そんな家族を見て羨ましいとつぶやく千里は複雑な家庭環境だった。
そして、恵奈が暁に紹介した友達は予想外の存在だった。
※:この作品ではガンダム等は一般世界と同様アニメのものです。
【水着回はもうちょっとあとになりそうです】
「お祖父ちゃんお祖母ちゃん、ひさしぶりー!」
『お久しぶり、恵奈ちゃん』
お盆の時期に、北海道の神南牧場にやって来た、大村一家と暁、それに士官学校五人娘が、従いて来ていた。妖精さんズは、お留守番である。
『いってら』
『私は、白い恋人を土産に要求する』
とは、それぞれの隊長妖精さんの、お見送りの言葉である。
恵一郎の両親は、富良野で牧場を営んでいるが、深海棲艦の侵攻時も、北海道のど真ん中ということもあり、戦中もずっと牧場を経営している、大牧場主である。
北海道戦線を間近で見ていたことが、恵一郎が軍へ志願するきっかけとなったのだが、両親である神南一郎と沙恵は、快く送り出していた。
退役したら、牧場を継ぐ予定らしいが、今のところは、両親も元気で、従業員達も支えてくれているので、安心である。
大村家の両親との関係も良好で、大村大将も退役したら、北海道に移住する、と言い出している。
「でも、よく休暇申請、通りましたね?」
結有の対番である村井杏奈が、恵一郎に声をかける。
「んー……僕等も、有給が溜まってたから、消化しないといけないし」
その、のんびりした言葉に、
「いや。今中部警備府、主要士官スッカラカンじゃないですか?」
この時期、湊と結衣、そして奈緒と恵一郎が、警備府を空けているのである。
残っている、佐官以上の士官は、昇進した広報課長の鈴木少佐改め、各務原香菜少佐と智子中佐、それに山本軍医少佐と翼少佐妖精さん、だけである。
「智子が残ってるし、智紀もいるから、大丈夫っしょ。艦娘達は、暁以外残ってるし。大規模な攻撃は、今のところ考えなくていいし、湊は東京だから、三時間で戻れる」
お気楽そうな奈緒が答えると、杏奈もそうか、と納得する。
「今年は、お客さんがいっぱいだねぇ」
一郎が、真っ先に走ってやって来た恵奈を、だっこしながらやってくる。
「今年は、大人数ですみません」
奈緒が、ペコリと頭を下げると、
「いいよいいよ。奈緒ちゃんと恵奈ちゃんと
「ふぁっ!?」
その言葉に、暁が赤面する。それに恵奈は、お祖父ちゃんから降りると、暁の元に向かい、ギュッと抱きついて、見せつける。
「そう。わたしの大事な人!暁ちゃん」
「ちょ、恵奈ちゃん!?」
その様子を、一同にまにま眺めてる。
「初めまして、各務原結有です。歓迎いただいて、ありがとうございます」
結有が、士官学校五人娘を紹介する。
その際、杏奈が悪乗りして、正妻だの側室だの、
「おー、モテモテだねえ」
ニコニコと、全然動じてない所が、
「それじゃあ、早速、お昼の用意出来てますからねえ」
沙恵が一同に促すと、牧場の敷地内の家へと、一同は移動となる。
お昼が終わると、牧場を観に行く。
恵奈と暁は、二人で観に行くらしい。仲良く手を繋いで、行ってしまった。
「あんた等も、自由に観に行って、いいからね」
奈緒は、夫の帰郷の度、力仕事を手伝う為に、オーバーオール姿に麦わら帽子である。
婿養子で、息子を持っていってしまったので、こういう時は、『
恵一郎もそれを手伝う。ニコニコと。
その様子を眺めながら、千里はぽつっと、小さい声で呟いた。
「いいなぁ……」
「ん?先輩、なんか言った?」
振り向いた結有が、千里に問うと、その隣りにいた杏奈が、首を横に振る。
「ああ、杏奈。こうやって、親密になったんだから、話すつもりだったんだけどね?」
杏奈に、困った笑みを浮かべて、持ってきたギターケースを開けると、アコースティックギターのストラップを肩に掛け、「ちょっと、広いところ行こうか?」と言うと、一同はちょっと開けた場所に向かう。
「私ね。『
ギターを奏でながら、千里が切り出す。今弾いているのは、スティングの『シェイプ・マイ・ハート』。
「孤児だったんですか?」
吹雪が問うと、千里は首を横に振る。
「私は、戦争で何かを奪われた訳、でもなくてね。親も生きてる。でも
『………』
「多分、私は『戸籍上の父』とは、
「そんなことない!」
その言葉を、結有が遮った。驚いた千里は、演奏も止まる。
「先輩!周りを見てよ。
「そうだよ。千里先輩は、
「独りでいなくていいし、
結有の言葉に、吹雪と瑞希が続く。
「千里。どうやら私達は、『とんでもなく
その杏奈の言葉に、目元まで浮かべていた涙が引っ込んで、ふふっと笑った。
「ねー」
