そんな危機的状況で佐官は智子は妊娠中、山本医師は負傷者受け入れで動けない、各務原少佐は前線経験ゼロ。翼は妖精さん。
この危機的状況に陥った司令官代理の智子は思い切った決断をする。
ついに広報が前線に出る日がやって来た。
そしてついに舞い降りた『空挺鬼神』
お盆終盤の中部警備府。現在、高天原智子が警備府司令官・駐留艦隊司令官・幕僚長・防御隊長の、各代理を兼任している。
湊と電と結衣は東京、恵一郎と奈緒は、北海道にいる。
お盆なので、通常業務が減少しているとはいえ、忙しい。
智紀も、北海道に呼ばれていたが、「嫁の側にいる」と言って断って、仕事を手伝っている。
夏休み中は、また総務部員と化している、
「なあ、今日の夕飯、外で食う?」
「そうねぇ……?」
智子が言いかけた瞬間、大きな爆発音と共に、少し地面が揺れた。
「爆発!?」
「事故か!?」
夏休み期間中は、復興工事も止まっている為に、極端に人口が減っている、名古屋エリア。
二人が、慌てて窓から見ると、石油コンビナートのある筈の場所が、炎上していた。
「事故!?テロ!?」
その直後に、沖合からの通信が入ってくる。
志摩泊地の那智と、浜松泊地の鈴谷である。
ぞれぞれ、深海棲艦が大量発生して現在交戦中、と報告があった。
再び、複数の爆発音がする。今度は街の方だ。
「智子!防御隊を市街地に派遣!これはテロだ!」
フリーズしかけている智子に、強い声を掛けると、智子も冷静に立ち戻る。
「わかったわ」
頷いた智子は、テキパキと防御隊オフィスに、臨時戒厳令と、治安維持の近傍出動命令を発令すると、山本軍医少佐の医療部に、防御隊と連携して、医療活動を始めるよう、命令を出す。
そして、翼少佐の判断で、基地航空隊が
幸い死者は出なかったものの、負傷者は多数で、病院だけでなく、中部警備府医療部にも運び込まれる。
爆破犯人も、普段から軍と合同訓練を行っていた警察機動隊が初動を担い、すぐに合流した防御隊と連携して、逃さずに逮捕している。
「私は、防御隊の指揮でここから動けないし、各務原少佐は実戦経験ゼロ、山本軍医少佐は、医療部から動けない……」
司令室で、逡巡していた智子は、
すぐにやって来た、
「高天原候補生、士官学校設置法と国防軍基本法に基づき、『
「はいいいいいいいいいい!?」
香菜さんは、素っ頓狂な声を上げる。普段、おとなしい彼女には珍しい。
「あの、すみません。お言葉ですが、私、広報部一筋で戦場経験無いんですけど……?」
「無茶は承知よ。戦術は、そこの『
頭まで下げられたら、香菜も断る訳にはいかない。ぱんぱんと数回頬を叩いて、緊張した面持ちになる。
「分かりました。
びしっと敬礼して、出ていく。
それを見送ったあと、湊のPDAに、『敵襲、すぐ戻られたし』と、連絡を入れる。
「あと数時間、粘れば勝ちね」
智子は、心の中で智紀達に託した。
その頃、前線は
通常の深海棲艦とDSキラー、艦娘部隊と、そして
DSキラーは、現在は
通常の深海棲艦と継ぎ接ぎも、
艦娘部隊は、『攻撃を受けるまで、DSキラーへの攻撃禁止』、という指示が守られている為、
DSキラーと、艦娘部隊との交戦はない。
そんな状況を、Pー1隊長である翼からもたらされると、後方支援艦で、第1・第3連合艦隊を率いている香菜を補佐する智紀は、智子に通信を送る。
香菜は、
「テロリストを調べてくれ。この状況、
『わかったわ』
通信を終えると、智紀は香菜に、
「香菜さん、俺が作戦を立てるっすから、安心してください。なに、すぐに司令官が、飛んできますよ」
余裕の笑顔を浮かべると、香菜の表情も少し和らいだ。
「香菜さん、第二警戒航行序列で、お願いします」
「はい!長門、第二警戒航行序列で、戦場に向かいます!」
『了解した。提督代理は、智紀と相談して、大まかな指示をくれればいい、あとはこちらでやる。ロクマル哨戒隊を出すが、いいか?』
その通信に、香菜は智紀の顔を見ると、智紀も頷く。
「はい。哨戒隊、出撃してください」
『了解した』
その通信と共に、加賀がSH-60K哨戒隊を、出撃させる。ヘリコプター部隊は、沖合へと飛んでいく。
