聞いている。私は、貴女にも忠誠を誓う」
「……ふぇ?」
結有は、ポカーンとしている。
「だめだこりゃ」
「火にミサイルを焚べるような真似を……」
だめだこりゃって顔をして、生暖かく見ている千里に、頭を抱える杏奈。
言われた吹雪は少し考えて、意地悪な笑みを浮かべる。
「……そうか。この子は、『
「うぇぇぇぇぇ!?」
驚愕の声を上げる結有。
「……吹雪ちゃんがそれでいいならそれでいいや、あと私も」
どさくさに紛れて主張する杏奈に、更に驚愕する結有。
「うぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
「あ、あたしもー!」
「うぇえええええええ!?」
悪乗りして手を挙げる千里に、更に驚きの声を上げる。
結有の
あの大騒動の後も、結有をシメてやろうと企む、
だが、女子候補生を中心としたファンクラブが出来上がり、駆逐水鬼を
手錠によって、普通の人間程度まで能力を抑えられているから、実は駆逐水鬼が
そんなことは、誰も信じない。
『
中部警備府で龍田リペアが完成したり、南海の
結有達が授業中は、校長室でおとなしく座っており、課外になると、結有の元にやって来る。
その頃には、ファンクラブの子達を纏めて、節度を超えないように目を光らせるまでに至った。
教官達も、当初は軍閥化が……と、頭を抱えてはいたが、結有が忠誠を誓う軍部に対しても、同様の態度を取っている為、
何故か
その頃には大淀より、『名誉艦娘』としての認定を受け、めでたく手錠の解除も行われている。
その際、実力評価を行ったが、嘗ての能力は大幅に失われ、練度の高い駆逐艦より強い程度、になっている。
その代わりに、結有に手ほどきを受けた、骨法や空手を習得している為、そっちは、メキメキと上達していた。
生真面目というか、融通がきかないというか、綾波を、更に極端にしたようなバカ正直さが玉に瑕だが、士官学校の珍名物となっている。
結有によって、名前も付けられた、『
駆逐『
結有に付けられた名前を、大変喜んで受け入れた。
そんなある日の放課後、珍しく五人だけで、屋上でのんびりしていた。
ふと、気がついたように結有が、
「そう言えば、瑞希はあのあと、何してたの?」
「……気がついたら、海に浮かんでいた。太平洋のど真ん中。そこで、恐ろしい魔物に出会った。悪魔……いや、邪悪な神と言っていい。深海棲艦の潜水艦だが、『
恐ろしそうに、身を震わせて語る瑞希。
「…………」
沈黙する四人に、瑞希は真顔で見つめる。
「……私は、あの時、終わらせて欲しかった。ずっと、地面の闇に閉ざされていた。もし、生まれ変わるなら、貴方の側に居たいと思った」
まっずぐな、愛の告白と言ってもいい言葉に、吹雪が結有を抱き寄せた。
「正室は私ですから!」
その言葉に、頷く瑞希。
「じゃあ、側室二番!」
「三番!」
杏奈と千里も結有に抱きついた。結有も照れている。
「おいで、瑞希」
「……ん」
結有に呼ばれ、コクリと頷いた瑞希も、ぎゅっと抱きついた。
その様子を、隣の校舎の屋上――教員喫煙所――で煙草を吸っている、裕二が眺めていた。
「やれやれ。私は、『
「クックック、それも結有君の人徳じゃないかね?男から、遠ざけ
そんなボヤキを、龍が笑いながら窘める。それを聞くと、裕二は両手を上げて降参の姿勢を見せる。
「ま、当人同士が納得ずくで幸せなら、それもいいでしょうけど。親父やおふくろが聞いたら、ぶっ倒れるでしょうね?」
再び、煙を吸って吐き出すと、裕二は生暖かい目であっちを見やる。
「二度、戦死報告を受け取るわ、孫は豊橋で無茶をするわ、その孫は彼女を連れてくるわ、今度は孫がハーレム結成と、中佐のご両親も、さぞや大変でしょうなぁ」
龍も、煙を燻らせながら笑う。
「ま、これも新しい時代の象徴と思えば、我々の戦いも無駄じゃなかった、ということだ」
「ですね」
二人は、笑いながらその様子を見守っている……
結衣の語った『艦娘に倒された深海棲艦は
ならば、半分艦娘の結有が倒したらどうなるか?と言う一つの答えです。
恵海・龍田に続く特異点です。
結有ちゃんモテモテです。
ちなみに人間が倒したら
ほっぽちゃんほしい(欲望)。
ほっぽちゃんなでなでしたい