MT-AIの変貌と、帰ってくるドタバタ集団
あの初代貧乏くじ同盟が中部警備府に帰ってきた!
ここから数話夏休みエピソードも盛り込みます。
帰郷
士官学校の前期を終えた、結有と吹雪と智紀、それに駆逐水鬼こと瑞希は、久々の帰郷を許されていた。
ただ、結有は、『
帰郷先に、中部警備府を選んでいた。
予定では、最終授業日に、名古屋に向かう筈だったのだが、
あの伝説を終わらせた
そして、地獄の門が開いたことも、
――――
智紀の胴上げが終わって、中部警備府への配信が終わったところだった。
「ねえ、皆。シミュレーションの画面がおかしいよ?」
結有の言葉に、全員が閲覧用のモニターを注視する。
そこには、こう書かれていた。
『不敗の女神像伝説の終焉を見届けた諸君へ。
君達は『
『
さあ、ようこそ地獄へ。 Y.Ganaha』
『………』
全員が沈黙した。
そして、校長の安藤龍が対戦したのだが、完全に叩きのめされてしまった。10回やって10回とも、安藤の敗北である。
対戦した安藤は、心配そうに見つめる学生達に笑いながら、こう言った。
「ふっ……クククッ……これは、この戦争三十余年の
―――『
その言葉に、士官学校の生徒達には青ざめる者、奮い立つ者等、色々の反応を見せたが、智紀自身はあまり、興味を示さなかった。
「いや、俺じゃ多分勝てないっす。これ、
それだけ、対番の明彦に言った。
夏季休暇中、シミュレーションルームは開放され、帰郷を急遽取り止め、挑戦する候補生が続出したとか。
そして、地獄の門番は通称、『
―――
「いやあ。まさか、あんな
助手席に座り、外を眺めながら言う結有に、ハンドルを握っている吹雪も、笑みを浮かべる。
なお、吹雪は入学前に、自動車学校で限定解除試験をパスして、普通車免許を持っている。
「きっと不敗の女神像は、『地獄への
吹雪のその言葉に、智紀は大きく溜め息を吐く。
「地獄どころじゃねえよ。
「だね」
「智紀の言うとおりだ。人間の言葉に、『事実は小説より奇なり』と言う言葉があるそうだ。想定外のことが起こるのが、戦場だ。『
その瑞希の言葉に、今度は結有が溜め息だ。
「二人だけで、多数の深海棲艦に無双する、
その言葉に、智紀が突っ込む。
「その
実は、あの騒動を教室の窓から見ていた智紀が、冷静に突っ込むと、結有は苦笑いだ。
「あ、あははー……ソンナコトナイヨー?」
「結有の運動神経は凄い。私が、動画サイトで見ていた、昔のアミノ酸ドリンクの駅CMの技――片足踏み切り前方伸身宙返り――というらしいんだが、再現できた」
その瑞希の言葉に、智紀が突っ込む。
「
「うっさいなあ、もう!ああどうせ、僕は人外ですよ。フンッ!」
とうとう拗ねてしまった結有が、窓の方に完全に向いてしまうと、瑞希がオロオロし出す。
頭を撫でたり、「結有は、かわいくて強くて好きだ」と、告白めいたことを言い出したりする。
その様子を、ハンドルを握っている吹雪は、にまにま眺めている。
「………で、なんで、
瑞希と自分の座ってる、後部座席の『裏』を向いて、智紀が溜め息を吐く。
その、
「いやあ、結有ちゃんの側室なもんで」
「だねー」
そう答える杏奈と千里に、智紀が文句を言う。
「
「男子だから?」
さっきのお返しとばかりに、結有がしれっと答えると、
「いやあ。うちの母、『
続いて、杏奈もしれっと答える。上坂先輩は複雑な家庭事情で帰郷できず、杏奈に従いてきただけであるが、その事は、誰にも一切話していない。
「いや。俺、出すのは良いけど、智子のカードの家族カードだから、払うの智子、なんだけど?」
大きな溜め息を吐いて、一応スマホを取り出して「
「おかえりなさーい!」
中部警備府では、真っ先に恵奈ちゃんが出迎えにやって来た。
恵奈ちゃんは、既に夏休みである。
もちろん両肩には
「おう、恵奈ただいま……ってなんだ、この可愛い生き物?」
智紀が突っ込むと、恵奈がニッコリ笑う。
「大垣翼少佐」
『えっ』
六人全員が絶句して、鳩が豆鉄砲を食らった顔をしている。
「だから、
『………』
恵奈のにこにこーっとした説明に、翼本人が更に説明する。
「いろいろあってさー、こうなっちまってさぁ」
「いや。おたく、それで良いんすか!?」
やっぱり代表で、突っ込む智紀。
「いやあ、こうなっちゃったら、しょうがないだろ?」
呑気に笑ってる翼に、智紀は大きな溜め息を吐く。