涙は似合わない、そう思いながら、千里が両手を広げると、皆抱きついて、ぎゅーっと抱き締める。
「……ありがと、皆。私達は、
五人の左手薬指には、白銀色の指輪が、静かに光を反射させていた。
その頃恵奈は、牧場の奥の方にやって来ていた。
「わたしのお友達、紹介するね」
農場の奥の、森の近くで馬の飼育をしている、麦わら帽子姿の白い肌の小さい女の子(?)。
「
「ほっぽ……ちゃん?うぇぇぇぇぇぇぇ!?」
大声で声をかける恵奈と、愕然と固まる暁。
ほっぽちゃんこと
「恵奈、ひさしぶり、大きくなった、そっちは、
まだ片言の日本語で、声をかける。
「うんっ!」
「いやいやいやいや、ちょま。ちょまてよ?」
どこかの
「何で、姫クラスの深海棲艦が、ここにいるのよ?」
「んー、わたしの
さも当たり前のように言う恵奈に、首を傾げる。
恵奈の話だと、二年前終戦直後の時期に、この森に一人で行った時、穴持たずの熊に襲われて瀕死のところを、
それで、娘の恩人を何とか助けたい、と奈緒が、
もちろん関係者は、余計なトラブルを避ける為、あまり口外しないようにしていた。
知っているのは、この牧場の関係者だけである。
「なんか、血が足りなくなってたから、血も分けてくれたんだよ」
「………」
その言葉に、色々なハテナが、ビックリマークになった、暁だった。
「それよ!恵奈が、全部の艦載機妖精が見えるのは!!」
「恵奈、妖精、見えるのか?」
首を傾げるほっぽちゃんに、「うんっ!」と答える。
「そう、とにかく、うち、案内する」
森の中の丸太小屋に案内された二人は、中に所狭しと飾られている、色々な物に出迎えられる。
初めて見る暁は、何?このカオス部屋、と思っている。
「ええとね、『
恵奈の説明に、暁はだいたい察した。
「つまりは、ゼロの付くものを、いっぱい集めてるのね?」
「そう。ゼロ、好き。でも、このゼロ、飛ばない」
そう言うと、ウインガンダムゼロ(バード形態)のプラモデルを手に取る。
「飛んでたまるか!」
暁が、ついついツッコミを入れる。ツッコミを入れられると、ほっぽちゃんがふと、思い出した様に言う。
「ところで、この子、恵奈の、こいびと?」
「ふぁぁぁぁっ!?」
また顔を真赤にする暁。どこまで伝わっているんだ?と思っている。
「うんっ!あのね、そういうことも、したよ」
照れながら説明する恵奈に、「説明しなくていいから!」と、ツッコミを入れる暁。
「恵奈も、大人になった」
ちょっと背伸びして、頭をナデナデするほっぽちゃん。
「えへへー」
ちょっとしゃがんで、撫でやすくしながら、照れ笑いを浮かべる恵奈。
その様子を、顔の赤いまま見守っている、暁だった。
「ほっぽちゃんも、日本語上手くなったね?」
「I am studying English recently」
「何で、英語はペラペラなのよ?まず、日本語マスターしなさいよ!」
恵奈の言葉を、流暢な英語で返すほっぽちゃんに、ツッコミを入れる暁。
「日本語、割りと、難しい」
「難しいアル」
ほっぽちゃんに続いて、恵奈がボケる。
「何で中国人っぽくしたし!っていうか、突っ込みきれないわ!」
暁は、ツッコミで忙しい。
「そうそう、最近お友達の妖精さん、増えたよ。
「最後の、一応軍人だし!」
「ゼロ!恵奈も、ゼロ、いるのか?」
暁が、恵奈にツッコミを入れるが、バイパーゼロの言葉に、目を輝かせるほっぽちゃん。
「そう思って、Fー2のプラモデルつくって、持ってきたよ」
そう言うと、リュックから箱を取り出して、丁寧に(
「ゼロ、増えた、ありがとう」
嬉しそうな笑顔を浮かべるほっぽちゃんに、暁も
「それじゃあ、お返し」
ごそごそと、ギャラリーからFー35Aを取り出す。
きちんと、翼に妖精さんが乗っかっている。ミニほっぽちゃんみたいな感じの、白い妖精さん。
「たこ焼き戦闘機、こうなった」
「どうしてそうなった……?」
もう、突っ込みきれなくなっている暁は、大きな溜め息を吐いた。
この瞬間、中部警備府基地航空隊の、
勝手に出撃して、誰が沈めたか解らない深海棲艦を作り出す、Ju-87G改(ルーデル隊)。
資材イータークイーンであるFー2、そして哨戒機なのに、無茶な飛行をして機体を壊す、
最後に、最新鋭機で多分、資材イーターのステルス戦闘機F-35A。
そんなことも知らずに、
その後、皆で海の幸や美味しい肉料理やチーズなどを堪能して、満足するのであった。
ちなみに、瑞希とほっぽちゃんはすぐに打ち解けて、連絡先を交換し合ったのは、言うまでもない。
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