すぐに、付近の敵艦隊に遭遇する。戦場は近い。
『敵艦見ゆ。航空隊の出撃を求める』
「はい、お願いします」
長門の進言を、是として命令を下すと、瑞鶴・加賀の墳式爆撃機が出撃、続いて赤城の艦爆・艦攻が、出撃する。
そして、更に接近して砲撃戦が始まる。
敵航空機は、基地航空隊が一掃して、制空権はこちらが取っている。
基地航空隊の支援爆撃等で、
『まずい!P-1隊から連絡、後ろに深海棲艦発見!抜かれた!』
「どうしましょう……?」
長門のその報告に、青ざめる香菜。智紀は、
「そっちは
智紀は、出撃前に留守部隊の、天龍達第2艦隊に依頼して、伊勢湾内に深海棲艦が現れた時の為に、トラップを仕掛けていたのだ。
態々、大袈裟に連合艦隊を組んで、出撃させたのも、
そして、その付近の水中には、
恵海とゴーヤには、89式長魚雷を配備していて、天龍達が引きつけている間に、突破した継ぎ接ぎ深海棲艦を、水中から沈める。
天龍達も、暁がいないとはいえ、龍田改Rの
「死にたい船はどれかしらぁ♪」
「天龍様のお通りだぜ!!」
「ウラー!」
「この雷様の目の黒いうちは、好き勝手させないわ!」
「お前達の犯した最大の誤り、それは、『私達』を敵に回したことです!」
「
沖合で戦闘している間、智子は取り調べをしていた。
捕縛したテロリストは、故・松本元中将の子飼いの部下で、結衣の
智子は元情報部で、
苛烈な尋問の末、横澤や片桐等と松本は繋がっていた、ということを突き止めた。
「………
そして、首謀者の名も明らかになった。
陸軍の松本秀俊中佐……松本元中将の
名古屋市内の治安維持を警察に引き渡すと、智子は内部捜査を行った。
徹底的な調査の末、中部警備府管内に残っていた、
彼等は、裁判の後収監されるだろう。松本中佐も岐阜基地で捕縛した、との連絡を受けた。
他の拠点や、他の軍拠点でも、内部調査が緊急で行われる。
今度こそ、松本元中将の一派は、軍から一掃されることになるだろう。
沖合の戦場の方も、収拾がついたところだった。
途中、空挺降下した
『敵艦殲滅。帰投命令をお願いしたい』
「……」
戦闘が終結したのを見届けた香菜は、ぺたんと座り込んでいた。安堵して、腰が抜けたようだ。
その様子を見て、ふうっと一息吐いた智紀は、代わりに指示を出す。
「えー。香菜さん、腰が抜けたようなので、代理で指示を伝える。全艦索敵を行いつつ、帰投せよ」
『了解』
綾波さんは、戦闘終了後バルーンを打ち上げると、そのバルーンを、飛んで来た
《フルトン回収システム》と、言うものらしい。
綾波は、空挺降下とこの回収システムと改二零艤装で、海賊が現れれば、即
二つ名も、『
智紀達が、警備府に帰還した頃には、湊達も戻ってきており、報告を受けている。
司令部不在の中、的確な指示を出した智子について、大垣海軍幕僚長に、報告を上げる。
「お疲れ様でした。皆さんのおかげで、名古屋を守ることが出来ました」
恵一郎も湊も、智子や智紀の力量を信じて、留守にしていたのだ。
捕獲した深海棲艦を夕張が調べたが、
これも、横澤や片桐のケース同様、深海棲艦の残骸を突っ込んで、高速建造剤をぶっかけたら出来ました的なもの、と判断。
異質な深海棲艦であるこれ等が、通常深海棲艦やDSキラーを引き寄せて、今回の一件になった、と夕張が見解を伝える。
「……まあ、松本一派を綺麗に一掃したら、いなくなると考えていい、物体でしょうね?」
そう結論づけて、捕獲した深海棲艦は、雷撃処分した。
そんなこんなで数日経った頃、奈緒達も戻って来て、数日間警戒態勢のまま、何も起きないこと、を確認して、警戒態勢を解除する。
そんな中、結衣は悲鳴を上げていた。
「資材がめっちゃ減ってるんだけど!?」
恐るべきは、資材イーターズだ。そして、更なる
消費資材の報告を上げて、補給を依頼したり、戦果報告などを上げたり、結衣はその夜、めちゃめちゃな徹夜をした。
そんなある日、湊が突然提案をする。
「結有ちゃん達が帰る、前の日にバーベキューしましょう!
湊ちゃんが、
次回こそ水着回です。