「それより、おめでとう。智紀くん?」
にっしっしと笑う、翼と恵奈ちゃん。
首を傾げる智紀だったが、中から出てきた智子の姿に、ちょっと違和感を覚える。
「ん?智子さぁ、もしかしてふとっ……ぶはっ!!」
言い終わる前に、察した結有が背中をぶっ叩き、智紀の肺の酸素を追い出す。
「何するんだ!殺す気か!?人外娘!!」
「うっさい!空気読め!」
大いに噎せた智紀が、結有に文句を言うと、結有も言い返す。
「あのね、智紀」
呼びかける声に振り向く。心なしか、智子が照れている。
「……出来ちゃったの。子供。今、五ヶ月目……」
「……」
一瞬固まる智紀。その様子を、
「ええええええええええええええええ!?」
智紀の驚愕の絶叫が、中部警備府入り口に響き渡った。
「おかえりなさい、皆さん。あと瑞希さんと村井・上坂候補生は、中部警備府にようこそ」
早速司令官執務室に向かい、帰郷の挨拶をする一同。
「智紀くん、貴方にも謝っておかないといけませんね。貴方の大事な人を傷つけて、ごめんなさい」
「い、いや……あれは俺の意地で……って、なんで知ってるんすか?」
キョトンとしている智紀に、湊はいたずらっぽく、笑みを零した。
「ふふふっ……『不敗の女神像』撃破、おめでとうございます。これで、やっと『不敗の女神伝説』から、解放されました」
「いや、解放されたかったら、何でアップデートしたんスか!?初対戦と挙動が変わってて、中部警備府からアップデートアクセス、あったんスけど!?」
その智紀のツッコミに、湊がふふふっと笑ったままで、
「私にも、ちょっぴり意地があったんです。
「……さいでっか。それより、あのAI、とんでもない代物でしたよ」
その言葉に、湊は首を傾げる。あの後のことは、湊もまだ知らないのだ。
事情を説明すると、湊は苦笑いと共に、遠いアメリカに居る、後輩の意図を推察した。
「私は後輩に、
大きな溜め息を吐きながら、嬉しそうな笑みを浮かべている湊に、
「なんか嬉しそうですね、提督?」
と、結有が突っ込む。
「それより。なんか、ハーレムつくってる、らしいじゃないですか?」
その言葉の直後、司令官執務室の隣室の扉が、ばたんと開かれた。
「ハーレムだって!?やったの!?もうやってるよね!?」
やっぱり現れた、
「寮生活でできるか!?」
やっぱり代表で、突っ込む智紀。
だが、後の五人の様子がおかしい。少し照れている。
「やったんかよっ!?」
後を振り向くと、そっちにも突っ込む。割と忙しい智紀。
「ともかく」
隣室から出てきた電に、「打ち合わせの続きなのです!」とジャンピングチョップを食らって、引き摺られるように、隣室に戻っていく結衣を見送りながら、湊が六人に声をかける。
「休暇の間は、ゆっくりしていってください。智紀くんは、智子の家に戻ればいいし、そっちの五名には、家族用官舎の空き部屋を貸与します」
「ご配慮感謝します!」
対番の成績上位者の杏奈が、代表して敬礼しながら礼を述べると、湊は笑って手で制する。
「ここにいる間は、
そう言ってから、湊は意地悪そうな笑みを浮かべる。
「智子の妊娠は、今朝の朝礼で通達しましたので、皆知ってますよ」
「ですよね!?これ、行く所行く所、からかわれるじゃねえっすか!?こんちくしょう!!!」
智紀は、この日何度目かわからない絶叫を上げた。
このあと、智紀は、
「いやあ、ラブラブだねえ?」
「いや。
「ああ、そうだよね、えっとねぇ……」
そのあと奈緒から、妊娠中の夜の営みについて、真面目に体験談を聞いていた智紀だった。
その日の歓迎会の二次会。
曙 「ちょっとまって!何で初代貧乏くじ同盟がカオス化してるのよ!」
比叡「ヒエー、下士官からの候補生は成人扱いと国防軍基本法に書いてあるけど結有が酔っ払うと誰が止めるんですかー!」
吹雪「ん、私だけど?」
比叡「だったら今脱いでるの止めてくださいー!!」
吹雪「ちょっと目の保養に……」
瑞希「止めたほうが良かったのか?」
杏奈「いやあ、見惚れちゃって」
千里「ねー」
朧 「どうしてこうなった………」
湊 「みんなが戻ってきて賑やかですねぇ」(電柱に話しかけている)
電 「ちょっと湊!?それ電じゃないのです!!電柱なのです!!」
加賀「いや、本当にどうしてこうなった……」
瑞鶴「いや、私まで連れてきたの、カオスの収拾役!?」
やはりカオスだった。
その頃智紀と智子は官舎でいちゃついていた。